盗撮のよくある質問
盗撮事件の余罪に関する質問
駅前路上において行った盗撮事件の関係で、警察に携帯電話を押収されました。その携帯電話の中には、本件とは別の機会に行った盗撮画像のデータが保存されています。このように、余罪がある場合、重い処分がされますか。
盗撮画像が多数保存され、それらの画像を盗撮サイトなどに投稿しているなどの事情があれば、常習性が認められ、常習盗撮罪として重く処分される可能性が高まります。常習盗撮罪だと認められなくとも、盗撮の余罪が認められるときには、不利な証拠になりますし、余罪の被害者が特定できるときには、複数の盗撮事件を犯したとして重く処罰されます。
駅前路上で行った盗撮が警察に発覚すれば、迷惑行為防止条例違反として捜査が開始されることになります。東京都の場合、盗撮行為は3段階に分けて分類されていて、6月以下の懲役または50万円以下の罰金、1年以下の懲役または100万円以下の罰金、そして2年以下の懲役または100万円以下の罰金と法定刑も異なります。
たとえばプールでカメラを使って水着姿の女性を対象にして、その胸や臀部などを執拗に撮影した場合、一般に卑わいな行為であり、被写体の女性が盗撮行為に気付いていれば著しくしゅう恥し、または不安を覚えるといえるときには卑わいな言動として6月以下の懲役または50万円以下の罰金の刑罰を受けることになります。
そして、路上や駅構内のエスカレーターなどにおいて、人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、カメラなどを使って撮影したときには、1年以下の懲役または100万円以下の罰金の刑罰を受けることになります。
ご相談者の場合、駅前の路上を通行中のスカートを履いた女性の下着を撮ろうとしたのであれば、この類型に該当することになります。
このような盗撮事件においては、犯行態様などを明らかにするために盗撮に使用した機器が押収されます。押収に係る盗撮機器内に盗撮画像が多数保存されている場合には、自宅のパソコンなどを押収されることもあります。画像データをパソコンで管理していることもあるからです。このような捜査を通じて盗撮犯人が頻繁に盗撮を繰り返していると認められるときには常習盗撮罪として地方公共団体で定めることのできる罰則の最大限である2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられることになります。
常習性を認定するための資料としては前科前歴が客観的な証拠として重要ですが、前科前歴がなくとも、盗撮画像が多数保存され、それらの画像を盗撮サイトなどに投稿しているなどの事情があれば、常習性が認められてしまいます。
常習盗撮罪だと認められなくとも、盗撮の余罪が認められるときには、不利な証拠になりますし、余罪の被害者が特定できるときには、改めて盗撮事件として事件化され、当然、複数の盗撮事件を犯したとして重く処罰されることになります。
なお、常習的に盗撮を繰り返し、被害者が盗撮行為に気付いて被害届を警察署に提出し、常習盗撮罪で事件化されたときには、被害者と示談が成立し、被害者から犯人を許しますという意思を表明してもらったとしても、処罰を受けることがあります。
単純盗撮の場合で被害者と示談が成立し、被害者から犯人を許すと意思を表明してもらえれば、刑罰を回避することが可能です。しかし、常習盗撮の場合には1人の被害者が許したとしても、被害は多数に及んでおり、1人の被害者との示談だけではすべての被害が回復したわけではありませんし、繰り返し盗撮をするという行為に対し、強い非難が向けられて刑事責任も重くなるからです。