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大麻の所持は逮捕される?所持の要件や刑罰を解説!

大麻の所持で逮捕

「大麻を所持すると逮捕されるか不安」
「大麻を自宅に保管したら所持になるのか」

近年、若者による大麻所持が問題となっています。好奇心から大麻を手にする若者も増えていますが、大麻の所持は逮捕される可能性が高いです。

何グラムの大麻を所持していたら犯罪になるといった決まりはないため、たとえ少量であっても、大麻を所持していれば逮捕のリスクはあります。

この記事では、大麻所持で逮捕の心配をしている方や大麻所持で家族が逮捕された方に向けて、大麻所持で逮捕される可能性や刑罰について詳しく解説します。

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大麻を所持すると逮捕される?

大麻所持は逮捕されやすい

大麻の所持が発覚すると、逮捕される可能性が高いでしょう。逮捕は、大麻を所持しており、「証拠隠滅をするおそれがあるとき」や「逃亡のおそれがあるとき」に行われるからです。

たとえば、街中で職務質問を受けて大麻所持が発覚したとしましょう。解放すれば、そのまま逃亡してしまうかもしれないと警察は考えます。また、自宅に隠した大麻を処分したり、大麻の売人や大麻仲間などに連絡を取ったりして、証拠隠滅のおそれありと警察から疑われることになり、逮捕される可能性が高いのです。

令和5年版犯罪白書によると、大麻取締法違反の検挙件数が7,753件に対して、逮捕に至ったのは4,239件でした(令和5年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節)。割合に直すと約54%です。すべての罪名における逮捕の割合は約34%であるため、他の犯罪と比較しても逮捕されやすい犯罪と言えるでしょう。

なお、アトム法律事務所で取り扱った大麻事件でも、90%が逮捕されています(アトム法律事務所「大麻事件の統計」より)。

大麻所持は現行犯逮捕・後日逮捕のどちらもありえる

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

大麻所持における逮捕には、主に現行犯逮捕と後日逮捕(通常逮捕)がありえます。よくニュースで聞く大麻所持の事件は、現行犯逮捕が多いかもしれません。

現行犯逮捕の例として、路上で職務質問を受け、所持品から大麻が発見され、逮捕になるケースが挙げられます。

一方、ある程度、捜査が進められた状態で警察が逮捕状を準備し、被疑者を逮捕しに行くケースがあります。この場合は、後日逮捕(法律上は「通常逮捕」といいます)となります。

たとえば、大麻の売人が逮捕され、その売人の携帯電話の通話記録やメール履歴から購入者が割り出されて逮捕に至るケースでは、後日逮捕の流れになります。自宅にいる可能性が高い早朝に自宅に警察がやってきて逮捕することが多いです。

また、職務質問を受けた際に大麻であるかどうかの簡易検査が行われたものの、大麻であるか明確に分からなかった場合にも後日逮捕が行われる可能性があります。

大麻と疑わしきものがあれば、科学捜査研究所の正式鑑定に回されます。鑑定の結果、大麻だと分かれば、後日逮捕されることがあるでしょう。

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逮捕に至る大麻所持の要件

大麻の「所持」とは?

大麻の「所持」とは、大麻を携帯している場合に加え、車や家で保管している場合など、自分の支配下にある状態のことを指します。

大麻の所持で逮捕される際、カバンや衣服のポケットに入れていることは所持の典型例と言えますが、自分の支配下にある状態であれば携帯していなくても「所持」となります。

そのため、家宅捜索が行われた際に大麻が見つかった場合も、大麻を所持していたと扱われることになるでしょう。

また、大麻の保管を友人や彼女などに依頼している場合も、間接的に自分の支配下にある状態と判断できるため「所持」に該当します。

「他人のもので自分で所持していない」と反論しても、尿検査などが行われ、大麻の反応が出ると、大麻を使用している事実で争うことは難しいです。捜査によっては大麻を所持していたと判断されてしまう可能性が高くなります。

大麻の「使用」も禁止になる見込み

2023年12月6日に大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部改正法案が可決・成立したことにより、これまで違法でなかった大麻の「使用」も禁止する罰則が設けられました。

改正法において、大麻は麻薬の一部という位置付けとなり、大麻を使用すると7年以下の懲役が科せられることになります。

2024年中に施行が見込まれており、大麻の使用でも罪に問われるようになれば、逮捕件数も増えることが推測されます。

現行では職務質問における尿検査で大麻の反応が出ても、所持していなければ逮捕はできませんでしたが、施行後は大麻の反応が出れば大麻の使用罪で逮捕される可能性があるからです。

参考:大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について

大麻所持の刑罰と実際の量刑相場

大麻所持の刑罰は?

大麻所持の刑罰は、営利目的の有無によって異なります。

免許等なく大麻を所持した場合の刑罰は、「5年以下の懲役」です(大麻取締法24条第1項)。一方、営利目的で所持していた場合には、「7年以下の懲役、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金」です(同法24条の2第2項)。

営利目的の所持になると、自分が使うために大麻を所持していた場合とは違い、刑罰は一気に重くなります。懲役刑のみならず、罰金刑と併科される可能性もあります。

大麻所持の刑罰

行為罰則
所持・譲渡・譲受(同法24条の2第1項)5年以下の懲役
営利目的の所持・譲渡・譲受(同法24条の2第2項)7年以下の懲役
又は7年以下の懲役及び200万円以下の罰金

大麻の刑罰について詳しく知りたい方は、『大麻の刑罰|執行猶予の可能性と刑罰を軽くするためにできること』の記事をご覧ください。

大麻所持の実際の量刑相場|初犯でも実刑になる?

大麻所持の実際の量刑相場は、所持していた大麻の量、初犯か再犯か、営利目的の有無等で変わります。所持の場合、初犯で非営利目的なら、起訴されても懲役1~2年・執行猶予3~4年が相場です。

一方、営利目的の場合は、懲役3〜6年に罰金150〜200万円が併科されるなど、初犯でも実刑になることもあります。

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大麻所持で逮捕された後の流れは?

大麻所持で逮捕されると最大23日間拘束される

逮捕の流れ

大麻所持で逮捕されると、まず警察が48時間の間に取り調べを行い、検察官に事件を引き継ぎます。その後、検察官は24時間以内に、勾留すべきかの検討を行い、勾留して捜査を継続すべきと考えれば裁判官に勾留請求を行います。裁判官が勾留するという判断を行った場合、大麻所持の被疑者は勾留請求の日を1日目として、10日間勾留されますさらに延長されると、10日を限度として勾留延長されることになります。

つまり、大麻所持で逮捕されると、ほとんどのケースで10日間以上勾留しなければならないということです。勾留が延長されると逮捕から起訴・不起訴の判断が下されるまでに最長で23日間身柄を拘束されるため、退学や解雇のリスクも高まります。

大麻所持の疑いで逮捕されると勾留される可能性が高い

大麻を所持していた場合、逮捕後に勾留される可能性は非常に高いです。

大麻所持で逮捕後、勾留される場合というのは、逮捕の要件同様に、被疑者が「証拠隠滅をするおそれがあるとき」や「逃亡のおそれがあるとき」です。

逮捕後であっても身柄を釈放してしまうと、大麻の廃棄や売人との口裏合わせなどが想定されるため、勾留して捜査を進めるべきと判断されます。

令和5年版犯罪白書によると、令和4年における大麻事件の勾留請求率は約97.5%、勾留認容率は約98%です(令和5年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節)。

大麻の所持で逮捕されると、ほとんどのケースで勾留されると考えていいでしょう。

大麻所持で逮捕されたときの弁護活動

逮捕からの早期釈放

大麻所持で逮捕された場合には、早期釈放の実現を目指すことが重要です。大麻事件に精通した弁護士であれば、早期釈放を目指した活動を考え、スピーディに動いてくれるでしょう。

具体的には、依頼を受けた弁護士は、身元引受書や逃亡・証拠隠滅のおそれがないことを説明する意見書などを提出し、勾留阻止に全力を尽くします。また、書面の作成だけでなく、検察官や裁判官に直接面会して早期釈放すべき理由を説得的に説明します。

それでも大麻所持は勾留されやすい事件です。勾留されてしまった場合は準抗告を申し立て、家族の監督があることや捜査機関への出頭を誓約することなどを主張して早期釈放を求めます。

弁護士に連絡するタイミングが早ければ早いほど早期釈放の可能性は高まります。

大麻の所持で不起訴処分を目指す

大麻所持の場合、所持していた大麻の量が微量で、自己使用目的の所持に対して再犯防止の対策を練った場合は、不起訴処分になる可能性もあります。

大麻所持のような薬物犯罪は、いかにして薬物と手を切り更生していくかを具体的に考えることが重要です。大麻所持の罪は、被害者がいない犯罪ですので、被害者と示談をすることはできません。そのため、再犯しないことや家族の支援を、弁護士を通じて裁判官に伝える弁護活動が不可欠です。

大麻所持で起訴された場合に必要な弁護活動

大麻所持で起訴された場合、まずは保釈を請求します。保釈が認められると釈放され、元の生活に戻ることができます。保釈中に、専門の医療機関を受診したり、自助団体の更生プログラムを受けたりして、大麻に依存しない身体づくりや環境調整を行います。

刑事裁判では、更生に向けた活動を積極的に行っていることを示し、執行猶予付きの判決を求めます。

執行猶予が付けば、すぐに刑務所にいかずに、元の生活に戻れます。実刑回避のためには、被告人が大麻から脱却できる可能性が高いことを説得的に主張することが大切です。

大麻所持事件は弁護士にご相談ください

大麻所持で逮捕される前なら自首を検討

大麻所持で逮捕されることを心配している方は、自首することも一つの選択肢となります。自首とは、捜査機関が犯人を特定する前に、自ら犯罪事実の申告をして処罰を求めることです。自首することで刑を減軽することができる場合があります(刑法42条1項)。

また、証拠を持参して自首することで、逃亡や証拠隠滅のおそれがないと判断されて逮捕を回避できることもあります。

ただし、自首によって必ず刑が減免されるとは限らず、大麻の態様によっては、余罪などが疑われ事態が悪化するおそれもあります。相談者にとっての最善の結果を考えたときに、大麻がすでに手元にない状況であれば、あえて自首をする必要性まではないと考えられるケースもあります。

自首すべきかどうかには、慎重な判断が求められます。大麻事件に精通した弁護士に相談し、見通しとリスクを確認しましょう。

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大麻所持の逮捕ですぐ弁護士に相談すべき理由

ご家族や大切な人が大麻所持で逮捕されたら、まず弁護士に相談することが重要です。大麻で逮捕されると、厳しい時間制限の中で刑事手続きはどんどん進められていきます。第一に大麻所持で逮捕された被疑者は、すぐに捜査機関に取り調べを受けることになります。

初めての逮捕で弁護士もついていない場合には、取り調べで言っていいこととダメなことが分からず、警察官の誘導に従って言われるがままに供述調書に署名をしてしまうケースは非常に多いです。

署名のある供述調書は、裁判の際に強力な証拠となるだけでなく、その内容を後から覆すことは困難です。大麻所持においては、営利目的でないのに営利目的と捉えられる供述をしてしまうと、後から取り返しがつかなくなるおそれがあります。自己に不利な調書を作成されないためにも弁護士に取り調べでの対応についてアドバイスを受けておくことは非常に大切です。

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大麻所持の逮捕でお悩みならアトム法律事務所へ

大麻所持で逮捕されたときは、まず初動を誤らないことが大切です。できる限り早い段階で有利な証拠を集める必要があり、それには大麻事件の解決実績が豊富な弁護士に頼ることがおすすめです。

捜査機関の取調べは精神的なストレスがかかるだけでなく、身体拘束による体調不良も生じやすいものです。できるだけ早い釈放を目指すこと、不起訴処分を獲得すること、また裁判になっても執行猶予を獲得することを考え、まずは刑事事件に強い弁護士に相談することからはじめましょう

大切な家族が逮捕されたという方は、ショックを受けるのは当然です。ただ、家族にしかできない重要なサポートがあります。まずは、今後の対応を知るためにも相談を活用し、何をすべきか弁護士と一緒に整理しましょう

アトム法律事務所では、警察が介入した事件について初回30分無料の対面相談を実施しています。24時間365日、土日夜間も電話窓口でご予約を受け付けております。お気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了