大麻で警察から捜査を受けたり、逮捕されたりすると、事件によっては起訴される可能性があります。起訴されると99.9%の確率で有罪となり、前科がついてしまいます。
前科がついてしまうと、就職活動や海外渡航、職場への悪影響を及ぼしてしまうおそれがあります。しかし、不起訴処分を獲得すれば、これらの悪影響を避け、前科をつけずに日常生活に復帰できます。
この記事では、大麻事件で不起訴になるケースや、不起訴を目指すためにどうすればいいのか詳しく解説します。大麻事件で不起訴を獲得したい方はぜひ最後までご覧ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
大麻で逮捕された!不起訴になる可能性は?
大麻事件で不起訴は期待できる?
大麻事件は、統計上約半数が不起訴で終了しています。2023年の検察統計によると、大麻事件の不起訴率は48.1%でした(「罪名別 被疑事件の既済及び未済の人員」参照)。
約半数が不起訴になるという数字を見て安心する人もいるかもしれませんが、甘く考えるべきではありません。
大麻事件は再犯率が高く、社会的影響も大きいため、自己使用目的であっても、所持量次第では営利目的と見なされ、より厳しい判断が下されることがあります。
大麻事件で不起訴を目指すには、弁護士に依頼し、家族の支援などを事前に整え、十分な弁護活動で悪質性がないことを主張する必要があります。
大麻事件で不起訴を獲得したい|そもそも「不起訴」とは?
不起訴とは、事件を裁判にかけずに(起訴することなく)終了させることをいいます。不起訴になれば、事件が裁判にかけられないため、有罪判決を受けることがなく前科もつきません。
不起訴には、主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つの種類があります。
不起訴の主な種類
- 嫌疑なし
捜査の結果、罪を犯していないことが判明した場合 - 嫌疑不十分
捜査の結果、刑事事件の証拠が不十分で、犯罪事実が認められない場合 - 起訴猶予
犯罪の嫌疑が認められるが、犯人の性格や境遇、犯罪後の情況などを考慮し、あえて不起訴にする場合
大麻への関与を否認する場合には「嫌疑なし」や「嫌疑不十分」による不起訴を目指します。
大麻の所持・使用などをしてしまった場合には、「起訴猶予」による不起訴を目指していくことになります。
大麻事件で不起訴になるケースとは?
大麻事件で不起訴になる可能性があるケースとしては、以下のようなものがあげられます。
大麻事件で不起訴の可能性があるケース
- 初犯である
- 所持する大麻の量が微量
- 共同所持の疑いがあったが関係性が薄い
- 証拠不十分
それぞれ詳しく解説していきます。
大麻で不起訴になるケース(1)初犯
大麻事件の場合、初犯者であれば「起訴猶予」で不起訴となる可能性は十分にあります。
令和4年に大麻取締法違反の疑いで起訴猶予になった人は1973人いましたが、そのうち初犯者は1495人にのぼります(2022年検察統計年報)。つまり、起訴猶予となった人のうち約7割以上が初犯者ということです。
もっとも、初犯であっても植物片でなく大麻樹脂を所持していた場合や、大麻の所持量が多い場合、営利目的が認められる場合、また栽培や輸出入をした場合などは起訴されることも考えられます。
大麻の初犯で不起訴を獲得するためには、弁護士に1日も早く相談・依頼することが重要です。
弁護士によって、前科前歴がなく普段はまじめに生活していること、常習性がないこと、大麻の認識が低いこと、通院して薬物を断つ取り組みをしていることなどを検察官に十分に伝えてもらいましょう。
大麻で不起訴になるケース(2)所持する大麻の量が微量
初犯者で、かつ、大麻所持の量が微量であれば不起訴の可能性が高まります。
「微量」とは、一般に認知されている1回の使用量以下であることを意味します。具体的には、乾燥大麻であれば0.5グラム以下、大麻樹脂であれば0.1グラム以下であることが不起訴の目安となるでしょう。
また、大麻栽培の事例でも、栽培数が数株程度にとどまる場合は不起訴の可能性があります。
大麻で不起訴になるケース(3)共同所持容疑で逮捕後、関係が薄いと判明した
大麻事件では、夫婦やカップルが共同所持の容疑者として逮捕されることも多いです。
共同所持は、お互いに薬物の存在を認識し、かつ薬物を管理処分できる状態にある場合に認められるとされています。
そのため、以下のような事情がある場合には、共同所持の関係にあるとは認められず、不起訴となる可能性があります。
- 相手が大麻を所持していたことを知らなかった
- 自分は大麻の購入や管理を行っていなかった
- 相手が大麻を使用していた際に誘われて使用するだけであった
不起訴を獲得するには、早期に弁護士に依頼し、具体的根拠をもとに共同所持を否定する事実を主張することがポイントです。共同所持の場合、黙秘の判断が処分に影響しやすいので、逮捕前に弁護士に相談することをおすすめします。
大麻で不起訴になるケース(4)証拠不十分
大麻の所持・使用などが疑われても、決定的な証拠が見つからなければ不起訴になることがあります。
たとえば、逮捕された密売人や知人の供述により大麻所持の疑いをかけられたものの、家宅捜索で大麻が一切発見されなかったケースが挙げられます。
ほかにも、大麻の使用が疑われたものの、尿検査をした結果陽性反応が出なかったケースなども、証拠不十分で不起訴になる可能性が高まります。
大麻で起訴されたらどうなる?
大麻で起訴されると前科がつく
大麻で起訴されるとほぼ確実に有罪になり前科がつくことになります。
前科がつくのは、起訴されて裁判にかけられ、有罪判決を受けて確定した場合です。日本では、裁判で無罪になる割合は約0.1%です。執行猶予判決となり実刑を免れても、有罪であることに変わりはないので前科はつきます。
大麻で起訴されたときの刑罰は?
大麻の刑罰は、基本的に懲役刑です。罰金刑はありません。
日本で処罰対象になるのは、大麻の使用、所持、譲渡・譲受、栽培、輸出入等ですが、どの場合でも懲役刑になり得ます。
営利目的がある場合は罰金の規定があるものの、懲役刑と一緒に科されるだけです。軽い罰金刑で終わることはありません。
大麻の懲役刑は、行為態様と目的により以下のように分けられます。
行為 | 罰則 |
---|---|
栽培・輸出入 | 1年以上10年以下の懲役 |
営利目的の栽培・輸出入 | 1年以上20年以下の懲役 (または) 1年以上20年以下の懲役および500万円以下の罰金 |
使用・所持・譲渡・譲受 | 1ヶ月以上7年以下の懲役 |
営利目的の使用・所持・譲渡・譲受 | 1年以上10年以下の懲役 (または) 1年以上10年以下の懲役および300万円以下の罰金 |
なお、改正前(2024年12月11日以前)の大麻事件の刑罰については、以下のとおりです。
行為 | 罰則 |
---|---|
栽培・輸出入 (旧大麻取締法24条1項) | 7年以下の懲役 |
営利目的の栽培・輸出入 (同法24条2項) | 10年以下の懲役 (または) 10年以下の懲役および300万円以下の罰金 |
所持・譲渡・譲受 (同法24条の2第1項) | 5年以下の懲役 |
営利目的の所持・譲渡・譲受 (同法24条の2第2項) | 7年以下の懲役 (または) 7年以下の懲役および200万円以下の罰金 |
犯罪となる行為の具体例や量刑については『大麻の犯罪行為と刑罰|まずは弁護士にご相談を』でも解説しているため、こちらもぜひご参考になさってください。
大麻取締法の改正点について詳しく知りたい方は『大麻使用はいつから違法?使用罪の刑罰は?12月施行の大麻取締法改正を解説』の記事をご覧ください。
大麻の起訴・不起訴に関するよくある質問
Q.大麻で起訴されたら学校や仕事に影響はある?
大麻事件で起訴されても、学校や会社に知られることは原則ありません。しかし、前科がついてしまうと学校や仕事に影響を及ぼす可能性があります。
具体的には、一般企業では、就業規則の定めにより前科がついたことで解雇の対象になる場合があります。
さらに、前科がついたことで(一定期間)就けない職業もあります。懲役しかない大麻の場合は、医師、看護師、薬剤師、保健師、調理師、柔道整復師等、公務員、保育士、社会福祉士、古物商、士業全般等です。
Q.大麻事件で不起訴になったらその後どうなる?
大麻事件で不起訴になれば、逮捕勾留により身柄拘束されていた場合は釈放され、留置場を出て自宅等に帰ることができます。
逮捕勾留されていない在宅事件の場合には、事件が終了するため裁判を受ける必要がなくなります。
また、前科がつかずに事件が終了するので、これまで通りの生活に戻ることができます。会社や学校にも復帰することが可能ですし、資格の制限も受けません。
大麻で不起訴を目指すにはどうすべき?
不起訴を目指すなら弁護士への依頼が重要
近年の傾向によると大麻事件では、約50%が不起訴処分になります。しかし、何もせずに不起訴になるわけではありません。
不起訴を目指すには、弁護士に依頼して、「所持が微量である」「常習性がない」「犯罪の認識が薄い」「反省し通院している」「家族の支援がある」といった事情を見える化し、検察官と交渉してもらうことが必要不可欠です。
特に大麻事件で逮捕されてしまうと、逮捕、勾留といった身柄拘束の手続きが取られ、検察官によって原則23日以内に起訴するかどうかの判断がなされます。
この間に十分な弁護活動を行うためには、1日も早い弁護士への依頼がポイントになります。
大麻での不当な取調べや捜査に抵抗できる
大麻で逮捕されると、留置場に入れられ警察の取調べを受けます。家族とも面会できずに孤独な中で、最長23日間、連日取調べを受けるとなると、精神的に追い込まれてしまいます。その結果、自白を迫られて不利な供述調書が作成されるおそれも否定できません。
供述調書の内容を後から覆すのは難しいので、不起訴を目指すには捜査段階からの適切な対応をすることが大切です。
具体的には、弁護士から取調べのアドバイスを受け、適切な黙秘権の使い方や納得できない供述調書が作成された際の対処方法を聞いておくことで、不当な取調べ等に対抗できます。
また、弁護士に依頼すれば、不当な捜査等に対し抗議を申し入れ改善を図ることも可能です。まずは弁護士にご相談ください。
取調べの対応について詳しく知りたい方は『警察の事情聴取(取調べ)をどう乗り切る?不利にならない対応と今後の流れ』の記事や『黙秘権って何?逮捕後に黙秘すると不利?有利になる場合とは?』の記事も、あわせてお読みください。
大麻での逮捕勾留から早期釈放を目指せる
弁護士に依頼すれば、大麻で逮捕されても早期釈放を目指すことができます。大麻事件の場合、逃亡や証拠隠滅のおそれが疑われやすいです。
そのため、逮捕後に10日間の勾留や最長10日の勾留延長が認められやすく、家族も面会できない接見禁止という処分もつきやすいという特徴があります。
弁護士なら、普段まじめに生活していること、家族の監督があること、所持の量が微量であること等から、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことを検察官や裁判官に主張し、早期釈放を目指せます。
大麻所持の量や態様によっては難しいこともありますが、早期の釈放が実現すれば社会復帰も容易となりやすいので、諦めずに弁護士に相談してみましょう。
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大麻の再犯防止活動ができる
大麻のような薬物事件では、量刑の判断に「再犯のおそれがないこと」が重視されます。
令和5年度版犯罪白書によれば、大麻の検挙数は平成26年以降急増し、令和4年度においては約5,500人となり、再犯率も約26%と高いのが特徴です。
大麻の情勢や、他の薬物事件に繋がりやすい性質からも、大麻で不起訴を目指すには再犯しないことを説得的に主張する必要があります。
ただし、説得の材料が必要です。
大麻事件に強い弁護士なら、どのような事情が不起訴になりやすいかを熟知しています。
一例として、以下のようなものがあげられます。
- 大麻の入手経路の告白
- 大麻の共同所持などの仲間との決別
- 取調べで薬物に未練がないことを誓う
- 大麻依存から抜け出すための治療を受ける
- 自助グループや専門の病院に通う
- 家族が更生に協力することを誓う
大麻事件に強い弁護士は、あなたが不起訴を目指すために必要なことを教えてくれます。
そして、あなたに有利な事情を強く訴え、粘り強く、検察官と交渉をおこないます。
大麻事件での反省が示せる
大麻のような薬物事件の場合、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談してもらうことができない犯罪類型なので、自身がどれだけ反省しているかを示すことが難しいことも少なくありません。
そこで、大麻で不起訴を獲得するには、弁護士に依頼して、反省の情や再犯防止の対策を伝えてもらうことが必要です。
そのためには、早急に弁護士に相談したり、接見を依頼する等して取調べのアドバイスを受けることが重要です。大麻の証拠が明らかなのに不合理な否認を繰り返すと反省がなく再犯の恐れが疑われますし、大麻の入手経緯を明らかにしたり更生施設の手配をしてもらうことは反省を伝えることに繋がります。
大麻事件でお悩みの方はアトム法律事務所に相談!
大麻事件で警察からの捜査を受けたり、逮捕されたりしたときは、まず初動を誤らないことが大切です。できる限り早い段階で有利な証拠を集める必要があり、それには大麻事件の解決実績が豊富な弁護士に頼ることがおすすめです。
捜査機関の取調べは精神的なストレスがかかるだけでなく、身体拘束による体調不良も生じやすいものです。できるだけ早い釈放を目指すこと、不起訴処分を獲得すること、また裁判になっても執行猶予を獲得することを考え、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することからはじめましょう。
アトムの解決事例
最後にアトム法律事務所が過去に扱った事件で不起訴を獲得した事例をご紹介します。
(1)初犯
アトムの不起訴獲得事例
夫婦喧嘩で依頼者の妻が警察をよんだ際、自宅で所持していた大麻が発見された大麻取締法違反の事案。
弁護活動の成果
裁判官に意見書を提出したところ勾留請求が却下され早期釈放が叶った。弁護活動を尽くし不起訴処分を獲得。
(2)所持する大麻の量が微量
アトムの不起訴獲得事例
友人とキャンプ中、大麻を所持しているところを警察に発見され取調べを受けたとされるケース。大麻取締法違反の事案。
弁護活動の成果
所持量がごく少量であった事等を意見書にまとめ検察官に提出。情状弁護を尽くし不起訴処分を獲得した。
(3)共同所持容疑で逮捕後、関係が薄いと判明した
アトムの不起訴獲得事例
配偶者が自宅で栽培していた大麻を一緒に使用していたケース。夫婦喧嘩で家を飛び出した依頼者が警察に犯行を自白した大麻取締法違反の事案。
弁護活動の成果
大麻の所持や栽培について依頼者の関与が薄いという点を検察官に主張。結果、不起訴処分となった。
(4)証拠不十分
アトムの不起訴獲得事例
個人使用目的で購入した大麻を、友人に頼まれて2グラムを1万円程度で売ったとされた。大麻取締法違反の事案。
弁護活動の成果
押収された携帯電話の早期還付を交渉し、実現。事件は捜査不十分により、不起訴処分となった。
24時間相談ご予約受付中
アトム法律事務所では、警察が介入した事件について初回30分無料の対面相談を実施しています。
- 大麻の件で、警察が家宅捜索に来て逮捕されそう
- 家族が大麻で逮捕された!どうすればいい?
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