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大麻で不起訴になるには?前科をつけないために

大麻で不起訴?

大麻事件で逮捕されても、不起訴処分になれば前科がつかずに事件を終了することができます。前科がつかなければ、学校や仕事にも影響を生じることなく、元の生活に戻ることが可能です。

大麻事件で不起訴になり、前科が付かない可能性が高いケースについて具体的に紹介します。

また、不起訴にならず前科がついた場合のデメリットとや、不起訴となるためにすべき点についても解説しています。

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大麻で逮捕されても不起訴になる可能性はある?

大麻事件で不起訴…そもそも「不起訴」とは?

不起訴とは、事件を裁判にかけずに(起訴することなく)終了させることをいいます。
不起訴には、理由別に主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つの種類があります。

不起訴になれば、そもそも裁判が開かれないので有罪になることがなく、前科がつかないという大きなメリットがあるのです。

起訴か不起訴かを決める権限を持つのは検察官です。
大麻では、逮捕後10日(最長20日間)勾留されることが多く、検察官は勾留中に起訴・不起訴の判断をします。

不起訴を獲得するには、検察官の判断前に対策を講じて検察官と交渉することが不可欠です。そのため、早急に弁護士に相談することが何より重要となります。

起訴・不起訴に関しては『起訴されたらどうなる?起訴・不起訴の流れを解説』の記事もご参照ください。

大麻事件で不起訴は期待できる?

大麻事件では、統計上約半数が不起訴で終了しています。近年のデータでは、令和4年における大麻事件の54.6%が不起訴で終了しました(令和5年「犯罪白書」)。

約半数が不起訴になるという数字を見て安心する人もいるかもしれませんが、甘く考えるべきではありません。
というのも、大麻は再犯率が高く社会的影響も考慮される上、自己使用目的であっても量などによっては営利目的が疑われ、より重い判断が下されることもあるからです。

大麻で不起訴になるには、弁護士に依頼し、家族の支援などを事前に整え、十分な弁護活動で悪質性がないことを主張することが重要になります。

大麻で不起訴になるためには?

大麻事件でも、犯行態様によっては起訴猶予による不起訴処分を獲得し、前科がつくことを避けられる場合があります
大麻で起訴猶予による不起訴処分を目指すには、起訴・不起訴を決める権限を持つ検察官に、犯行態様が悪質でないこと、反省して再犯の恐れがないことなどを十分主張することが必要です。

具体的には、「所持していた大麻の量が微量」「大麻であるという認識が薄かった」「初犯で常習性がない」「証拠が売人等の証言しかない」「家族のサポート体制があり薬物治療を開始している」「悪い仲間と縁を切った」等を主張し起訴猶予を目指していきます

これらの主張を個人で適切に行うのは困難です。大麻で不起訴を目指すには、薬物事件に強い弁護士に早急にご相談ください。

不起訴になったらその後どうなる?

大麻事件で不起訴になれば、それまで逮捕勾留による身体拘束から釈放され、留置場を出て自宅等に帰ることができます

また、前科がつかずに今回の大麻事件が終了するので、逮捕前の生活に戻ることができます。会社や学校にも復帰することが可能ですし、資格の制限も受けません。

日本の刑事司法においては、起訴後の有罪率は約99.9%と高く、裁判で無罪判決を獲得するのは極めて困難なのが実情です。
そのため、大麻事件で前科がつくことを避けるには、不起訴処分の獲得を目指すことがポイントになります。

大麻事件で不起訴になるケースとは?

大麻事件で不起訴になる可能性があるケースとしては、以下のようなものがあげられます。

  • 初犯である
  • 所持する大麻の量が微量
  • 共同所持の疑いがあったが関係性が薄い
  • 証拠不十分

一方、常習性があり、営利目的で大量の大麻を所持もしくは栽培しているような場合には、起訴され実刑判決を受ける可能性が高くなるでしょう。

大麻で不起訴になるケース(1)初犯

大麻事件の場合、初犯者であれば不起訴(起訴猶予)の可能性は十分あります

令和4年に大麻取締法違反の疑いで起訴猶予になった人は1973人いましたが、そのうち初犯者は1495人にのぼります(2022年検察統計年報)。つまり、起訴猶予となった人のうち約7割以上が初犯者ということです。

もっとも、初犯であっても植物片でなく大麻樹脂を所持していた場合や、大麻の所持量が多い場合、営利目的が認められる場合、また栽培や輸出入をした場合などは実刑も考えられます。

大麻の初犯で不起訴にしてもらうためには、弁護士に1日も早く相談・依頼することが重要です。

弁護活動によって、前科前歴がなく普段はまじめに生活していること、常習性がないこと、大麻の認識が低いこと、通院して薬物を断つ取り組みをしていることなどを検察官に十分に伝えてもらいましょう。

大麻で不起訴になるケース(2)所持する大麻の量が微量

初犯者で、かつ、大麻所持の量が微量であれば不起訴の可能性はより高まります。

「微量」とは、一般に認知されている1回の使用量以下であることを意味します。具体的には、乾燥大麻であれば0.5グラム以下、大麻樹脂であれば0.1グラム以下であることが不起訴の目安となるでしょう。

また、大麻栽培の事例でも、栽培数は数株程度にとどまる場合は不起訴の可能性があります。

一方で、再犯の場合は微量の所持であっても不起訴になるとは限りません。前回の大麻事件で執行猶予付判決を受けてから5年以内に再犯した場合は実刑になる可能性が非常に高くなります。

大麻で不起訴になるケース(3)共同所持容疑で逮捕後、関係が薄いと判明した

大麻事件では、夫婦やカップルが共同所持の容疑者として逮捕されることも多いです。

共同所持は、お互いに薬物の存在を認識し、かつ薬物を管理処分できる状態にある場合に認められるとされています。

そのため、以下のような事情がある場合には、共同所持の関係にあるとは言えず、不起訴となる可能性があります。

  • そもそも相手が大麻を所持していたことを知らなかった
  • 自身は大麻の購入や管理を行っていなかった
  • 相手が大麻を使用していた際に誘われて使用するだけであった

不起訴を獲得するには、早期に弁護士に依頼し、具体的根拠をもとに共同所持を否定する事実を主張することがポイントです。共同所持の場合、黙秘の判断も処分に影響しやすいので、逮捕前に弁護士に相談することをお勧めします。

大麻で不起訴になるケース(4)証拠不十分

証拠が不十分のため有罪とすることが困難であると判断された場合には、不起訴となる可能性が高いといえます。

逮捕された大麻の密売人による情報から、大麻を譲り受けたという疑いをかけられたものの、家宅捜索の結果大麻が見つからなかったという事情があるなら、大麻を譲り受けたことの証拠が不十分であるとして不起訴となるでしょう。

また、大麻所持で逮捕された人の情報から大麻を譲り渡したという疑いをかけられ、大麻が見つからなかったというケースでも、証拠不十分として不起訴となりやすいといえます。

海外で大麻所持・栽培したら日本で起訴される?

海外には、大麻所持・栽培が合法な国もあります。
しかし、海外で大麻所持や栽培をすると、日本で起訴される可能性があります。大麻取締法24条の8において、日本国外でみだりに(むやみに)大麻を所持、栽培、譲受・譲渡等をした場合は、海外であっても処罰対象となると規定されているからです。

なかには、大麻が合法な海外で所持等をしても、日本の法律の「みだりに」にあたらず起訴されないという情報もあります。
しかし、大麻が合法な国で、大麻栽培や使用の様子をネットに投稿した日本人が、薬物使用を煽った麻薬特例法で逮捕された実例もあるので注意が必要です

大麻で不起訴にならなかったときのデメリット

大麻で起訴されると前科がつく

前科がつくのは、起訴されて裁判にかけられ、有罪判決を受けて確定した場合です。日本では、裁判で無罪になる割合は約0.1%です。

そのため、大麻で起訴されるとほぼ確実に有罪になり前科がつくことになります。執行猶予判決となり実刑を免れても、有罪であることに変わりはないので前科はつきます。

大麻で前科がつかないようにするには、不起訴の獲得を目指し、裁判にかけられることを防ぎます。近年では大麻で不起訴になる割合は約50%と、無罪になる割合より格段に高いですが、甘く考えてはいけません。

早急に弁護士に相談して、悪質性の低さや再犯防止の取組みを整えて検察官と交渉していきましょう。

大麻で起訴されたときの刑罰

大麻の刑罰は懲役刑しかありません。日本で処罰対象になるのは、大麻の所持、譲渡・譲受、栽培、輸出入ですが、どの場合でも懲役刑のみとなります。

営利目的がある場合は罰金の規定があるものの、懲役刑と一緒に科されるだけです。軽い罰金刑で終わることはありません。

大麻の懲役刑は、行為態様と目的により以下のように分けられます。

行為罰則
栽培・輸出入(大麻取締法24条)7年以下の懲役
営利目的の栽培・輸出入(同法24条)10年以下の懲役
又は10年以下の懲役及び300万円以下の罰金
所持・譲渡・譲受(同法24条の2)5年以下の懲役
営利目的の所持・譲渡・譲受(同法24条の2)7年以下の懲役
又は7年以下の懲役及び200万円以下の罰金

犯罪となる行為の具体例や量刑については『大麻の犯罪行為と刑罰|まずは弁護士にご相談を』でも解説しているため、こちらもぜひご参考になさってください。

大麻の前科で学校や仕事に影響はある?

大麻で前科がついても、学校や会社に知られることは原則ありませんが、学校や仕事に影響を生じる可能性があります

具体的には、医学部生が医師国家試験に合格して医師登録をする場合、申請書等から学校にバレる場合や、大麻の前科があることを黙って入社したことが職場で問題になる場合等です。

また、一般企業では、就業規則の定めにより前科がついたことで解雇の対象になる場合があります
さらに、前科がついたことで(一定期間)就けない職業もあります。懲役しかない大麻の場合は、医師、看護師、薬剤師、保健師、調理師、柔道整復師等、公務員、保育士、社会福祉士、古物商、士業全般等です。

大麻で不起訴を目指すにはどうすべき?

不起訴を目指すなら弁護士への依頼が最重要

近年の傾向によると大麻事件では、約50%が不起訴処分になります。しかし、何もしなくても不起訴になるわけではありません。

不起訴を目指すには、弁護士に依頼して、「所持が微量である」「常習性がない」「犯罪の認識が薄い」「反省し通院している」「家族の支援がある」といった事情を見える化し、検察官と交渉してもらうことが不可欠です。

この対応は、検察官が起訴・不起訴の判断をする前にする必要があります。

アトム法律事務所で実際に取り扱った対目事件の事例では、大麻では約90%が逮捕され、内88%が勾留されています。
身柄事件では逮捕から起訴されるまで最長でも23日間しかありません。この間に十分な弁護活動を行うためには、1日も早い弁護士への依頼がポイントになります。

大麻での不当な取調べや捜査に抵抗できる

大麻で逮捕されると、留置場に入れられ警察の取調べを受けます。アウェイの環境で連日取調べを受け、精神的に追い込まれる上、自白を迫られて不利な供述調書が作成される恐れも否定できません。

供述調書の内容を後から覆すのは難しいので、不起訴を目指すには捜査段階からの適切な対応をすることが大切です。

具体的には、弁護士から取調べのアドバイスを受け、適切な黙秘権の使い方や納得できない供述調書が作成された際の対処方法を聞いておくことで、不当な取調べ等に対抗できます。
また、弁護士に依頼すれば、不当な捜査等に対し抗議を申し入れ改善を図ることも可能です。まずは弁護士にご相談ください。

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弁護士が教える怖い警察の取り調べへの対応法|録音や拒否はできる?

黙秘権って何?逮捕後に黙秘すると不利?有利になる場合とは?

大麻での逮捕勾留から早期釈放を目指せる

弁護士に依頼すれば、大麻で逮捕されても早期釈放を目指すことができます。大麻事件の場合、逃亡や証拠隠滅の恐れが疑われやすいです。

そのため、逮捕後に10日間の勾留や最長10日の勾留延長が認められやすく、家族も面会できない接見禁止という処分もつきやすいという特徴があります。

弁護士なら、普段まじめに生活していること、家族の監督があること、所持の量が微量であること等から、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを検察官や裁判官に主張する弁護活動によって早期釈放を目指せます

大麻所持の量や態様によっては難しいこともありますが、早期の釈放が実現すれば社会復帰も容易となりやすいので、諦めずに弁護士に相談してみましょう。

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大麻で逮捕されたら|逮捕の条件とその後の流れ

大麻の再犯防止活動ができる

大麻のような薬物事件では、量刑の判断に「再犯の恐れがないこと」が重視されます。

令和5年度版犯罪白書によれば、大麻の検挙数は平成26年以降急増し、令和4年度においては約5500人となり、再犯率も約26%と高いのが特徴です。
大麻の情勢や、他の薬物事件に繋がりやすい性質からも、大麻で不起訴を目指すには再犯しないことを説得的に主張する必要があります。

弁護士に依頼すれば、大麻の入手経路の告白や薬物仲間との決別など、取調べで薬物に未練がないことを示す供述のアドバイスを受けられます。
また、更生施設や専門病院に通う、家族の協力を得る等によって、再犯防止を見える化して検察官と交渉し、不起訴の可能性を高めることが期待できます

大麻事件での反省が示せる

大麻のような薬物事件の場合、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談してもらうことができない犯罪類型なので、自身がどれだけ反省しているかを示すことが難しいことも少なくありません

そこで、大麻で不起訴を獲得するには、弁護士に依頼して、反省の情や再犯防止の対策を伝えてもらうことが必要です。

そのためには、早急に弁護士に相談したり、接見を依頼する等して取調べのアドバイスを受けることが重要です。大麻の証拠が明らかなのに不合理な否認を繰り返すと反省がなく再犯の恐れが疑われますし、大麻の入手経緯を明らかにしたり更生施設の手配をしてもらうことは反省を伝えることに繋がります。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了