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頻発する盗撮の状況 – スポーツ競技中の盗撮

頻発する盗撮の状況

弊所がご相談や弁護のご依頼をいただく盗撮事件、ニュース等で取り上げられる盗撮事件において、よく見られる盗撮の状況を紹介します。似た状況で盗撮を行い、警察に逮捕・検挙されてしまった方やそのご家族の方は、お一人で悩みを抱えず、盗撮事件に強いアトム法律事務所の弁護士にご相談下さい。

スポーツ競技中の盗撮

近年、スポーツ競技中の女性を、カメラ等を用いて盗撮したとして問題になるケースが増えています。

スポーツ競技中の盗撮事件の事例

盗撮目的で球場に侵入 チアリーダーのスカートを盗撮し50代男性を逮捕

全国高校野球選手権佐賀大会が開かれているさがみどりの森球場(佐賀市)に盗撮目的で入ったとして、佐賀南署は、建造物侵入の疑いで、長崎県のアルバイト従業員の男(50)を現行犯逮捕した。逮捕容疑は、(略)球場に盗撮目的で侵入した疑い。南署によると、(略)チアリーダーが三塁側スタンドの通路を移動する際、スカートの下に足を差し向ける男の様子を保護者が目撃した。声を掛けたところ、その場から立ち去ろうとしたため、保護者が呼び止めて確保し、大会運営関係者に引き渡した。南署は、男が持っていた小型カメラとサンダルを押収、サンダルに小型カメラを仕込んでいたとみて調べている。
(佐賀新聞 2021年)

競技場で下半身の写真などを計34枚盗撮 会社員の男性を逮捕 

陸上競技大会に参加していたユニホーム姿の女子高校生を性的な目的で執拗(しつよう)に撮影したとして、京都府警は、京都市右京区の会社員の男性(47)を府迷惑防止条例違反(卑わいな言動)の疑いで書類送検した。府警によると、アスリートに対する盗撮被害を巡り、迷惑防止条例違反で摘発するのは異例という。送検容疑は、同市右京区の陸上競技場で、大会に参加していた高校2年の女子生徒(17)の下半身の写真などを計34枚撮影したとしている。容疑を認めているという。
(毎日新聞 2021年)

スポーツ競技中の盗撮の違法性

スポーツ競技中の女性の盗撮は、各県が定める迷惑防止条例に違反することがあります。
ここでは、大阪府迷惑防止条例(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に基づいて、ご説明します。

第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。

二 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。

3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

二 みだりに、姿態を撮影すること。

4 何人も、第一項各号又は前項第二号の規定による撮影の目的で、写真機等を人に向け、又は設置してはならない。

上記にいう「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む)をいい、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物をいいます。スポーツ競技を行う場所は様々ですが、不特定多数の者が自由に出入りできる施設であれば、公共の場所にあたります。
スポーツ競技中の盗撮の多くは、スポーツ競技をしている女性、または、応援をしている女性を撮影するというものです。この類型の場合、盗撮の対象は下着等ではなく、一般観客が普通に見ることのできるユニフォーム姿などであることから、条例の適用外なのではないかという問題があります。
しかし、例えば撮影の対象が顔、胸部、臀部、太腿、股間等やその付近に集中していたり、極端に多い枚数を撮影していたりする場合などは、それを知った女性を極めて強く羞恥させ、不安を覚えさせる卑わいな言動と評価されることがあると考えられます。

次に、刑法(建造物侵入罪)に基づいて、ご説明します。

(住居侵入等)
第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

盗撮目的、あるいは盗撮用の道具の設置・回収目的で、スポーツ競技が行われる施設に立ち入った場合、正当な理由がない侵入ということになりますので、立ち行った時点で建造物侵入罪が成立する可能性があります。

スポーツ競技中に盗撮事件が起きる背景と取締の必要性

スポーツ競技中に盗撮事件が起きる背景としては、(1) ユニフォームは露出部分が多い傾向にある、(2)盗撮画像に市場価値がある場合がある、ことが考えられます。

(1) ユニフォームは露出部分が多い傾向にある

スポーツで用いられるユニフォームには様々なものがありますが、運動性能を高めることを目的として作られたものは、比較的露出部分が多く、身体に密着する形状になっているものが多い傾向にあると考えられます。そのような競技の例としては、陸上競技、バレーボール、チアリーディング、競泳、テニス等が挙げられます。
なお、身体保護の必要性等から、これに当てはまらない競技も存在します。例えば、和弓、剣道、合気道、薙刀、柔道、乗馬、スキー等が挙げられます。

(2) 盗撮画像に市場価値がある場合がある

スポーツ競技の盗撮は、撮影者が自己の性的嗜好を満足させるために行う場合もありますが、商業的な目的で行われる場合もあります。例えば、盗撮した画像・映像を編集してDVD等にまとめ、販売する業者が存在します。このような商業目的の業者は、高い収益を上げることを目的としていますので、より過激で性的刺激の強い画像・映像を撮ろうとする傾向があります。また、競技の主催者が撮影自体を制限している場合でも、これを無視し、あるいは、隠れて撮影を行うことすらあるようです。

(3) 取締の必要性

スポーツ競技(ここでは大会のことをいいます)を開催する目的は、日々行って来た精神的、肉体的鍛錬の成果発表の場を設け、あるいは、大会を通じてさらに鍛錬を重ねさせるという極めて建設的かつ健全なものである考えられます。
その大会において、性的嗜好を満足させるための、あるいは、商業目的の盗撮を許容すれば、大会の風紀が乱れ、純粋に競技を評価しあるいは楽しもうとする空気が損なわれ、場合によっては競技者の委縮を招くなど、大会の目的が達成できなくなるおそれがあります。そのため、取締の必要があります。
大会の主催者は、撮影のルールを予め定める等の措置をとり、場合によっては警察と協力するなどしています。例えば、日本チアリーディング協会は、予め許可のない150ミリ以上の望遠レンズを使用したカメラ及びビデオカメラでの撮影を禁止しています。


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