痴漢は、行為態様や対象部位によって成立する犯罪が異なります。この記事では、痴漢行為によってどの犯罪が成立するかわかりやすく解説します。
痴漢事件は初動対応の早さが極めて重要です。いかに早く弁護士に連絡するかがその後の人生を左右すると言っても過言ではありません。
痴漢行為をした場合も、痴漢犯人に間違われた場合も、弁護士が全力を尽くしてご依頼者様の利益を守ります。逮捕や起訴を避けたい方は、痴漢事件に強いアトム法律事務所にぜひご相談ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
痴漢行為はどのような犯罪になる？
痴漢行為は、迷惑防止条例違反か不同意わいせつ罪に問われるケースが多いです。場合によっては、軽犯罪法違反になる可能性もあります。ここでは、各犯罪の成立要件・罰則を解説します。
①痴漢行為が迷惑防止条例違反になる場合
実務上、電車内で女性の臀部等を衣服の上から触ると迷惑防止条例違反になるケースが多いです。
この場合、東京都では、6月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。常習の場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行 為であつて、次に掲げるものをしてはならない。
１ 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人 の身体に触れること。
東京都 公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例（迷惑防止条例）5条
②痴漢行為が不同意わいせつ罪になる場合
相手が同意できないような状況でわいせつ行為をすると、不同意わいせつ罪（旧強制わいせつ罪）が成立する可能性があります。不同意わいせつ罪の法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑です。
不同意わいせつ罪が成立するのは、暴行や脅迫を用いる場合（旧強制わいせつ）や、睡眠やアルコールなどの影響で意識が不明瞭な場合（旧準強制わいせつ）などです。
次に掲げる行為又は事由（略）により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。
一 暴行若しくは脅迫を用いること又はそれらを受けたこと。
刑法176条
二 心身の障害を生じさせること又はそれがあること。
三 アルコール若しくは薬物を摂取させること又はそれらの影響があること。
四～八 （略）
刑法176条1項1号の「暴行」とは、「被害者の意思に反してわいせつ行為を行うに足りる程度の暴行」という意味です。例えば、体を押さえる行為は「暴行」に含まれます。
実務では、衣服の中に手を入れて直接身体に触れると不同意わいせつ罪（旧強制わいせつ罪）の成立が認められる傾向があります。
ただし、衣服の上からであっても、臀部を手のひらでなで回す痴漢行為の場合、強制わいせつ罪に当たると判断された事案もあります（名古屋高判平成15年6月2日）。
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③痴漢行為が軽犯罪法違反になる場合
のぞき行為やつきまとい行為も痴漢行為として処罰される可能性があります。この場合、拘留（1日以上30日未満の拘束）又は科料（1000円以上1万円未満の強制徴収）に処されます。
左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
（中略）
23 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
（中略）
28 他人の進路に立ちふさがつて、若しくはその身辺に群がつて立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとつた者
（後略）
軽犯罪法1条
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【まとめ】電車内の痴漢行為で成立する犯罪
電車内での痴漢行為で成立する犯罪について、実務の傾向をまとめると以下になります。
ただし、具体的状況により結論は異なる可能性があります。より詳しくお知りになりたい方は、ぜひ弁護士に直接ご相談ください。
陰部への痴漢行為
| 行為態様 | 実務上認められる傾向にある犯罪 |
|---|---|
| 厚手の着衣の上から触れる | 迷惑防止条例違反 |
| 直接触れる | 不同意わいせつ罪 |
臀部への痴漢行為
| 行為態様 | 実務上認められる傾向にある犯罪 |
|---|---|
| 厚手の着衣の上からなでる | 迷惑防止条例違反 |
| 下着ごしに触れる | 迷惑防止条例違反 |
| 下着の上からなで回す | 不同意わいせつ罪 |
| 直接なでる | 不同意わいせつ罪 |
痴漢で逮捕された場合・逮捕されない場合の流れは？
痴漢で逮捕された場合の流れ
痴漢事件では、現行犯逮捕か通常逮捕（後日逮捕）されて身体拘束を受けるケースがあります。
現行犯逮捕は私人でも可能です。実務では、男性が駅員室について行くと、すでに被害女性に現行犯逮捕されたものとして扱われ、そのまま鉄道警察隊に引き渡される流れが一般的です。
仮に逃走した場合でも、防犯カメラ等の証拠をもとに通常逮捕されるケースもあります。
いずれの場合も、逮捕後は警察署に連行され取り調べを受けます。逮捕後の流れは下図のとおりです。
逮捕された場合、最も重要なのは勾留を阻止することです。勾留されなければ、職場や学校に痴漢事件について知られずにすむ可能性が高いです。
勾留を阻止する最も有効な方法は、私選弁護士に依頼することです。私選弁護士なら逮捕直後から接見可能です。
逮捕直後に1回無料で弁護士を呼べる当番弁護士制度もあります。しかし、当番弁護士の接見は、依頼した翌日になってしまうケースもあります。
なお、国選弁護人は勾留後にしか依頼できません。
逮捕から勾留請求まで最長で72時間しかありません。早期釈放を目指すなら迷っている暇はありません。ぜひ今すぐ刑事弁護の経験豊富な弁護士にご相談ください。
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・痴漢で捕まったらどうなる？痴漢事件の取り調べ対応のポイントとは
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痴漢で在宅事件となった場合の流れ
痴漢事件では、被疑者が逮捕されず在宅事件扱いになるケースも多いです。
実務上よくあるのは、痴漢で捕まったあと警察署に連行され、取調べを受けた後に家族に連絡がいき、迎えに来てもらったうえで解放されるという流れです。
その後は在宅で日常生活を送りながら、適宜警察署に呼び出されて取調べを受けることになります。
在宅事件は、逮捕された場合のような時間制限がありません。そのため、最終的な処分がいつ下されるのかわかりません。被疑者は長期間にわたって不安定な立場に立たされるおそれがあるのです。
在宅事件を早期に解決したい場合も、ぜひ弁護士を頼ってください。
弁護士は、検察官に示談交渉の進み具合等をこまめに連絡し起訴しないよう主張します。示談が成立すれば、即座に報告して速やかに不起訴処分とするよう求めます。
痴漢の弁護は痴漢事件に強いアトム法律事務所へ
痴漢の刑事弁護なら痴漢事件の解決実績豊富なアトム法律事務所にお任せください。ここでは、痴漢行為を認める場合と否認する場合に分けて、弁護活動の内容をご説明します。
痴漢行為を認める場合の弁護活動
①示談交渉
痴漢行為を認める場合、最も重要なのが示談です。痴漢事件では、検察官が起訴・不起訴を決めるに当たって、示談の有無が非常に重視されるからです。
初犯で犯行態様が悪質でなければ、示談成立で不起訴になる可能性は十分にあります。不起訴になれば前科はつきません。
アトム法律事務所の弁護士は、示談交渉の豊富な経験を生かし、被害者から許し（宥恕）を得られるよう全力を尽くします。宥恕付き示談の成立によって、不起訴処分の可能性はさらに高くなります。
示談が成立すると不起訴処分の他にも様々なメリットがあります。示談のメリットをまとめると次の6つです。
示談のメリット
- 刑事事件化回避
- 逮捕回避
- 早期釈放
- 不起訴処分
- 刑事処分の軽減
- 民事上の問題（損害賠償）の終局的解決
②職場や学校での不利益処分を回避
痴漢事件を起こした場合、ご相談者様は解雇や退学処分についても不安だと思います。ご安心ください。職場や学校での不利益処分も、弁護士の関与によって回避できる可能性が高まります。
まず、弁護士は早期釈放に向けて全力を尽くします。
具体的には、検察官から被害者の連絡先を聞き、早急に示談交渉を開始します。ご相談者様のご家族を身元引受人とする身元引受書も提出します。
これらの弁護活動の結果、早期釈放されると、職場や学校に痴漢事件のことを知られずにすむ可能性が高いです。
仮に逮捕の事実が発覚したとしても、ご本人の反省の様子や示談交渉の進捗状況を説明し、不利益処分を下さないよう粘り強く説得します。
③再犯防止にに向けた環境整備
痴漢事件や盗撮等の性犯罪を繰り返す背景には、性依存症等の問題が隠れているケースもあります。
そのようなケースでは、ご相談者が適切な治療を受けられるよう、弁護士が専門機関との橋渡しをする場合もあります。
痴漢行為を否認する場合の弁護活動
「痴漢について身に覚えがないので否認したら逮捕されてしまった」
このような事件を冤罪事件といいます。痴漢事件は、冤罪を生みやすいという特徴があります。痴漢事件は被害女性の証言しか証拠がないケースも多く、そのことが冤罪を生む一因になっているのです。
痴漢冤罪事件では、証拠不十分による不起訴処分を目指すことが重要です。起訴されてしまえば、ほぼ確実に有罪になってしまうのが刑事裁判の実情だからです。
では証拠不十分による不起訴となるために何をすればよいのでしょう？
答えは一つ。「できる限り早く弁護士に相談する」です。
痴漢冤罪事件では、被疑者の記憶が鮮明なうちに供述を正確に記録しておくことが必須です。
なぜ痴漢行為をしていないといえるのか、具体的状況を踏まえていかに詳細に説明できるかが刑事処分の結果に大きく影響するからです。
弁護士を早期に呼べば、取り調べのアドバイスを聞くこともできます。取り調べをする警察官や検察官は捜査のプロ。プロに対抗するには、刑事弁護の経験豊富な弁護士の存在が不可欠です。
アトム法律事務所は、痴漢冤罪事件で不起訴処分を獲得した実績が多くあります。
痴漢冤罪事件でご家族が逮捕されてしまった方は、ぜひアトム法律事務所にご相談ください。最短即日で接見し、ご本人を法的・精神的にサポートします。
