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少年院に入る基準や罪の種類は?少年院送致に強い弁護士は?

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少年院に入る基準を詳しく知りたい方へ。

少年院とは、少年(20歳未満の者)が、家庭裁判所の審判において、少年院送致の決定を受けた場合に入ることになる施設です。

少年院送致になるかどうかは、非行事実(犯罪行為や虞犯行為)があり、かつ要保護性が高いといえるかどうかが基準になります。

この記事では、どのような場合に少年院送致となるのか、少年院とはどのようなところなのか解説します。

少年院送致を回避するために弁護士ができること(更生のための環境調整、被害者の方との示談、家裁の審判対応等)も説明しているので、ぜひ最後までご覧ください。

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少年院とは

少年院とは?どのような場合に少年院に入るの?

少年院は、家庭裁判所の審判において、「保護処分」として「少年院送致」の決定を受けた少年(おおむね12歳以上20歳未満の者)等が入る施設です。

少年院に入ると、少年の矯正教育や社会復帰支援等を受けることになります。

(少年院)
第三条 少年院は、次に掲げる者を収容し、これらの者に対し矯正教育その他の必要な処遇を行う施設とする。
一 保護処分の執行を受ける者
二 (※略)

少年院法3条

保護処分とは?

保護処分とは、家庭裁判所が非行少年に対して言い渡す処分のことです。

非行少年とは、少年法で定められた少年保護手続の対象となる少年で、犯罪少年、触法少年、虞犯少年のことです。

非行少年とは?

  • 犯罪少年
    14歳以上20歳未満の少年で、罪を犯した者
  • 触法少年
    14歳未満の少年で、罪に当たる行為をした者
  • 虞犯少年
    18歳未満少年で、一定のぐ犯事由が認められ、将来、罪を犯すおそれがある者

これらの非行少年に対する「保護処分」は、少年の健全な育成と更生を目的とする教育を目的とする措置であり、刑罰とは違います。

刑罰を受けると前科がつきますが、保護処分の場合は前科はつきません。

保護処分と刑罰の違い

保護処分刑罰
対象少年・成年
・一部の少年
目的教育犯罪の制裁
例 保護観察、
少年院送致 等
死刑、懲役、
禁錮、罰金 等
前科つかないつく

保護処分には、少年院送致のほか、保護観察、児童自立支援施設等への送致があります(少年法24条1項各号)。

保護処分(1)保護観察

社会内で更生できると判断された場合は、保護観察になります。

保護観察は、少年院に入ることはありません。家庭等で生活しながら、必要に応じで保護観察官・保護司から指導を受け、社会の中で更生を目指すものです。

保護処分(2)少年院送致

再非行のおそれが強く、社会の中で更生が難しいと判断された場合、少年院送致になります。

少年院に入ると、矯正養育を受けることになります。矯正教育では、再非行の防止、生活指導、職業指導等、全般的な指導がおこなわれます。

保護処分(3)児童自立支援施設等送致

比較的年齢の低い少年については、児童自立支援施設等へ送致する保護処分になることもあります。

少年院に入る年齢

実務上、おおよそ12歳以上26歳未満の少年が、少年院に入る可能性があります。

原則として、少年院に入るのは、14歳以上20歳未満の者です。

ただし、例外として、とくに必要と認められる場合は14歳未満の少年も、少年院送致されることがあります(少年法24条1項ただし書)。この場合、実務上、おおよそ12歳が目安です。

また、家庭裁判所の決定により、26歳まで収容が継続されるケースもあります(少年法56条2項)。

少年院の入所者の構成比

2023(令和5)年、少年事件(一般保護事件)で少年院送致になったのは合計1,591人で、全体の6.6%でした。

2023(令和5)年 一般保護事件の割合

割合
検察官送致(刑事処分相当)0.7%
検察官送致(年齢超過)1.7%
保護観察24.6%
児童施設送致0.5%
少年院送致6.6%
知事・児童相談所長送致0.4%
不処分17.1%
審判不開始48.4%
総数

令和6年 版犯罪白書令和6年版 犯罪白書 第3編/第2章/第2節/2 家庭裁判所3-2-2-3図 少年保護事件 終局処理人員の処理区分別構成比」より抜粋のうえ、編集しました。

少年院入所者の人数の推移は、以下のとおりです。

2023年度の少年院の入所者は1,632人で、前年の1,332人から増加しました。
男女比は、男子91.8%、女子8.2%となっています。

少年院入所者の人員(男女別)の推移

年次総数男子女子
2021年1,377人1,258人119人
2022年1,332人1,203人129人
2023年1,632人1,498人134人

令和6年 版犯罪白書第3編/第2章/第4節/2 少年院入院者3-2-4-1図 少年院入院者の人員(男女別)・女子比の推移」より抜粋のうえ、編集しました。

少年院に入る基準・少年院に入る罪

少年院に入るのは、(1)非行事実と(2)要保護性総合的に考慮して、少年院に入ることが少年の更生につながると家庭裁判所が判断した場合です。

それでは、詳しく見ていきましょう。

(1)非行事実の判断

少年に非行事実が認められる場合、少年院送致になる可能性があります。

非行事実の内容

  • 犯罪少年の犯罪行為
  • 触法少年の刑罰法令に触れる行為
  • 虞犯少年の保護者の監督に服しない行為 等

少年院送致になる非行事実については、以下のようなものが多いです。

男子の非行事実・罪種

男子が少年院に入る場合、窃盗罪、傷害罪・暴行罪、詐欺罪、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪等が多いです。

【男子】少年院入所者の非行名別構成比

非行名割合
窃盗罪23.2%
傷害罪・暴行罪21.9%
詐欺罪9.4%
不同意性交等罪・不同意わいせつ罪7.3%
強盗罪5.7%
道路交通法5.7%
恐喝罪4.9%
その他21.8%

* 『令和6年 版犯罪白書第3編/第2章/第4節/2 少年院入院者3-2-4-3図 少年院入院者の非行名別構成比(男女別、年齢層別)」より抜粋のうえ、編集しました。
* 第5種少年院に収容された者を除く。

女子の非行事実・罪種

女子が少年院に入る場合、窃盗罪、詐欺罪、傷害罪・暴行罪、覚醒剤取締法違反、虞犯(ぐはん)等が多いです。

虞犯とは、犯罪行為に至らないものの、不良な行状が認められることを指します。たとえば、家出、いかがわしい場所への出入り、売春等が虞犯の代表例です。

【女子】少年院入所者の非行名別構成比

非行名割合
窃盗罪18.7%
詐欺罪17.2%
傷害罪・暴行罪9.7%
覚醒剤取締法9.7%
虞犯9.7%
放火罪3.7%
麻薬取締法3.7%
その他27.6%

* 『令和6年 版犯罪白書第3編/第2章/第4節/2 少年院入院者3-2-4-3図 少年院入院者の非行名別構成比(男女別、年齢層別)」より抜粋のうえ、編集しました。

* 第5種少年院に収容された者を除く。

罪を犯していない場合や、非行事実が実際にはなかった場合は、審判不開始決定や不処分決定となる可能性があります。

できるだけ早く、少年事件に強い弁護士に相談しましょう。

(2)要保護性の判断

非行事実に加え、要保護性が高いと判断された場合、少年院送致になる可能性が高くなります。

要保護性とは、平たくいうと、少年に保護処分を与える必要性があるかどうかということです。

要保護性の判断基準は、犯罪的危険性、矯正可能性、保護相当性の3つです。

要保護性の3つの判断基準

犯罪的危険性少年の性格・環境に照らして将来再び非行に陥る危険性があること
矯正可能性保護処分による矯正教育をすることで再非行の危険性を除去できる可能性
保護相当性保護処分による保護が最も有効かつ適切な処遇であること

非行事実が軽微な場合でも、特に犯罪的危険性(再び非行に陥る危険性)が高い場合、「少年院送致」になる可能性があります。

具体的には、以前も同様の非行をしている場合、家庭環境が不安定である場合、不良交友が続いている場合等です。

要保護性を解消・低減するには?

要保護性が低減すれば「保護観察」、要保護性が完全に解消されれば「不処分」になる可能性があります。

要保護性を解消するためには、環境調整や被害者の方との示談が重要です。

非行事実を認める場合は、少年事件に強い弁護士に相談して、環境調整や示談交渉のサポートを受ける必要があります。

家庭裁判所での審判の流れ

それでは、少年事件で少年院送致はどのように決まるのでしょうか。少年事件は、事件発生から家庭裁判所送致を経て、少年審判が行われます。少年審判は以下のような流れで進行します。

審判の流れ

  1. 人定質問、黙秘権告知
  2. 非行事実の告知、少年及び付添人の陳述
  3. 非行事実の審理(証人尋問、少年本人質問等)
  4. 要保護性の審理(少年本人質問、保護者・関係者への質問等)
  5. 調査官・付添人の処遇意見の陳述
  6. 少年の意見陳述
  7. 決定の言渡し

少年院送致が決定されたら、早ければ即日、遅くとも数日以内に少年院に送致されることになります。

裁判所によっては、審判終了直後に、裁判所の庁舎内で少年と面会することができます。

少年院に入る期間・入ることになる少年院

少年院の種類

少年院には、第1種から第5種まであります。

犯罪傾向が進んでいるかどうか、心身に著しい障害があるかどうか等を基準に、各少年院に振り分けられます。

種類対象者
第1種少年院*¹ 保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がないおおむね12歳以上23歳未満のもの
第2種少年院*²保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害がない犯罪的傾向が進んだおおむね16歳以上23歳未満のもの
第3種少年院*³保護処分の執行を受ける者であって、心身に著しい障害があるおおむね12歳以上26歳未満のもの
第4種少年院少年院において刑の執行を受ける者
第5種少年院*⁴少年法64条1項2号の保護処分の執行を受け、かつ、同法66条1項の規定による決定を受けた者

*¹ 従来の初等少年院・中等少年院を統合したもの
*² 従来の特別少年院を解消したもの
*³ 従来の医療少年院に相当
*⁴ 新設

第1種少年院から第3種少年院までは、家庭裁判所の審判で、少年院送致が決定が決定した者が入る少年院です。
家裁が少年院送致決定をする場合、入る少年院の種類が指定されます(少年審判規則37条1項)。

第4種少年院は、刑罰の執行を受ける者が入る少年院です。懲役または禁錮の言渡しを受けた16歳未満の少年の場合、16歳になるまで、少年院で過ごすケースもあり、その際、第4種少年院に入ります(少年法56条3項)。

第5種少年院は、特定少年(18歳以上20歳未満の者)のうち、2年間の保護観察処分を受け、かつ、遵守事項違反により少年院送致となった者が入る少年院です。

女子が入る少年院

第3種少年院を除いて、少年院は男女別になります。

女子が入る少年院には、紫明女子学院、青葉女子学園、榛名女子学園、愛光女子学園、交野女子学院、貴船原少女苑、丸亀少女の家、筑紫少女苑、沖縄女子学園等があります。

少年院に入る期間

少年院に入る期間は、矯正教育課程に応じて、少年院に入る期間は変わります。

非行の傾向が強いほど、少年院での矯正教育を受ける時間がかかるため、収容期間は長くなります。

たとえば、重い罪を犯した場合、何度も罪をくり返している場合等です。

以下の表は、各矯正教育課程における標準的な収容期間と、2023(令和5)年度における少年院の収容人員をまとめたものです。

2023(令和5)年 矯正教育課程と標準的な収容期間

少年院
の種類
矯正教育課程標準的
な期間
人数
(人)
割合
(%)
第1種SE6か月
以内
110.7
第1種E1~22年
以内
714.4
第1種SA6か月
以内
16510.1
第1種A1~32年
以内
76046.6
第1種N1~32年
以内
57435.2
第2種A4~5
N4~5
2年
以内
1610.0
第3種D2年
以内
342.1
第4種J
第5種P13か月
以内
第5種P26か月
以内
10.1

令和6年版 犯罪白書 第3編/第2章/第4節/3「少年院における処遇」3-2-4-9表 少年院入院者の人員(矯正教育課程別)」より抜粋のうえ編集しました。

もっとも多いのは、第1種少年院でA1・A2・A3の矯正教育課程を受ける者で、この場合、標準的な収容期間は2年以内となります。

  • A1(社会適応過程Ⅰ)
    義務教育を終了した者のうち、社会適応上の問題がある者で、他の過程の類型には該当しないもの
  • A2(社会適応過程Ⅱ)
    義務教育を終了した者のうち、反社会的な価値観等、特質上特に問題となる事情を改善する必要があるもの
  • A3(社会適応過程Ⅲ)
    外国人等で、日本人と異なる処遇上の配慮を要する者

Q 旧法の場合は?

旧法下では、少年院に入る期間は以下のようなものでした。

短期処遇

短期処遇期間
特修短期処遇4か月以内
一般短期処遇6か月以内

長期処遇

長期処遇期間
比較的短期8か月から10か月
処遇勧告なし標準1年程度
比較的長期1年から2年以内
相当長期2年を超える期間

初等少年院・中等少年院における処遇は、短期処遇または長期処遇として実施されていました。

特別少年院・医療少年院における処遇は、長期処遇として実施されていました。


特定少年の場合

特定少年(18歳、19歳の者)の保護処分は、少年院送致、2年間の保護観察、6か月の保護観察から選択されます(少年法64条1項3号)。

少年院送致の場合、少年院に入る期間の上限は3年です(少年法64条3項)。

また、先ほども触れましたが、特定少年が2年の保護観察になった場合に、重大な遵守事項違反があったときは、「第5種少年院」に収容される可能性があります。この場合、少年院に入る期間の上限は1年です(少年法64条2項)。

少年院(一覧)

令和6年4月1日現在、少年院は、全国に43庁(分庁6丁を含む。)設置されています。

収容される少年院は、第1種から第5種のうち自分に適した少年院で、少年審判をおこなった家庭裁判所や自宅の近くにある施設です。

全国の少年院の所在地、連絡先等については、法務省「少年院一覧」をご覧ください。

少年院に入った後の生活

少年院の1日のスケジュール

少年院では、規則正しい生活をし、集団生活の中で人との接し方や社会のルールを学びます。

少年院の一日のスケジュールは、少年院ごとに異なりますが、目安としては以下のようなものになります。

少年院の一日(例)

6:30起床・役割活動
7:40朝食・自主学習等
8:50朝礼(コーラス・体操)
9:00生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導、運動等
12:00昼食、余暇等
13:00生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導、運動等
17:00夕食・役割活動
18:00集団討議、教養講座、個別面談、自主学習、日記記入等
20:00余暇等(テレビ視聴等)
21:00就寝

法務省矯正局『明日につなぐ 少年院のしおり』P.2「少年院の一日(例)」

少年院の矯正教育の内容

少年院では、改善更生と円滑な社会復帰のために、矯正教育が行われます。

少年の状況に応じて、1級から3級までの3段階に処遇が分かれます(少年院法16条)。

少年院に入ったら、まず3級に編入され、矯正教育が実施されます。

その後、1級を目指して、改善更生に励みます。少年個人の状況等に応じて、級が上がったり下がったりします。

なお、1級に達した場合、仮退院が検討されます。

在院者の処遇(3段階)

段階内容
1級 出院準備教育退院後の生活設計を建てる
2級中間期教育問題改善のための具体的指導を受けて、更生に取り組む
3級新人時教育問題改善の意欲を喚起・目標を設定する

矯正教育の具体的な内容としては、生活指導、職業指導、教科指導、体育指導、特別活動指導等です。

生活指導

生活指導とは、善良な社会の一員として自立した生活を送るために、基本的な知識や生活態度を身に着けるための指導のことです(少年院法24条)。

基本的な生活訓練、感情コントロールの練習、再犯防止や被害者の心情理解等、多岐にわたります。

全体講義、面接指導、作文指導、日記指導、グループワーク等の方法がとられます。

生活指導の例

  • 基本的生活訓練
  • 問題行動訓練
  • 治療的指導
  • 被害者心情理解指導
  • 保護関係調整指導
  • 進路指導
  • 特定生活指導(被害者の視点を取り入れた指導、薬物非行・性非行・暴力の防止指導、家族関係指・交友関係指導、成年社会参画指導) 等

職業指導

職業指導とは、就労意欲を高め、職業上有用な知識と技能を習得するための指導のことです(少年院法25条)。

職業生活設計指導と職業能力開発指導がおこなわれます。

職業生活設計指導の例

  • 必修プログラム
    ビジネスマナー、パソコン操作、キャリアカウンセリング等の指導
  • 選択プログラム
    職場の安瀬衛生、接客の基本知識等の指導

職業能力開発指導の例

  • ICT技術科(例:プログラミング)
  • 総合建設科(例:電気工事、溶接、土木建設)
  • 製品企画科(例:農園芸、木工、手芸、陶芸)

溶接、土木・建築、ICT、車両の運転等の資格・免許を取得をする人もいます。

取得できる資格の例

  • 大型特殊自動車第一種免許
  • フォークリフト運転技能講習終了証
  • ガス溶接技能講習終了証
  • 介護職員初任者研修終了証
  • 危険物取扱者(乙種・丙種)免状 等

※『北海道少年院』「北海道少年院の処遇内容」より抜粋

教科指導

教育指導とは、学校教育法に定める学校教育に準ずる内容の指導です(少年院法26条)。

義務教育を終了していない少年でも、少年院の中で、学習指導要領に沿って、基礎学力をつけることができます。

希望した場合、高等学校卒業程度認定試験を受験することもできます。

体育指導

体育指導とは、自立した社会生活を営むための、健全な心身を育てる指導です(少年院法28条)。

持久走、基礎体力トレーニング、ソフトボール、卓球、バドミントン、バレーボール、エアロビクス、水泳、スキー、ダンス等をおこないます。

特別活動指導

特別活動指導とは、情操を豊かにし、自主性・自律性・協調性を育てるための指導です(少年院法29条)。

社会貢献活動(例:福祉施設ボランティア、清掃活動)、役割活動(例:日直、図書係)、レクリエーション(例:運動会、誕生会)、クラブ活動(例:書道、美術、音楽)等をおこないます。

少年院の食事・入浴・髪型

少年院の食事

少年院では、1日3回の給食があります(少年院法施行規則23条1項1号)。

麦ごはんとみそ汁を中心にした和食や、うどん、ラーメン、スパゲッティ、カレーライス等が出ることもあります。

少年院の入浴

少年院の入浴は、少年院に入った後すみやかにおこなわれるほか、1週間に2回以上入浴できます(少年院法施行規則30条)。

少年院の髪型

髪については、男子は、少年院に入ってすぐ調髪・ひげ剃りをします。その後、調髪はおおむね1か月に1回、髭剃りは1週間に2回以上します(少年院法施行規則31条1項、同2項)。

男子の髪型は、基本、オーツショート刈り又はショートバック刈りです(在院者の保健衛生及び医療に関する訓令6条1項(1)本文)。ただし、第5種少年院の在院者や出所が近い者等は、華美にわたることなく、清楚な髪型とされます(同6条1項(1)ただし書、同2項)。

女子は、必要に応じて調髪されます(少年院法施行規則30条3項)。女子は、華美にわたることなく、清楚な髪型とされます(在院者の保健衛生及び医療に関する訓令6条1項(2))。

少年院の面会・通信のルール

ご家族等が面会する場合、少年院長によって、面会の人数・場所・日・時間帯等を制限されることがあります。ただし、その場合でも、1か月に2回面会可能とされています。

ご家族等の面会の場合、少年院の職員が立ち会い、録音、録画される可能性もあります。

一方、少年の付添人・弁護人、あるいはそれらになろうとする者の場合は、原則として、日時・回数の制限なく面会ができます。

弁護士の面会の場合、少年院の職員による立会や録音・録画も許されません。

付添人・弁護人それ以外
面会の制限原則なし制限あり
立会・録音等なしあり

手紙のやりとりについては、相手方が矯正教育の実施に支障を生じるおそれがある場合を除いて、基本的に許されます。

さらに、少年院では、改善更生又は円滑な社会復帰に資すると認められる場合、電話等で通信することが可能になります。

少年院送致を回避するために弁護士がサポートできること

更生のための環境改善

少年院送致になるケースは、要保護性が高いケースです。

少年事件の背景には、少年自身の未熟性や精神疾患があることが多く、それらの問題が解消しなければ、要保護性を解消することができません。

少年事件に強い弁護士は、非行や犯罪に走った原因が何だったのかを、少年と面談しながら一緒に考えます。

特定のクリニックや心療内科等における治療が必要な場合は、その提案もおこないます。

そして、少年が意欲をもって更生の努力ができるよう、真摯に向き合います。

また、要保護性の解消のためには、今後の更生のための環境改善も、非常に重要です。

たとえば、ご家庭でのサポートが必要になります。

少年事件に強い弁護士は、ご家族として少年をどのようにサポートしていくべきか提案ができます。

そして、ご家族が監督していく旨を誓約書にまとめて、裁判所に提出し、少年院送致を回避するための弁護をおこないます。

また、少年が社会の中で更生できるように、在学中の少年の場合は、学校側に、少年の受入れ体制を整えてもらうことも重要です。

少年事件に強い弁護士は、学校に少年の状況を伝えながら、今後、学校に復帰する際の条件を話合ったり、協力を促したりします。

示談交渉・被害弁償

示談とは

示談とは、加害者が、被害者に対して謝罪をおこない、和解の合意をすることです。

少年事件の場合も、示談や被害弁償をすることで、処分の軽減につながる可能性があります。

当事者間では事件が解決したこと、少年自身が反省していること等を示す事情となるからです。

少年事件に強い弁護士に依頼することで、スムーズな示談交渉が期待できます。

家庭裁判所での審判対応

少年審判では、少年の権利を擁護する役割の「付添人」を選任することができます。

弁護士を付添人とすることが多いです。

付添人となった弁護士は、審判が開かれるまでに少年と何度も面会し、反省を深められるようにサポートします。

並行して、家庭が学校に働きかけて、更生のための環境調整を積極的におこないます。

そして、審判当日、付添人は、少年の反省の様子や、環境調整ができていることを主張しながら、裁判官を説得し、処分の軽減を目指します。

少年院についてよくある質問

Q 少年院と少年刑務所の違いは?

少年院と少年刑務所は違います。

少年刑務所は、罪を犯して懲役刑等の刑罰が確定した16歳以上20歳未満の者が入る施設です。

令和6年4月1日現在、少年刑務所は、全国で計7庁あります。

少年院と少年刑務所の違い

少年院少年刑務所
対象・少年院送致を受けた少年
・おおむね12~26歳
・懲役・禁錮を受ける少年
・16~20歳
目的教育制裁
内容矯正教育、指導刑務作業、指導
場所43庁7庁

Q 少年院と少年鑑別所の違いは?

少年鑑別所とは、少年の鑑別等を行う施設です。

鑑別とは、「鑑別」とは、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識及び技術に基づき、少年が非行に走った原因や更生の方法等を調査することです。

鑑別の結果は、少年審判で処分を決めるための判断材料になります。

Q 少年院の仮退院制度とは?

少年院の仮退院制度とは、少年院に収容されている少年を仮に退院させる制度のことです。

仮退院の期間中は、保護観察の対象になります。

保護観察では、必要な指導、住居や仕事の確保等の支援がおこなわれます。

2023(令和5)年度、少年院の出院者は1,328人でしたが、このうち1,327人(99.9%)が仮退院者でした。

矯正教育課程「SE」「SA」の仮退院者の平均在院期間は144日、それ以外の矯正教育課程の者は389日でした(『令和6年 版犯罪白書第3編/第2章/第4節/4「出院者」より)。

Q 12歳未満も少年院に送致される?

少年法の規定では、「おおむね」12歳以上の少年であれば、少年院送致できると書かれています(少年院法4条1項1号、同3号参照)。

絶対に12歳以上でなければならないとは書かれていないので、場合によっては12歳未満も少年院送致になる可能性はあります。

少年矯正統計では、12歳未満で少年院送致になったケースは明確には分かりませんが、参考までに、少年院の収容人数(年齢別)の統計をご紹介しておきます。

2023年度、少年院送致となったのは全体で1,632人、そのうち「12歳以下」の人数は0人となっています。

また、直近5年間で見た場合でも、「12歳以下」で少年院送致になったのは最大で2人という結果になっており、非常に少ないことが分かります。

少年院の収容人数(年齢別)
少年矯正統計調査 少年矯正統計 少年院 
少年院別 新収容者の年齢 
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003286987

2023年度少年矯正統計(少年院)少年院別 被収容者の年齢」(年次:2019年~2023年)より数値を抜粋のうえ、編集しました。

Q 少年院への入所は前科?前歴?

少年院への入所歴は、前科(ぜんか)にはなりません。

前科とは、刑事裁判で有罪が確定した履歴のことを指します。

少年院送致は、有罪が確定したわけではないため、前科にはなりません。

ただし、少年院送致は、前歴になります。

前歴とは、捜査や調査等を受けた履歴のことをいいます。

前歴は消えることはありませんが、前歴による不利益を受ける可能性は低いです。

前科があると海外渡航や各種資格について、法律上制限がかかりますが、前歴の場合、そのような制限はありません。

ただし、前歴に関する情報は、国家機関に保管されるます。再度、非行に走った場合は、その前歴を参照され、より重い処分が下される可能性があるでしょう。

前科と前歴の違い

前科前歴
意味有罪が確定した履歴捜査等をうけた履歴
裁判で懲役刑が確定した審判で少年院送致が決定した
不利益・海外渡航の制限
・職業資格の制限
・選挙権の制限
・前歴の記録が残る

Q 保護観察中の再犯・再非行は少年院送致になる?

保護観察中に再犯・再非行をしてしまった場合、少年院送致になる可能性があります。

たとえば、2023年度、少年院に収容された者の身上は以下のとおりです。

新収容者の非行時の身上

人数割合
1号観察中511人31.3%
特定1号観察中100人6.1%
2号観察中158人9.7%
特定2号観察中5人0.3%
試験観察中63人3.9%
施設在所中6人0.4%
該当なし789人48.3%
総数1,632人

少年矯正統計調査 少年矯正統計 少年院新収容者の非行名別 非行時の身上及び矯正教育課程・処遇課程等 非行時の身上」より数値を抜粋のうえ、編集しました。

少年審判で決定した保護観察中に、再犯・再非行におよんでしまい、少年院送致になった者としては、「1号観察中」の少年や「特定1号観察中」の少年がいます。

1号観察中の再犯・再非行と少年院送致

1号観察とは、家庭裁判所による保護処分として決定された保護観察のことです。

2023年度、1号観察中の再犯で少年院送致になった少年は、511人(6.1%)でした。

特定1号観察の再犯・再非行と少年院送致

特定1号観察とは、少年法64条1項2号にもとづく、特定少年に対する2年間の保護観察)のことです。

この2年間の保護観察中に遵守事項違反をしてしまうと、特定少年は、1年以下の範囲内で少年院に入る可能性が生じます。

遵守事項には、以下のようなものがあります。

遵守事項の例
一般遵守事項・再犯しない、再非行に走らない
・保護観察官等の指導監督を誠実に受ける
・届け出た住居で生活する
・転居、7日以上の旅行には許可をもらう
特別遵守事項・犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り等しない
・労働、通学等をおこない、健全な生活を続ける
・生活上・身分上の特定の事項を保護観察官等に申告
・特定の犯罪的傾向を改善するための処遇を受ける
・特定の場所に一定期間宿泊して指導監督を受ける
・社会貢献活動等をおこなう
・その他指導監督に必要な事項を守る

2023年、特定1号観察中の再犯・再非行で少年院送致になった少年は、100人(31.3%)でした。

少年事件を弁護士に依頼するには?

少年事件に強い弁護士の選び方

少年事件に強い弁護士の選び方

  • 解決実績が豊富な弁護士か?
  • 迅速な対応ができる弁護士か?
  • 弁護士との相性はどうか?

少年事件に強い弁護士は、少年事件の解決実績が豊富で、迅速な対応ができる弁護士です。

少年事件では、要保護性の低減・解消に向けた弁護活動が非常に重要となります。

少年事件の解決実績が豊富な弁護士であれば、どのような対応をすべきか分かるので安心して、依頼することができます。

また、少年事件に強い弁護士は、迅速な対応ができる弁護士です。

少年事件は、逮捕・勾留されたり、少年鑑別所に収容されたりする可能性があるため、釈放のために迅速な対応を求められることもよくあります。

また、少年審判までの期間に、環境調整や被害者の方との示談を進めておく必要もあります。

そのため、スピーディーに対応できる弁護士に依頼するべきです。

そして、弁護士との相性も大切です。

弁護士は、少年と面談しながら、内省をサポートします。弁護士との相性が良ければ、少年は本音を話しやすいです。弁護士との対話の中で、自分の行動をよりよく振り返ることができ、更生に意欲的になります。

このような内省と更生の意欲の高まりは、家庭裁判所での審判において、少年院送致を回避できる可能性を高める要素になります。

少年事件の弁護士費用

少年事件の弁護士費用は、弁護士事務所ごとに異なります。

事件の難易度や成果に応じても、弁護士費用が変わってきます。

弁護士費用の目安

項目内容
法律相談料正式な依頼前にかかる弁護士相談の費用
・初回、無料
・30分、数万円
着手金正式に依頼するときにかかる弁護士費用
・約60万円~80万円程度
報酬金弁護活動の成果に応じて発生する費用
・示談成立:1件〇〇万円
・処分回避:〇〇万円
出張日当示談や審判等への弁護士の出張日当
・時間や場所による
実費事件処理に必要な通信費等の実費

少年院のお悩みはアトムの弁護士にご相談を

まとめの一言

家庭裁判所の審判で、要保護性が高いと判断された場合、少年院送致になってしまいます。

少年院送致の可能性を下げるには、早期に弁護士に相談し、要保護性を低減・解消するためのサポートをしてもらう必要があります。

要保護性を解消するには、環境調整、被害者の方との示談等が非常に重要です。

少年事件でお悩みの方は、少年事件に強いアトム法律事務所の弁護士まで、是非ご相談ください。

アトム弁護士の解決事例

アトム法律事務所は2008年創業以来、刑事事件の弁護活動に注力してきました。

少年事件の解決実績も豊富な弁護士集団です。

こちらでは、アトム法律事務所が過去に取り扱った少年事件について、プライバシーに配慮したかたちで、一部ご紹介します。

少年事件:撮影罪(審判不開始)

少年が、電車内で、自分のスマホを使い、女性を盗撮した事案。被害者に見つかり、警察で事情聴取された。


弁護活動の成果

被害者の方に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。
再犯防止のために、カウンセリングに通院した。また、盗撮できないように自身のスマホの設定を変えた。原付免許を取得し公共交通機関を利用せずに、通学できるようにもした。
結果、処分不開始で終結となった。

最終処分

処分不開始

少年事件:複数の窃盗事件(不処分)

少年が、学校内で、仲間と共謀して合計11件の窃盗をした事案。少年が成人間近であったため、早期解決が必要となった。


弁護活動の成果

被害者の方に謝罪と賠償を尽くし、11件中9件で、示談が成立。
贖罪寄付もおこなった。

少年審判でのサポートもおこない、不処分で終結となった。

最終処分

不処分

少年事件:ひったくり(保護観察)

少年が、路上で、被害者の後をつけ、暗がりでバックをひったくりした事案。逮捕された。


弁護活動の成果

受任後、裁判所に意見書を出し、勾留を阻止。

被害者の方に謝罪と賠償を尽くし、示談が成立。

少年自身の言葉で被害者に謝罪を述べたほか、少年センターのプログラムに参加した。

結果、少年院送致を回避。保護観察となった。

最終処分

保護観察

アトムの弁護士相談:24時間予約受付中

アトム法律事務所は、現在、24時間365日相談ご予約受付中です。

警察沙汰になった少年事件については、初回30分無料で弁護士相談が可能です。

  • 息子が逮捕されてしまった
  • 少年事件で警察から呼び出しを受けた 等

少年事件のお悩みは、アトム法律事務所弁護士までご相談ください。

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24時間365日いつでも相談予約受付中 0120-204-911

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。

岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了