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詐欺罪の時効を弁護士が解説|何年前の詐欺まで訴えられてしまうのか?

詐欺の時効は何年?

受け子や出し子などで詐欺行為に加担した場合、刑事事件と民事事件双方で訴えられる可能性があります。刑事と民事は、制度面でも時効期間も違うため、時効が過ぎたと安心しているとある日突然逮捕されたり、刑事事件で刑罰を受けても被害者から損害賠償を請求される可能性があります。

詐欺事件を刑事、民事双方で解決するには、弁護士を通して示談することが有効です。ここでは、詐欺事件で被害者と示談するメリットや弁護士に依頼すべき理由、時効との関係や注意点について解説します。

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詐欺の時効は何年?

詐欺の時効には刑事上の時効と民事上の時効があります。

刑事事件としての詐欺罪の時効は7年で、民事事件として詐欺の損害賠償請求をする権利の時効は3年です。

詐欺罪は刑事・民事で訴えられる可能性がある

詐欺をすると、刑事・民事の両方で訴えられる可能性があります。

詐欺の被害者が犯人を罰してほしいと考えた場合は、警察に被害届を出したり告訴したりして、詐欺罪(刑法246条)として刑事事件になる場合があります。

一方、詐欺の被害にあった人が、騙し取られたお金などを取り戻したいと思った場合は、民事上の訴えを起こされる場合があります(民法96条)。この場合は、契約の無効や取り消しを主張し、損害賠償を請求されることになります。

このように一つの詐欺行為で、刑事と民事の両方で訴えられる可能性があります。

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【刑事】詐欺罪の公訴時効は7年

刑事事件としての詐欺罪の時効は7年です。

刑事事件の時効のことを「公訴時効」といいますが、これは、犯罪をした人を裁判にかけることのできる期間のことをいいます。つまり、詐欺罪の場合は、詐欺行為をしてから7年経つと公訴時効にかかり、罪に問えなくなります。 

ただし、公訴時効には例外があります。犯罪をした人(被疑者)が外国にいる場合、その間は時効が停止します(刑事訴訟法255条)。国内で逃亡している場合は、時効のカウントは止まりません。また、検察官に起訴されても時効が停止するので、裁判中に時効を迎えても罪に問われることになります。

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【民事】詐欺の損害賠償請求の時効は3年

民事事件として詐欺の損害賠償請求をする権利の時効は3年です。

これを「消滅時効」といいます。詐欺の加害者と被害を知った時から時効がスタートし、3年経つと請求できなくなります。加害者と被害を知らなかった場合でも、行為があった時から20年経つとそれ以降は請求できません。 

ただし、民事上の消滅時効は、内容証明郵便で支払いを求められると6か月完成が猶予されます。また、相手から裁判を起こされたり(請求)、加害者側が詐欺を認めた場合(承認)は更新されます。消滅時効が更新されると、一旦時効期間がリセットされ、そこから3年のカウントが再開します。

なお、詐欺加害者が逃亡していて居場所がわからない状態でも、被害者が「公示送達」という方法を取れば消滅時効は更新されます。公示送達とは、裁判所の掲示板に「原告が被告に対して訴訟を提起したので被告は訴状を取りに来てください」という内容の書面が掲示されることです。公示送達の掲示後、2週間が経過すれば訴状が届いたものとみなされ、時効は更新されます。

詐欺の時効はいつから数える?時効が停止する期間とは

詐欺の時効はいつから進行する?

刑事事件としての詐欺の公訴時効は、詐欺行為が終わった時から進行し、7年で完成します。詐欺の余罪が多数ある場合は、一つ一つの詐欺事件について個別に時効が進行します。長期間オレオレ詐欺に加担していたような場合、最初の詐欺は時効でも、直近の詐欺は時効前で罪に問われる場合もあります。

民事事件としての詐欺の損害賠償請求権の消滅時効は、被害者が加害者と損害を知った時から進行し、3年で消滅します(主観的起算点:民法724条1項)。また、どちらも特定できない場合でも、詐欺行為があった時(権利行使できる時)から20年で消滅時効にかかります(客観的起算点:同条2項)。

詐欺の時効は停止・更新されるケースがある

詐欺をしてしまった場合、前述した通り、時効の停止や更新がなされるケースがあります。刑事事件の側面からは、国外にいた期間は時効が停止し、期間のカウントからマイナスされるので、旅行や仕事で海外に行っていた人が公訴時効が過ぎたと思っていると、実は時効前で逮捕され罪に問われることがあります。

民事事件の側面からは、別の根拠で損害賠償を請求される可能性があります。詐欺の損害賠償請求の根拠は、通常「不法行為」による時効は3年ですが、契約トラブルの場合は「債務不履行」を根拠に請求される場合があります。この場合の時効は5年ないし10年と長くなります。

詐欺の時効が成立したらどうなる?

詐欺の時効の効果

刑事事件の時効民事事件の時効
効果起訴されなくなる賠償請求されなくなる
期間7年3年または20年

刑事事件の詐欺の時効成立後は、その罪に問われることがなくなります。公訴時効は、犯罪の終了時から一定期間が過ぎると検察官が起訴できなくなる制度です。詐欺行為の終了から7年が過ぎると、犯人が特定されても検察官は起訴できないので、その詐欺行為について罪に問われることはありません。民事事件の詐欺の時効成立後は、損害賠償を請求されなくなります。消滅時効が成立するとその権利がなくなります。被害者が詐欺の加害者と被害を知った時から3年、またはどちらも分からない場合は詐欺行為から20年が過ぎると、損害賠償請求権が時効消滅するので被害者は請求できなくなります。

詐欺罪で公訴時効成立前に逮捕されたら?

公訴時効完成前に逮捕されて起訴されると、公訴時効が停止します。

その後は通常通りの刑事手続きにかけられ、裁判で有罪が確定すると前科がつくことになります。

詐欺罪の量刑は?

詐欺罪の刑罰は10年以下の懲役刑です。

詐欺罪で罰金刑になることはありません。

1.人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。

2.前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

刑法246条

詐欺罪で受ける処分は、懲役の実刑、執行猶予、無罪、不起訴処分の4つのいずれかです。

詐欺罪は初犯でも懲役刑になる?

詐欺行為をしてしまい、逮捕・起訴されたとしても、初犯であれば執行猶予つきの判決となる可能性が高いです。

どの処分が下されるかは、犯行の悪質性、組織的犯罪かどうか、被害弁償の有無、動機や反省等の事情を考慮して決められます。初犯で、前科や前歴がないことは有利に考慮されます。

しかし、初犯であっても、執行猶予がつかず、懲役の実刑になってしまう場合もあります。具体的には、複数の余罪がある場合、振り込め詐欺など組織的犯罪で犯行態様が悪質な場合、被害が大きく被害弁償もされていない場合などです。

懲役刑になると、刑務所に収監され、前科がつくことになります。

詐欺未遂でも訴えられる?

詐欺罪には、未遂罪が規定されています(刑法246条、250条)。そのため、詐欺未遂の場合でも、刑事事件で訴えられ、罪に問われる可能性があります。

詐欺未遂の具体例としては、オレオレ詐欺で被害者宅にお金を取りに来た受け子が逮捕されるケースなどがあります。

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一方、詐欺未遂の場合、民事上の損害賠償請求は認められません。というのも、詐欺未遂の場合は損害自体が発生していないからです。未遂でも精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求される可能性もありますが、未遂の場合は同様に慰謝料請求も認められないのが原則です。

詐欺未遂と詐欺既遂の違い

詐欺未遂詐欺既遂
刑罰ありあり
損害賠償不要(認められない)必要

詐欺罪で執行猶予判決を得るためには?

詐欺罪には懲役刑しかないため、罰金刑になることはありません。そのため、詐欺罪で起訴されると必ず正式裁判が開かれ、執行猶予か実刑かが決められることになります。

日本では裁判で無罪判決を得ることは極めて困難です。

詐欺罪で執行猶予判決を得るためには被害者と示談をすることが重要です。

詐欺罪は他人を騙して財産を得る犯罪なので、被害を弁償して被害者の許しが得られれば、有利な事情として考慮してもらえるからです。

示談を成立させて執行猶予判決に繋げるには、弁護士に依頼することも重要なポイントです。

詐欺罪で時効を待つよりも、弁護士に相談して早期解決を

詐欺罪で不起訴、前科なしになるには?

詐欺罪で不起訴処分を獲得し、前科がつくことを阻止するには、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談に応じてもらうことが重要です。詐欺罪は、被害者を騙して財産的な損害を与える犯罪なので、被害を弁償して許してもらうことが有利な事情として大きく考慮されるからです。

組織的な詐欺事件(オレオレ詐欺等)や前科がある等でなければ、示談をすることで不起訴を獲得できる可能性が高まります。また、無賃乗車など被害が軽微な詐欺事件では弁護活動によって、示談ができなくても不起訴がもらえる可能性もあります。諦めずに早急に弁護士に相談することが重要です。

詐欺罪で示談する主なメリット

刑事事件で示談するメリット

詐欺罪で示談するメリットには、不起訴処分を獲得できる可能性が高まること、民事上の問題も解決できること、被害者側にも役立つことなどがあります。まず、詐欺罪のような財産犯の場合、被害弁償をして示談できれば、被害者の損害が回復されたと考えられるので、有利な事情として考慮されます。

また、詐欺罪の場合、刑事処分とは別に被害者から損害賠償を請求される可能性がありますが、損害賠償の支払いも含めて示談することで、後から民事裁判を起こされることなく問題を一挙に解決できます。また、示談して賠償を尽くすことは、被害者にとっても早く損害回復ができるのでプラスになります。

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詐欺罪でも弁護士がいれば被害者と示談は可能

詐欺罪では被害者との示談が重要ですが、加害者側が直接被害者と交渉して示談することはお勧めできません。当事者間で無理に示談を勧めると、脅迫・強要など別の罪に問われたり、証拠隠滅を疑われる可能性があります。

しかし、弁護士に依頼すれば、最善の方法で被害者と示談することができます。そもそも被害者の連絡先を知らない場合は、弁護士を通じなければ被害者と接触することすらできません。また、弁護士を通して謝罪の意思を伝えることで、事件を許して示談に応じてくれる被害者も少なくありません。

詐欺被害者が会社の場合の示談はどうなる?

詐欺の被害者が会社の場合、示談の相手は会社になります。実際には、会社の代表者や、法務部や総務部の担当者などと示談をするのが通常です。被害者が会社の場合は連絡先が分かることが多いですが、加害者個人が示談するのは困難ですし、また個人で動いて交渉すべきではありません。 

弁護士なら、会社の適切な担当者と交渉し、示談に応じてもらえる可能性が高まります。詐欺の被害者が会社の場合、損害が大きくなりがちです。弁護士であれば、知識や交渉スキルを備えた経営者等とも対応し、被害弁償の方法等も交渉することが期待できます。まずは弁護士にご相談ください。

弁護士が示談交渉を行うメリット

弁護士本人
被害者の連絡先問い合わせ可能分からない
示談成立早期成立時間がかかる
示談金妥当な金額が分かる妥当な金額が分からない

詐欺罪の弁護士相談はアトム法律事務所へ

詐欺罪は重大犯罪であり刑罰も重たいです。詐欺で逮捕される不安を常に抱えたまま生活するよりは、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

詐欺事件は、いかに早く弁護士に相談するかで、その後の流れが変わります。逮捕を回避したり、不起訴を獲得したり、執行猶予を目指すためには、刑事事件に詳しい弁護士にご相談されることが何より重要です。

詐欺の弁護士相談を検討されている方は、全国から相談を受け付けているアトム法律事務所の受付窓口にお電話ください。詐欺で逮捕された際の警察署への弁護士派遣も含め、法律相談の案内をお受けいただけます。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了