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実行犯が捕まったという情報が入ってきたり、自分と似たような行為が犯罪としてニュースに取り上げられているのを見たりして、「自分はただ仕向けただけでも犯罪になるのか」「手伝っただけで罪になるのか」と不安に感じる人もいるでしょう。
こうした犯罪をそそのかす行為や犯罪を助ける行為は、教唆犯(きょうさはん)や幇助犯(ほうじょはん)として罪に問われる可能性があります。
近年では高額な報酬につられ、「ちょっとしたお手伝い」のつもりが「重大な犯罪の幇助犯」になっている闇バイトや出し子のようなケースもあります。心当たりがあれば早急に弁護士への相談を検討しましょう。
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教唆犯や幇助犯は共犯にあたる犯罪行為
教唆犯や幇助犯は共犯に該当します。共犯とは何かを理解する上では、対になる言葉である「正犯」との違いを知ることがポイントです。
共犯・正犯・共同正犯の意味
まず正犯と共犯の違いを整理します。
正犯とはその犯罪を実行した人をいい、共犯とはそう実行するように仕向けたり、実行が容易になるように手助けした人のことです。
例えば、Aさんが窃盗の被害にあったとしましょう。このときに、実際にAさんに対して窃盗した人物がBとCであった場合、BとCは共同正犯です。一般的にBとCが共犯関係などと表現されることも多いのですが、どちらも窃盗をした正犯であるため、共同正犯が正しい表現になります。
そして、正犯であるBに対して「Aさんの家には高い貴金属や時計が沢山あるから盗んでお金にしてしまえ」などとそそのかして、犯行を決意させたDがいた場合、Dは共犯(教唆犯)です。
そして、Cが窃盗することを知ったEが、Aさん宅へ窃盗に使うための道具を貸した場合、Eは共犯(幇助犯)となります。
実際に窃盗行為をしていないため、DとEはいずれも共犯ではありますが正犯ではありません。
共犯の種類
- 共同正犯
- 教唆犯
- 幇助犯
次に、共犯のなかでも教唆犯と幇助犯という2つに区別される違いを整理しておきましょう。
教唆犯と幇助犯の違いは決意の有無
犯罪をそそのかすことで、犯罪行為を思いつかせたり、決意をさせた場合には教唆犯になります。一方で、すでに犯罪を決意していて、その犯罪を実行しやすく手助けするものを幇助犯というのです。
教唆犯と幇助犯の違いは、正犯に犯罪を決意させたかどうかにあります。
原則として、教唆犯の方が、幇助犯よりも量刑は重いものと考えられます。それぞれの成立要件や具体例を解説していきます。
教唆犯 | 幇助犯 | |
---|---|---|
犯罪の決意 | させた | していた |
量刑 | 正犯と同じ | 正犯より減軽 |
教唆犯とは何か|教唆犯の成立要件と具体例
教唆犯とは、犯罪行為を決意していないものに対して、犯罪行為をするようにそそのかし、決意させるものをいいます。
具体的な成立要件や事例をみていきましょう。
教唆犯の成立要件と例
教唆犯の成立要件は、教唆した行為があること、意図をもって故意に教唆したこと、正犯者が実行したことの3点です。
教唆犯成立の3要件
- 教唆した行為があること
- 意図をもって故意に教唆したこと
- 正犯者が実行したこと
犯罪をそそのかす方法は問わず、意図的に犯行の手口や手法を教えることで、犯罪を決意させることをいいます。
もっとも3つの要件がすべて揃っていなければ教唆犯は成立しません。たとえば、教唆した行為と意図があったとしても、実際に犯罪が発生しなければ教唆犯は成立しないのです。
教唆犯の例
- 友人に「あの家はお金持ちだから盗んだらどうか」と提案し、実行させた
- 家族へ凶器を見せて「見つかるとマズい。床下に隠してほしい」と依頼し、実行させた
- 同乗者に「保険金をだまし取らないか」と提案し、事故を装って保険金を請求させた
正犯の刑事責任能力は問われない
14歳未満の者に対して犯罪行為をそそのかし、実行に移してしまった場合を考えてみましょう。
14歳未満の触法少年は刑事責任能力を負わないので、正犯である少年に対して刑事罰を科すことはできません。しかし、正犯の刑事責任能力に関係なく教唆犯は成立します。
間接正犯にあたるケースも
あるいは14歳未満の触法少年が、被疑者に対して強く抵抗できない状態にあった場合にもかかわらず犯罪をそそのかした場合、教唆犯ではなく間接正犯に当たる可能性があるでしょう。
同様に、重度の精神障害により刑事責任能力がない者(物事の分別ができなかったり、自身の行動を統制できない者)に対して犯罪行為をそそのかした場合も、教唆犯ではなく間接正犯にあたる可能性があります。
関連記事
刑事責任能力について詳しく知りたい方は、関連記事『なぜ責任能力がないと無罪?精神障害による犯罪と精神鑑定の関係』も参考にしてください。
教唆犯の量刑・罰則
教唆犯は、正犯と同様の刑を科されることになります。刑法第61条では次のように定められています。
刑法61条
第六十一条 人を教唆して犯罪を実行させた者には、正犯の刑を科する
2 教唆者を教唆した者についても、前項と同様とする。
教唆犯は法律で定められた量刑が正犯と同じとされていますが、実務上は正犯よりも刑罰が軽減される傾向にあります。
裁判例|身代わりを依頼・決意させた教唆犯
被告人は、運転免許を受けずに普通乗用自動車を運転していた道路交通法違反事件について、自己の刑事責任を逃れるため、助手席に乗っていた同乗者に身代わりとなるよう依頼・決意させました。道路交通法違反ならびに犯人隠避教唆被告事件として、裁判所は懲役1年2月の刑が相当であると判断しました。(令和元年(わ)第236号 道路交通法違反,犯人隠避教唆被告事件)
同乗者に対して身代わりを依頼し、決意させたことから、幇助ではなく教唆犯になります。
裁判例|窃盗を仕向けた教唆犯
被告人は、かつて一緒に仕事をしたことのある被害者の所有するユンボの所在地を知っていました。そして知人のAを巻き込み、何の処分権限も持たないユンボを、Aに売却、搬出するように申し向け、窃取することを決意させました。Aは被告人に処分権限がないことを知りながら、何の事情も知らない中古車販売事業者従業員らにユンボを搬出させたのです。被告人は懲役1年8月、未決勾留日数中60日をその刑に算入するとの判決でした。(平成23年(わ)第355号 窃盗被告事件)
被告人は窃盗教唆とされましたが、犯行を持ち掛けたこと、売却益の一部を受けとっていることなどから、窃盗の正犯Aと同様に責任は重いと判断されました。
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幇助犯とは何か|幇助犯の成立要件と具体例
幇助犯とは、犯罪行為を決意している者に対し、その犯罪行為を容易に実行できるように手助けするものをいいます。
具体的な成立要件や事例をみていきましょう。
幇助犯の成立要件と例
幇助犯の成立要件は、幇助行為があること、意図をもって故意に幇助したこと、正犯者が犯罪を行ったこと、幇助が実際に犯罪を容易にしたことの4点です。
幇助犯成立の4要件
- 幇助行為があること
- 意図をもって故意に幇助したこと
- 正犯者が実行したこと
- 実際に犯罪を容易にしたこと
幇助犯は、正犯が犯罪行為の実行を決意した後に犯行を手助けしたものをいい、一方的なものであっても成立します。手助けの方法は問われていないので、物品を貸与するなどの物理的支援にとどまらず、心理的に支援することも幇助にあたるのです。
なお、幇助行為が犯罪の実行に役立った場合でないと成立しません。つまり、幇助行為と犯罪の実行行為に因果関係がないと幇助犯とはならないでしょう。
幇助犯の例
- 住居侵入や窃盗をすることを知り、見つからないように見張りをした
- 自殺を考えている人に対して自殺の道具や環境を整えた
- 殺人を企てている者に対して「あいつは殺されて当然だ」と背中を押した
幇助犯の量刑・罰則
幇助犯は従犯とされ、正犯よりも刑を減軽すると定められおり、おおよそ正犯に科された量刑の半分相当が、幇助の量刑相場とされています。
刑法第62条および同第63条では次のように定められています。
刑法62条・63条
第六十二条
1 正犯を幇助した者は、従犯とする。
2 従犯を教唆した者には、従犯の刑を科する。
第六十三条
従犯の刑は、正犯の刑を減軽する。
裁判例|窃盗の実行を助けた幇助犯
被告人は、被害者の車両に自身の車両を追突させ、正犯者が被害者の車両から現金などを盗むことを容易にしました。また、別の事件では正犯らが貴金属店に窃盗するにあたって、事前に店内の写真を撮影して間取りを伝えるなど窃盗を容易にしたとして、住居侵入幇助、強盗幇助や窃盗幇助が成立するとされました。ただし犯行への寄与度や汲むべき事情が考慮され、懲役3年執行猶予4年との判決でした。(平成29年(わ)第36号、平成29年(わ)第51号 住居侵入幇助、強盗致傷幇助(認定罪名窃盗幇助)、窃盗幇助被告事件)
正犯からの指示を受けて窃盗目的があることを知っていたことなど、幇助行為が故意であったことが認定されたのです。一方で、被告人が各犯行で利得を得ていないことや、正犯と知り合いになった経緯などが考慮された結果となりました。
裁判例|受け子を紹介した詐欺幇助・詐欺未遂幇助
被告人は、組織的な詐欺を行う犯行グループのXに対して受け子を紹介したことで、詐欺幇助・詐欺未遂ほう助が認められました。これは受け子がいなければ犯行の遂行がうまくいかないことが認定されたためです。(令和2年(う)第700号 詐欺、詐欺未遂(認定罪名:詐欺幇助、詐欺未遂幇助)被告事件)
この被告について、第1審では詐欺・詐欺未遂の正犯との判決になっていましたが、犯行グループとの直接的なかかわりがなかったり、受け子に対して指示を出す役割でもなかったことなどから、正犯まではいかず、幇助犯にとどまるものとした事例です。
詐欺の受け子については『詐欺の受け子は犯罪!特殊詐欺で逮捕された場合の刑罰はどうなる?』の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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(抜粋)先生にはいつも一生懸命に迅速に行動して下さいました。そして丁寧に接して頂き、分からない事もすぐに質問して分かりやすく説明して下さいました。ありがとうございます。
教唆犯や幇助犯は逮捕される?
教唆犯や幇助犯であっても、逮捕の要件を満たす場合には逮捕されて身柄を拘束されます。
逮捕の要件とは何か
人の自由を奪うことは大きな権利侵害にあたるため、容易には認められません。
しかし逮捕の要件を満たしている場合には逮捕されてしまいます。逮捕の要件は、(1)嫌疑の相当性、(2)逃亡または証拠隠滅の恐れです。
一度逮捕されると起訴・不起訴の判断が下るまで最長で23日間は留置場や拘置所に留置されることになるため、職場をクビになったり、学校を退学させられるなどの社会的な影響が懸念されます。
教唆犯や幇助犯はバレるのか?
近年は防犯カメラが発達していますので、実行犯が逃走するために車を運転した場合や、事件現場を下見した場合のように、「ちょっと手伝っただけ」と甘く見ていても特定される可能性は十分あるでしょう。
また、正犯が逮捕され、供述によって関係者が芋づる式に逮捕されることもよくあります。「ちょっとけしかけただけ」ということは通用せず、教唆犯として起訴されかねません。
「逮捕される前に自首したい」と考えている方には、自首のメリットとデメリットを併せてお伝えすることも可能です。弁護士に依頼いただいた場合には自首同行も可能ですので、まずはご相談下さい。
家族が逮捕されてしまったらどうすればいい?
身柄解放活動、検察官への対応、刑事裁判の対応に向けて弁護士への依頼を検討してください。
逮捕されると起訴・不起訴の判断が下るまで最長23日間、留置場や拘置所に留置されることになります。とくに最初の72時間は弁護士以外の面会はできません。以後は、接見禁止という制限がなければご家族の面会は可能です。
「まず何があったのか知りたい」という方にはアトム法律事務所の初回接見サービスがおすすめです。
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弁護士によるサポートが重要な理由
逮捕されると身柄は警察の留置施設に入れられます。そして警察から取り調べを受けた後、48時間以内に検察へと身柄が送られます。早期の身柄開放を目指すなら、逮捕直後に弁護士が面会に行き、事情を聞いて取り調べへアドバイスすることも有効です。
ただし共犯が疑われている場合は、証拠隠滅や口裏合わせなどが懸念され、身柄解放のハードルは高い可能性があります。
そのため、早期の解放を目指すことはもちろん、取り調べへのアドバイスを含め、長い勾留で心が折れてしまわないように声掛けできるという点でも、弁護士が定期的に面会する意味は大きいです。
24時間365日ご予約受付中!弁護士相談の窓口は?
教唆になる?自分は幇助?犯罪のお悩みについて一言
検察官から「教唆犯ではなく正犯である」として起訴されてしまったり、本来は幇助犯にとどまるものを教唆犯として起訴されてしまう可能性もあるでしょう。または、そもそも犯罪をそそのかしたり、手助けすらしていないとして無実を訴える人もいます。アトム法律事務所では状況に応じた最適な弁護活動を行っていきます。お気軽にお問い合わせください。
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