SNSで特殊詐欺の実行役などを募集する「闇バイト」。「バイト」という軽い響きと高額報酬に誘惑され、応募する若者が後を絶ちません。
闇バイトに応募して今後が不安な方に向け、この記事では、闇バイトに関わると初犯でも実刑になるのかという点を中心に解説します。
闇バイトに関与した場合、適切な弁護によって不利益を最小限にできる可能性が上がります。
少しでも不安な方は刑事弁護の実績豊富なアトム法律事務所に今すぐご相談ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
闇バイトは初犯でも実刑?
闇バイトで受け子をしたら何罪?
闇バイトで募集される仕事の典型例が、特殊詐欺の受け子です。
特殊詐欺には、親族のふりをして被害者からお金をだまし取るオレオレ詐欺や、「キャッシュカードが不正利用されている」と言ってカードをだまし取るキャッシュカード詐欺などがあります。
こういった詐欺において実際に被害者の元に赴きカードを受け取る係のことを受け子といいます。
闇バイトに応募して特殊詐欺の受け子をすると、詐欺罪に問われます。
詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」です(刑法246条)。詐欺罪に罰金刑は規定されていません。したがって、刑事裁判で有罪になれば、実刑か執行猶予のどちらかしかありません。
有罪が確定すると前科がついてしまいます。前科は、就職等の面で大きな制約になります。
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闇バイトは初犯でも実刑の可能性がある
闇バイトで特殊詐欺に関わると、たとえ初犯でも実刑判決の可能性があります。
受け子など末端の役割であっても、1年から2年程度の実刑判決になる可能性が高いです。
さらに、特殊詐欺に関与した回数が多いほど刑罰も重くなります。複数の特殊詐欺に加担した場合、初犯でも3年以上の懲役刑が言い渡されるケースもあります。
なぜ、受け子のような末端役でもここまで厳しく処罰されるのでしょう?
その理由は、特殊詐欺が複数人で役割分担をして遂行される組織的・計画的犯罪であり、特に悪質性が高い類型だからです。また、特殊詐欺は、家族を心配する気持ちにつけこむ悪質な犯罪である点も厳しい処罰の理由です。
闇バイトで受け子をする場合、かけ子のように被害者を巧妙にだますわけではないので、犯罪に加担している意識が低くなりがちです。しかし、ひとたび刑事事件になれば、受け子も犯罪組織の一員として重い責任を負わされることを決して忘れないでください。
闇バイトの刑事裁判で重視される事情
闇バイトで特殊詐欺の受け子をして刑事裁判になった場合、刑罰を決める上で以下の事情が重視されます。
- 被告人の具体的役割
- 関与の程度
- 関与の期間
- 特殊詐欺の全体像に関する認識の程度
- 報酬の程度
- 被害額
- 示談や被害弁償の有無
- 同種前科前歴の有無 など
詐欺罪は財産犯なので、示談や被害弁償の有無は特に重要です。被害者の許し(宥恕)を得た示談や嘆願書があれば、より有利に考慮されるでしょう。
もっとも、特殊詐欺事件は悪質性が高いため、示談や被害弁償をしても起訴されてしまう可能性が高いです。それでも、詐欺に関与した以上、示談や被害弁償はできる限り行うべきです。示談等が成立すれば、懲役刑の刑期が短くなるなど刑罰の軽減が期待できます。
また、以前は特殊詐欺事案は原則実刑と言われていましたが、現在の実務では示談等の成立により執行猶予になるケースも見受けられるようになってきました。詐欺未遂であれば、執行猶予の可能性はさらに高まります。
いずれにせよ、闇バイトに関わった場合、できる限り早期に弁護士に相談することをおすすめします。
闇バイトで逮捕される可能性はある?
闇バイトで犯罪に関与するまでの流れ
闇バイトの求人をする特殊詐欺グループは、首謀者を頂点にピラミッドのように組織化されています。首謀者の次は、指示役や電話役のかけ子、リクルーターがいます。そして、末端に属するのが現金受け取り役の受け子や、ATMから現金を引き出す役の出し子です。
SNS上には受け子の勧誘とは分からないように「日給5万円、指定した物を受け取るだけの仕事、スーツ支給」といった内容で投稿されています。
応募すると、多くの場合、身分証明書や同居家族の個人情報の提出を求める返信がきます。これらの情報は、後で詐欺グループから抜けたいと言われたときに「犯罪に関わったことをばらす」「家族に危害を加える」と脅すために利用されます。
応募後は、指示役からテレグラムなどのアプリを使って具体的な指示がきます。テレグラムはLINEのようなチャットアプリです。最大の特徴は、自動的に消去されるメッセージをやりとりできること。警察の捜査が及ばないようあらかじめ証拠隠滅が図られているのです。
闇バイトに応募して一度でも特殊詐欺に関わると、繰り返し指示がきて何度も犯罪に手を染めてしまう危険性があります。
前述のとおり、特殊詐欺に関わると初犯でも重い処罰が予想されます。また、示談交渉では自分が得た報酬の何倍にもなる高額な金額の支払が必要なケースが多いです。
数万円の報酬を得ても、その代わりに失うものはあまりに大きいと言わざるを得ません。闇バイトの求人投稿を見ても絶対に安易に応募しないようにしましょう。
闇バイトで受け子をしたら逮捕される?
特殊詐欺の受け子は、被害者と直接接触する役割のため逮捕される可能性が非常に高いです。
最近では、被害者が警察の「だまされたふり作戦」に協力するケースも少なくありません。この場合、現金の受け渡し場所に警察官が待機しているため、受け子は現行犯逮捕されます。
また、受け子の一人が逮捕されたのをきっかけに、詐欺グループの他のメンバーが芋づる式に逮捕されるケースもあります。警察は犯罪組織の実態解明のため、徹底的に捜査します。現行犯逮捕されなかったからといって、後日逮捕(通常逮捕)される可能性が全くないわけではないのです。
詐欺グループの首謀者たちは、逮捕のリスクが高い受け子をSNSで闇バイトとして募集します。いわば「使い捨てる」ための人間を甘い言葉で勧誘するのです。ターゲットにされるのは10代、20代の若者です。
実際、令和2年(2020年)に特殊詐欺の疑いで検挙された人の割合を見ると、20歳未満が18.7%、20歳〜29歳が53.5%に上ります(令和3年版犯罪白書)。特殊詐欺の検挙者のうち7割以上が30歳未満の若者なのです。
闇バイトの弁護ならアトム法律事務所へ
闇バイトで特殊詐欺に関わってしまい、逮捕や起訴が不安でたまらないという方。そのような方は、ぜひ今すぐ刑事事件に強いアトム法律事務所にご相談ください。
ここでは、アトム法律事務所の弁護士に闇バイトの弁護を依頼するメリットをご紹介します。
示談交渉に応じてもらいやすくなる
闇バイトで特殊詐欺の受け子をした場合、示談が非常に重要です。示談交渉のポイントは、刑事弁護の経験豊富な弁護士への依頼です。
特殊詐欺の被害者は、高齢者が多いのが特徴です。大切な老後資金を奪われた被害者の精神的苦痛は計り知れないものがあります。大きなショックと報復を恐れる気持ちから示談交渉を拒否する被害者も多いです。
また刑事事件の実務では、捜査機関は被害者の心情に配慮し、事件の加害者に直接被害者の連絡先を教えることはほとんどありません。
第三者である弁護士が介入し、加害者に連絡先を直接教えないという状況の下でなら、捜査機関も被害者の連絡先を教えてくれます。
アトム法律事務所の弁護士は、多くの示談交渉経験から、被害者の心情に配慮した交渉の仕方を熟知しています。
もし示談成立が難しい場合でも、謝罪文をお渡しするなどできる限りの方法で被害者に謝罪と反省の気持ちをお伝えします。
再犯防止策が立てられる
闇バイトで特殊詐欺に関わった場合、再犯防止策も重視されます。具体的には、家族の協力と詐欺グループとの関係断絶が重要です。
そもそも、闇バイトで特殊詐欺に関わってしまう方の中には、家族との関係が悪化している方も少なくありません。しかし、再犯防止のためには最も身近な家族との関係を再構築することが非常に重要です。
簡単には解決しない問題ですが、弁護士がしっかりサポートします。ご家族とともに犯行に至ってしまった背景を見つめ直し、二度と罪を犯さないためにはどうすればよいか一緒に考えましょう。
ご家族に刑事裁判で今後の同居と監督を誓約してもらうと、量刑上有利に考慮されます。
また、詐欺グループとの関係断絶は必須です。闇バイトに関与した方の多くは、個人情報をとられているから逃げられないと思い込んでいます。しかし、首謀者たちが逮捕のリスクを冒してまでわざわざ受け子やその家族に接触することはまずありません。二度と犯罪に関わらないために、連絡先を消去するなどきっぱりと関係を絶ち切りましょう。
取り調べのアドバイスが受けられる
闇バイトで受け子をした場合、しばしばその認識内容が問題になります。つまり、特殊詐欺に関与していると分かっていたのか、分かっていたとすればどの程度まで詐欺の全体像を把握していたのかが問われることになるのです。
逮捕後の取り調べでは、警察官が、闇バイトに応募した経緯、闇バイトの指示内容、報酬の有無・程度、被害者とのやりとりなどを、被疑者から細かく聴き取ります。
この質問に対し、不用意な答えをしてしまうと思いもよらない不利な処分を受ける可能性があります。
犯罪を認める場合も否認する場合も、弁護士による取り調べのアドバイスが不可欠です。不利な供述調書を作成されてしまう前に、できる限り早期に弁護士に相談することをおすすめします。
アトム法律事務所では、最短即日で接見して法的・精神的にご本人をサポートします。ご家族が闇バイトに関与して逮捕されてしまった方は、アトム法律事務所にいつでもご連絡ください。
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少年事件にも迅速に対応してもらえる
アトム法律事務所の弁護士は少年事件にも迅速に対応いたします。
少年事件は、成人の刑事事件とは異なり、要保護性(再非行に至る可能性)が重視されます。
そのため、たとえ被害額が多額であってもそのことから直ちに重い処分が下されるわけではありません。弁護士を通じ、非行性が進んでいないことを具体的に主張すれば、処分が軽減される可能性があります。
大切なお子さまが闇バイトに関与して、弁護士をお探しの方は、ぜひアトム法律事務所の弁護士にご相談ください。
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