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弁護士の接見とは|逮捕中の家族のためにできること・やるべきこと

弁護士の接見

家族が逮捕されてしまった場合、面会ができない、状況がわからない、今後どうすればいいのかなど不安になるでしょう。そのような場合、弁護士が「接見」をすることができます。

  • ご家族が逮捕されてしまった
  • 何をしてしまったのか、今どういう状況なのか全くわからない
  • 家族としてできることが知りたい

このような状況の方はすぐに弁護士へ相談し、「接見」をしてもらうことをおすすめします。

弁護士は、日時を問わず本人と面会を行い、状況を把握し、必要なアドバイスをしたり、ご家族との橋渡しをすることができます。刑事事件ではできるだけ早く接見を行うことが非常に重要です。

この記事を読めば、接見の重要性や、大切な人が警察に捕まってしまったときにどうすべきなのかがわかります。

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弁護士の接見とは|とっても大事な制度

接見とは?逮捕された人に会うための手段

弁護士の接見とは、拘束されている被疑者・被告人と弁護士が、原則として24時間いつでも、警察官の立会いなく面会ができるという制度です。弁護士にとっても、逮捕・勾留された本人自身にとっても大事な制度になります。

弁護士の接見は、弁護士が被疑者・被告人と直接話を聞いて状況を把握し、被疑者・被告人に対し法的な助言を行うことのできる大事な機会です。この制度は、刑事訴訟法(以下、「刑訴法」といいます。)第39条1項に定められています。

刑事訴訟法39条1項

身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

初回の弁護士接見は極めて重要!

逮捕された被疑者は、通常警察の取り調べを受け、48時間以内に検察庁に送られます。検察官は自らも被疑者を取り調べ、24時間以内に勾留請求するかどうかを決定します。

警察の取り調べは、被疑者が犯人であることを前提としてなされますし、強いプレッシャーを伴うケースもあります。また、検察での取り調べは、勾留請求をするかどうかの判断や、今後の処分の見込みに大きな影響を与えます。

しかしこの間(逮捕後~勾留までの約3日間)被疑者は外部と連絡を取ることはできず、面会ができるのは弁護士だけです。つまり、弁護士からの適切なアドバイスを受けられなければ、無防備な状況で取り調べを受け、供述調書などの自己に不利になりうる証拠書面が作成されていくことになります。

言うまでもなくこれは、被疑者にとって極めて不利な状況です。状況もよくわからないままに、捜査機関の誘導通りに話をしてしまったことがのちのちの処分を左右してしまう可能性があるのです。最悪の場合は取り調べのプレッシャーに負け、虚偽自白をしてしまう危険すらあるでしょう。

そのため、逮捕をされた後に、最初に弁護士と面会する機会である初回の接見は極めて重要な意味を持ちます。ご家族が逮捕された場合にはできるだけ早く弁護士に相談をして、接見を依頼することをおすすめします。

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すぐに弁護士が駆け付けることで早期釈放の可能性も

逮捕後の72時間は、それ以上の身体拘束(勾留といいます)をするかどうかを判断する期間です。もし、勾留されてしまえば、3週間の留置場生活を覚悟しなければなりません。

しかし、逮捕後すぐに弁護士が駆け付け、取り調べに対する適切なアドバイスを行ったり、捜査機関に勾留の必要性がない意見書を提出するなどの弁護活動を行うことで、勾留されずに釈放される可能性が高まります

勾留を回避できるかどうかが、拘束が長期化するかどうかの分かれ目です。勾留されずにすめば、日常生活への影響も最小限で済みます。

逮捕後はできるかぎり早く(できれば当日のうちに)行動することが重要ですから、刑事弁護士は逮捕されたという相談を受けたら可能な限りすぐに接見できる体制を整えています。まずは、お電話にてお問い合わせください。

弁護士に接見を依頼する方法

まずは電話で弁護士事務所に問い合わせ

ご家族や大切な人が逮捕されてしまった場合は、まずは刑事事件を取り扱っている弁護士事務所までお問い合わせください。緊急性の高い状況ですので、 メールやLINE、WEBサイト上の問い合わせよりも、電話での問い合わせが確実です。

早朝や夜間の問い合せ対応をしている事務所は多く、24時間対応している事務所もありますので、あまり時間帯は気にせずにすぐに行動することが大切です。

ただし、あまりに遠い弁護士事務所では、接見が困難な場合もありますので、逮捕されている警察署がある都道府県に対応している弁護士事務所や全国対応の弁護士事務所がおすすめです。

弁護士が接見に行くまでの流れ

接見は電話だけで弁護士に依頼をすることができます。もちろん、一度弁護士と直接話してから決めたいということでしたら事務所で相談を行ってからでも構いません。

依頼の際は、身体拘束を受けているご本人が現在どのような罪名で身体拘束をうけており、どのような状況・経緯で身体拘束を受けたかを伝えます。その後、接見に伴う弁護士費用を支払い、身体拘束を受けているご本人に聞きたいこと、伝えたいことなどを弁護士に伝えましょう。

弁護士に伝えるべき内容

  • 警察署
  • 逮捕された本人の氏名、年齢
  • ご依頼者の氏名・連絡先・本人との関係
  • その他、事件の詳細や事情でご存じのこと
  • 本人に聞きたいこと・伝えたいこと

事件の詳細や事情については、警察から教えてもらえないことも多いのでわかる範囲で構いません。ただし、警察署名は把握されているとスムーズです。

弁護士は、「在監確認」といって、警察署に本人が留置されているかの問い合わせをしてから接見に出発します。その際、警察署名がわからなければ在監確認がとれず、本人の居場所がわからずに接見に行くことができません。

そのため、警察署名、(もしわからなければわからない場合には逮捕された正確な場所など)をご確認ください。

弁護士は、聴取した内容を踏まえて速やかにご本人が身体拘束を受けている警察署等に向かい、ご本人と接見を行います。

接見した後の弁護士の活動は?

接見後、弁護士はまず依頼者の方に接見の完了の報告をします。

接見で得られた内容や身体拘束中のご本人の現在の様子、ご本人から依頼者への依頼事項等をお伝えします。ただし、本人が伝えたくないと希望したことや、証拠隠滅につながる伝言については弁護士の判断でお伝えできないものもあります。

その後、正式に弁護活動の依頼を希望する場合は契約をすることになります。

接見後の弁護活動では、聴取した内容を踏まえ、勾留阻止や保釈請求のための準備を行ったり、示談の際の条件面や確認事項を接見で聴取した上で被害者にその内容を連絡し示談交渉を行ったりします。

接見を依頼すると弁護士費用はいくらになる?

私選弁護士の接見費用

私選弁護士に接見のみを頼むという場合には、接見1回につき相場は3~5万円です。ただし、所要時間や距離によって金額が変化することがあります。まずは接見のみを依頼して、その後の弁護活動を依頼するかどうかはその後に検討して頂いて構いません。

弁護活動を依頼した後の接見については、弁護活動の費用に含まれている場合もあれば、別途費用が発生する場合もあります。事務所や契約内容によりますのでご確認ください。

ご参考までに、アトム法律事務所の接見費用・接見申込み手続きの流れについては『接見・面会を弁護士に依頼』でご案内しております。気になる方はぜひご覧ください。

国選弁護人の接見費用

国選弁護人に接見を依頼した場合、接見費用は基本的に無料です。回数の制限などもありません。ただし、国選弁護人を選任できるのは勾留が決定した後である点にご注意ください。

また、国選弁護人に支払われる国からの報酬はあまり多いとはいえず、「接見を頼んでもなかなか来てくれない」という状況も少なくありません。国選弁護人について詳しくは『国選弁護人に費用はかかる?依頼できる条件』の記事をご覧ください。

当番弁護士の接見費用

当番弁護士とは、逮捕された後一度だけ無料で弁護士を呼ぶことができる制度です。
二度以上接見をしてほしい場合は、当番弁護士と契約を結んで私選弁護士になってもらう必要があります。当番弁護士について詳しくは『逮捕後すぐ呼べる当番弁護士とは?制度の評判や呼び方・費用もわかる』の記事をご覧ください。

弁護士が接見でできる6つのこと

①取り調べの対応をアドバイスできる

逮捕・勾留中の被疑者は定期的に警察や検察の取り調べを受けますが、被疑者自身ではどのように対応すればいいか分からないのが普通でしょう。取り調べで作成される供述調書などは、サインしてしまうと証拠になりあとから覆すことはできません。そのため、取り調べに適切に対応ができないとあとで重大な不利益を被るリスクがあります。

弁護士は被疑者と直接話し、取り調べの状況を聞いた上で、今後の取り調べでどのような対応をすればより利益になるのかを踏まえてアドバイスをすることができます。

取り調べの状況は、警察の捜査の内容によって変化していき、状況も変化するため一概に対応できるものではありません。そこで、弁護士が適度な接見を行い、どのような内容の供述をするか、黙秘をするべきかどうか等を、現在の捜査情勢を被疑者から聞いた上で法的なアドバイスをしていきます

②刑事処分の見通しを説明できる

弁護士は逮捕・勾留中の方に対し、現在の捜査状況を聞き出したり検察官から出された証拠を確認したりすることで情報を集め、今までの経験や判例などから、逮捕勾留されている方が現状ではどのような処分を受ける可能性があるのかを判断し、その内容を被疑者・被告人に直接伝えることができます。

被疑者・被告人は一般的に刑事事件の素養がない方が多いので、自分がどのような状況に置かれているのか分からず、長い時間を1人で過ごすため今後の見通しが分からないとより不安を感じてしまいます。そこで弁護士が刑事事件の見通しを伝え、これからすべき活動を示すことで、被疑者・被告人の安心に繋がります。

③ご家族の伝言を逮捕された本人に伝えられる

ご家族は逮捕直後に面会することができないため、伝えたいことがあっても逮捕された本人と話せるのは早くても逮捕から約2、3日後となってしまいます。しかし、弁護士の接見であれば一般面会が許されていない間でも接見することができるので、ご家族からの伝言を聞いた上で、それを弁護士を通して伝えることができます。

家族としては突然の逮捕に状況も分からない中、体調を気遣う言葉を掛けたい、事案の内容と本人の思っていることを聞きたい、味方になると勇気づけてほしいなどの様々な要望を持つことが多いです。また本人自身も家族を心配することも多いです。そのため、家族からの伝言は被疑者にも家族にも大きな意味を持ちます。

④いつでも差し入れを本人に渡すことができる

弁護士は接見をいつでもできると同時に、差し入れも時間帯を問わずいつでもすることができます。ご家族など一般の方は面会時間と同様に差し入れ時間も制限されているため、ご家族が逮捕直後や週末など、面会に行くよりも前に早期に差し入れたいものについては、弁護士に託すことでご家族もご本人に対し渡したいものをいち早く差し入れをしてもらうことができます。

例えば、ご家族が金曜日中に面会をしてご本人が欲しいと言ったものを差し入れたいと思っても、ご家族は土日に差し入れることができないため、月曜にならなければ差し入れができません。そのような場合に弁護士が間に入って差し入れをすることで、身体拘束中のご本人はいち早く手に入れることができます。

⑤本人の伝言をご家族に伝えられる

逮捕勾留中の本人は、家族など大切な人に自分から伝えたいことがあっても自ら動くことができず、自発的に伝えるには手紙を書くことしかできません。そこで、定期的に接見をしてくれる弁護士がいれば、本人が家族等に伝えたいことがあれば伝言をしてくれ、タイムラグが少なく伝えることができます。

日常生活から離れて身体拘束をされている本人は、刑事事件以外のこと、例えば家族のことや仕事の状況などが気になることも多いです。そのため、弁護士がそれなりの頻度で適切に接見を行い、刑事事件の助言のみならず、そのような伝言を受けることで、面会に来ていない家族等にもその想いを伝えることができます。

また、逮捕・勾留によって学校や仕事の欠席・欠勤が続いてしまうと退学や解雇になってしまうリスクもあります。そのため、逮捕直後は弁護士を通じて家族に欠席・欠勤連絡をしてもらうよう頼むなどの対応をとってもらうことも、円滑に社会復帰をするためには重要です。

⑥裁判所や検察庁でも接見できる

被疑者が裁判所や検察庁に行っている場合であっても、弁護士は被疑者と接見することが可能です。

検察庁から呼び出された際に接見すれば、検察官の取調べ前に対応方法のアドバイスをもらうことができます。

裁判所から勾留質問のために呼び出された際に接見すれば、勾留質問の前に弁護士が裁判官と話をして裁判官が何を問題と感じて勾留を検討しているのかを聞き出すことができます。弁護士が裁判官から聞き出した情報は被疑者が勾留質問を受ける前に共有してもらうことができるので、被疑者は心構えをした上で勾留質問に挑むことができるようになります。

弁護士の接見と一般人の接見(面会)の違い

一般人は警察署、留置場の家族と面会することはできる?

勾留後は弁護士以外の一般の人でも、面会をしてご本人と会話をすることができます。通常は、起訴されるまでは警察の留置場、起訴された後は拘置所で面会することになります。

留置場・拘置所の面会手続や差し入れの制限といった各種疑問点については以下のページで詳細に解説しているため、気になる方はぜひご参考になさってください。

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拘置所で被疑者・被告人と面会したい|接見禁止は弁護士に相談しよう

一般の面会は、弁護士の接見と違い、様々な制限を受けます。たとえば、①面会の時間制限や回数制限、②面会できる時間帯、③警察官の立ち合いの有無、④逮捕直後の面会の可否などに違いがあります。

弁護士一般人
①面会の時間制限や回数無制限1日1組約15~20分の間
②面会できる時間帯24時間平日の朝9時前~夕方5時付近まで
③警察官の立ち合いなし必要
④逮捕直後(勾留前)の面会できるできない
弁護士の接見と一般人の面会の違い

逮捕直後でも接見・面会はできる?

突然ご家族が逮捕された際に、事情を本人から聞きたい、本人が心配だからなるべく早く適切な助言をしたいと思った場合でも、逮捕直後は家族など一般の方の面会はすることができません。しかし、弁護士は法律上「捜査のため必要があるとき」(刑訴法第39条3項)以外はいつでも接見をすることができます。

警察は、逮捕直後の事情聴取で証拠を得るために、「捜査のために必要があるとき」として接見の時間を遅らせようとすることがあります。しかし、初回の接見は法的助言を受ける被疑者の重大な権利ですので、弁護士は時間を区切るなどしてできる限り速やかに初回の接見を行うように努めることになります。

接見・面接のとき警察の立ち会いはある?

家族など一般の方の面会の場合には、警察官が必ず立ち会うことになっています。立ち合う警察官は面会の内容が証拠隠滅に繋がるようなものはないか確認したり面会時間を管理したりします。一方、弁護士の接見では、警察官の立会い無しで接見できることが法律上定められています(刑訴法第39条1項)。

一般の方の面会では、制限時間のある中警察官がいる前でなかなか上手く話ができなかったというケースも度々起こります。そのため、被疑者・被告人自身が警察官のいる前では話しづらい事件のことや、ご家族が警察官の前では話しづらかった私的なことも弁護士に託すことで伝えることが可能となります。

接見に日時・回数の制限はある?

弁護士の接見は一般の方の面会とは異なり、基本的に24時間365日、時間帯や曜日に関係なく自由に行うことができます。また、一般の方の面会の場合には被疑者・被告人1人につき1日1組までといった制限がありますが、原則として弁護士の接見の場合には回数制限はなく、何度でも接見することができます。

そのため、弁護士は弁護活動の中ですぐに伝えたいことや確認したいことがあればいつでも接見をすることができ、柔軟な活動ができます。また、回数の制限もないので、午前中に接見に行き、事情が変わって再度接見をしたいとして同日の午後に接見を行うことも可能となり、より細やかな弁護活動を行うことができます。

接見禁止となることがあるって本当?

「接見禁止」とは被疑者・被告人が弁護人や弁護人となろうとする者以外の人と面会をすることができないという状態になります(刑訴法81条)。したがって、名称は弁護人の接見が禁止されているように見えますが、実際には一般の面会が禁止されているのみであり、弁護士は接見禁止の際にも接見をすることができます。

接見禁止は、検察官がより罪証隠滅のおそれが強いと判断した場合に外部との連絡を断つために請求する処分となります。もっとも、弁護士が「接見禁止の一部解除」の申立を行いそれが許可されれば、ご家族など事件に関係のない特定の人物に限り面会を行うことが可能となります。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了