未成年のお子さんが盗撮した場合、逮捕されてしまうのか、退学処分になってしまうのかなど、ご家族としては不安が尽きないでしょう。
この記事では、未成年者が盗撮をして問題になるケースを紹介し、逮捕・退学の可能性を解説します。
さらに、未成年の盗撮事件を弁護士に依頼するとどんなメリットがあるかも詳しくお伝えしますので、少年事件について疑問やお悩みをお持ちの方はぜひ最後までご覧になってください。
なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、民法上の成人(民法第4条)とは異なります。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
未成年による盗撮も逮捕される可能性あり!
未成年による盗撮で逮捕されやすいケースは?
未成年であっても、14歳以上で罪を犯せば逮捕される可能性があります。
犯行が悪質であったり、何度も盗撮を繰り返したりしているといった事情があれば、未成年でも逮捕される可能性が高まるでしょう。
盗撮で逮捕されるパターンは、現行犯逮捕と通常逮捕の2種類があります。盗撮は犯行を行っている最中または犯行直後に目撃者や駅員などに現行犯逮捕されるケースが多いです。どちらの場合も、最寄りの警察署に連行され、取調べを受けた後、留置場に収監されることになります。
逮捕期間は最大72時間です。これを超えて捜査の必要があるときは、勾留または勾留に代わる観護措置が取られることになります。
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未成年が盗撮して逮捕された後の流れ
(1)勾留or勾留に代わる観護措置が取られる
逮捕された後、さらに拘束を続ける必要がある場合は、「勾留」という手続きが取られます。逮捕から勾留までの手続きは成人の刑事事件と同じです。
勾留とは?
逮捕に引き続いて行われる比較的長期の身体拘束です。勾留場所は主に警察署の留置場。
勾留期間は原則10日間ですが、さらに最大10日間延長される可能性があります。つまり、未成年であっても、逮捕・勾留されると最大で合計23日ものあいだ身体拘束をうける可能性があるのです。
また、少年事件の場合、勾留に代わる観護措置がとられることもあります。この場合、留置場ではなく少年鑑別所にに収容されることが多いです
(2)家裁送致後の少年事件の手続き
勾留または勾留に代わる観護措置の期間が終了すると、犯罪の嫌疑が不十分な場合を除いて、少年事件はすべて家庭裁判所に送致されます。もちろん、盗撮の在宅事件も同様です。
家庭裁判所に送致された後は、大まかに言うと①観護措置→②調査→③少年審判という流れになります。
未成年が盗撮して逮捕されたらどう対処すればいい?
未成年が盗撮で逮捕される可能性は低いですが、もし逮捕されたらすぐに弁護士に相談してください。
学校にどのように連絡すればいいのか、被害者に謝罪しに行ってもいいのかなど、刑事事件・少年事件に詳しくなければ適切に対応することは困難です。
逮捕後すぐに弁護士に相談することで、事件の進み方や対応しなければならないことを整理できるでしょう。状況によっては、本人が留置されている施設まで接見に向かい、お子さんにアドバイスや伝言を伝えることも可能です。
未成年の盗撮事件を弁護士に依頼するメリットは?
未成年が盗撮事件を起こした場合、弁護士への依頼がおすすめです。弁護士は、審判不開始や不処分の実現に向けて活動します。また、退学処分や解雇が行われないよう迅速に対処してくれるでしょう。
審判を回避して早期解決を実現
弁護士は、審判不開始の実現に向けて、家庭裁判所調査官との面接がスムーズに進むようサポートします。
家庭裁判所調査官は面接の中で、性的嗜好や対人関係の問題など盗撮に至った背景問題を少年と一緒に見つめ直したり、被害者の気持ちを少年に考えさせたりするでしょう。
弁護士に依頼すれば、面接を受ける前に事前準備をしっかりと行うことができます。さらに、弁護士は面接に同席できるので、少年のすぐそばでサポートすることが可能です。
退学処分や解雇を回避する活動を行います
未成年が盗撮した場合、心配なのは退学処分や解雇のことでしょう。こうした不利益な処分を避けるには、事件のことを学校や職場に知られないようにすることが重要です。そのために、弁護士は、警察や家庭裁判所から事件のことを学校や職場に伝えないよう働きかけます。
また、学校関係者や雇用主が事件について知った後であっても、弁護士は、少年が心から反省し更生に向けて必死に努力していることを説明します。そして、少年に更生の機会を与えるために退学処分や解雇を思いとどまってほしいと粘り強く説得します。
付添人として少年の更生をサポートします
弁護士は少年審判における付添人として活動します。具体的には、少年と面会を重ね非行の原因と具体的な解決策を共に考えるのです。そして、家庭環境に問題があれば、家族とも話し合いを重ねます。その中で、保護者にも非行の原因について理解を深めてもらい、今後少年をしっかりと監護していく意欲を引き出していくのです。
また、被害者との示談交渉も行います。すでにお伝えしたとおり、少年事件において示談は必ずしも効果的ではありません。とはいえ、示談交渉の中で、被害者に少年の書いた謝罪文をお渡しするなどの方法で、反省の態度を伝えることは大切です。
弁護士は、審判までにこれらの準備を行い、少年が更生へ向けて確実に歩み出していることを裁判官や家庭裁判所調査官に伝えます。書面を作成するだけでなく、面会して少年の処分が適切に行われるよう裁判官を説得します。
審判当日も、付添人だからこそ引き出せる少年の良い面が裁判官に伝わるよう、独自の視点で質問を投げかけるでしょう。
このように、弁護士は、付添人として少年の更生をしっかりサポートし、不処分の実現を目指して活動します。
未成年の盗撮に関するよくある質問
盗撮は何罪になる?刑罰の重さは?
原則として、盗撮は撮影罪が適用されます。もっとも、撮影罪導入前の盗撮事件であった場合、各都道府県が定める迷惑防止条例違反もしくは軽犯罪法違反が成立することになるので注意してください。
盗撮行為で撮影罪が成立する場合とは
撮影罪とは、2023年7月13日に施行された「性的姿態撮影等処罰法(略称)」に規定されている新たな犯罪です。
撮影罪とは、人の性的姿態等を撮影する罪のことで、性的姿態等とは次の3つを指します。
- 性器や臀部、胸部などの性的な体の部位
- 性的な部位を隠すために着用している下着
- わいせつな行為や性交等がされている間の姿態
電車内でスカートの中を盗撮したり、性交中の様子を同意なく撮影したりすると撮影罪に該当する可能性があります。都道府県条例とは異なり、撮影罪は盗撮場所に限定がなく、盗撮未遂も処罰されます。
撮影罪の新設により、各都道府県の迷惑防止条例よりも刑罰の上限が拡大されました。撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。
撮影罪 | |
---|---|
拘禁※ | 3年以下 |
罰金 | 300万円以下 |
※ 当面の間は「懲役」のことと考える(拘禁刑を定める改正刑法の施行は2025年の見込みであるため)
盗撮行為で迷惑防止条例違反が成立する場合とは
撮影罪の導入前(2023年7月12日まで)の盗撮事件であれば、迷惑防止条例が適用される可能性が高いです。
迷惑防止条例の細かな内容は自治体によって異なるので、ここでは東京都の場合を例に説明します。
対象となる場所または乗物
- 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を付けない状態でいるような場所
- 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(1に該当する場合を除く)
盗撮となる行為
対象となる場所または乗物において、人の通常衣服で隠されている下着または身体に対して以下のような行為をすること
- 写真機その他の機器を用いて撮影する
- 撮影する目的で写真機その他の機器を差し向けることもしくは設置する
典型例としては、エスカレーターや電車内でスマートフォンを使用し女性のスカート内を盗撮する行為が挙げられるでしょう。
東京都の場合、盗撮は1年以下の懲役または100万円以下の罰金、常習の場合は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。
実際に撮影 | カメラ差し向け・設置 | |
---|---|---|
懲役 | 1年以下(常習犯は2年以下) | 6か月以下 |
罰金 | 100万円以下 | 50万円以下 |
盗撮行為で軽犯罪法違反が成立する場合
正当な理由がなく、人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た場合は、軽犯罪法の禁止する盗撮になります。
典型例としては、アパート敷地内に侵入して女性の部屋をのぞき見る行為が挙げられるでしょう。
この場合、1日以上30日未満の拘留または1千円以上1万円未満の科料に処せられます。軽犯罪法違反になる場合、建造物侵入罪や住居侵入罪の責任も問われる場合が多いです。
軽犯罪法違反 | |
---|---|
拘留 | 1日以上30日未満 |
科料 | 1千円以上1万円未満 |
未成年が盗撮しても刑罰を受けないってほんと?
結論からいうと、未成年が盗撮しても刑罰を受けることはありません。
未成年が犯した刑事事件は「少年事件」となるため、成人が犯した事件とは異なる流れで処理されます。成人が受ける刑事裁判では有罪認定されると刑罰を受けますが、少年事件の場合は殺人など一定の重大犯罪を除き、そもそも刑事裁判を受けることがありません。
未成年による盗撮の場合、刑事裁判は開かれないので「懲役」や「罰金」の刑罰を受けることはないのです。盗撮では、少年事件特有の「少年審判」という手続で処分が決定されます。
なお、少年の再非行の見込みがなくなったと裁判官が判断すれば、少年審判は開かれません。この場合、審判不開始の処分が下されます。審判不開始の場合、それ以上手続はありません。
ここまでのまとめ
- 盗撮をすると原則、撮影罪に問われる
- 撮影罪の導入前であれば、迷惑防止条例違反か軽犯罪法違反の成立がありえる
- 少年事件の場合、重大犯罪を除き未成年が刑罰を受けることはない
- ただし、少年審判という手続で今後の処分が決められることがある
未成年の盗撮事件で示談する必要はある?
成人の刑事事件の場合、示談が成立すれば不起訴になる可能性が高くなったり、刑の軽減が期待できる効果があったりしますが、未成年の場合、示談したからといって処分が軽くなるとは限りません。
少年事件について定める少年法が、少年の育成と保護を目的にしているからです。少年法は、罰することよりも少年の更生を促すことに重点を置いています。したがって、いくら示談が成立して被害者に許してもらえたとしても、そのことは少年の処分にあまり影響しないのです。
もちろん、謝罪の意思を表す手段として示談は大切です。また、示談が成立すれば被害者が被害届を取り下げてくれる場合もあるでしょう。
もっとも、「示談が成立すればすべて解決」と安易に考えないことが大切です。少年事件の場合、少年が事件と向き合い、どうすれば立ち直れるか真剣に考えることが示談以上に処分に影響します。
なお、盗撮で示談をする方法や示談のメリットについては『盗撮で示談するメリットは?方法・示談金相場も解説』が参考になるでしょう。少年事件のケースではなく、成年が起こした盗撮事件の示談に関する解説ですが、参考になる内容になっているので気になる方はぜひご覧ください。
未成年の盗撮事件はアトムの弁護士に相談
アトムに寄せられた無料相談の口コミ
少年事件とは限りませんが、アトム法律事務所の弁護士にご依頼いただいた方の口コミをいくつか紹介します。
とても迅速で丁寧なアドバイスをして頂けました。刑事専門ということでとても心強い印象です。
弁護士さんに相談することは初めてで、最初はとても勇気が要りましたが、優しい対応で安心でしました。ありがとうございます。今後深い話をさせていただく事になると思いますが、是非宜しくお願い致します。
その他の口コミは「無料相談の口コミ評判」のページからご確認いただけます。
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