
少年事件の示談とは、事件の加害者である少年と被害者が和解をすることです。
示談では、多くの場合、加害者から被害者に示談金をお渡しします。
少年事件の場合、示談金の相場は、犯罪の性質、事案の内容、被害者の処罰感情の程度などによって異なります。
この記事では、少年事件の示談とはどんなものか、示談金の相場はいくらか等を解説します。
目次
少年事件の示談とは?
少年事件の示談とは

少年事件の示談とは、事件の加害者(少年側)から、被害者に対して謝罪をおこない、両者が和解の合意をすることです。
示談の条件として、多くの場合、加害者が被害者に示談金を支払います。
また、被害者が宥恕(ゆうじょ)や、被害届の取下げを約束するケースもあります。
示談の条件の例
- 示談金の支払い
「示談金として〇〇万円を、〇年〇月〇日限り、銀行振り込みの方法で支払う」 - 宥恕(ゆうじょ)
「被害者は、加害者をゆるし、厳罰を望まない」 - 被害届の取下げ
「被害者は、加害者をゆるし、被害届を取り下げる」
少年事件の示談のメリット
少年事件の示談には、被害者の被害回復、少年(加害者)の処分軽減、示談金について終局的な解決を図れるなどのメリットがあります。
少年事件の示談のメリット
- 被害者の被害回復
- 少年(加害者)の処分軽減
- 示談金について終局的な解決
被害者の被害回復
少年事件で示談の被害者側のメリットの一つは、被害回復につながることです。
少年側(加害者側)から謝罪を受けることで、心のケアにつながります。また、示談金を受けとることで、金銭面で被害の補填を受けることができます。
加害者である少年の処分軽減
示談には、少年事件の処分の回避・軽減が期待できるというメリットもあります。
「示談をすれば必ず処分を回避・軽減できる」というわけではありませんが、示談によって、少年の処分の回避・軽減の可能性を高めることはできます。
少年事件では、要保護性(再び非行に走る可能性)を解消できるかどうかが、処分の重さに影響するので、この意味で示談は重要です。
示談交渉の過程で、被害者の心情への理解が深まり、自らの行為の重大さを認識することができるため、示談が非行の抑止につながる可能性があります。したがって、示談は、要保護性の解消に役立つ事情となります。
また、少年事件の処分は、諸般の事情を考慮して決定されます。示談成立によって被害者の処罰感情が緩和されることも、処分の回避・軽減につながる事情になり得ます。
示談金について終局的な解決
示談書において清算条項(せいさんじょうこう)を結べば、示談金について終局的な解決ができます。
基本的に、追加請求を回避でき、後ほど民事裁判をおこされて賠償請求されることはありません。
示談ができない場合
少年事件で示談ができない場合は、被害者がいない場合です。
たとえば、薬物が問題になる少年事件では、被害者がいないため、示談はできません。
なお、公然わいせつ事件などは、厳密に考えれば、被害者がいません。しかし、公然わいせつ事件の目撃者など、実質的な被害者と示談をおこない、事件の解決を図るケースは多いです。
少年事件の示談の進め方は?
示談は弁護士にまかせる!
少年事件の示談は、基本的は、弁護士にまかせるのがおすすめです。
示談の相手方の連絡先を知らない場合

被害者の連絡先を知らない場合は、警察や検察に対して、被害者の連絡先の取次ぎをお願いすることになります。
しかし、通常、捜査機関は、少年やその家族に対して、被害者の個人情報を教えてくれません。
これは、加害者によるお礼参り(例:通報した被害者に、報復する)や、証拠隠滅(例:被害者に証言を変えさせる)を懸念してのことです。
この場合、示談交渉を始めるには、弁護士をつける必要があります。通常、弁護士がついていれば、被害者の承諾がある場合、連絡先を入手できます。
示談の相手方の連絡先を知っている場合
被害者の連絡先を知っている場合でも、弁護士に示談を依頼したほうがよいです。
理由は、証拠隠滅を疑われてしまい逮捕のリスクが上がるからです。
加えて、当事者だけでは冷静な話し合いが難しいことも、弁護士に示談をまかせる理由です。
被害者は恐怖心や怒りの感情から、加害者と直接連絡を取ること自体に抵抗があります。また、示談金の金額交渉などはデリケートな問題なので、交渉は難しいです。
このようなことからも、少年事件の示談は、示談経験が豊富な弁護士に任せるのが安心です。
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示談金の決め方
少年事件の示談金の金額は、犯罪の性質・事案の内容に応じた示談金の相場、被害者の処罰感情等を考慮しつつ、交渉して決めます。
弁護士は、少年事件の示談金の相場を引き合いに出しながら、交渉します。
なお、示談金の金額を決めるときは、被害の状況や結果が重視されます。そのため、加害者が少年であることを理由に示談金が低額になるということは、基本的にありません。
少年事件の示談金の相場は?
ここからは、示談金の相場についてご紹介します。
ここで、ご紹介する示談金の相場は、過去に、アトム法律事務所で取り扱った事件における示談金相場となります。
少年事件の解決事例も一緒にご紹介するので、是非ご覧ください。
少年事件の示談金(1)暴行・傷害
暴行事件の示談金の相場は、約20万円程度です(アトム「暴行の示談金の相場」の統計より)。
傷害事件の示談金相場は、軽傷の場合は約30万円から150万円程度、重症の場合は約50万円から180万円程度が目安となります。
暴行・傷害事件の示談金は、怪我の治療費や慰謝料を考慮しながら、示談交渉の中で決めます。
少年事件の解決事例(示談金100万円・不処分)
少年が、交際相手の顔を殴る等して、怪我を負わせた傷害事件。
弁護活動の成果
受任後、被害者側へ謝罪と示談を申し入れたが、当初、示談交渉は難航。
被害者側からの名誉毀損的な行為について、警察に相談するなどして、対応をしつつ、示談交渉を進めた。
並行して、環境調整をおこなった。
結果、少年審判では、不処分で事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金100万円
最終処分
不処分
少年事件の解決事例(示談金0万円・審判不開始)
少年が、元交際相手に突き飛ばす等の暴行を加え、怪我を負わせた傷害事件。少年が逮捕されたため、親御様がご相談にいらした。
弁護活動の成果
受任後、身柄解放のための弁護をおこない、勾留を阻止。
少年の転校、家庭の環境調整などをサポートした結果、審判不開始で事件終結となった。
示談の有無
示談なし。示談金0円
最終処分
審判不開始
少年事件の示談金(2)窃盗
窃盗事件の示談金の相場は約30万円程度です(アトム「窃盗の示談金の相場」の統計より)。
ケースバイケースですが、窃盗被害額に相当する金額だったり、窃盗の被害金額に20万円程度加算した金額が、示談金額になることも多いです。
少年事件の解決事例(示談金約17万円・不処分)
高校生が数名で、バイクを窃盗した事件。今後の流れや、退学の回避についてご不安があり、ご相談にいらした。
弁護活動の成果
受任後、弁護士より家庭裁判所に対して、高校への連絡を控えてほしい旨の意見書を提出し、退学を回避。
被害者に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。示談金については、共犯者はほぼ負担せず、依頼者(の保護者)がほぼ全額負担するかたちで支払った。
少年審判では付添人としてサポート。結果、不処分で事件終結となった。
示談の有無
2件中2件示談成立。示談金合計約17万円。
最終処分
不処分
少年事件の解決事例(示談金30万円・保護観察)
中学生が、路上で、女性のバッグをひったくり、怪我を負わせた事件。現行犯逮捕され、親御様がご相談にいらした。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。
少年には、警察の少年センターへに通ってもらい、内省を深めてもらった。
少年審判では、付添人として少年をサポート。
結果、保護観察(短期処遇)となり、事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金30万円
最終処分
保護観察(短期処遇)
少年事件の示談金(3)詐欺
詐欺事件の示談金相場は、約50万円前後です(アトム「詐欺の示談金の相場」の統計より)。
少年事件の解決事例(示談金10万円・保護観察)
少年が、闇バイトに応募し、嘘をついてキャッシュカードの交付を受けようとした詐欺未遂事件。
被害者の同居の親族に見破られ、通報され、警察に逮捕された。
弁護活動の成果
受任後、被害者側に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。
少年審判では、少年が犯行に及んだ事情、前科・余罪がないこと、自首したこと、監護能力のある父親がいること等を主張。
試験観察中も、共犯者との関係を絶つための弁護活動を実施。
結果、保護観察処分で事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金10万円
最終処分
保護観察
少年事件の解決事例(示談金0万円・保護観察)
大学進学前の少年が、闇バイトに応募し、詐欺に加担した事件。
警察に現行犯逮捕された詐欺未遂の事案。
今後の流れや大学進学への支障についてご不安があり、親御様がご相談にいらした。
弁護活動の成果
少年自身に犯罪に関与するような怪しいバイトであるという認識があったことから、認め事件として弁護をおこなった。
大学進学間近だったため、配慮するよう家庭裁判所に意見し、審判の日程を前倒しさせた。
少年審判では付添人としてサポート。結果、保護観察で事件終結となった。
示談の有無
示談なし。示談金0万円
最終処分
保護観察
少年事件の示談金(4)盗撮
盗撮事件の示談金相場は、約30万円程度です(アトム「盗撮の示談金の相場」の統計より)。
少年事件の解決事例(示談金30万円・審判不開始)
少年が、電車内で、女性を盗撮した事案。盗撮の余罪があり、学校でも盗撮をしていた。家裁に送致され少年審判になってしまった場合など、今後の流れに不安があり、ご相談にいらした。
弁護活動の成果
受任後すぐ、少年には、盗撮の再犯防止のため、しかるべき機関でのカウンセリングを提案。弁護士がサポート。
被害者の方には、謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。
また、盗撮をくり返さないようにスマホの撮影機能を制限したり、電車通学から原付での通学に切り替えた。
少年審判では、付添人として、少年をサポート。
結果、審判不開始で、事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金30万円
最終処分
審判不開始
少年事件の解決事例(示談金10万円・保護観察)
少年が、駅のエスカレーターで女性のスカート内を盗撮した事案。
盗撮の余罪があり、学校でも盗撮をしていた。
今後の流れ、学校への連絡に不安があり、ご相談にいらした。
弁護活動の成果
受任後は、学校への連絡を回避するべく、弁護士より警察に対して、粘り強く意見した結果、実名での連絡を回避。発覚を免れた。
被害者の方に対しては、謝罪と賠償を尽くして、示談が成立。
少年審判では、付添人として、少年をサポート。
結果、保護観察処分で事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金10万円
最終処分
保護観察
少年事件の示談金(5)痴漢
痴漢事件の示談金相場は、約50万円程度です(アトム「痴漢の示談金の相場」の統計より)。
少年事件の解決事例(示談金20万円・不処分)
少年が、駅のエスカレーターで、女性の臀部にふれた事件。事件の翌日逮捕され、今後の対応を親御様がご相談にいらした。
弁護活動の成果
逮捕後、検察から観護措置の請求があったが、退け、早期釈放を実現。
被害者に謝罪と賠償を尽くして、示談が成立。
少年審判に先立ち、家庭環境の調整をおこないつつ、付添人として、少年をサポート。
結果、不処分で、事件終結となった。
示談の有無
示談あり。示談金20万円
最終処分
不処分
少年事件の解決事例(示談金0万円・不処分)
有名私立中学に通う少年が、電車内で、女性に痴漢をし、警察で事情聴取を受けた事案。
今後の流れや退学の不安があり、ご相談にいらした。
弁護活動の成果
受任後、すぐに弁護士から警察に連絡。認めに転じ、学校への連絡を控えてほしい旨を交渉。結果、学校への連絡を回避できた。
少年には、日記、読書感想文、家族での交換日記、性的嗜好を治すためのクリニックへの通院等を勧め、弁護士がサポート。
少年審判に先立ち、家庭環境の調整をおこないつつ、付添人としてサポート。
結果、不処分で、事件終結となった。
示談の有無
示談なし。示談金0万円
最終処分
不処分
具体的にご自身の事件で、どのくらいの示談金になるのか気になる場合は、弁護士の無料相談の機会などに確認してみるとよいでしょう。
少年事件・示談のお悩みは弁護士相談を
最後にひとこと
示談では、加害者から被害者に対して、謝罪や示談金の支払いなどをします。
示談は、被害者の被害回復のために、真摯に取り組むべき課題です。
一方で、少年事件の示談をすることは、少年側にも処分の回避・軽減等につながるメリットがあります。ただし、成人の場合とは違い、示談が処分結果に与える影響はやや小さいです。
少年事件の処分の回避・軽減には、少年が再び非行に走らないような環境調整をすることが、非常に重要となります。
少年事件に強い弁護士に相談すれば、示談や環境調整などを総合的にサポートしてもらえます。
現在、少年事件でご不安がある方は、アトム法律事務所の弁護士まで是非一度ご相談ください。
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アトムの弁護士の評判・依頼者の声
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アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
突然の出来事で戸惑ったけれど相談をして安堵しました。

この度は、大変お世話になりました。法律事務所を訪れたのは初めての事で、何にをどう相談したらよいのかも分かりませんでした。事件を起こした息子の親という事で、どんな目で見られても仕方がないと思っておりましたが、親切にていねいに今後の事、弁護士の役割などを説明して頂き、とつ然おこったことへの戸惑いから少し安堵感を覚えました。結果的に先生のご努力により、息子も人生を棒に振る事なく、就活に励んでおります。息子には初めて接見にいらした先生に会った時の気持ちも忘れないで欲しいと願っています。本当にありがとうございました。
親身になって対応して頂きありがとうございました。

親身になって対応して頂きありがとうございました。私達、息子も、先生には大変感謝致しております。
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