2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
逮捕されてしまったとしても、不起訴になる可能性は十分にあります。逮捕はあくまで捜査を進めるための手段であり、その後の処分(起訴するか不起訴にするか)とは直接関係がないためです。
とはいえ、刑事事件で逮捕されると、重い処分になってしまうのではないかと不安になることと思います。できれば不起訴になりたい、前科はつけたくないと考えるのが通常でしょう。
しかし、不起訴になるのかどうかといった処分の見通しや、どうすればいいのかということは、刑事手続きに不慣れな一般の方にはなかなかわからないことです。
この記事では、そもそも不起訴処分とはどういうものでどういうときに下されるのか、どういう流れで不起訴処分を得ることができるのか、不起訴処分を得るためにはどのような方策があるかを解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
不起訴とは?逮捕されても不起訴なら前科はつかない
起訴・不起訴処分とは?
起訴・不起訴処分とは、その人に刑罰を科すべきかどうか、裁判をすべきかどうかを検察官が決める処分のことです。
起訴処分はその人に何かしらの刑罰を科すべきと考えて裁判を請求するという処分、不起訴処分はその人に刑罰を科すべきではないとして裁判を行わず、前科もつけずに終了させるという処分です。
起訴処分の中には、正式な裁判をする起訴処分(公判請求)と、争いのない事件で罰金相当の刑罰を正式な裁判なく簡略な方法で科す略式起訴処分があります。
一方、不起訴処分になれば、何らの手続きもなく刑事事件が終了し、その時点で罪に問われる可能性がなくなり前科もつかないことになります。
関連記事
「前科」がつくのは起訴されて有罪となったとき
いわゆる「前科」がつくのは、起訴をされたうえで裁判を受け、その裁判の内容で有罪判決を受けた後、その裁判が確定した時となります。逮捕や起訴をされただけではまだ前科はつきません。
もっとも、起訴処分がなされた場合には、日本の刑事司法では有罪率が99%ですので、ほとんどのケースで結果的に前科がついてしまいます。
起訴は刑罰を科すべきと判断された際に行われ、無罪の人を巻き込まないよう慎重な審査がなされます。そのため、起訴された段階でほぼ確実に有罪となる見込みが立っているとみなされます。
前科がつく場合
| 起訴 | 不起訴 | |
|---|---|---|
| 裁判 | あり | なし |
| 前科 | つく可能性が高い | つかない |
関連記事
・前科がつくとどうなる?仕事や生活への影響・デメリットを弁護士が解説
不起訴でも「前歴」はつく
不起訴処分になった場合、「前科」はつきませんが、「前歴」は残ります。
前歴とは、捜査機関の捜査対象となり、被疑者として取り調べを受けた経歴のことです。有罪判決に至らなかった場合、つまり不起訴処分でも、前歴は記録として残ります。
前歴がついたことによる日常生活のデメリットはほぼありません。「前科」と異なり、「前歴」で資格に関する制限がされることもありません。
ただし、再び事件を起こした場合、過去の前歴が考慮されて処分が重くなる可能性はあります。

嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予|不起訴処分の種類を解説
不起訴処分には、主に「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3種類があります。
「嫌疑なし」は犯罪事実が存在しないと認められる場合、「嫌疑不十分」は犯罪を立証できるだけの証拠が揃わない場合にする処分です。
「起訴猶予」は、起訴しようと思えばできるけれども、検察官の判断で不起訴とするものとなります。
検察官が不起訴処分を下す場合は起訴猶予であるケースが多く、不起訴処分のうち68.2%が起訴猶予となっています(令和7年版 犯罪白書より)。
※過失運転致死傷等及び道交違反を除きます。
示談ができている場合や事案が軽微な場合など、検察官が刑罰を科すまでもないと判断した場合に起訴猶予処分がなされることになります。
起訴猶予と嫌疑なし・嫌疑不十分の違い
| 起訴猶予 | 嫌疑なし・嫌疑不十分 | |
|---|---|---|
| 処分 | 不起訴 | 不起訴 |
| 主なケース | 示談締結済み | 犯罪の証拠なし |
逮捕されても不起訴となる確率は63.5%
逮捕されたとしても、不起訴処分となる可能性は十分にあります。
令和6年における送検された事案で、最終的に不起訴処分となった確率は63.5%(778,287人中、494,018人が不起訴)でした(令和7年版 犯罪白書より)。
逮捕される事案は起訴されやすいというイメージがありがちですが、送検された全事件は半分以上の確率で不起訴処分となります。
逮捕されるかどうかは証拠隠滅のおそれや逃亡のおそれの有無で決まります。逮捕はあくまで捜査に支障を及ぼさないためにされる処分であり、捜査の手法上の問題です。
確かに重い処分になりやすい事件の方が逃亡のおそれが大きいという理由で逮捕されることはありますが、最終的な刑事処分の内容と逮捕の有無には関係がありません。
書類送検なら不起訴になりやすい?
逮捕の有無が最終的な刑事処分と関係がない以上、書類送検されるかどうか(在宅事件であるかどうか)と不起訴になりやすいかどうかにも直接の関係はありません。
書類送検とは、身柄拘束のない事案で警察署から検察庁に捜査書類(供述調書)などが送られることを指します。
その記録を検察官が見て処分を判断しますが、被疑者の身柄拘束をするか在宅での書類送検とするかはあくまで捜査手法の問題にすぎません。
しかし、身柄拘束がなく在宅で書類送検される事案は、逃亡のおそれがないと判断されているわけですから、重い処分が見込まれていないような、既に解決済みの事案や軽微な事案が多く、結果的に不起訴となるケースが多くなります。
関連記事
・検察庁からの呼び出しがあったら不起訴は無理?罰金なしで帰れる?呼び出しの理由と対応方法
逮捕から不起訴となるまでの流れ
そもそも逮捕されない在宅事件もある
刑事事件として捜査を受けるというと逮捕されることを想定することが多いかと思いますが、実際には逮捕されずに自宅にいながら必要なときに捜査に呼ばれる在宅事件というものも多くあります。
在宅事件の場合、捜査の度に呼び出しを受けますが、普段は日常生活を送りながら起訴・不起訴の判断を受けることになります。

在宅事件の場合、起訴・不起訴の判断がなされるまでの期間制限はありません。起訴された場合には連絡がありますが、不起訴になった場合は何の連絡も来ないということが通例となっています。
また、不起訴であることが明らかな場合には、検察官の呼び出しを受けないで不起訴処分がなされることもあります。
関連記事
・在宅事件の流れを解説|起訴率は低い?逮捕される刑事事件との違い
逮捕~不起訴処分の流れ
刑事事件で逮捕された場合、警察は48時間以内に事件と身柄を検察官へ送ります(検察官送致)。
送致を受けた検察官は24時間以内に、引き続き身柄を拘束する勾留を裁判所に請求するかしないかを判断します。
裁判所がこれを認めると、引き続き身柄を警察署にとどめ置かれ、その間に起訴・不起訴の判断を検察官が行います。
勾留期間は原則10日間ですが、争いがあったり余罪があったり必要な捜査が終わらないなどの、やむを得ない事由がある場合にはさらに10日間延長した最大20日間勾留されることがあります。
関連記事
・逮捕されたら?逮捕後の流れと手続き・釈放のタイミングを解説
不起訴になるかは逮捕後23日間が重要
逮捕された場合、不起訴処分となるかどうかは逮捕後23日間が重要となります。
逮捕されてから勾留まで3日間、勾留されると最大20日間の合計23日後には検察官が起訴・不起訴の判断を行うケースが一般的です。
そのため、逮捕から23日以内に不起訴を得るための対策を取ることが必要となります。

たとえば、不起訴を得るために示談をするという場合には、示談は逮捕から23日以内に行わなければならないということになります。
しかし、示談交渉には時間がかかる場合も多いです。そのため、不起訴を得るために示談をする場合、いち早く着手し、検察官が起訴・不起訴を決定するまでの23日以内に終わらせる必要があります。
不起訴になったらどうなる?連絡・釈放のタイミング
身柄を拘束されている事件(逮捕・勾留されているケース)で不起訴処分となった場合、検察官が処分を決定した時点で速やかに釈放されます。
在宅事件とは異なり、身柄拘束が続いている状態のため、不起訴が決まればその日のうちに留置施設から釈放されるのが通常です。
一方、本人や家族に対して、検察官や警察から不起訴の詳しい理由が説明されることは基本的にありません。
「釈放されます」とだけ伝えられ、不起訴処分の内容(嫌疑なし・嫌疑不十分・起訴猶予のいずれか)については、本人からの確認や、弁護士を通じたやり取りの中で把握することになるケースが多いです。
家族としては、釈放の連絡がいつ来るか予測しにくく不安に感じられるかもしれませんが、23日間の勾留期限が近づくにつれて釈放の可能性も高まっていきます。
弁護士に依頼していれば、検察官とのやり取りの中でおおよその処分時期の見通しを共有してもらえることもあります。
起訴・不起訴を決めるのは誰?
起訴・不起訴の判断をするのは検察官であり、法律上も検察官の専権で決めることとされています。
逮捕後に勾留されるかどうかは、裁判所の判断となりますが、起訴するか不起訴にするかについて裁判所が関与することはなく、検察官のみの判断となるため、不起訴を得るためには検察官に対し不起訴が相当であることを示す必要があります。
検察官は犯罪事実自体が立証できない場合はもちろん、事実自体は立証できるけれども起訴がふさわしくないと判断した場合にも不起訴とすることができます。
もっとも、検察は決裁制度をとっており、事件担当の検察官が起訴・不起訴の処分を決めたとしても、担当の検察官の上司たちがその処分を許可する必要があります。
検察が不起訴を決める理由
検察が逮捕された人を不起訴にする明確な理由は存在しません。
検察官が起訴にするか、不起訴にするかの判断材料の一例として考えられるのは、犯罪事実自体の悪質性や被害者の処罰感情、被害者側へのケアの有無、再犯可能性の程度、本人の反省の程度、その他個々の事情などであり、それらの内容を元に総合判断をしていると考えられます。
そのほか、告訴が必要な事件で告訴がない場合や、責任年齢に達しない未成年の場合には不起訴にせざるを得ませんが、それ以外に起訴とするか不起訴にするかは完全に検察官の専権となっています。
なお、上記の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、民法上の成人(民法第4条)とは異なります。
逮捕されても不起訴にする方法|弁護士は必要?
(1)被害者と示談をする

逮捕されたとしても不起訴を目指す方法として、まず被害者との示談が考えられます。
被害者がいる事件では、被害者と示談をし、当事者間の解決が得られているということであれば、検察官も刑罰までを科す必要はないと判断する場合も多く、示談がされていれば不起訴となる可能性が高くなります。
被害者がいる事件では、被害者による届出から捜査が始まることも多く、そのため被害者の処罰感情は起訴・不起訴の処分に大きく影響します。
そのため、示談により被害者側と既に和解しているということは大きな影響があり、事件によってはその事実だけで不起訴となる事案もあります。
関連記事
・刑事事件の示談|示談金の相場や条件、弁護士に依頼するメリット
アトムの解決事例(示談で不起訴処分)
駅構内のエスカレーターで、女性をスマホで盗撮した。依頼者には余罪が複数あったが、本件のみ検挙された。迷惑行為防止条例違反の事案。
弁護活動の成果
検察官に示談する予定を伝えて勾留請求を回避し、早期釈放を実現。被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結し、不起訴処分となった。
(2)被害者に損害賠償をする
逮捕がされてからも不起訴を目指す方法として、被害者に対し損害賠償をすることが考えられます。
被害者との示談が難しいとしても、被害者に対し損害賠償を行ったとすれば、罪に対する相当の反省とケアを行ったとして刑罰を科すまでの必要はないと検察官が判断する場合があります。
損害賠償の内容として、一番わかりやすいのは財産犯の場合の実際の損害額となります。
その他、身体的な損害を受けた場合には治療費などを参考にすることもあり、また精神的な損害に対する賠償として相当のものを賠償することもあります。
被害者が受け取らない場合は贖罪寄付を行うこともあります。
(3)反省、謝罪の意を示す
逮捕された場合でも、反省や謝罪の意を明確に示すことによって、事件内容や状況によっては不起訴を目指すことができます。
反省や謝罪の意をしっかりと示しているということから、再犯可能性が低いと考えられる場合には、検察官も刑罰を与えて再犯をしないようにする必要はないと判断し、不起訴にする場合があります。
反省や謝罪の意思の示し方として、反省文や謝罪文の作成といった方法が考えられます。
反省文は検察庁、謝罪文は被害者に宛てて作成することとなります。
謝罪文は被害者に送付することを想定しますが、受取拒否により送付できなかった場合でも、作成を行ったこと自体が1つの謝罪の示しとなります。
(4)冤罪の場合は否認を貫く
冤罪事件の場合、逮捕されてしまったとしても否認を貫くことによって不起訴となる場合があります。
冤罪事件の場合、このままでは起訴のための証拠が足りないとして被疑者の自白が起訴の決め手として重視される場合も少なくなく、そのため否認を貫くことで証拠不十分による不起訴を目指すことになります。
冤罪事件で逮捕を行う場合、証拠が集まっておらず、証拠隠滅を防ぐために逮捕をしたというケースもあり、その中で否認を貫けば証拠が集まらないとして不起訴を得る可能性が上がります。
否認の貫き方として、事実を否定したうえで、その他については黙秘を行うという方法があります。
アトムの解決事例(駅での痴漢冤罪で不起訴)
駅ホームにおいて、すれ違いざまに女性の臀部に触れたとされた痴漢事案。依頼者は容疑を否認したが、目撃者と称する男性に取り押さえられ駅員に引き渡された。迷惑防止条例違反として検挙。
弁護活動の成果
痴漢を行ったというには不合理な条件があり、その点をまとめた意見書を検察官に提出。不起訴処分となった。
(5)親告罪の告訴を取り消してもらう
親告罪で被害者から刑事告訴されている場合であれば、被害者に告訴を取り消してもらえば検察官から起訴されることはありません。
ただし、告訴の取り消しは公訴提起(起訴)前のみ可能である点にご注意ください(刑事訴訟法237条1項)。
一例として、以下のような犯罪が親告罪として取り扱われています。
- 名誉毀損罪
- 侮辱罪
- 信書開封罪
- 信書隠匿罪
- 器物損壊罪
- 親族間の窃盗罪
- 親族間の詐欺罪
2017年7月13日から施行された法改正により、それまでは親告罪だった強制性交等罪(旧強姦罪)と強制わいせつ罪は非親告罪として取り扱われるようになりました。
なお、2023年7月の刑法改正で性犯罪規定が見直され、強制性交等罪と強制わいせつ罪はそれぞれ、「不同意性交等罪」、「不同意わいせつ罪」に改正されています。
改正後のくわしい解説は『不同意性交等罪とは?構成要件・刑罰・容疑をかけられた時の対処法まで解説』の記事をお読みください。
また、ストーカー規制法違反も従来は親告罪でしたが、2017年1月3日の法改正により、これも非親告罪となりました。
ストーカー規制法違反について詳しくは『ストーカーは逮捕される?犯罪になる基準は?刑罰を防ぐための対処法を解説』の記事をご覧ください。
不起訴を目指すなら早期に弁護士へ相談しよう
不起訴を目指す場合には、早期に弁護士に相談することが必要です。
逮捕されてしまった場合、不起訴の処分を得るためには最大23日間という期間制限があり、そのため早期に弁護士に相談して事件の内容を把握してもらい、期限に間に合うよう迅速に不起訴を目指すための方法を知ることが必要となります。
逮捕後早期に弁護士に相談すれば、まず本人に接見を行い、その事件ごとの特性を把握して、その事件の見込みや、その事件で不起訴を目指すためにはどういった方策を取ることが一番合っているかを知ることができます。
時間の制限がある中では速やかに弁護士に相談し、方向を定めることが重要となります。
本人が逮捕・勾留されている間は、家族であっても面会(接見)が制限される場合が多く、自由に会って相談することができません。そのような状況でも、家族が今すぐできることはあります。
まず、弁護士に早期に相談し、本人との接見を依頼することです。
弁護士であれば逮捕直後から接見が可能であり、本人の様子や事件の状況を確認したうえで、示談交渉や検察官への働きかけなど、家族に代わって具体的な弁護活動を進めることができます。
また、被害者がいる事件では、示談交渉を家族が直接行うことはかえってもつれる原因になることもあるため、早い段階で弁護士に窓口を任せることが望ましいといえます。
時間的な制約が大きい手続きだからこそ、家族が「何をすればよいかわからない」まま時間を過ごすことが最もリスクの大きい選択です。
早期の弁護士相談は、本人にとってだけでなく、家族の不安を軽減するためにも重要な一歩となります。
アトム法律事務所では、24時間365日刑事事件の相談予約を受け付けています。警察が介入している事件では初回30分無料相談も実施しています。
お気軽にご相談ください。お電話お待ちしています。

