
最近、大麻犯罪の増加に伴い『大麻リキッド』を所持しまたは譲り渡したという疑いで逮捕されたという報道が数多くなされています。
今回の記事では『そもそも大麻リキッドとは何なのか』『仮に大麻リキッドの所持等をしてしまった場合、逮捕されたり実刑を受けてしまうのか』『自分や家族が逮捕されてしまった場合に弁護士に相談すべきなのか』について詳しく解説していきます。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
目次
大麻リキッドは違法?HCC、CBDオイルは?
大麻リキッドは大麻取締法違反
まず、大麻リキッドとは、大麻葉などから抽出されたTHC(テトラヒドロカンナビオール)という成分を濃縮した液体のことを指します。
大麻から抽出された成分である以上、所持するだけでも大麻取締法違反として刑事罰の対象となります。
大麻リキッドは電子タバコの本体を利用して使用されることが非常に多いです。通常の大麻と違い使用にあたって罪悪感が生じにくく、若者を中心に急速に普及しています。
量刑は大麻リキッドを所持・譲受・譲渡をした場合に5年以下の懲役となります。
HHCは危険ドラッグとして薬機法違反
THCと混合してしまいがちなものとして「HHC」というものがあります。
HHCとは「ヘキサヒドロカンナビノール」の略称で、大麻由来の成分を合成して作成される薬物です。
いわゆる合法大麻として扱われており最近までHHCを所持しているだけでは刑事罰の対象にはなりませんでした。
しかし2022年3月17日より、いわゆる危険ドラッグとして規制薬物の対象となりました。
現在、HHCを所持・使用・販売等をした場合、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に違反したとして刑事罰の対象になります。
量刑は所持、使用、購入、譲り受けをした場合に3年以下の懲役または300万円以下の罰金またはこれらが併科されます。
CBDオイルは現状合法なものの違法成分混入のおそれあり
THCと似て非なるものとしてCBDというものがあります。
CBDとはカンナビジオールの略称で、THCなどと同様に大麻から抽出される成分ですが、THCと決定的に異なるのはCBDを所持していても違法とは判断されないという点です。
現に、CBDとインターネットで検索すると、CBDを使用したリキッドやオイルなどが普通に販売されています。
ストレス緩和や不眠の解消のために、CBDを利用している人も増えているようです。
一方でCBDと偽ってTHCが販売されていたりCBDを製造する過程でTHCが含まれてしまうというケースもあり、その場合には、 警察から検挙されてしまうおそれがあります。
仮にCBDと認識して使用していた(違法薬物の混入を認識していなかった)としても、検挙に至ればその主張の真偽も含めて捜査を受けることになります。
日常生活に影響が生じるのは確実なので、注意が必要です。
大麻をはじめ薬物犯罪は起訴率が高い
大麻リキッドなどについて警察に検挙されてしまった場合、原則として最終的には検察官による起訴・不起訴の判断が下されることになります。
起訴とは裁判の開廷を提起する手続きで、その後、統計的には99.9%が有罪となります。
不起訴とは裁判を開かずに事件終了とする手続きで、刑が科されることはありません。
大麻をはじめとした薬物犯罪は起訴率が非常に高いです。
警察に検挙された場合、不起訴処分獲得を目指した活動をしながらも、起訴されることを見越していかに量刑を減らすかという点からも対策が必要になります。
大麻リキッドで逮捕される流れとは?
大麻リキッドでの逮捕のきっかけの多くは『職務質問』『税関』
大麻リキッドを使用したことで逮捕される場合の、その後の具体的な流れについて解説していきましょう。
大麻リキッドを所持したことで逮捕されるケースとしてまず挙げられるのは、警察から職務質問を受けて大麻リキッドが発見されてしまう場合です。
この場合、現行犯として逮捕される可能性が非常に高いです。また仮に現行犯として逮捕されなかった場合でも、リキッドの成分などを調査したうえで改めて後日逮捕される可能性もあります。
後日逮捕では早朝に警察官が自宅にやってきて警察署に連行し、また別の警察官は家宅捜索を行うのが通常の運用です。
次に、海外から大麻リキッドを輸入し、税関手続の中で警察に判明してしまうケースも挙げられます。
大麻の入手経路としては日本国内の闇市場で入手する方法のほか、インターネットを通じ通販で海外から輸入する方法もあります。
税関手続で違法薬物がないかのチェックが行われるほか、郵便の配達員が違法薬物に気が付いて警察に通報することもあります。
いずれにせよ、通報を受けて違法薬物を発見した警察は、その後荷物に記載された住所などから身元を割り出し、多くの場合逮捕を行います。
逮捕の流れは先述の場合と同じく、早朝に警察官が自宅にやってきて被疑者を警察署に連行し、また別の警察官によって同時に家宅捜索を行われというものです。
大麻リキッドは現行犯逮捕と後日逮捕の両方があり得る
大麻リキッドの犯罪では、現行犯で捕まるケースの他、後日逮捕されるケースもあります。
たとえその場では逮捕されなかったとしても、後々身体拘束されてしまう可能性もあるわけです。
薬物犯罪は証拠隠滅が比較的容易な犯罪です。そのためもともと逮捕される可能性が非常に高い犯罪類型です。
そして大麻リキッドについては、一見してその内容物が違法な大麻なのかどうかがわかりづらい場合もあります。このとき一旦リキッドを押収して内容物の成分鑑定をしてから逮捕に踏み切るという流れになる場合もあります。
大麻リキッドで逮捕された後の流れとは?
逮捕後、警察官は48時間以内に検察官に事件を引継ぎます。その後は警察官と検察官が共同で捜査を行うことになります。
被疑者は警察署内の留置場に拘束されて外に出たりすることは一切できなくなります。所持品も基本的にはすべて警察署が預かるので、スマホを使って外部と連絡、といったことはできません。
逮捕後、事件を引き継いだ検察官は24時間以内に身体拘束を継続する必要の有無を判断し、裁判官に対して勾留の請求を行います。
裁判官が勾留を認めた場合には、そこから起訴されるまで最大で20日間にわたり身体拘束が継続されることになります。
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・逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説
大麻リキッドについて弁護士に相談するメリット
メリット①弁護士に相談することで逮捕回避の可能性が上がる
大麻犯罪は逮捕の可能性が高いという解説をしてきましたが、それでも事件の状況やその後の対応次第によって身体拘束を受けずに済む可能性は残っています。
この点、弁護士に依頼すると逮捕・勾留回避の可能性を上げることができます。
逮捕・勾留は逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれが認められるときに行われる処分です。
まず弁護士に依頼したという事実自体、「今後も刑事手続きには誠実に応じる用意がある」ということを示す証拠になります。
一人暮らしの場合、例えば親元に引っ越すなどして監視の目がある環境に身を置くようにすることなども逮捕回避の観点から言えば効果的です。
弁護士は上記のような逮捕回避のための施策を施したうえで、逃亡・証拠隠滅のおそれがないことや身柄拘束を受けることによる不利益が甚大であることなどを意見書にまとめ捜査機関に提出できます。
いくら本人が「逃亡の恐れはない、証拠隠滅のおそれはない」と言っても、捜査機関はまともに取り合ってくれません。
弁護士という第三者から主張することによってはじめて効果が見込めるのです。
身体拘束を回避したい場合には、まず弁護士に相談するのがおすすめです。
メリット②弁護士に相談することで不起訴・刑罰の減軽の可能性が上がる
大麻犯罪では、『知人から大麻と知らされずに渡されてしまった』『友人が大麻を所持していたことを知らなかったにもかかわらずたまたま居合わせたことを理由に共同所持の疑いをかけられた』といったような事案があります。
このようなケースでは、犯行の故意を欠いているとして犯罪が成立しません。
冤罪が疑われるようなケースでは、弁護士は依頼者の方に向けて取調べ対応へのアドバイスをすることができます。
本来罪が成立しないのに捜査機関からの圧力によって罪を認めさせられてしまうケースは非常に多いです。
少しでも疑問をお持ちの方はなるべく早く弁護士に依頼すべきと言えるでしょう。
また実際に故意に大麻リキッドを所持してしまっていたような場合でも、弁護士に依頼すれば不起訴や刑の減軽が見込めます。
検察官は、様々な事情を考慮して起訴すべきかを判断するため、情状面等で有利な事情があれば不起訴処分になる可能性も残されています。
また仮に起訴されてしまっても、情状面等での有利な事情は、裁判官の心証に影響を与えて刑の減軽に効果を発揮します。
例えば『薬物に関連した友人とはもう縁を切っている』『薬物依存症の治療を開始している』『親族が今後も監督を継続することを宣誓している』といった事情は、不起訴獲得や刑の減軽の面から言ってかなり有利な証拠となります。
弁護士は上記のような施策を施したうえで、捜査機関や裁判官に対しその事実を効果的に示すことができます。
実際に罪を犯した場合であっても、あるいは冤罪の場合であっても、大麻リキッドの犯罪においてはなるべく早く弁護士に相談するのが重要なのです。