盗撮に強い弁護士

頻発する盗撮の状況 – ショッピングモールでの盗撮

2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。

頻発する盗撮の状況

弊所がご相談や弁護のご依頼をいただく盗撮事件、ニュース等で取り上げられる盗撮事件において、よく見られる盗撮の状況を紹介します。似た状況で盗撮を行い、警察に逮捕・検挙されてしまった方やそのご家族の方は、お一人で悩みを抱えず、盗撮事件に強いアトム法律事務所の弁護士にご相談下さい。

ショッピングモールでの盗撮

ショッピングモールでの盗撮事件の事例

女子高生を後ろから盗撮 20代男性を逮捕

千葉県警市川署は、県迷惑防止条例違反(盗撮)の疑いで市川市、自称飲食店従業員の男(25)を逮捕した。逮捕容疑は同市南八幡の商業施設で、買い物中の女子高校生(17)=県内在住=のスカート内を背後からスマートフォンで撮影した疑い。同署によると、容疑を認めている。容疑者の不審な行動に気付いた女性の知人男性が取り押さえた。
(千葉日報 2021年)

静岡県職員が盗撮で逮捕 示談が成立したが減給の懲戒処分

静岡県御殿場市のアウトレットモールで、県職員の男性(53)がスマートフォンで女性(24)の下半身を盗撮し、県迷惑防止条例違反で逮捕された。両者の間で示談が成立し、男性は起訴猶予となり、県は減給6カ月(10分の1)の懲戒処分を下して事件は幕を閉じた-。よくある盗撮事件のようだが、当時、女性はスカートではなく、ズボンを着用。事件に対し、「どこが盗撮なのか?」と疑問の声も上がった。最近は服の上からの撮影でも盗撮行為として逮捕されるケースが急増。どこからが盗撮行為にあたるのか。
(産経新聞 2015年)

ショッピングモールでの盗撮の違法性

ショッピングモール(複合商業施設)での盗撮は、撮影罪に該当します。

撮影罪とは「性的姿態等撮影罪」の略称で、体の性的な部位や下着などを相手の同意なく撮影したり、盗撮したりする罪のことです。

撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」となります。

撮影罪が導入される前の盗撮事件であれば、各県が定める迷惑防止条例に違反します。
ここでは、大阪府迷惑防止条例(大阪府公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例)に基づいて、ご説明します。

第六条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

一 人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で、衣服等で覆われている内側の人の身体又は下着を見、又は撮影すること。

二 みだりに、写真機等を使用して透かして見る方法により、衣服等で覆われている人の身体又は下着の映像を見、又は撮影すること。

3 何人も、住居、浴場、便所、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所における当該状態にある人に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

二 みだりに、姿態を撮影すること。

4 何人も、第一項各号又は前項第二号の規定による撮影の目的で、写真機等を人に向け、又は設置してはならない。

上記にいう「公共の場所」とは、道路、公園、広場、駅、空港、ふ頭、興行場その他の公共の場所(乗車券等を公衆に発売する場所を含む)をいい、「公共の乗物」とは、汽車、電車、乗合自動車、船舶、航空機その他の公共の乗物をいいます。
ショッピングモールにおける盗撮の多くは、エスカレーターや階段を上っている、あるいは陳列された商品を眺めている女性の後方から、スカートの中にスマートフォン等を差入れて、下着等の撮影をするというものですが、見知らぬ男性に、自分の極めてプライベートな部分を密かに撮影されるということは、女性を極めて強く羞恥させ、不安を覚えさせる行為といえます(1号)。

ショッピングモールでの盗撮事件の裁判例

神戸地方裁判所平成18年(わ)第559号
(事案の概要)
被告人が、神戸市の商業施設地下2階から地下1階に通じる上りエスカレーター上において、動画撮影状態にした動画撮影機能付携帯電話機を口の開いた手提げかばん内に入れ、被害女性(23)に対して,その後方からスカートの下に同手提げカバンを差し入れてそのスカート内を撮影したという事案。
(判決)
被告人を罰金30万円に処する。
その罰金を完納することができないときは,金5000円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
神戸地方検察庁で保管中の携帯電話機1台を没収する。
(量刑要旨)
被告人が同種の盗撮を繰り返していたこと、本件が計画的犯行であること、被害者の被害感情が強いこと、被告人に前科がないこと。

最高裁判所第三小法廷平成19年(あ)第1961号
【事案の概要】
被告人が、被害女性を背後から約5分間付けねらい、デジタルカメラ機能付携帯電話で、ズボンを着用した同女の臀部を、約11回撮影した件について、一審は無罪だったが、二審は罰金30万円となったため、被告人が上告したという事案。
【判決】
本件上告を棄却する。
【理由の要旨】
本件撮影行為は,被害者がこれに気付いておらず,また,被害者の着用したズボンの上からされたものであったとしても,社会通念上,性的道義観念に反する下品でみだらな動作であることは明らかであり,これを知ったときに被害者を著しくしゅう恥させ,被害者に不安を覚えさせるものといえるから,北海道迷惑防止条例10条1項,2条の2第1項4号に当たるというべきである。これと同旨の原判断は相当である。

盗撮事件がショッピングモールで頻発する背景

ショッピングモール等の商業施設(以下、「ショッピングモール等」といいます。)は、盗撮事件が起きやすい場所です。警察庁が令和二年に公表した警察白書によると令和元年の盗撮の摘発件数は3,953件で、そのうちショッピングモール等での盗撮は977に上り(全体の24,7%)、統計全体の1位となっています。
ショッピングモールで盗撮事件が起こりやすいのは、どうしてでしょうか。それは、ショッピングモールが、(1)盗撮の加害者・被害者となり得る人が多い、(2)盗撮の機会が生じやすい、(3)盗撮の手段となる道具を用いやすい、(4)盗撮をしていることが気付かれにくい場所だからだと考えられます。

(1) ショッピングモールは盗撮の加害者・被害者となり得る人が集まる場所

当然のことのようですが、盗撮事件が生じるのは、盗撮を行う男性と盗撮の対象となる女性がいる場所です。男性と女性がいない場所では盗撮事件は起きません。逆に、盗撮の潜在的な加害者となる男性と被害者となる女性が多く集まる場所では、人の少ない場所よりも相対的に盗撮事件が生じやすくなります。
ショッピングモールは、複合商業施設というように、百貨店、スーパー、映画館、家電量販店、専門店、飲食店、サービス店、アミューズメント店等様々な施設が集まって構成されています。買物、食事、娯楽等、様々な需要を満たすことのできるショッピングモール等の集客力は高く、男女問わず大勢の人が集まる施設となっています。特に休日は、家族連れやカップルも多く、大勢の人が集中します。

(2) ショッピングモールは盗撮の機会が生じやすい場所

平成23年の警察庁の発表によると平成22年の盗撮の摘発件数は1,741件で、そのうちの98%に当たる1,702件が「下着などの盗撮」でした。平成25年の警察白書には盗撮された部位に関する統計は掲載されていませんが、下着など、スカートの下から密かに撮影がされているケースが多いと考えられます。
ショッピングモールは、エレベーターやエスカレーターで各階を結んでおり、客はこれらを用いて移動をします。そのため、これらの場所で女性の背後や背後下方にいることが不自然ではありません。また、商品を手にとって眺めたり、娯楽に興じたりしている際は周囲への警戒が薄れます。そのため、「下着などの盗撮」を行う機会が生じる場所が多い施設といえます。

(3) ショッピングモールは盗撮の手段となる道具を用いやすい場所

ショッピングモールには各階にわたり様々な店舗があるため、一般的に滞在時間は長く、その間、女性がエレベーター、エスカレーターで上下に階移動を行ったり、陳列された商品を眺めたりするため静止する時間が多くあります。
エレベーター等を使用している時間でスマホや携帯電話を見るという行為は一般化しており、これらを操作している男性がいても、違和感はありません。また、ショッピングモールを訪れる客の多くは私服であるため、周囲から手元が見えにくい服装をすることも容易です。盗撮に用いるためのカメラを仕込んだカバンを持ちこむことも困難ではありません。
盗撮に用いる道具を持ち込みやすく、使用しても周囲に怪しまれにくいということが、ショッピングセンターで盗撮事件が起きやすい理由の一つとなっています。

(4) ショッピングモールは盗撮をしていることが気付かれにくい場所

前述の通り、ショッピングモールで男性がスマホを見ることは一般化しています。そのため、女性は、付近の男性がスマホを見たり操作したりしていても、自分が盗撮されているとは気付きにくいと考えられます。また、商品を眺めている際には周囲への警戒が緩み、男性が自分の足元付近にカバンを不自然に近付けたとしても、それに気付きにくいと考えられます。さらに、人が多すぎる環境では周囲の人に無関心になる傾向がありますが、ショッピングモールは多数の客が不規則に行き交い、自由に商品を眺めている場所であるため、その傾向が強く表れる場所であるといえます。


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