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大麻事件の保釈金の相場はいくら?初犯でも再犯でも釈放される?

大麻事件の保釈金

大麻事件で起訴された後は、保釈金を支払うことによって裁判が終わるまで釈放されることができます。ただ、保釈金はどれほどの金額のものなのか、初犯か再犯かで保釈のされやすさは変わるのかなど分からないことも多いと思います。

保釈は、被告人が逃亡しないための担保であり、事件内容など個々の事情によって保釈金や保釈のされやすさなどは変わります。以下を読めば、そもそも保釈とはどのようなものか、大麻事件の保釈金はいくらぐらいが相場なのか、どのような場合に金額が変わるのか、そのすべてが分かります。

大麻の保釈金の相場|保釈金が安く済む場合とは?

大麻で逮捕・起訴…保釈には保釈金が必要

大麻で逮捕勾留の後に起訴された場合、勾留された被告人保釈制度によって裁判が終わるまで釈放されることができます。ただし、保釈には一定程度の金銭を保釈金として裁判所に預ける必要があります。なお、保釈は起訴された後に限定され、起訴前にはすることができません。

大麻事件で捜査中から勾留され起訴された被告人は、何もしなければ裁判が終わるまでそのまま勾留され続けます。保釈制度は、既に捜査を受け終わっている被告人を裁判が終わるまでの間は釈放する制度であり、保釈金を担保として被告人が裁判から逃亡することを防止しています。

大麻事件の保釈金の相場

大麻事件の保釈金は事件内容によって様々ですが、たとえば大麻の単純所持の事案では150万円前後が保釈金の相場です。大麻を複数所持していた、大麻の所持の量が多かったなどの個々の事情、その他被告人の資力等によって金額は変動します。

重たい罪であるほど被告人が裁判を受けずに逃亡をするおそれは高くなりますので、保釈金の金額は罪の重さが大きいほど高めに設定される可能性が高くなります。したがって、大麻の量や事案の内容によって保釈金額が左右されます。

大麻の所持と譲渡、栽培で保釈金は変わる?

大麻の所持と大麻の譲渡、栽培では保釈金額が変わる可能性があます。大麻をただ所持した事案と比べ、大麻を譲渡したり栽培したりした事案は大麻の流通を拡げている点でより罪が重く、保釈金額が上がりやすいでしょう。

大麻の譲渡は刑罰自体は所持と同じ5年以下の懲役ですが、所持よりも流通性があるため保釈金に影響がある可能性があります。また、大麻の栽培は犯罪行為の対象物を作り上げているため、より重い7年以下の懲役という法定刑が定められており、保釈金も高くなる可能性があります。

営利目的の大麻事件、保釈金は高くなる?

営利目的の大麻事件は、保釈金が高くなる可能性があるでしょう。

営利目的の大麻の栽培、輸入、輸出は10年以下の懲役(私的な目的な場合には7年以下の懲役)、営利目的の所持、譲受、譲渡は7年以下の懲役(私的な目的では5年以下の懲役)と営利目的の方が刑罰が重くなっています。

このように営利目的の大麻の所持、譲渡、栽培などの行為は、私的な目的での大麻事件よりも重い刑罰が定められており、保釈金額も高く設定される可能性があります。

大麻の初犯と再犯で保釈金は高くなる?

大麻の初犯と再犯では、再犯の方が保釈金額が高くなる可能性があるでしょう。

再犯の場合、初犯と異なって執行猶予が付く可能性はずっと低くなるため、実刑などのより重い刑罰を恐れて逃亡を図る可能性が初犯の場合よりも高くなります。そのため、再犯の場合には初犯よりも担保である保釈金額を高くすることで被告人が裁判まで逃亡をしないように図る必要性が高くなります。

芸能人・有名人の保釈金が高いのは何故?

報道される芸能人や有名人の保釈金は一般的な大麻事件の保釈金よりも高いことが多いですが、それは資力の問題です。保釈金は逃亡した場合には没収されることを抑止力として預けさせるものであり、芸能人や有名人など資力がある者の場合には保釈金を高くし抑止力となる金額に設定する必要があります。

一般的には150万円前後の保釈金は大きな金額であり、保釈金が没収されては困るため逃亡を防ぐ抑止力となります。一方で経済力がある人は一般的な保釈金額では逃亡が抑止できない可能性があります。そのため、逃亡を抑止できうる金額まで保釈金額を上げる必要があるのです。

保釈金相場については『保釈金の相場はいくら?返ってくる?保釈金が用意できない時の対応』の記事も参考になりますので、あわせてご覧ください。

大麻事件での保釈金の重要性

保釈金で保釈されるとどんな効果がある?

保釈された場合、裁判が終わるまで釈放されることになるため、自宅で過ごすことができます。そして、制限がなければ裁判が終わるまで自由に人に会ったり、仕事に行くこともでき、保釈中はほとんど日常生活と変わらない生活を送ることが可能となります。

もっとも、保釈は逃亡をしないことが大前提となるため、どこに出かけても構いませんが住むところは制限住所として制限されることがあります。また、罪の重さが重い、証拠隠滅の可能性が高いと評価される場合には、連絡する相手が制限されるなど証拠隠滅を図りにくくする制限が課せられる可能性もあります。

大麻事件での保釈は起訴決定後に請求できる

大麻事件の保釈は起訴が決定してから請求することができます。起訴前の警察署で勾留され捜査を受けている段階では保釈制度がなく、保釈金を用意しても釈放されることはできません。
大麻事件で捜査終了前に釈放されなかった場合には、起訴後すぐに保釈請求できるように準備しておくのがよいでしょう。

保釈は捜査が既に終わり、裁判での証拠も固まっており証拠隠滅の可能性が低下していることから、保釈金を支払い逃亡のおそれに対する担保をした上で釈放をするという制度です。逆に言えば、捜査終了前の段階では証拠隠滅の可能性が残る以上いくらお金を出しても釈放はされないということになります。

保釈の具体的な申請方法については『保釈申請の流れ。保釈条件と必要な保釈金は?起訴後の勾留から解放』の記事をご覧ください。

大麻事件で保釈される条件とは?

大麻事件で保釈される条件は、「権利保釈」による場合と「裁量保釈」による場合にわけられます。「権利保釈」の場合、権利保釈除外事由(証拠隠滅のおそれ等)がない限りは保釈金を支払えば保釈されます。「権利保釈」が認められない場合、「裁量保釈」により裁判所の裁量で保釈されます。

なお、「権利保釈」にしろ「裁量保釈」にしろ、法律上の記載にかかわらず逃亡のおそれがあるかどうかは判断材料となるでしょう。大麻事件の内容及び保釈金を支払うことによって証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれがないことが確認される場合に、保釈金を支払うことで保釈されることになります。

保釈金は誰がどのように支払う?

保釈金は基本的に本人および本人の代わりに家族が準備をして、弁護士を通して支払うことが多いです。裁判所への保釈請求が通った後、弁護士に保釈金額が伝えられ、弁護士がご家族等から預かった保釈金を裁判所に納付することになります。

もちろん、保釈の手続きを弁護士を通さずご家族で行うことも不可能ではありません。しかし、保釈には保釈請求書を提出するなどご本人やご家族で行うことは容易ではなく、そもそも起訴された事件では必ず弁護士が付くことになるため、一般的にご本人かご家族が準備した保釈金を弁護士を通して支払うことが多いでしょう。

大麻事件の保釈金は返ってくる?

大麻事件の保釈金は基本的に返ってくるものになります。保釈金は裁判が終わるまで逃亡しないための担保となる金銭となりますので、逃亡せず裁判が終われば全額返還されることになります。もっとも、逃亡した場合には担保であった保釈金は没収(法文上では「没取」)されることになります。

保釈金は最終的に返還されるものになりますので、事務所によっては弁護士に対する弁護士費用を事前に預かっていた場合に、その費用を保釈金として一時的に充てることもございます。そうすることで、相当額である保釈金と弁護士費用を別にご用意する必要なく、保釈請求を行うことができます。

大麻事件で保釈金が払えないときはどうする?

大麻事件でも保釈金の立替が可能

保釈金が支払えない場合には、大麻事件でも、保釈保証金立替システムにより、一定の立替手数料を納めることで保釈金を立て替えてもらうことが可能となります。保釈保証金立替システムでは、弁護士の口座に保釈金立替分が支払われ、その金銭で保釈金を支払い、裁判終了後返還された立替金を返還することになります。

保釈保証金立替システムは保釈保証協会が行っており、利用するためにはまず保釈金立替の申し込みを行います。そして、保釈保証金の立替をして問題はないかの審査があり、審査が通った場合に立替手数料を納めることで、少ない立替手数料で相当額である保釈金の立替を受けることができます。

保釈金の没収を避けるためにも弁護士に相談を

保釈金の没収(法文上では「没取」)を避けるためにも、保釈を行いたい場合にまず弁護士に相談をすることが必要です。裁判所は法律上定められている事由に該当する場合に裁量で保釈金の全部又は一部を没収することができるため、保釈金没収に当たらないように弁護士に相談を行うことがよろしいでしょう。

保釈金の没収される可能性のある法定事由は、①正当な理由のない不出頭②逃亡又は逃亡のおそれ③証拠隠滅又は証拠隠滅のおそれ④被害者及びその関係者へ危害や畏怖を加えたとき又はそのおそれ⑤住居の制限その他裁判所の条件に対する違反となっており、それらに当たらないかを弁護士に相談することになります。

保釈以外の被告人に有利になる弁護活動は?

保釈以外に被告人に有利になる弁護活動としては、刑事処分の内容をなるべく軽くするための活動ということになります。具体的には、再犯のおそれの高い大麻事件において再犯の可能性が少ないことを示すために、第三者や専門機関の協力が得られることや真摯な反省が見られることを裁判で適切に示す活動が考えられます。

大麻事件など薬物事件では依存性により再犯の可能性が非常に高いため、再犯可能性がどれほどあるかは量刑に大きく影響することになります。そのため、薬物依存者への支援機関の利用や病院への通院、またご本人の周りのご家族の協力体制などを整え、裁判で適切に主張をすることが被告人に有利な弁護活動となります。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了