
「痴漢をした後に現場から逃走してしまった」
「痴漢を疑われてパニックで逃げてしまった」
痴漢事件で逃走してしまい、「逮捕されるのではないか」「警察から呼び出しを受けたらどうしよう」といったお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか。
痴漢で現場から逃げてしまうと、捜査次第では逮捕されたり、反省の余地がないと判断され、刑事裁判で重い刑罰が科されたりする可能性があります。
この記事では、痴漢で逃走するリスク、逃走後に取るべき行動、痴漢冤罪を疑われた場合の対処法をわかりやすく解説します。
目次
痴漢で逃走したらどうなる?
現行犯逮捕される可能性がある
痴漢してその場から逃げようとすると、現行犯逮捕されるリスクがあります。被害者や目撃者がすぐに「痴漢した人が逃げた」と訴えれば、周囲に居合わせた一般人や駅員、警察官などに取り押さえられ、現行犯逮捕される可能性があるでしょう。
現行犯逮捕は、犯行直後であれば私人(一般人)でも可能です。
「どうにかして捕まりたくない」と考える方もいるかもしれませんが、逃走を図った行動自体が、罪を重く見られる要因にもなりかねません。軽率な判断は危険です。
後日逮捕される可能性がある
痴漢をして、その後に現場から逃走すれば、後日逮捕される可能性も十分にあります。
現代の社会には、個人を特定するための情報が溢れています。たとえば、駅や電車内、街中に設置された防犯カメラの映像は、犯人を特定する上で非常に有力な証拠となります。
ほかにも、交通系ICカードの利用履歴や被害者・目撃者の証言が証拠となるケースもあります。
後日逮捕は、いつ逮捕されるかどうかわかりません。逮捕に怯えながらの生活は、精神的な負担も大きいです。
なお、迷惑防止条例違反の痴漢事件の時効は3年、不同意わいせつ罪の時効は12年です。逃走で現場からは離れられたとしても、最低3年間は逮捕の可能性があるということになります。
逃走は「罪を認めた」とみなされやすい
逃走は、「やましいことがある」「罪を認めているから逃げるのだ」とみなされやすい傾向にあります。
そのため、警察や検察、裁判官には「証拠を隠したり、今後出頭に応じずに逃走を続けるおそれがある」として、本来であれば逮捕されずに済むようなケースでも、逮捕・勾留されてしまう可能性が格段に高まります。
また、痴漢で逃走したという事情は、「被害者に対して謝罪や反省をせず、刑罰から逃れようとしている」と理解され、重い刑事処分が科されるリスクがあります。
【まとめ】逃走あり・なしの違い
逃走あり | 逃走なし | |
---|---|---|
逮捕の可能性 | 高い | 低い |
勾留の可能性 | 高い | 低くなる |
刑罰の重さへの影響 | 反省の意思がないとされ、刑が重くなりやすい | 反省の意思が評価される可能性 |
逮捕されたらどのような流れで刑事手続きが進む?

現行犯逮捕・後日逮捕にかかわらず、逮捕後は警察の留置場に入れられ取り調べを受けることになります。その後、逮捕から48時間以内に警察から検察官に事件が送られ(送検)、検察官が24時間以内に勾留の必要性があるか判断します。
検察官が勾留の必要性があると判断すれば、裁判官に勾留請求します。裁判官も認めると10日間の勾留が決定し、更に最大10日間延長されることがあります。勾留期間が満了すると、検察官によって事件を起訴するかどうか決められます。
つまり、逮捕から起訴されるかどうか判断されるまで、最長で23日間身柄が拘束されるおそれがあるということです。
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痴漢の逃走で逮捕以外のリスクはある?
大けがや死亡事故につながるリスク
痴漢行為が発覚して逃走を図ると、逮捕以外にも重大なリスクが伴います。
特に、大けがや死亡事故につながる危険性がある点には注意が必要です。
実際に、線路に逃げて電車にはねられたり、駅員室の窓から飛び降りて死亡するなどの事故が発生しています。慌てて逃走することで、最悪の事態を招いてしまうおそれがあるのです。
痴漢以外の犯罪が成立するリスク
痴漢で逃走しても、逃走行為自体は犯罪になりません。しかし逃走中、通行人にぶつかってけがをさせると傷害罪、線路に入って逃走すると鉄道営業法違反や威力業務妨害罪に問われる可能性があります。
痴漢で逃走して、痴漢以外の犯罪が成立してしまうと、痴漢行為の処罰規定である各都道府県の迷惑防止条例よりも重い刑罰が科されるリスクが高くなります。
痴漢の逃走で成立する可能性がある罪
行為内容 | 成立しうる罪 | 法定刑の例 |
---|---|---|
駅のホームから線路に立ち入って逃走 | 鉄道営業法違反 | 1000円以上1万円未満の科料 |
駅員や周囲の人を突き飛ばしてけがをさせた | 傷害罪(刑法204条) | 15年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
線路上の逃走で鉄道業務を妨害 | 威力業務妨害罪(刑法234条) | 3年以下の懲役または50万円以下の罰金 |
痴漢で逃走してしまった…今からできること
痴漢で逃げてしまった後、「このままバレないのではないか」という淡い期待と、「いつ逮捕されるのか」という恐怖で、落ち着かない日々を過ごしているかもしれません。これ以上事態を悪化させないために、今からできることがあります。
加害者が取るべき選択肢(1)自首する
警察の捜査が及ぶ前に、自ら警察署に出頭して罪を認めることを「自首」といいます。
自首には、以下のようなメリットがあります。
自首のメリット
- 逮捕・勾留を避けられる可能性
「逃亡や証拠隠滅のおそれがない」と判断されやすくなり、逮捕されずに在宅事件として扱われる可能性があります。 - 刑が軽くなる可能性
反省している態度が評価され、最終的な処分(不起訴や執行猶予など)で有利に働くことがあります。
なお、自首したからといって必ずしも逮捕・勾留を避けられたり、刑が軽くなったりするとは限りません。
しかし、逮捕される恐怖に怯え続けるより、自らの意思で出頭する方が、精神的な負担も軽く、結果的に良い方向に向かう可能性が高いと言えます。
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加害者が取るべき選択肢(2)弁護士に相談する
「自首する勇気がない」「どうすればいいのか分からない」という方は、弁護士に相談してください。
弁護士に相談すれば、いま置かれている状況を踏まえて、弁護士から今後どうすべきかアドバイスをもらうことができるでしょう。必要に応じて弁護士に自首同行してもらうこともできます。
痴漢事件を起こして逃走すると、刑事処分に不利に働きます。犯罪事実を認める場合には、まず被疑者本人が反省し、謝罪の意思をもっていることが刑を軽くするための最低限の条件となるでしょう。
その上で、迅速かつ適切な方法で被害者への慰謝料の支払いを行い、被害者から宥恕(「許す」という意味)を得ることができれば、不利な状況を挽回することができます。
逃走したという事実をなかったことにすることはできません。しかし、すぐに弁護士に相談し、被害者対応や警察対応を適切に行うことができれば、逃走したことによるマイナスの影響を小さくすることができます。
痴漢の被害者対応は弁護士にまかせる
被害者対応を自分で行うことは被害者の感情を逆なでしたり、不快感を増幅させるおそれがあります。
通常、被害者は犯人と顔を合わせたり接触することを避けたいと考えるものです。被害者の中には、事件当時の恐怖感や不快感がよみがえり、トラウマになっている方もいます。
「謝罪がしたい」「示談金を払いたい」という態度は被疑者の一方的な都合を表しており、示談決裂の原因になりかねません。
示談交渉は弁護士に任せていただくことが望ましいです。

弁護士であれば、被害者の心情を考慮しながら、適切なタイミングと金額で示談交渉に臨むことができます。
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痴漢の逃走に関するよくある質問
Q.痴漢冤罪の場合は逃げたほうがいいと聞いたのですが?
痴漢冤罪の場合には「自分は何もしていないので現場から逃走したほうがいい」と考える人もいるでしょう。
しかし、冤罪をかけられている状況で逃走すると、刑罰を避けるために逃げたと誤解され、逮捕の可能性を高めてしまいます。
そこで、自分が冤罪だと主張するためには、「逃走するわけではない」ということを示すために、自分の連絡先や名刺を被害者に渡し、いつでも連絡がとれることを示して、その場を立ち去ることが望ましいです。
特に、電車内や駅構内での痴漢の場合、冤罪だとしても駅員室に連れて行かれるとそのまま逮捕される可能性があるため、いったんその場を立ち去る必要があります。冷静に行動することを心がけ、焦って反対に疑いが深まらないように気を付けましょう。
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Q.痴漢冤罪で逃走以外に避けるべきことはありますか?
痴漢が冤罪である場合、相手に対して謝罪することは避けるべきです。
たとえ「誤解させてしまってすみません」といった曖昧な言い方であっても、後の取り調べや裁判で「罪を認めた」と解釈される可能性があります。
また、無実を訴えているにもかかわらず謝罪することで、供述との矛盾が生じ、「本当はやったのではないか」と疑われる原因にもなります。
さらに、謝罪の内容が音声や映像として残っていれば、検察側に不利な証拠として使われるおそれもあります。冤罪を主張する際には、謝罪の意思表示は慎重に判断すべきであり、まずは弁護士に相談して、今後の対応を冷静に検討することが非常に重要です。
Q.痴漢で逃走すると保釈も難しくなるって本当ですか?
痴漢行為後に逃走した事実があると、保釈が認められにくくなります。
裁判所は保釈の判断において、「逃亡のおそれがあるかどうか」を重視します。逃走した過去があると、「再度逃げる可能性がある」=逃亡のおそれと判断され、保釈を拒否される要因になります。
つまり、逃げたことが不利に働き、本来であれば保釈が認められる事案でも裁判まで身柄拘束が続くリスクを高めるのです。
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痴漢事件で不安がある方はアトムの弁護士に相談を
痴漢事件を起こし、この先逮捕されてしまうのか、逃走したことがどう影響してくるかが不安だという方は、まずアトム法律事務所までお問い合わせください。
アトム法律事務所は、事務所開設当初から一貫して刑事事件に力を入れています。刑事事件に関する様々なお問い合わせに対応してきましたが、中でも痴漢事件のご相談は群を抜いて多い犯罪類型です。
過去には、逃走後に、早めにご相談されることで不利な状況を挽回し、被害者との示談で不起訴を獲得したケースもあります。
アトムの解決事例(痴漢で逃走したが示談締結で不起訴獲得)
駅のホームにおいて、被害者女性の臀部を服の上から触る痴漢行為を行ったとされるケース。当日、依頼者は逃走したものの数か月後に防犯カメラとICカード履歴から身元を特定された迷惑防止条例違反の事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。
アトムの解決事例(痴漢で逃走したが示談締結で不起訴獲得)
電車内において、被害者女性のスカートや下着の中に手を入れたとされる痴漢事案。駅員室に連行される際に逃走するも、後のことが心配になり弁護士に相談するに至った。後に迷惑防止条例違反として検挙された。
弁護活動の成果
警察への出頭に同行し身柄拘束をしないよう要請したところ在宅事件となった。被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結し不起訴処分となった。
今後どうなってしまうのかお悩みの方は、痴漢事件をはじめとする刑事事件に強いアトム法律事務所まで、ご相談ください。アトム法律事務所では、経験豊富な弁護士が迅速かつ丁寧に対応いたします。
刑事事件における法的なアドバイスや、被害者との示談交渉をサポートし、最善の解決へと導きます。
ご依頼者様からのお手紙・口コミ評判
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のご依頼者様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
心強い励ましと、大変良くしてもらったことを忘れません。

事件が発生した初期の段階からお世話になりました。初めての事ばかりの中、心強く励ましていただき感謝しています。そもそも加害者という立場となったことは自らの不徳以外の何物でもないのですが、不当に罰が重くならないようなアドバイスをいただくことができました。今後、先生のお世話になるようなことは決してあってはならないですが、大変よくしていただいた事は忘れません。ありがとうございました。
検察への働きかけや職場対応により職場での立場が回復しました。

この度は、野尻先生には、本当にお世話になりました。勾留請求却下、嫌疑不十分以上での不起訴の獲得のため、色々な事をして頂きました。検察への働きかけはもちろんのこと、私が職場において不利益を被ることがないように意見書の作成もして頂きました。おかげさまで、逮捕され捜査対応となったことにより存在した偏見の目がなくなり、職場での立場も回復しました。今後も大変な案件はたくさんあると思いますが今後とも野尻先生の御活躍を祈念させて頂きます。本当にお世話になりました。ありがとうございました。
アトム法律事務所では、警察が介入した事件で初回30分の無料相談を実施中です。
- 痴漢の容疑をかけられ警察から取り調べを受けた
- やってもいない痴漢の件で警察から呼び出しを受けている
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