
リベンジポルノ防止法における「公表罪」「公表目的提供罪」は親告罪のため、告訴がなければ公訴の提起(起訴)ができません。しかし告訴は逮捕の要件ではないため、リベンジポルノ事件で逮捕される可能性はあります。早期解決のためには、被害者対応が必須です。ただし、被害者との示談は慎重な対応が求められます。被害者対応に精通した弁護士にアドバイスを求め、自分から直接被害者と接触することは避けたほうがよいでしょう。
リベンジポルノで逮捕されたとき、早期釈放や不起訴獲得にはいくつかポイントがあります。この記事では、リベンジポルノ事件で逮捕された方、またそのご家族の方に参考にしていただきたい内容をまとめています。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
目次
リベンジポルノは逮捕される可能性がある
リベンジポルノ防止法の弁護士解説|懲役と罰金
リベンジポルノとは、撮影対象者の同意なく、個人的な性的画像や性的動画を無断でインターネット上に公開するという嫌がらせ行為をいいます。これを取り締まるのが、リベンジポルノ防止法です。正式には、「私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律」といい、これに違反した場合には、罰則も用意されているのです。
第三者が撮影対象者を特定することができる方法で、性的な画像や動画をインターネット上に公表した場合は、「三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が用意されています。また、公表させる目的で、性的画像・動画を提供した場合は、「一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金」が用意されています。懲役刑と罰金刑が定められており、刑事裁判になり有罪判決が確定すれば前科がつくことは避けられません。なお、これらの罪は告訴がなければ公訴を提起できない親告罪となっています。
リベンジポルノ防止法違反は逮捕される可能性がある
リベンジポルノ法違反は逮捕される可能性ある、刑事事件の一種です。加害者は悪ふざけやちょっとしたイタズラという認識であっても、法律に違反し刑事罰が予定されている以上、逮捕され刑事裁判にかけられる可能性があります。リベンジポルノはTwitterやInstagramなどのSNSが使われることも多く、近年、深刻な問題となっています。
SNSは拡散性が高いという性質があり、一度公表すると、その情報は瞬く間に広がっていくものです。元のデータを削除したからといって、ネット上から完全に削除できるという保証はありません。画像や動画は数秒の操作でアップロードできるため、重大な犯罪行為をしているという意識なく行う人が多いです。リベンジポルノは逮捕される可能性のある犯罪ですので、心当たりのある人は、弁護士相談を受けておかれることが望ましいでしょう。
リベンジポルノ防止法違反での逮捕例を紹介
リベンジポルノ防止法違反で逮捕されるケースとして一般的なものは、かつての交際相手や元結婚相手の裏切りに復讐する目的で性的画像などをネットにアップする行為です。しかし、中には不特定多数の被害者を盗撮し、その動画をネットで公開したことでリベンジポルノ防止法が適用され検挙された事例があります。
通常、飲食店のトイレ内にカメラを仕掛け、盗撮する行為は迷惑行為防止条例違反と建造物侵入罪が適用されるケースが多いです。ところが、このケースでリベンジポルノ防止法が適用され犯人が逮捕されたケースがあり注目を浴びました。被疑者と被害者が面識のない関係で、盗撮事件として同法が適用された事例は珍しいといえます。
リベンジポルノでの逮捕|被害者との示談は必須
リベンジポルノ事件の解決のポイントは示談
リベンジポルノ事件は親告罪のため、告訴がなければ公訴の提起ができません。そこで、被害者との示談により宥恕(ゆうじょ)を得て、告訴の取り消しをしてもらうことが大切です。もちろん、被害者の傷ついた名誉や害された私生活の平穏は簡単に回復できるものではなく、示談は難航することも予想されます。
示談をする際には、事件の性質上、相当慎重な対応が求められます。リベンジポルノは、被害者感情を十分にくみ取った示談内容にすることが必要です。示談ができると、今度はそれを検察官に報告し、すでに当事者同士での解決が済んでいることを示します。告訴の取り消しがなされれば、起訴されることはありません。
リベンジポルノの示談|画像と動画の削除は必須
リベンジポルノの示談では、ネットにアップロードした画像や動画を削除することも、重要な内容に含まれます。公表された性的画像や動画は、プロバイダなどを通じて削除要請することができます。被害者が警察に相談し、警察が削除に動く場合もありますが、ネット上に拡散された情報は簡単に回収することはできません。そのようなときは、ネットに詳しい専門家に意見を仰ぐことも大切です。
示談では、基本的に金銭賠償をすることで、被害感情をおさめることになります。被害者がリベンジポルノによってどのような実害を被ったか、また精神的苦痛の程度についても正確に把握することが必要です。弁護士は、それらを総合的に考慮し、適正な示談金を提示します。
不起訴獲得と執行猶予獲得に向けて重要なこと
不起訴の獲得は、前科を回避するためには極めて重要です。告訴がなされていても、起訴するかを決めるのは検察官です。検察官が捜査を尽くし、心証を固めるまでに被害者対応を進める必要があります。時間の勝負になるものの、リベンジポルノの被害者対応は精神的苦痛を和らげる繊細な示談交渉となります。単に加害者の利益だけのために急いでいると誤解されると示談が決裂するおそれもあり、被害者には丁寧な説明をすることが大切です。
また、起訴された場合には、執行猶予の獲得を目指すことになります。有罪判決を受ける時、執行猶予が付かなければ実刑となります。例えば、懲役1年の実刑では、1年間刑務所で服役しなければなりません。ここに執行猶予が付されると、いつもの生活を維持することができます。執行猶予中、事件を起こしたり巻き込まれることがなければ、刑が執行されることはありません。そのため、執行猶予付き判決を得ることには大きな意味があります。
リベンジポルノで逮捕されたらスグ弁護士に相談を
リベンジポルノで逮捕されたらすぐ弁護士を呼ぶ
リベンジポルノで逮捕されると、すぐに釈放される保証はありません。刑事事件で逮捕されると、その後、勾留という身体拘束の期間に入る可能性がでてきます。逮捕直後は、家族であっても面会することができず、外部との連絡は遮断されます。このとき、唯一弁護士だけが逮捕された者と面会することができるのです。
弁護士は、取調べへのアドバイスを行い、被疑者が不利益を被らないように警察対応を検討します。被疑者にとって、逮捕直後はもっともパニックに陥りやすいタイミングで、冷静に取調べに応じられないこともあるでしょう。不利な供述をしてしまわないよう、弁護士の助言をたよりに警察対応を進めることが大切です。
逮捕後の勾留回避は弁護士のサポートが必須
逮捕後、勾留されることを回避するには、すぐに弁護士に身柄開放活動をしてもらうことが必要です。警察に逮捕されると、警察から検察官に身柄が引き渡され、検察官により勾留すべきかが検討されるのです。ここで、弁護士は検察官が勾留請求しないように意見できます。それでも勾留請求が行われると、今度は裁判官に対して勾留すべきでないことを意見します。
最終的に、勾留の判断を行うのは裁判官です。勾留決定が出されてしまったときには、ただちに準抗告申立てを行い、勾留の判断について再度見直してもらう手続をとります。このように、弁護士は逮捕直後からすぐに様々な活動を展開することが可能です。逮捕されたら、できる限り早く弁護士相談を受け、早期釈放を目指してください。
リベンジポルノ事件に詳しい弁護士の探し方
リベンジポルノの事件で弁護士を探すとき、何を基準に探せばよいのでしょうか。それは、刑事事件に精通している弁護士かどうか、という点に注目することが大切です。弁護士は法律の専門家です。その中でも、刑事事件の解決実績が豊富な弁護士であれば、どのタイミングでどのような活動をすべきか瞬時に判断することができます。これは、早期釈放につながるといえます。
また、刑事事件に詳しい弁護士は、被害者対応についても熟知している可能性が高いです。リベンジポルノのように、繊細な示談が要求される事件では、特に被害者対応についてのノウハウが極めて重要です。リベンジポルノでお困りの際は、刑事事件に力を入れている弁護士にご相談されることをおすすめします。