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覚醒剤で逮捕されたら実刑?逮捕のきっかけや刑罰について解説

覚醒剤で逮捕

「つい出来心で覚醒剤を使ってしまった。逮捕されるか不安だ。」
「家族が覚醒剤所持で逮捕された。今後の流れが知りたい。」
このように覚醒剤事件に関し、自分や家族が逮捕されるのか、逮捕されたらどうなるのかについて、不安な方もいらっしゃるかと思います。

そのほかに、覚醒剤事件の勾留率、起訴率、再犯率についての具体的な統計も明らかにしております。覚醒剤事件で不安な方はぜひ参考にしてみてください。

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覚醒剤で逮捕されるパターン3つ

①所持品検査や簡易尿検査で現行犯逮捕

警察による繁華街などでの職務質問の際、所持品検査が行われることがあります。そこで覚醒剤の所持が見つかった場合、覚醒剤は違法薬物であることから現行犯逮捕となるでしょう。覚醒剤の所持を否定している場合、被疑者が所持していたものが覚醒剤か否かは、簡易検査キットによる予試験で判断されます。

覚醒剤の簡易尿検査で陽性反応が出て現行犯逮捕されるケースも多いです。職務質問の際には、身分証の提示を求められることがあります。覚醒剤は依存性が高いことから、身分証により覚醒剤の前科前歴が見つかれば再犯の可能性を疑われるでしょう。その結果、簡易の尿検査が実施されることになるのです。

②覚醒剤が家宅捜索で見つかり現行犯逮捕

覚醒剤事件やそれ以外の事件で家宅捜索を受けた際、家の中から覚醒剤が発見されたならば、覚醒剤所持でそのまま現行犯逮捕となることがあります。覚醒剤は小さいものが多く、トイレに流すなど証拠隠滅が簡単です。家宅捜索で覚醒剤が見つかった場合には証拠を隠滅されないよう現行犯逮捕することが一般的でしょう。

覚醒剤事件で家宅捜索が行われるのは、覚醒剤事件の嫌疑が濃く、かなり捜査が進んでいるからと考えられます。具体的には、スマホのやり取りやネットでの書き込みなどの客観的証拠から、覚醒剤を買った者が特定されているケースがほとんどです。覚醒剤事件の場合には、証拠を隠滅されないよう、なんの前触れもなく急に警察が来ることが多いです。

③覚醒剤で売人とのやり取り履歴から後日逮捕

覚醒剤事件は、覚醒剤の売人や覚醒剤の使用者間にネットワークがあることが少なくありません。そのため警察は、覚醒剤の売人や使用者を逮捕した際に、「覚醒剤を売った相手は誰か」や「覚醒剤を共同購入したか」「一緒に使用した相手はいるか」などに関する供述を聞き出します。聞き出した内容をもとに捜査をし、被疑者を後日逮捕するという流れで覚醒剤事件の逮捕を行う場合があります。

覚醒剤事件は直接的な被害者が存在せず、密行性の高い犯罪です。そのような特殊性から、覚醒剤事件の証拠は見つかりにくいといえるでしょう。覚醒剤の密売人や、覚醒剤の使用者の供述は覚醒剤事件においては非常に貴重な証拠となります。中でも、スマホなど携帯電話に残った覚醒剤に関するやりとり履歴は、重要な客観的証拠です。売人とのやり取り履歴から覚醒剤事件の被疑者が芋づる式に逮捕されることも多いです。

覚醒剤で逮捕後の流れ|勾留率や起訴率は?

覚醒剤で逮捕後の流れ

覚醒剤に関わらず、刑事事件で逮捕された場合、警察による取調べを経て48時間以内に事件と被疑者の身柄が検察に送致されます。その後、検察官は24時間以内に被疑者を勾留請求するか決定します。

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勾留とは、逮捕に引き続いて行われる身体拘束処分です。検察官による勾留請求がなされれば、裁判官が勾留の必要性について審査し、勾留が必要だと判断されれば被疑者は勾留されます。勾留の期間は原則として10日間ですが、最大で10日間の延長がなされ最大で20日間に及びます。つまり、検察官が起訴・不起訴の判断を下すまで、逮捕から起算して最大で23日間も身体拘束されるのです。

覚醒剤で逮捕されたら原則勾留?勾留率は?

令和2年の犯罪白書によると、令和元年における覚醒剤事件での勾留率は98.4%です。第一審全体では、勾留率が約73%であることからも、覚醒剤事件における勾留率が高いことがうかがえます。覚醒剤事件で逮捕されたら原則として勾留されるものと考えておいた方がいいでしょう。

覚醒剤で逮捕されたら起訴される?

令和2年の犯罪白書によると、覚醒剤事件で逮捕されたあと、覚醒剤取締法違反で起訴される割合は令和元年で75.7%です。道路交通法を除く特別法違反の起訴率が49.3%ですので、覚醒剤で起訴される割合は極めて高いと言っていいでしょう。日本の刑事裁判における有罪判決の割合が99%以上であることから、覚醒剤事件で逮捕されると有罪で前科がついてしまう可能性が非常に高いことが分かると思います。

刑事事件で起訴されたらどうなるか詳しく知りたい方は『起訴されたらどうなる?起訴・不起訴の流れを解説』の記事もご参照ください。

覚醒剤で起訴されたら保釈を請求する

刑事事件の被疑者として勾留されていた者が起訴されると、実務上は自動的に被告人勾留に切り替わり、そのまま身体拘束が継続されます。この被告人勾留は期限がなく、裁判が終わるまで続くものです。

もっとも、検察官に公訴を提起され被疑者から被告人となれば、保釈という制度が利用可能になります。保釈とは一定の金額を裁判所に納めて身体拘束から解放される制度です。保釈の具体的な申請方法については『保釈申請の流れ。保釈条件と必要な保釈金は?起訴後の勾留から解放』の記事が参考になります。

覚醒剤事件においては、保釈は簡単に認められるものではありません。特に覚醒剤の密売組織との関係が疑われるような事件では、保釈が認められるのは困難でしょう。しかし、単純な覚醒剤事件では保釈が認められることもあります。これは覚醒剤の証拠が揃っている場合が多く、覚醒剤事件には直接の被害者が存在しないことが理由と考えられます。

保釈金は一般論でいうと150万円〜300万円が相場です。しかし、保釈金は被告人の所得によって変動するものです。芸能人が多額の保釈金を支払って保釈されているニュースもしばしば見られます。保釈金に関しては『保釈金の相場はいくら?返ってくる?保釈金が用意できない時の対応』の記事も参考にしてください。

覚醒剤で逮捕されたら刑罰は?実際の量刑は?

覚醒剤取締法の刑罰

「覚醒剤」とは覚醒剤取締法に規定があり、次のものを指します。

  1. フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類
  2. 1で掲げる物と同種の覚醒剤作用を有する物であって政令で指定するもの
  3. 1及び2のいずれかを含有するもの

覚醒剤は通称シャブ、スピード、エス、冷たいのなどと呼ばれることもあります。覚醒剤取締法はこれら覚醒剤の製造、輸出入、譲渡、譲受、使用、所持等を取り締まるものです。つまり、覚醒剤の流通過程のすべてが規制の対象となっています。これらの行為を営利目的で行った場合、さらに重い刑罰が予定されています。以下の表で覚醒剤取締法の刑罰を確認しておきましょう。

覚醒剤の態様と刑罰

営利目的非営利目的
所持・使用等1年以上の懲役10年以下の懲役
製造・輸出入無期若しくは3年以上の懲役1年以上の懲役

※営利目的の刑罰は情状により罰金併科

覚醒剤は懲役何年の実刑が相場?執行猶予はつく?

覚醒剤事件の量刑は、主として以下の1〜4の要素を考慮して決定されます。

  1. 覚醒剤が初犯か再犯か
  2. 覚醒剤の量
  3. 覚醒剤の依存性(再犯可能性)
  4. 覚醒剤が営利目的か否か

覚醒剤が初犯で事件に使われた量も少ない場合、依存性や営利目的がなければ懲役1年6ヶ月、執行猶予3年というのが実務の相場といえます。ただし、初犯であっても、事件に使われた覚醒剤の量が多い場合には、依存性や営利目的を疑われ実刑になる可能性は高まるでしょう。

覚醒剤が再犯である場合、2回目3回目だと懲役2年前後の実刑判決が実務の相場といえます。そして、回を増すごとに6ヶ月づつ刑期が長くなることが多いようです。警察庁の統計によると、覚醒剤の再犯率は高く約60%以上の割合で推移しており、令和2年では69.4%です。再犯率が他の薬物に比べて高いことから、強い依存性によって継続的な乱用に陥る傾向があることがうかがわれます。

覚醒剤の量刑に関してさらに詳しく知りたい方は『覚醒剤取締法違反で有罪になったら懲役何年?逮捕のきっかけは?』を併せてご覧ください。

※なおここでいう再犯は、刑法上の「再犯」(累犯)とは異なり、「同一の犯罪をもう一度行った」という意味で使っています。

覚醒剤で可能性の高い刑罰

初犯再犯
少量執行猶予つき懲役刑実刑
多量実刑実刑

覚醒剤で逮捕されたら弁護士に相談

覚醒剤事件は直接的な被害者が存在しないため、被害者がいる事件のように被害者と示談し、不起訴処分を目指すといった弁護活動はできません。そのため通常は、覚醒剤事件で有罪判決が出たとしても執行猶予がつくような弁護活動をしていきます。執行猶予付きの判決が出れば、刑務所に入らずに通常の生活を送ることができます。

覚醒剤事件で執行猶予付きの判決を目指すには、覚醒剤の再犯可能性が低いことをアピールしていかなければなりません。覚醒剤事件で起訴された場合にはまず、保釈を請求し、被告人の身体解放を目指します。その上で、覚醒剤の再犯防止に向けたプログラムに参加するなど、再犯防止活動を行っていきましょう。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了