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強制わいせつは何が証拠で逮捕される?証拠がない場合は無罪?

強制わいせつの証拠

2023年7月13日、強制わいせつ罪は「不同意わいせつ罪」に改正されました。

強制わいせつの証拠には「被害者や目撃者の証言」「防犯カメラ映像」「犯行時の指紋」などがあります。

強制わいせつ事件は、客観的な証拠がなくても被害者の供述だけでも逮捕されるおそれがある事件です。

犯行中の様子がカメラ映像に残っていたり、被害者に指紋が付着していたりすると、逮捕される可能性が高くなるでしょう。

  • 強制わいせつで証拠が残ったらどうすればいい?
  • 強制わいせつで証拠がない場合は逮捕されない?

この記事では、上記のような疑問を抱えている方向けに、強制わいせつの証拠について詳しく解説していきます。

強制わいせつ事件を起こしてしまい、証拠について不安な方は最後までお読みください。

強制わいせつで逮捕されやすい証拠とは

被害者の証言

被害者の証言は、強制わいせつ事件が発覚するきっかけとなります。

目撃者がいて通報されたり、警察に現行犯逮捕されたりしない限り、被害者が申告しなければそもそも事件が発覚することはありません。

性犯罪は被害を申告しづらいという性質上、警察に届け出た被害者の主張が受け入れられやすい傾向があります。

そのため、被害者が警察に相談すると捜査が開始され、加害者に連絡が入る場合があります。

加害者と被害者に面識がない場合

全く知らない相手に強制わいせつ行為をした場合には、被害者の証言だけで逮捕される可能性は低いでしょう

しかし、相談を受けた警察は、防犯カメラの映像や目撃証言などを収集します。

その上で捜査の過程で犯人だと疑うのに十分な証拠が集まれば、逮捕されることもあり得ます。

加害者と被害者に面識がある場合

当事者間に面識がある場合には、強制わいせつの被害者の証言が証拠となり逮捕される可能性が高くなります

とはいえ、実際には行為の時点で同意があったケースもあり得るため、捜査機関は慎重に事件を捜査します。

「被害者の証言」が証拠になるかどうかは、加害者と被害者との関係性や、知り合った経緯過去の連絡の履歴被害者が事件直後に家族や友人に相談した形跡があるかなどが総合的に判断され、逮捕の有無が決まります。

目撃者の証言

周囲に第三者がいる状況での強制わいせつは、目撃証言が証拠となって逮捕される可能性が高いでしょう。

目撃証言が証拠になる強制わいせつの典型例は、痴漢です。

痴漢行為に対しては、各都道府県の迷惑防止条例が原則適用されますが、悪質な犯行であれば不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)となる場合があります。

電車や駅など、公共の場所での痴漢は第三者に目撃されやすい犯罪です。

被害者の証言に第三者の目撃証言が加わると、逮捕に繋がりやすいといえます。

痴漢と強制わいせつ

公共の場所で被害者の胸や臀部を触る行為は、各都道府県の迷惑防止条例で規制されています。

しかし、身体を何度も撫でまわしたり、下着の下から陰部を直接触ったりすると、条例違反ではなく、不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ)罪になるのが実務の通例です。

防犯カメラの映像

公共の場所での強制わいせつは、防犯カメラの映像が証拠となって逮捕に繋がる可能性があります。

夜中に背後から抱き着いたり、車の中で嫌がる相手にわいせつ行為をした場合には、一見誰にも見られていないように思えるかもしれません。

しかし近年、街中には至る所に防犯カメラが設置されており、犯行が記録されているケースは意外と多いものです。

撮影された顔や身体の特徴が一致していると、逮捕される可能性が高くなります。

被害者に付着した指紋

犯行時に付着した指紋も、強制わいせつの証拠となる場合があります

任意捜査を受けている最中に採取された指紋と、被害者の下着や身体などに付着した指紋が一致すると逮捕される可能性が高くなるのです。

警察の捜査に対して当初は加害者が犯行を否定していても、指紋が一致したと言われてしまえば不利な状況となってしまいます。

任意捜査を受けている場合には、指紋の採取を求められても拒否することが可能です。

しかし、逮捕されている場合や身体検査令状と呼ばれる裁判所の令状がある場合には、拒否することはできません。

もっとも任意捜査の段階であっても、捜査に非協力的な姿勢を見せると、疑いを強めてしまう結果になりやすいため、可能な限りで協力すべきでしょう。

実際に犯行をしていて指紋を採取されたくない、採取された後の警察対応に不安があるなどの事情がある場合には、早い段階で弁護士に相談しておきましょう

証拠がなければ強制わいせつは逮捕されない?

証拠がなければ逮捕されない

強制わいせつの証拠が全く存在しない場合には、逮捕されることはありません。

しかし、目撃証言や防犯カメラ映像などの客観的な証拠がなくても、被害者の証言が証拠となって後日逮捕される可能性があります

後日逮捕のためには「犯罪を疑う相当な理由」と「逮捕の必要性」が必要です(刑事訴訟法199条)。

警察から捜査を受けていて、被害者の証言が「犯罪を疑う相当な理由」であると判断されれば逮捕の可能性が高まります

「逮捕の必要性」は「証拠隠滅のおそれ」か「逃亡のおそれ」のどちらかがある場合に認められます。

強制わいせつの被害者の証言がきっかけとなって捜査されている間、事情聴取に応じなかったり捜査に協力しなかったりすると、逮捕されやすくなるでしょう。

証拠が見つかって後日逮捕されるタイミングは?

強制わいせつの後日逮捕のタイミングについては、捜査機関にしか分かりません。加害者自身で逮捕のタイミングを知る方法はありません。

強制わいせつの被害者の供述調書が有力な証拠とならず、逮捕されなかったとしても、事件は在宅捜査として継続している場合があります。

捜査の結果、有力な証拠が見つかると、被疑者の逃亡を防ぐために逮捕される可能性が出てきます。

同意があったのに訴えられた場合の証拠とは?

相手の同意を得てわいせつな行為をしたのに、後になって同意がなかったと訴えられた場合、当事者の関係性やわいせつ行為の態様などが証拠となるでしょう。

同意があったのに不同意わいせつ罪で訴えられるケース

  • 仲が悪くなって無理やりの行為だったと訴えられる
  • 示談金目的で同意をしたふりをしている

不同意わいせつ罪は、同意を得ることなくわいせつな行為をする犯罪です。

しかし、同意書面や同意する旨の録音や動画がない状況では、実際の同意の有無は当事者にしか分かりません

その場合には、当事者がどのように知り合って何回会っているのか、被害者の身体に痣や傷ができていないかなどが総合的に判断されるでしょう。

不同意わいせつ罪での逮捕を防ぐためには、予め行為前に同意書面を作成するか、同意する旨の音声や動画を記録しておくのが理想です。

実際には同意があったのに、不同意わいせつ罪で捜査を受けている場合には、冤罪を防ぐため弁護士へ相談することをおすすめします。

夫婦や恋人同士での強制わいせつの証拠は?

夫婦や恋人間の性的行為が、強制わいせつに該当するかを示すためには強力な証拠が必要です。パートナー同士であれば、日常的に性的接触をしていると推測されるためです。

暴行や脅迫を用いた強制わいせつ行為は、不同意わいせつ罪として処罰されます(刑法176条1項1号)。

不同意わいせつ罪は、夫婦や恋人であっても成立する犯罪です(刑法176条1項)。

パートナー同士の強制わいせつの証拠としては、親族や友人に日頃からわいせつ行為について相談している連絡の履歴や、身体への暴行の形跡などが挙げられます。

被害状況によっては、逮捕されることもあるでしょう。

強制わいせつで証拠が見つかったら、起訴されて有罪?

必ずしも起訴されて有罪になるわけではない

強制わいせつで証拠が見つかっても、必ず起訴されるわけではありません

起訴とは、検察官が刑事裁判が必要だと判断した場合の処分です。

被害者との示談が完了しているケースでは、処罰を与える必要がないとされやすく、不起訴処分となる可能性があります

また、強制わいせつの証拠は見つかったものの、犯人だと特定できなかったケースでは不起訴で終了する可能性が高いでしょう。

起訴されて有罪になりやすいケース

強制わいせつで証拠が見つかって起訴されやすいのは、次のようなケースです。

  • 被害者との示談が不成立
  • 余罪が多数
  • 同種前科が多数

強制わいせつ行為は不同意わいせつ罪として起訴される可能性があり、有罪になると「6か月以上10年以下の拘禁刑」が科せられます(刑法176条)。

被害者との示談は不起訴処分を獲得するために重要ですが、被害者の処罰感情によっては示談交渉が難航することがあります。

最後まで被害者から許しをもらえずに示談が不成立になると、起訴される可能性が高くなります

また、余罪が多数の場合には全ての被害者と示談しきれない場合があるでしょう。

仮に全て示談を成立させたとしても、事件の態様や犯行の悪質性によっては、起訴される場合もあり得ます。

日本の刑事事件では、起訴されると、99%の確率で有罪判決を受けることになります。

刑事処分を回避し、前科をつけないようにするためには、不起訴処分を目指してください。

強制わいせつの証拠でお悩みの場合は弁護士に相談を

強制わいせつ事件を起こし、証拠がないから問題ないと思っていても、警察の捜査によっては突然容疑がかけられたり逮捕されたりする可能性があります

強制わいせつ事件で今後の処分がご不安であれば、弁護士までご相談ください。

弁護士であれば、警察の取り調べの対応方法をアドバイスすることが可能です。また、被害者との示談交渉を代行し不起訴処分や刑の減軽を目指します。

アトム法律事務所には、強制わいせつ事件をはじめとした刑事事件の解決実績が豊富な弁護士が多く在籍しています。

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アトム法律事務所 所属弁護士