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振り込め詐欺(オレオレ詐欺)で逮捕|家に帰れる?刑罰の相場は?

振り込め詐欺で逮捕

振り込め詐欺とは、被害者に電話をかけるなどして対面することなく信頼させ、指定した預金口座へ現金を振り込ませるなどの方法により、現金を騙し取る犯罪です。オレオレ詐欺が典型例です。主に高齢者を狙って被害者の息子や娘を語り、現金等を騙しとる手口は知ってる方も少なくないでしょう。

特殊詐欺で受け子や出し子のような末端構成員が逮捕された場合、どのような犯罪が成立し、刑罰の相場はどれくらいになるのでしょうか。また、拘束期間や、家族に会えるのか等の疑問もあるかと思います。

この記事では振り込め詐欺などの特殊詐欺で逮捕された場合について、上記疑問に答える詳しい解説をしています。ぜひご参照ください。

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振り込め詐欺(オレオレ詐欺)|受け子や出し子は逮捕されやすい

受け子や出し子の役割と逮捕されやすい理由

振り込め詐欺の「受け子」は、被害者と直接接触して現金やキャッシュカード等を受け取ることが役割です。振り込め詐欺の「出し子」は、被害者からだまし取ったキャッシュカードを使って、ATMなどからお金を引き出すことを役割とします。

受け子や出し子は振り込め詐欺において末端構成員です。しかし、被害者と直接接点を持ったり、監視カメラが設置されたATMからお金を引き出すことになるため、逮捕されやすいといえます。

未成年が逮捕される事例も多数

最近では大学生などの未成年も、受け子や出し子で逮捕される事件がみられます。TwitterなどのSNSやインターネットの掲示板で「割のいいバイト」「高額報酬のお仕事」等の勧誘を行い、詐欺の片棒を担がせるのです。

未成年の場合は、成人とは異なる手続きが取られます。本記事では成人を想定して解説を進めていますので、未成年のお子さまが詐欺で逮捕されてしまった場合は『未成年が詐欺罪で逮捕された後の流れは?捜査や少年審判の対応方法』の記事をご確認ください。

振り込め詐欺で受け子・出し子に成立する犯罪

振り込め詐欺の受け子は現金等を受け取る際、身分を偽ります。その行為が被害者を騙す行為であるとして、詐欺罪(刑法246条1項)が成立する可能性があります。また被害者を直接騙したわけでない場合も、一連の振り込め詐欺に関わったとして、詐欺罪の共犯になることが多いでしょう。詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です。

振り込め詐欺の出し子は、通常ATMから現金を引き出します。口座に入っている現金は銀行に占有があるため、出し子には銀行に対する窃盗罪(刑法235条)が成立します。出し子は現行犯逮捕だけでなく、監視カメラの映像により後日逮捕されることも少なくありません。窃盗罪の法定刑は「10年以下の懲役又は50万円以下の罰金」です。

受け子と出し子の違い

受け子出し子
具体例身分を偽って現金等を受け取るATMから不正に現金を引き出す
罪名詐欺罪窃盗罪
刑罰10年以下の懲役10年以下の懲役又は
50万円以下の罰金

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最近の特殊詐欺|キャッシュカードすり替え型

最近の特殊詐欺としてキャッシュカードをすり替える手口が用いられています。警察庁の発表によれば、キャッシュカードすり替え型の特殊詐欺は令和元年に急増し、その年の認知件数は3777件にものぼりました。

キャッシュカードすり替え型の手口は巧妙であり以下の流れとなっています。

  1. 警察官や銀行員を装った人物から、「あなたのキャッシュカードが不正利用されている」などと電話がかかってくる。
  2. 話を聞くと、警察官や銀行員を装った人物が、自宅に訪問してくる。
  3. 訪問してきた人物に、キャッシュカードと暗証番号の提示を求めてくる。
  4. キャッシュカードを提示すると、封筒に保管するよう提案する。さらに、封印のため「印鑑を持ってきてください」と言い、被害者をその場から離れさせる。
  5. 被害者が離れたすきに、封筒に入れたキャッシュカードを、別のカードとすり替える。
  6. 印鑑で封筒に封印し、「保管しておいてください」などと言って返却する。
  7. すり替えてだまし取ったキャッシュカードで預金を引き出し、盗んでしまう

被害者は、封印された封筒にキャッシュカードが入っているものと信じ切っているため、預金の引き出しに気づくのが遅れるのです。

キャッシュカードすり替え型の特殊詐欺は、詐欺的な手口を使っているものの、被害者のキャッシュカードを勝手に持ち出しているため、窃盗罪に該当します。盗み取ったキャッシュカードを使って、ATMから現金を引き出すと、さらに銀行に対する窃盗罪が成立します。

振り込め詐欺(オレオレ詐欺)で逮捕された家族に会いたい

振り込め詐欺で逮捕後の流れ

刑事事件で逮捕されたあとは、警察による取調べを経て48時間以内に事件と被疑者の身柄が検察に送致されます。その後、検察官は24時間以内に被疑者を勾留請求するか決めなければなりません。検察官による勾留請求がなされ、裁判官がその請求を認めると被疑者は勾留されます

勾留とは逮捕に引き続き行われる身体拘束です。被疑者の勾留は、検察官が起訴・不起訴の判断を下すまで最大20日間に及びます。被疑者が起訴された場合、被疑者勾留は自動的に被告人勾留に切り替わります。被告人勾留は、保釈が認められない限り、裁判が終わるまで続くのが通常です。

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振り込め詐欺で逮捕後は長く拘束される?家に帰れる?

振り込め詐欺で逮捕後は長く拘束されるといえます。振り込め詐欺は組織的な犯罪であり、罪質もよくありません。詐欺グループの人間との口裏合わせの可能性もありますので、逮捕後はまずもって勾留されます。また、振り込め詐欺は余罪があることが多いです。余罪がある場合、その数だけ逮捕・勾留が繰り返されることもあります。

そのため逮捕後、家に帰れるタイミングは、現実的に考えると起訴後に保釈が認められた場合といえそうです。もっとも運良く勾留請求されなかったり、不起訴処分が出た場合は、その時点で家に帰ることができます。受け子や出し子の末端構成員で、組織的な詐欺への関与が薄い場合、早く解放されることもあるでしょう。

振り込め詐欺で接見禁止|家族に会えない?

接見禁止とは、弁護士以外のすべての人と接見(面会)を禁止する処分です。接見禁止が出されれば、家族であっても被疑者・被告人と会うことができなくなります

接見禁止は証拠隠滅のおそれ・逃亡のおそれが認められる場合に出されます(刑事訴訟法81条)。振り込め詐欺は組織的な犯罪のため、詐欺グループの人間との口裏合わせによる証拠隠滅のおそれがあると判断されることが多く、接見禁止が出されやすい犯罪といえるでしょう。

振り込め詐欺で接見禁止なら弁護士に相談

接見禁止がついていても弁護士なら被疑者・被告人と自由に接見することができます。弁護士は時間制限や、立会人の制限なしで接見することができるため、被疑者・被告人にとって心強い存在です。ご家族が逮捕・勾留されている場合、弁護士に依頼して接見してもらうことをオススメします。

弁護士は接見禁止を解く手段も講じられます

まず、準抗告(第一回公判期日後は抗告)という手段を使って裁判所の接見禁止の取消を求めていきます。接見禁止が全面的に取り消されなくても、一部取消により、ご家族が面会できるようになることもあるのです。

また、準抗告や抗告が認められない場合でも、接見禁止の解除を申し立てます。接見禁止解除の申立は、裁判所に対する「お願い」に過ぎません。しかし、家族に限って接見禁止を解除する「接見禁止の一部解除」が認められる場合もあります。弁護士が検察官と協議し信頼関係を築くことで、接見禁止の一部解除が認められやすくなるでしょう。

これらの手段が功を奏さない場合、勾留理由開示請求を行います勾留理由開示請求をすれば、裁判所で裁判官から勾留の理由について説明を受けられるのです。この手続は公開の法廷で行われるため、被疑者・被告人の家族も傍聴人として参加することで、顔を合わせることが可能です。

逮捕後に弁護士相談するメリット

弁護士家族
面会できるできない
準抗告の手続スムーズ難しい

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振り込め詐欺で逮捕|初犯でも懲役実刑?

振り込め詐欺などの特殊詐欺は、反社会的勢力の資金源になっていることもあり厳罰化傾向にあります。末端構成員である受け子や出し子であっても、振り込め詐欺に関与した場合、初犯で実刑になることも珍しくありません。高収入のアルバイトといった誘惑に負け、軽い気持ちで犯罪に加担して取り返しがつかなくなる場合もあります。

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不起訴・執行猶予になるには示談が大切

振り込め詐欺で逮捕された場合でも、受け子や出し子が振り込め詐欺と知らずに加担してしまった場合や、指示役が怖くて逆らえなかった場合などは、不起訴や執行猶予となる可能性もあります。その場合でも、被害者の多数との間で示談を成立させておくことは必要です。

振り込め詐欺において量刑を軽くするには、なにより示談が重要なのです。被害者の多数と示談をし、宥恕(ゆうじょ)を得ていれば、量刑判断の際に考慮され、執行猶予付き判決が出ることも少なくありません。もっとも、多数の被害者と示談をすることは困難であるのが現実です。

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振り込め詐欺で逮捕されたら弁護士に相談

振り込め詐欺で逮捕されたとき、不起訴処分や執行猶予付き判決を得るためには弁護士が不可欠といえます。被害者と示談をするにしても、被害者の連絡先を知らなければなりません。弁護士なら「示談交渉したい」旨を伝えて、捜査機関から被害者の連絡先を聞けることがあります。

また、詐欺にあった被害者は、加害者と会いたくないのが通常です。しかし、刑事弁護の経験が豊かな弁護士であれば、被害者の心情に寄り添い繊細に示談交渉をすすめることができます。そのため、示談交渉は弁護士に任せるべきだといえます。

アトム法律事務所では、24時間365日刑事事件加害者の相談予約を受け付けています警察の捜査を受けている事件では無料相談も可能です。各支部には基本的に複数の弁護士が在籍しておりますので、当日の来所相談予約であっても対応できる場合が多いです。お気軽にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了