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逮捕されたらどうなる?流れと対応を解説

逮捕されたら

「自分の関わった事件がネット上で拡散しているが、逮捕されるのだろうか…」、「家族が逮捕されたが、自分は何をすれば良いのか…」、刑事事件の容疑をかけられている方や家族が逮捕された方は、仕事や学校はどうなるのかなど大きな不安を感じることと思います。

この記事では、自分が逮捕されそうになったり身近な人が逮捕されたりしたときのために、逮捕されたときの流れや早期解決のための対応方法などを解説します。

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逮捕されるとどうなるのか?

逮捕された後の流れ

逮捕されると、多くの場合は警察署の中の留置場に身柄を拘束されます。その間、被疑者が面会できるのは弁護士だけとなり、弁護士以外の家族・友人などとの面会や連絡は一切禁止されるのです。

逮捕の期間は最長72時間ですが、逮捕から「勾留」に移行した場合、さらに最大で20日間身柄を拘束されます。勾留中は弁護士以外とも面会ができるようになることが多いですが、弁護士以外との面会には、平日の日中のみ・警察官の同席あり・1日1~3回まで・1回15~20分までなど、様々な制限があります。

また、勾留されたまま「起訴」されてしまうと、保釈されない限り、裁判が終了するまで(短くても約1か月前後、長ければ1年以上)の身柄拘束が続くこともあります。

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逮捕の種類

逮捕には、大きく分けて、現行犯逮捕と通常逮捕の2種類があります。

現行犯逮捕は、万引きが見つかって逮捕される場合・交通事故の現場で逮捕される場合・職務質問を受けて覚醒剤の所持が見つかって逮捕される場合など、犯罪の最中や直後に逮捕されることをいいます。

これに対して、通常逮捕は、警察などが犯罪を把握したことをきっかけに被疑者の特定(=捜査)が進められ、後日逮捕されることです。

どちらの逮捕であっても逮捕後の流れはほとんど同じですが、以下では、通常逮捕を念頭に解説します。

逮捕されるかどうかを知ることはできる?

いつ逮捕されるのかを知ることはできない

逮捕することを前もって知らせると、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅するおそれがあります。そのため、多くの場合、自分がいつ逮捕されるのかを知ることはできず、日常生活を突然奪われることになります。

しかし、逮捕までのプロセスは大きく分けて次の3パターンに分類することができ、早期に弁護士が介入することで逮捕を阻止することが可能になる場合もあります。

  • 何の前触れもなく、ある日突然、自宅に逮捕状を持った警察が訪ねてきて逮捕されるパターン(朝方、通勤や通学のために自宅を出ると警察が待ち構えている)
  • 警察からの呼出し(任意同行・任意出頭)を受けて、これに応じて出頭したところ、警察署の中で逮捕されるパターン
  • たびたび呼出しを受けているのに、これを無視し続けていたために逮捕されるパターン

捜査機関からの呼出しがあれば速やかに弁護士に相談を

自分がいつ逮捕されるのかを知ることはできないのが原則です。しかし、警察などから呼出しを受けている場合には、逮捕を阻止する猶予があるともいえます。

この段階で弁護士が介入できれば、呼出しの用件は何か、被疑者と参考人どちらの立場で呼び出されているのか、出頭から逮捕に移行する可能性はあるのかなどを聞き出し、本当に出頭する必要があるのかどうかを判断することができます。

仮に出頭する必要がある場合でも、示談や被害弁償の必要があれば速やかに行う予定であることを伝え、逮捕せずに在宅のままで捜査をするように交渉することが可能です。

また、指定された呼出しの日時に仕事などで出頭できない場合でも、弁護士から出頭できない理由と別の候補日時を連絡し、指定日時に出頭しないことを理由に逮捕しないよう申し入れ、不当な逮捕を阻止することもできます。

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実際に逮捕されてしまったときの対応は?

勾留を阻止することが重要

逮捕された場合、約90%の事案で、検察官が裁判所に勾留を請求し、勾留に移行することとなります(令和2年版犯罪白書参照)。

勾留されてしまうと、最低でも10日間、長ければ20日間身柄を拘束されるおそれがありますので、仕事や学校にも大きな影響が生じかねません。

そのため、検察官に勾留を請求させない、あるいは、検察官が勾留を請求したとしても裁判所に勾留を認めさせないための活動を行うことが重要です。

具体的には、被害者との間で示談を成立させたり被害弁償をすること、身元引受人を見つけること、勾留されれば仕事を失ったり学校を退学になるおそれがあると主張することなどによって、勾留を阻止し、釈放を求めることになります。

これらの活動は、72時間以内という極めて限られた時間の中で行う必要があり、刑事手続に関する専門的な知識はもちろんのこと、迅速な対応が求められます。

そのため、万が一逮捕されてしまった場合には、少しでも早期に弁護士に相談することをお勧めします(弁護士にとっても弁護活動の幅が広がります)。

勾留に移行しても早期釈放を目指す

やむを得ず逮捕から勾留に移行してしまった場合でも、日常生活への影響を防ぐためには、勾留期間を短くし、早期釈放を実現することが必要です。

裁判所が検察官の勾留請求を認める割合は約95%ですから、勾留を請求されてから何の対応もとらなければ、検察官の請求どおり身柄が拘束される可能性が極めて高くなってしまいます令和2年版犯罪白書参照)。そして、勾留請求が認められてしまうと、逮捕段階とあわせて最大23日間の身柄拘束を受けることとなります。

そのため、検察官から勾留が請求されれば、裁判所に、勾留を認めるべきでないと主張することが必要です。

それでも裁判所が勾留を認めた場合には、勾留を認めた判断を取り消すよう、裁判所に申し立てることとなります。

勾留期間の途中であっても、被害者との間で示談や被害弁償が済んでいたり、取調べや捜査がすべて完了していれば、それ以上身柄を拘束する必要はありません。そこで、勾留を取り消して釈放するよう、裁判所に申し立てることとなります。

このように、刑事手続のどの段階にあるかによってどのような手続をとる必要があるかも変わってきますので、刑事事件に精通した弁護士への相談をお勧めします。

家族との面会を可能にすることなども重要

逮捕段階と異なり、勾留段階では弁護士以外とも面会できるようになることが多いです。しかし、勾留段階の約39%の事案では、弁護士以外との面会や連絡(手紙のやり取りなど)を禁止する接見等禁止が付けられます(弁護士白書2020年版参照)。

弁護士以外との接触が一切遮断されてしまうと、精神的に追い詰められたり、家族に会えるようにしてあげるという利益誘導などによって、虚偽の自白をしてしまうおそれがあるなど、極めて大きな弊害が起こりかねません。

そのため、接見等禁止が付けられている場合には、その全面的な解除や、少なくとも家族とだけは面会や連絡ができるよう(一部解除)、裁判所に申し立てて、被疑者と外部との接触の機会を確保する必要があります。

この他、被疑者の治療のために外部の病院への入院が必要な場合や、被疑者の家族の葬儀への参列が必要な場合などには、勾留(身柄拘束)を一時的に停止するよう裁判所に申し立てて、被疑者が留置場の外に出られるようにする必要があります。

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逮捕後の最終目標は不起訴の獲得

釈放されても起訴・不起訴を決めるために捜査は続く

勾留が続いていればもちろんのこと、釈放された場合でも、事件に対する捜査が終了するわけではなく、被疑者の起訴・不起訴を決めるために捜査は続けられます。

勾留されている場合、起訴されたかどうかは遅くても23日以内に分かりますが、釈放されて在宅で捜査が続いていると、忘れたころに起訴されて裁判所からの出頭命令が届くということも少なくありません(捜査側にとっても、在宅の事件には時間制限がないため、どうしても処理が後回しにされがちです)。

そのため、釈放された場合であってもそうでない場合であっても、検察官が起訴をしないように活動することが必要となります。

また、釈放されて在宅のままで捜査が続けられている場合には、起訴されるかもしれないという不安定な立場を早期に解決するため、速やかに捜査を終えて起訴・不起訴を判断するよう、検察官や警察に求めることが重要です。

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起訴されると99.9%前科が付くなど不利益が大きい

日本の裁判の有罪率は99.9%ですから、起訴されてしまうと、ほぼ間違いなく前科が付いてしまいます。執行猶予付きの判決であれば、ひとまずは刑務所に入らなくても済みますが、有罪判決である以上、前科が付くことには変わりありません。

勾留されたまま起訴されてしまうと、裁判が終了するまでさらに身柄を拘束されることになります。もっとも、起訴された後は保釈を請求でき、保釈が認められれば、通常の日常生活を送ったまま裁判を受けることが可能です。

しかし、保釈のためには保釈保証金を納付することが必要で、保釈保証金の相場は最低で150万円・通常で200万円といわれており、金銭的に大きな負担がかかってしまいます。

また、裁判は平日の日中に行われますので、裁判を受けるために仕事や学校を休む必要も出てきます。

このように、起訴されることによる不利益は極めて大きなものです。逮捕された場合には、釈放だけでなく、不起訴を獲得することまでを見据えて対応する必要があります。

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逮捕された後に不起訴を獲得するための対応

不起訴を勝ち取るためには、示談を成立させたり被害を弁償したりして、それを「意見書」という書面にまとめて、検察官に提出して交渉するのが一般的です。

ただし、事案によっては、逮捕直後の初期の取調べ段階から一貫して黙秘を貫く必要がある場合や、供述はするけれども調書への署名押印をするべきではないといった場合もあります。

このように、不起訴を勝ち取るためにどのような対応が最も有効的であるかは、個別の事案に応じた専門的な判断が必要です。また、逮捕直後の間もない時点で決断する必要がある場合もありますので、早期に弁護士へ相談なさることをお勧めします。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了