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交通事故で不起訴になるケースとポイントとは?交通事故事件の不起訴率は?

交通事故
  • 交通事故事件を不起訴で終わらせたい!」
  • 「交通事故で逮捕されたら不起訴は無理?」

自動車の運転をしていると、いつ交通事故の加害者になっても不思議ではありません。

この記事では、交通事故事件の被疑者になってしまった方に向けて、不起訴につながる適切な対応法を解説します

交通事故事件の不起訴率は、成立する犯罪によって大きく変わります。

事故を起こしてしまって何から手をつけていいか分からないという方も、この記事を読んで今後とるべき対応を知ることから始めてみてください。

一人では不安という方はぜひ弁護士にご相談ください。示談交渉や取り調べへのアドバイスなど弁護士がしっかりサポートします。

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交通事故における起訴・不起訴とは?

交通事故で起訴・不起訴を分ける基準

交通事故で起訴・不起訴を分ける基準は、事故態様(相手が自動車か歩行者かなど)、行為態様、被害結果です。

交通事故で起訴・不起訴を分ける基準

  • 交通事故の「事故態様」
    相手が自動車か歩行者か
  • 交通事故の「行為態様」
    スピード違反、飲酒運転など
  • 交通事故の「被害結果」
    死亡、重症、軽傷など

特に、行為態様がどれだけ悪質かどうかが刑事責任に大きく影響します。

例えば、スピード違反で人身事故を起こした場合、不起訴になる可能性は低くなります。また、酒気帯び運転で人身事故を起こした場合、不起訴になる可能性はさらに低くなります。

人身事故の場合には、示談を成立させることも不起訴となるために重要です。被害者が加害者を許す(宥恕する)と表明している場合は、不起訴の可能性がより高くなります。

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交通事故事件の不起訴率は何%?

交通事故を起こした場合、どの犯罪の嫌疑がかかっているかによって、不起訴の可能性に大きな違いがあります。

例えば、過失運転致死傷罪の不起訴率は80%ほどですが、危険運転致死傷罪の不起訴率は20%ほどとなっています。

次の表は令和4年における交通事故事件の起訴率・不起訴率をまとめたものです(引用元:令和5年版犯罪白書)。

なお、公判請求とは、起訴のうち正式な刑事裁判の提起を求めるものです。一方、略式命令請求とは、争いのない事件で罰金刑を請求する場合に刑事裁判よりも簡易な書面による手続きを求める起訴のことをいいます(詳しくは後述)。

交通事故事件の起訴率・不起訴率(令和4年)

公判請求 略式命令請求 不起訴処分
過失運転致死傷等(283,003)1.4%11.7%84.2%
危険運転致死傷(490)65.7%なし24.5%
道路交通法違反(198,476)3.32%44.9%47.5%
一般事件(263,097)22.2%13.8%55.7%

※( )内は人員

この表を見ると、過失運転致死傷等罪で不起訴になる割合は84.2%もあり、一般事件の55.7%と比べても非常に高いことが分かります。

一方、危険運転致死傷罪では公判請求される割合が65.7%に上ります。一般事件の公判請求率は22.2%なので、危険運転致死傷罪の公判請求率は極めて高いといえます。近年、あおり運転や飲酒運転が社会問題化し、厳しく対処されていることがわかります。

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交通事故で不起訴になりやすいケースとは?

ひき逃げ事故の場合

ひき逃げであっても、行為態様が悪質でなく、被害結果も軽微な場合は不起訴もありえます。たとえ起訴されたとしても、深刻な被害が発生していなければ略式起訴で罰金となる可能性が高いでしょう。

一方、事故の過失が重かったり、無免許運転・飲酒運転を伴うなど悪質なひき逃げのケースでは、起訴される可能性が高いです被害者が死亡したり、重傷を負うなど被害結果が重大な場合も同様です。

追突事故の場合

自動車を運転中に歩行者や自転車に追突して怪我をさせた場合、過失運転致傷罪に問われる可能性があります。

追突事故の場合も、行為態様と被害結果が重視されます。

過失の程度が低く、被害者の怪我が軽微、加えて示談が成立している事案では、不起訴になる可能性が高いでしょう。特に、道路交通法違反など他の法規に違反した事実がない場合、示談成立によって不起訴となる可能性が高くなります。

起訴された場合、追突事故は略式手続きによる罰金刑で終了することも多いです。刑事罰を決定する上でも、示談成立の事実は有利に考慮されます。

物損事故の場合

物損事故を起こしただけで、他の交通違反がなければ、そもそも刑事処分の対象にはなりません。

ただし、飲酒運転をして物損事故を起こした場合、酒気帯び運転なら略式起訴、酒酔い運転なら公判請求される可能性が高くなります。

自転車事故の場合

自転車事故を起こし、加害者側の過失で被害者にけがを負わせた場合、過失傷害罪(刑法209条1項)に問われる可能性があります。しかし、同罪は告訴がなければ公訴を提起できない親告罪です(同条2項)。

過失傷害罪に該当する場合、早期に示談を成立させ告訴されなければ捜査が開始されることはありません。すでに告訴がなされ捜査が開始しているケースでも、示談成立により告訴が取り消されると不起訴処分になります。

もっとも、重過失致死傷罪(刑法211条)に該当する場合は、告訴がなくても起訴される可能性があります。

交通事故で起訴される可能性と主な刑罰

起訴の可能性主な刑罰
ひき逃げ高い過失運転致死傷+道交法違反
追突事故低い過失運転致傷
物損事故低いなし
自転車事故低い過失傷害

交通事故で不起訴になるポイントは?

「早期の示談成立」が不起訴につながる?

交通事件で不起訴になるには早期の示談が重要です。早期の示談成立により逮捕を回避できるケースもあります。

「交通事故の場合、保険金が支払われるのだから示談の必要性はないのでは?」と感じる方がいるかもしれません。

たしかに、保険金の上限がない限り、治療費、休業損害、慰謝料などの損害は保険金で賠償されます。

しかし、保険会社による保険金の金額はすぐには決まらず、支払いの時期は後遺障害等級や過失割合などが決まってから行われます。後遺障害等級が決まるまで、事故発生後、数か月から数年かかります。

そのため、保険金支払を待っていると、被害回復がなされないまま、重い刑事処分が下るおそれがあります。

そこで大切なのが、民事責任としての保険金支払いとは別に、弁護士に依頼の上、示談をおこなうべきか、示談金や見舞金を支払うべきか、早期に検討することです。

弁護士による交通事故の示談の特徴

弁護士による示談では、被害者の心情に十分配慮しつつ宥恕してもらえるよう交渉します。

宥恕というのは、加害者を許す、加害者の厳罰・処罰を望まないという被害者の意思表明のことです。宥恕を得られた場合、示談書に宥恕文言をいれます。

通常、保険会社の示談では宥恕文言は入りません。保険会社は刑事上の手続きとは無関係だからです。

弁護士の示談交渉であれば、宥恕文言の獲得も視野に入れ、できる限り早く示談を成立させるべく尽力してくれます

そして示談締結に至った場合は、示談書や不起訴を求める意見書を検察庁に提出し、検察官を説得してくれます。

示談には時間を要する場合が多いので、不起訴となるには早期の段階で弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士と保険会社の示談の主な違い

刑事弁護士保険会社
役割刑事弁護損害賠償
刑事処分影響大きい影響小さい
宥恕事項ありなし
交渉期間即交渉で短期間治療待ちで長期間

「真摯な反省・謝罪」が不起訴につながる?

通常の刑事事件では、加害者側が被害者側に直接謝罪に行くのは恐怖感を与えるなどの理由で望ましくないケースが多いです。しかし、交通事故は別です。

交通事故の場合、被害者やそのご家族にできる限り直接謝罪に行くべきです。交通事故被害に遭われた方は厳しい処罰感情をもっていることが多く面会を拒絶されることも珍しくありません。しかし、誠心誠意の謝罪を続けることが加害者として果たすべき責任です。

真摯な反省・謝罪の態度は、結果的に不起訴処分にも影響します

加害者として精神的に辛い面もあると思いますが、弁護士が最後までしっかりサポートします。自分が起こした事件、そして被害者の心情に正面から向き合いましょう。

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「適切な取り調べ対応」が不起訴につながる?

交通事故事件では、取り調べでの発言も起訴・不起訴に大きく影響します。

取り調べは密室で警察官や検察官と向き合って行われます。それだけでも心理的プレッシャーは相当なものです。そのような状況下で、警察官等から「この事故はこのようにして起きたんじゃないか」と言われれば、無意識に肯定してしまうおそれがあります。

取り調べで供述した内容は供述調書にまとめられます。供述調書に署名押印してしまうと、後で「その内容は誤りだ」と主張しても認めてもらうのは非常に困難です。

そのため、記憶が鮮明なうちに弁護士と接見し、自分の認識どおり事故状況を説明することが重要です。

弁護士は、ご本人の記憶と違う調書が作成されないよう取り調べでの対応をアドバイスします。また、黙秘権など法律上の防御方法についてもご説明します。

事故の原因が被害者側の過失にもある事案では、取り調べでの供述が不起訴のポイントになることも少なくありません。被害者側の過失の程度が大きければ不起訴になる可能性があります。

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「早期の弁護士相談」が不起訴につながる?

交通事故で起訴・不起訴になるかどうかは、各事案によって異なります。

不起訴の判断をしてもらうには、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予などの理由があることを検察官に分かってもらう必要があります。

交通事故をおこして刑事事件となった場合、早めに弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士は、ご自身の状況を詳しく調査し、不起訴処分を目指すための弁護活動をサポートいたします。

交通事故の加害者が弁護士に相談するメリットについては『交通事故の加害者が無料で弁護士相談できる窓口はどこ?事故加害者の3つの責任とは』で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

交通事故の不起訴に関するQ&A

交通事故事件で成立しうる犯罪は?

交通事故を起こした場合、大きく分けて以下の犯罪が成立する可能性があります。

交通事故事件で成立する可能性のある犯罪

罪名 行為 法定刑
過失運転致死傷罪
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)
自動車の運転上必要な注意を怠ること7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金
危険運転致死傷罪
(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律2条)
故意に一定の危険な運転を行うこと・人を負傷させた場合は15年以下の懲役
・人を死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役
道路交通法違反
(救護義務違反、同法117条2項・1項、72条1項前段)
交通事故を起こしたにもかかわらず、負傷者を救護しないこと10年以下の懲役又は100万円以下の罰金
道路交通法違反
(報告義務違反、119条1項17号、72条1項後段)
交通事故を起こしたにもかかわらず、警察官に報告しないこと3月以下の懲役又は5万円以下の罰金

過失運転致死傷罪と危険運転致死傷罪は、不注意で事故を起こしたのか、故意に危険な行為をして事故を起こしたのかという点で異なります。

「人の死傷」という結果が同じでも、刑罰や不起訴率に大きな違いがあるので注意が必要です。

不起訴処分の種類は?

不起訴処分は「起訴猶予」「嫌疑なし」「嫌疑不十分」の3種類です。

  • 起訴猶予
    犯罪の嫌疑が認められる場合でも、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況を考慮して訴追を必要としないことを理由とするもの
  • 嫌疑なし
    犯罪の嫌疑がないことを理由とするもの
  • 嫌疑不十分
    犯罪の嫌疑を認定するには証拠が不十分であることを理由とするもの

不起訴になれば前科はつきません。ただし、慰謝料請求される可能性や免許停止など行政上の責任を負う可能性は残ります。

交通事故を起こした場合、どの理由で不起訴を目指すのか方針を立てることが重要です。そのためには、刑事弁護の経験豊富な弁護士へ早期に相談することが欠かせません。

例えば、責任を認め「起訴猶予」による不起訴を目指すのであれば、いち早く示談交渉を開始することが大切です。

一方、嫌疑の内容に納得できない部分があるケースでは、「嫌疑不十分」による不起訴を目指すことになるでしょう。取り調べに適切に対応することや、有利な証拠をいかに収集するかがポイントになります。

いずれの場合も、記憶が鮮明なうちに何が起こったのか弁護士に伝えることが重要です。弁護士は、ご本人の説明を丁寧に聴き取った上、客観的証拠との整合性等を考慮しつつ最善の弁護方針をご提案します。

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交通事故事件で不起訴になったら通知される?

不起訴処分になっても、被疑者に特別な通知がくるわけではありません。

逮捕・勾留を伴う身柄事件では、大まかに言うと逮捕→勾留→起訴・不起訴の決定という流れで処理されます。逮捕後から起訴・不起訴の判断がされるまで最長23日です。不起訴処分となった場合、釈放時にその旨を伝えられるでしょう。

一方、身柄を拘束されず捜査が進む在宅事件では、起訴・不起訴まで期間制限はありません。そのため、交通事故後から長期間にわたり不起訴になったかどうか分からない状態が続く可能性があります。

不起訴処分になったかどうか知るためには、担当検察官に直接問い合わせるのがよいでしょう。その際、弁護士に依頼して確認してもらうのが確実です。

また、被疑者には不起訴処分の告知を求める権利が認められています(刑事訴訟法259条)。弁護士を介して告知を希望することも可能です。

請求を受けた検察官は、速やかに不起訴処分にした旨を告げなければならないと規定されています。告知の方法は口頭でもよいとされていますが、書面でする場合は不起訴処分告知書が作成されます。

略式手続きと不起訴はどう違う?

略式手続きとは、検察官の請求により、裁判官が書面審理のみで略式命令を出す手続きをいいます。略式手続きは、法廷で裁判をせず罰金刑で事件を終了させるための手続きであり、不起訴とは異なります

略式手続きで有罪が確定した場合も前科になることは変わりありません。

以下に当てはまる場合には、略式手続きが選択される可能性があります。

略式手続きの要件

  • 簡易裁判所の管轄に属する事件(事案が明白で簡単な事件)
  • 100万円以下の罰金又は科料に相当する事件
  • 被疑者に異議がない場合
  • 簡易裁判所が相当だと判断した場合

略式手続きに進んだ場合、簡易裁判所で略式命令が発せられ、被告人は罰金又は科料を納付して手続を終わらせることができます。もし不服があれば、正式な刑事裁判手続きを申し立てることも可能です。

略式手続きで事件が終了すると、逮捕から最大でも23日間で釈放されます。一方、正式な刑事裁判の場合、判決まで数か月かかることもあります。

一度略式起訴されると取り下げてもらうことは難しいです。以下の関連記事も参考に、略式起訴とは何かを整理して、略式手続きに同意するかどうかを慎重に検討しましょう。

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略式起訴の要件と罰金相場|前科はつく?起訴・不起訴との違いは?

交通事件の弁護に強いアトム法律事務所

交通事故で不起訴を目指すには?

交通事故で不起訴を獲得するためにいちばん重要なポイントは、検察官が起訴の判断をする前に、ご自身の状況に適した弁護活動をおこなってもらうことです。

ご自身の交通事故事件で不起訴をめざすことができるのか、たとえ起訴される可能性が高いとしても今できる最善の弁護活動は何なのかについて、早期に理解をして、実行していく必要があります。

交通事故事件の起訴・不起訴が決まる時期は、通常、身柄事件であれば勾留の満期日の数日前です。そのため、結論が出るまでの日数には余裕がありません。

一方、在宅事件の場合は、起訴・不起訴がいつ決まるのか明確には分かりません。

だからこそ、いつの間にか起訴が決定していたという事態を回避するには、弁護士相談をできるだけ早くおこない、早期に不起訴を目指すための弁護活動を実施してもらう必要があるでしょう。

アトム法律事務所の実績は?連絡先は?

以下に挙げた事例は、過去、アトム法律事務所の弁護士が解決した交通事故事件の一部です。

  • 宥恕付き示談を成立させ不起訴を獲得した事例
  • 取り調べへのアドバイスにより嫌疑不十分となり不起訴を獲得した事例
  • 信号の周期表などを根拠に加害者に過失がないこと立証し不起訴を獲得した事例

ここに挙げたもの以外にも、アトム法律事務所の弁護士による交通事故事件の解決事例は多数あります。

交通事故事件の起訴・不起訴にまつわるお悩みは、刑事手続きを熟知した実績豊富なアトム法律事務所の弁護士までご相談ください。

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