交通事故の加害者となった場合、多くの方はショックや罪悪感に襲われます。その結果、精神的に不安定になったりうつ病やパニック障害を発症したりすることがあります。
また、警察や検察から事情聴取を受け、裁判で刑事責任を追及されることもあります。
この記事では、交通事故の加害者となった場合の精神的ショックの解消法や法律的な対応について、弁護士が解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
交通事故の加害者の精神的ショック
うつ病
交通事故を起こしてしまった加害者は、罪悪感などの精神的な負担を強いられる人が多いです。その中でも特にうつ病はよく見られる症状の一つです。
うつ病の症状には、気分の落ち込み、食欲不振、意欲低下などがあります。
これらの症状を抱えると、日常生活や仕事への集中力が低下し、事故後の対応にも支障が出る可能性があります。
さらに法的な責任や損害賠償の問題に直面することが、うつ病の症状を悪化させることがあります。交通事故の加害者がうつ病を抱えてしまった場合、事件解決に向けた活動は全て弁護士に任せ、精神的ケアに集中すべきでしょう。
フラッシュバック・不眠
交通事故を起こした加害者は、事故の記憶がフラッシュバックしたり、不眠症に悩まされることがよくあります。フラッシュバックとは、事故の瞬間やその後の記憶が突然蘇り、恐怖や不安を感じることです。
不眠症とは、夜に眠りにつくのが困難になったり、眠りが浅くなったり、途中で目が覚めてしまうことです。フラッシュバックや不眠症は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状です。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
PTSDは、交通事故などのトラウマ体験が原因で発症する精神疾患です。PTSDの症状は、フラッシュバックと不眠症以外にも、悪夢、恐怖感、過度な興奮などがあります。
PTSDは放置しておくと重症化し、立ち直れなくなる可能性があるため、早期に治療を受けることが重要です。
これらの症状は、事故の重傷度や当事者の性格によって当然異なります。
症状が重い場合には、会社や学校に行けなくなるなど、日常生活に大きな影響が出てしまいます。自殺などの取り返しのつかない事態に発展してしまう例もあるため、PTSDの症状に応じて精神科や心療内科を受診してください。
交通事故を起こすと刑事責任に問われるケースもあります。交通事故で問われる刑罰や前科がつく可能性について知りたい方は『交通事故で前科を避けたい|示談なら刑事に強いアトム法律事務所へ』の記事をご覧ください。
交通事故の加害者家族がすべきことは『交通事故の加害者家族がすべきこと|被害者対応や遺族対応について』の記事で解説しています。
交通事故の加害者としての法的責任
刑事責任
刑事責任とは、犯した罪に対して刑罰を受ける責任です。事故を起こして起訴されて有罪になると、懲役、禁錮、罰金などの刑事罰が科せられます。
交通事故の加害者の刑事責任は自動車運転処罰法や道路交通法などに規定されています。
自動車運転処罰法の主な刑罰
- 過失運転致死傷罪:7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
- 危険運転致傷罪:15年以下の懲役
- 危険運転致死罪:1年以上20年以下の懲役
道路交通法の主な刑罰
- 救護義務違反:10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
- 報告義務違反:3月以下の懲役又は5万円以下の罰金
- 危険防止等措置義務違反:1年以下の懲役又は10万円以下の罰金
- 酒気帯び運転:3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
- 酒酔い運転:5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
被害者が軽傷で、事故後の救護や警察への報告を適切に実施した場合には、逮捕されたり起訴されたりする可能性は低いです。
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・交通事故で不起訴になるケースとポイントとは?交通事故事件の不起訴率は?
民事責任
民事責任とは、加害者が被害者に損害賠償を支払う責任です。
交通事故の加害者は、被害者の死亡や負傷、物損などによって生じた損害を賠償する責任を負います。
交通事故の場合、被害者に対する賠償は、保険会社が対応することが多いでしょう。
しかし、保険会社の示談が刑事処分の決定までに間に合わない場合や、そもそも保険未加入の場合には、加害者自身で被害者に対応しなければなりません。
行政責任
行政責任は、事故を起こした加害者に対して、行政が与える責任です。
交通事故の行政責任には、点数制度と交通反則通告制度の二つがあります。
点数制度は、運転者の交通違反や交通事故に一定の点数を付けて、その過去3年間の累積点数等に応じて免許停止や取消等の処分を行う制度です。
例えば、過去3年以内に行政処分を受けたことがない場合、6点から14点までは停止処分に、15点以上は取消処分に該当します。
交通反則通告制度は、運転者が軽微な道路交通法違反行為をした場合に、一定期間内に反則金を納めることで、罰金を受けずに事件が処理される制度です。
例えば、一時停止違反・駐車違反・30km/h未満の速度違反などが、反則金納付の対象となる違反行為です。無免許運転や酒気帯び運転などの悪質な違反は含まれません。
交通事故の加害者がショックから立ち直る方法
事件を解決してメンタルを安定させる
事故後の警察対応や被害者対応を適切に行い、事件を迅速に解決することで、精神的な負担を軽減することができます。
事件が長期化すると、精神的なショックから立ち直ることが難しくなります。
事件を迅速に解決するためには、次の3点が大切です。
- 弁護士に依頼する
- 警察の捜査に協力する
- 被害者に誠実に謝罪する
弁護士に依頼することで、交通事故の加害者は法律的なアドバイスを受けることができます。
刑事事件に強い弁護士であれば、警察の取り調べや被害者に対する対応方法を的確に把握しています。保険会社の示談が間に合わない場合には、捜査が進む前に被害者から許しを得るよう、別途交渉することもあります。
警察の捜査に協力することは、事件を迅速に解決するために重要なことです。警察の捜査に協力しないと、事件が長引いて加害者が不利益な処分を受ける可能性があります。
弁護士に依頼していても、状況によっては、加害者自身が被害者へ謝罪する必要があります。
被害者に向き合うことは、加害者にとって更に精神的な負担になることがありますが、誠実に謝罪して許しを得ることができれば、精神的なショックから立ち直るために役立ちます。
関連記事
・交通事故加害者が謝罪する正しいマナー、トラブル防止方法を弁護士が解説
治療やカウンセリングを継続する
交通事故の加害者が精神的なショックから立ち直るためには、治療やカウンセリングを受けることが大切です。治療やカウンセリングは、加害者の気持ちを整理し、精神的な安定を図るために役立ちます。
ただし、一度の治療だけでは効果が現れにくい場合もあります。継続的な治療やカウンセリングを受けることで、加害者の精神状態が改善されることが期待されます。
交通事故の加害者となったら弁護士に相談を!
交通事故は、被害者だけでなく加害者にとっても精神的なショックが大きい事件です。
事故を起こしてしまってメンタルが不調になった場合は、医師やカウンセラーへの相談が重要です。うつ病などが深刻化して日常生活を送れなくなる前にまずは専門家へ連絡してください。
それと同時に、刑事事件の解決に向けて動き出すことも精神的なショックを和らげるためには効果的です。
刑事事件に強い弁護士であれば、被害者対応や事件解決の実績が豊富です。事故後の流れやご自身の処分など、事故状況に応じてアドバイスすることができます。
法律の専門家に依頼して被害者対応を行っているという安心感は、メンタルの安定に役立つ可能性があります。
交通事故の加害者となってしまった場合には、弁護士までご相談ください。