- 特定商取引法違反で警察から呼び出しを受けている
- 特定商取引法違反で逮捕されるかもしれない
- 前科をつけたくない、刑罰を軽くしたい
そのような方に向け、この記事では特定商取引法違反になる行為や刑事処分を軽くするポイントをわかりやすく解説します。
特定商取引法違反の場合、早期の被害者対応が非常に重要です。
逮捕・起訴が不安な方は、刑事事件の解決実績豊富なアトム法律事務所までお気軽にお問い合わせください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
特定商取引法違反とは?
特定商取引法の規制対象
特定商取引法は、消費者契約法だけではカバーしきれない特定の商取引のトラブルについて特別な規制をするための法律です。
特定商取引法では以下の7つの商取引を規制しています。
特定商取引法の規制対象一覧
取引類型 | 具体例 |
訪問販売 | ・訪問販売業者が自宅を訪問し消費者を勧誘して契約させる取引 ・路上等で消費者を呼び止め営業所に勧誘し契約させる取引 |
通信販売 | ・カタログショッピング・ネットショッピング・オンラインゲーム |
電話勧誘販売 | ・電話で資格取得の勧誘を行い契約させる取引 |
連鎖販売取引 | ・消費者を販売員として勧誘し、新たに販売員を紹介させると手数料が入るシステムで組織を拡大していく取引 |
特定継続的役務提供 | 以下の役務を、役務ごとに規定された一定期間を超えて提供する内容の契約で、契約の合計金額が5万円を超える取引。「一定期間」は、エステティックサービスと美容医療は1カ月、それ以外は2カ月。 ・エステティックサービス・美容医療・学習塾・家庭教師語学教室・パソコン教室・結婚相手紹介サービス |
業務提供誘引販売取引 | ・仕事を提供すると言って消費者を勧誘し、仕事上必要だという理由で商品等を販売する取引 |
訪問購入 | ・事業者が消費者の自宅を訪問し、物品を買い取る取引 |
特定商取引法違反に対する刑事処分
特定商取引法違反は、消費者から警察への相談をきっかけに刑事事件化するケースがあります。
捜査が始まると、警察から呼び出しを受けるケースがあります。呼び出しに応じても絶対に逮捕されるわけではありません。ただし、取り調べで不用意な供述をしてしまい逮捕されてしまう可能性もあります。
悪質な事案では、警察が自宅に突然自宅にやってきて逮捕されるケースもあります。
逮捕後は起訴・不起訴が決まるまで、最長23日間拘束されるおそれがあります。逮捕後の流れについて、詳細は関連記事をご覧ください。
特定商取引法違反で実際に検挙されたケースや、刑事処分を決める上で考慮される事情は以下のとおりです。
特定商取引法違反で検挙されたケース
・換気扇の無料点検だと言って住宅を訪問した上、「換気扇に不具合はないが床下修繕の必要がある」と虚偽の説明をして工事契約を締結した
・高齢者に電話をかけ「新型コロナウイルスの影響で商品が売れずに困っている」「ホタテやアワビ等様々な商品を扱っているので是非買ってほしい」等と告げて勧誘し、商品とともに特定商取引法で定める事項が記載されていない書面を郵送して交付し売買契約を締結した
刑事処分を決める上で考慮される事情
- 行為態様(組織的か、計画的かなど)
- 役割の大きさ
- 被害結果の大きさ
- 反省の情
- 再犯可能性
- 示談や被害弁償の有無
- 同種前科の有無
特定商取引法違反の罪で従業員や法人のトップが処罰されると、法人も罰金刑に処されるおそれがあります。
例えば、従業員が訪問販売で虚偽の事実を告げて契約させると、法人は最高1億円の罰金刑に処せられる可能性があります(特定商取引法74条1項2号)。
特定商取引法違反で有罪になれば個人も法人も多大な不利益を被ります。
これらの不利益を避けるには、弁護士への早期の依頼が欠かせません。現在警察から呼び出しを受けている方は、一刻も早く弁護士にご相談ください。
関連記事
・警察からの呼び出し!取り調べの流れや逮捕の可能性、対応方法を解説
・逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説
特定商取引法違反に対する検挙状況
警察庁の統計によれば、2020年の主な特定商取引法違反の検挙人員は以下のとおりです。
取引類型 | 検挙人員 |
訪問販売 | 190人 |
通信販売 | 3人 |
電話勧誘販売 | 1人 |
連鎖販売取引 | 0人 |
特定継続的役務提供 | 1人 |
業務提供誘引販売取引 | 0人 |
訪問購入 | 9人 |
特定商取引法違反では、訪問販売が問題になるケースが非常に多いです。違反行為の結果、契約を締結させ金員を受け取ると詐欺罪に問われる可能性もあります。
過去には、住宅リフォームの訪問販売で虚偽の事実を告げ不要な契約をさせ多額の金員をだまし取っとして特定商取引法違反や詐欺罪等の成立が認められ、会社の元代表者に懲役2年、罰金100万円の実刑判決、株式会社に罰金300万円が言い渡された事例もあります(奈良地判平成22年1月29日)。
特定商取引法違反の被疑者になり、「前科をつけたくない」「刑罰を軽くしたい」とご希望の方は、今すぐ弁護士に相談することをおすすめします。
特定商取引法違反に対する行政処分
特定商取引法違反の場合、行政処分を受ける可能性があります。行政処分に違反すると刑罰を受けるおそれがあります。
行政処分には、改善のための指示命令、業務停止命令、禁止命令があります。行政処分が実施されると、監督官庁は事業者名や処分内容等を公表する必要があります。公表内容には、代表者の氏名など個人情報も含まれます。
特定商取引法違反の行政処分についてお悩みの方は、お近くの行政書士事務所や企業法務を扱う弁護士にご相談ください。
特定商取引法違反になる行為と刑罰は?
不当な勧誘行為の禁止
不当な勧誘行為をした場合、3年以下の懲役又は300万円以下の罰金に処せられます(特定商取引法70条1号)。
※併科(懲役刑と罰金刑の両方の刑罰が科されること)の可能性もあり
規制対象は通信販売以外の全ての取引です。
不当な勧誘行為とは?
①不実告知
契約の勧誘を行う際、またはクーリングオフを妨げるために、事実と違うことを告げること
②故意の不告知
契約の勧誘を行う際、故意に事実を告げないこと
③威迫困惑の作出
契約の締結をさせ、またはクーリングオフを妨げるために威迫して困惑させること
など
未承諾者に対するメールによる広告の禁止
消費者があらかじめ承諾しない限り、電子メールによる広告送信は原則として禁止されています。違反した場合、100万円以下の罰金に処せられます(特定商取引法72条1項2号)。
規制対象は、通信販売、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引です。
例外的に規制対象外となるのは、通信販売の場合、「契約の成立」「注文確認」「発送通知」などに付随した広告契約内容や契約履行に関する通知などのメールの一部に広告が含まれるケース等です。
誇大広告等の禁止
虚偽・誇大な広告をした場合、100万円以下の罰金に処せられます(特定商取引法72条1項1号)。
規制対象は、通信販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供取引、業務提供誘引販売取引です。
虚偽・誇大な広告とは、商品の性能等について、著しく事実に相違する表示をしたり、実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような広告を意味します。
誇大広告は、景品表示法違反になる場合もあります。景品表示法違反に対しては、消費者庁が措置命令を行う可能性があります。措置命令に違反すると、刑罰の対象になりうるので十分注意してください。
書面交付義務違反
契約締結前の申込書面や概要書面の交付義務、契約締結時の契約書面の交付義務に違反すると、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(特定商取引法71条1号)。
※併科の可能性もあり
規制対象は、通信販売以外の全ての取引です。
訪問販売の場合、商品の種類、販売価格、支払時期、支払方法、引渡し時期、クーリングオフ等について記載した書面を交付する義務があります。
契約書面等に記載すべき事項や記載方法は、法律や規則で厳格に規定されています。特定商取引法違反にならないため、日頃から専門家のチェックを受け書面に関するルールを遵守しましょう。
特定商取引法違反で弁護士に依頼するメリット
ここでは、特定商取引法違反事件における弁護士の弁護活動を解説します。特定商取引法違反は早期の対応によって不起訴処分となる可能性が高まります。
お悩みの方は、刑事事件の解決実績豊富なアトム法律事務所にぜひご相談ください。
早期示談による不起訴処分・刑の軽減
特定商取引法違反の疑いをかけられた場合、最も有効な対策は不起訴処分の獲得です。不起訴処分になれば前科はつかず、日常生活を送ることが可能です。
前科がつくのを防ぐには、早期に弁護士に依頼の上、示談成立を目指すのが重要です。
示談では、受領した金員の全額返金に加え迷惑料を加算して支払うと反省の気持ちがより伝わるでしょう。
場合によっては、金員ではなく、本来提供すべき商品やサービスを提供するという方法もあり得ます。
示談交渉は必ず弁護士に依頼してください。ご本人が交渉しようとしても拒否される可能性が高く、新たなトラブルを招きかねません。
弁護士であれば、被害者の心情に十分配慮しつつ、できる限り許し(宥恕)を得られるよう交渉することが可能です。宥恕付き示談が成立すれば、不起訴処分となる可能性は高まります。
不起訴処分に向けた弁護活動は、刑の軽減にもつながります。
アトム法律事務所刑事事件弁護チームは、無罪・不起訴2141件(2021年末実績)を獲得している刑事弁護のプロ集団です。
早期の示談による不起訴処分獲得や刑の軽減をご希望の方は、ぜひアトム法律事務所の弁護士にご相談ください。
迅速対応で逮捕回避・早期釈放
逮捕を回避するには、できる限り早い段階で弁護士にご依頼ください。
被害者が警察に被害を申告する前に示談が成立すれば、刑事事件化を阻止できる可能性が高いです。刑事事件にならなければ逮捕も回避できます。
逮捕・勾留されてしまっても、弁護士に依頼すれば早期釈放が期待できます。弁護士は、同居家族による身元引受書等を提出し逃亡のおそれがないことを主張します。
逮捕されると起訴・不起訴が決まるまで最長でも23日間しかありません。いかに早く弁護士に依頼するかが刑事処分の結果を左右します。ご本人・ご家族の方は、できる限り早く刑事弁護の実績豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。
アトム法律事務所は、ご依頼いただいてから最短即日でご本人と面会して法律相談を行います。刑事弁護を依頼するなら、迅速対応をモットーとするアトム法律事務所の弁護士にぜひお任せください。