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頻発する盗撮の状況 – 風呂・浴室での盗撮

2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。

頻発する盗撮の状況

弊所がご相談や弁護のご依頼をいただく盗撮事件、ニュース等で取り上げられる盗撮事件において、よく見られる盗撮の状況を紹介します。似た状況で盗撮を行い、警察に逮捕・検挙されてしまった方やそのご家族の方は、お一人で悩みを抱えず、盗撮事件に強いアトム法律事務所の弁護士にご相談下さい。

風呂・浴室での盗撮

風呂・浴室での盗撮事件の事例

露天風呂で盗撮の疑い 仕切りの上からスマホで撮影 那須塩原のホテル

栃木県警那須塩原署は10日、ホテルの露天風呂で女性の裸の動画を盗撮したとして、性的姿態撮影処罰法違反(撮影)の疑いでX容疑者を逮捕した。逮捕容疑は9日午後5時45分ごろ、那須塩原市のホテルの貸し切り露天風呂で入浴していた女性会社員の全裸を、スマートフォンの動画機能を使って撮影したとしている。署によると、露天風呂に設置された仕切りの上から撮影していた。ホテル従業員が110番通報した。

(産経新聞 2023年)

浴室の場度からスマホを差し向けて撮影 会社員男性を逮捕

千葉県警八千代署は、千葉県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで自称八千代市、自営業の男(42)を逮捕した。逮捕容疑は、市内の会社員男性(36)方の浴室の窓からスマートフォンを差し向けて動画を撮影しようとした疑い。同署によると、入浴中の男性がスマートフォンに気付き、逃げた容疑者を裸のまま走って追跡。路上で身柄を取り押さえ、「誰か110番を」との声を聞いた近隣住民が通報した。容疑者は「見てはいけないものを見たいという気持ちが高ぶり、我慢できずに盗撮してしまった」と容疑を認めている。窓は下部だけが開くタイプだった。
(千葉日報 2021年)

盗撮目的で敷地に侵入 会社員男性を逮捕

他人の家の敷地内に侵入したとして、神奈川県警座間署は、住居侵入の疑いで、同県海老名市上今泉の会社員、X容疑者(52)を逮捕した。容疑を認めている。逮捕容疑は、会社員男性(48)とその家族が住む同県座間市の住宅の敷地内に正当な理由なく侵入したとしている。同署によると、X容疑者は男性宅の風呂場の外に立っていたところを家人に発見され、ほかの家族が110番通報。駆け付けた同署員の任意同行の求めに応じた。同署はX容疑者が盗撮目的で男性宅敷地内に侵入したとみて、事件の詳しい経緯について捜査を進めていく方針。
( 産経新聞 2021年 )

入浴中の女性を盗撮目的で住居侵入 トラック運転手を逮捕

三重県四日市市内で入浴中の女性を盗撮したとして、39歳の男が住居侵入などの容疑で再逮捕されたことが判明。逮捕されたのは、大阪府在住のトラック運転手(39)。三重県四日市市の住宅に侵入し、入浴中の女性をスマートフォンのカメラで撮影した。男はトラックの運転で全国を回り、訪れた先で犯罪を繰り返しており、愛知県内で17歳の少年が入浴する様子をスマホで撮影したとして、逮捕されていた。その後、警察が押収したスマートフォンを確認したところ、余罪が発覚。警察によると、今回逮捕された事件のほかにも、動画などが約70枚程度保存されていたという。警察の取り調べに対し、男は「女性の裸を撮影したかった」「約3年前から宮城県から山口県まで全国100件くらいやった」などと供述している。
(excite.ニュース 2020年)

盗撮目的でボイラー室に侵入 図書館司書の男を逮捕

京都府警福知山署は、風呂場の盗撮目的で福知山市内のホテルのボイラー室に侵入したとして、宮津市立図書館司書の男(28)を建造物侵入の疑いで逮捕した。同署によると、容疑者は、ホテルのボイラー室に正当な理由なく侵入した疑い。ホテル従業員の通報で駆け付けた署員が逮捕した。「風呂場の盗撮目的だった」と話し、容疑を認めていると言う。市職員の逮捕を受けて、宮津市の城﨑雅文市長は「痛恨の極み。市政に対する信頼を著しく失墜させる事態となり深くお詫び申し上げます」とコメントを出して謝罪。容疑者の処分については、今後の捜査の進展状況などを踏まえて厳正に対処するとしている。

(両丹日日新聞 2020年)

風呂・浴室での盗撮の違法性

撮影罪

風呂・浴室での盗撮は、原則として撮影罪に問われます。

撮影罪とは「性的姿態等撮影罪」の略称で、体の性的な部位や下着などを相手の同意なく撮影したり、盗撮したりする罪のことです。

撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」となります。

次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

 人の性的な部位(性器若しくはこう門若しくはこれらの周辺部、でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

 イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十七条第一項に規定する性交等をいう。)がされている間における人の姿態

 刑法第百七十六条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

 行為の性質が性的なものではないとの誤信をさせ、若しくは特定の者以外の者が閲覧しないとの誤信をさせ、又はそれらの誤信をしていることに乗じて、人の対象性的姿態等を撮影する行為

 正当な理由がないのに、十三歳未満の者を対象として、その性的姿態等を撮影し、又は十三歳以上十六歳未満の者を対象として、当該者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者が、その性的姿態等を撮影する行為

 前項の罪の未遂は、罰する。

 前二項の規定は、刑法第百七十六条及び第百七十九条第一項の規定の適用を妨げない。

迷惑防止条例

撮影罪が導入される前の風呂や浴室の盗撮は、基本的には各都道府県が定めている迷惑防止条例によって処罰されます。

一例として、東京都の迷惑防止条例では下記の通り定められています。

第5条 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行 為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

(1) 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人 の身体に触れること。

(2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体 を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し 向け、若しくは設置すること。 イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる ような場所 ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用 し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

(3) 前2号に掲げるもののほか、人に対し、公共の場所又は公共の乗物において、卑わいな言 動をすること。


第8条 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(2) 第5条第1項又は第2項の規定に違反した者

2 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(1) 第5条第1項(第2号に係る部分に限る。)の規定に違反して撮影した者

(2) 第5条の2第1項の規定に違反した者

4 次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

(3) 第5条第3項又は第4項の規定に違反した者

7 常習として第2項の違反行為をした者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

8 常習として第1項の違反行為をした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

10 常習として第4項の違反行為をした者は、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

風呂・浴室における盗撮の類型は、内部又は外部にビデオカメラ等を仕掛けて撮影するものと、外部から犯人が直接撮影をするものが考えられます。見知らぬ男性に、自分の極めてプライベートな部分・行為を密かに撮影されるということは、これを知った女性を極めて強く羞恥させ、不安を覚えさせる行為といえます。

軽犯罪法、建造物侵入罪など

個人宅の風呂や浴室などの盗撮をしたとしても、撮影罪にも迷惑防止条例にも該当しないような場合には、軽犯罪法、刑法(建造物侵入罪)に問われる可能性があります。

(軽犯罪法)
第一条  左の各号の一に該当する者は、これを拘留又は科料に処する。
二十三  正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

軽犯罪法上は、風呂・浴室の種類に限定がない為、風呂・浴室の盗撮一般を取り締まることができます。しかし、法定刑が拘留又は科料しかなく、迷惑防止条例の場合と比して著しく刑が軽いといえます。

(住居侵入等)
第百三十条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

本罪は、盗撮行為そのものではなく、盗撮のため、または、盗撮用カメラ等の設置、あるいは回収のための風呂・浴室の侵入行為を取り締まることができます。例えば、カメラに映っていた映像が不鮮明で被害者が特定できない等の場合、迷惑防止条例での立件は難しいのですが、住居侵入罪で対処することができます。

盗撮事件が風呂・浴室で頻発する背景

風呂・浴室は、しばしば盗撮事件が生じている場所です。警視庁が令和二年に公表した警察白書によると令和元年の盗撮の摘発件数は3,953件で、そのうち通常衣服を着けない場所(住居,便所,浴場,更衣室等)での盗撮は920件に上ります(全体の23.2%)。但し、これは迷惑防止条例で検挙された人数の統計です。風呂・浴室の盗撮を取締まる条項をもたない迷惑防止条例があること、軽犯罪法、建造物侵入罪で検挙されている事件が相当数あることを考えると、風呂・浴室での盗撮事件の件数はもっと多いと考えられます。
風呂・浴室で盗撮事件が起こりやすいのは、どうしてでしょうか。それは、風呂・浴室が、(1)被害者となり得る女性が集まる、(2)盗撮に都合のいい環境がある、(3)盗撮の手段となる道具を用いやすい、場所だからだと考えられます。

(1) 風呂・浴室は盗撮の被害者となり得る女性が集まる場所

当然のことのようですが、盗撮事件が生じるのは、盗撮の対象となる女性がいる場所です。
公衆浴場は、不特定多数者に解放されており、多くの女性が訪れます。当然のことながら、女性用の風呂・浴室は女性しか利用しませんので(幼児を除く)、風呂・浴室には被害者となり得る女性が集まる場所と言えます。
なお、個人宅にある風呂・浴室が盗撮の対象とされることもしばしばありますが、こちらは特定の女性を対象としている場合であることが多いようです。

(2) 風呂・浴室は盗撮に都合のいい環境がある場所

風呂・浴室は、当然のことながら、女性が裸体で過ごす場所です。また、基本的に風呂・浴室には照明があるため、女性の裸体が見えやすい場所であるといえます。
さらに、女性によって個人差があるものの、入浴時間は10分〜30分程度あるため、犯人にとっては比較的長時間女性の裸体を盗撮することが可能な場所であるといえます。
この点が、もっとも風呂・浴室の盗撮を行う動機付けになると考えられます。

公衆浴場では、一般的に男性用と女性用の区画が厳格に分かれており、一般の男性が女性用の区画に侵入すれば社会的には「変質者」、刑法上は建造物侵入罪を犯した者として扱われます。また、公衆浴場では男性が女性の、女性が男性の風呂・浴室に行かないように、監督をしている従業員がいます。そのため、公衆浴場の盗撮は困難な犯罪であるとも考えられます。
しかしながら、①公衆浴場の場合管理人がいるため、個人宅の場合安心できるはずの自宅であることから、盗撮への警戒が薄くなりがちなこと、②基本的に、小型カメラ等の位置は固定のままでよく、調整技術が必要ないこと、③一般にトイレ内には防犯カメラがなく犯行の証拠が残りにくいこと、④自動で撮影できる小型カメラ等を用いれば、盗撮の際に現場にいる必要がなく、捕まるリスクが低いこと、から風呂・浴室は盗撮の手段となる道具を用いやすい側面もあるといえます。


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