「魔が差して万引きをしてしまった」
「会社の備品を持ち帰って転売した」
「友人の財布からお金を盗んだ」
軽い気持ちで行った行為かもしれませんが、「初めてだから」と油断していませんか?
窃盗はれっきとした犯罪であり、初犯であっても起訴され、重い刑罰が科される可能性があります。悪質性が高いと判断されれば、初犯でも実刑となり、ただちに刑務所に収容されるケースもあるのです。
この記事では、窃盗の初犯で起訴・実刑の可能性、不起訴を獲得する方法などをわかりやすく解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
窃盗の初犯で起訴されることはある?
初犯でも起訴されることはある
初犯だからといって必ずしも軽い処分になるわけではありません。
初犯であったとしても、示談が成立しなかったり、犯行の悪質性が高いと判断されたりした場合には、起訴される可能性があります。
窃盗事件で犯行の悪質性が高い例として、高額な商品を盗んだ場合や、組織的・計画的に犯罪が行われていた場合などが挙げられます。
日本の刑事裁判においては起訴されると、99.9%の確率で有罪となります。有罪判決が確定すると、前科がついてしまいます。
起訴には通常起訴と略式起訴があります。それぞれの内容を解説します。
通常起訴
通常の起訴とは、検察官が被疑者を正式な刑事裁判の被告人として裁判所に訴えることを指します。公開の法廷で審理が行われる正式な裁判手続きです。
公判は複数回にわたって行われ、最終的に裁判官が判決を下します。有罪判決をうければ、前科がつきます。
略式起訴
略式起訴は通常の起訴よりも簡単に被疑者の刑事処分を決める手続きのことです。略式起訴では法廷での裁判が開廷されずに、非公開で事件の処理が行われます。
窃盗罪は略式起訴の要件を満たすため、略式起訴の手続きが取られることも多いです。略式起訴された場合も罰金刑となり、前科がつきます。
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示談すれば微罪処分や不起訴処分の可能性が高まる
窃盗の初犯は起訴される可能性があります。ただし、窃盗の初犯で被害金額も少額かつ示談が成立していれば、刑罰が科されずに、微罪処分や不起訴処分などの軽い処分になる可能性が高いです。
実務上、初犯者は再犯者と比べて比較的寛大な処分が下される傾向にあります。これは、初めて罪を犯した人には更生の可能性が高いと考えられているためです。
微罪処分・不起訴処分となれば前科はつきません。
微罪処分
微罪処分とは、被害結果などが特に軽微な事件について、警察限りで刑事手続きを終結させる処分のことです。本来すべての事件は検察官に送致されますが、警察限りで手続きを終結させることから、不送致とも呼ばれます。
微罪処分となるかは警察官の裁量によりますが、初犯であれば微罪処分の可能性はあるでしょう。
微罪処分となるための主な条件は以下の通りです。
微罪処分となるための主な条件
- 犯罪が軽微であること
- 被疑者が十分に反省していること
- 被害が適切に回復されること
- 被疑者を監督する人がいること
窃盗事件の場合、おおむね2万円以下の被害額が目安となります。罪を犯したことを反省し、被害弁償や示談を締結していることも条件として挙げられます。
微罪処分となる場合は、身元引受人に警察署まで来てもらい、身柄釈放となります。その後警察や検察などの捜査機関から連絡が来ることは原則ありません。前科もつかないため、日常生活に戻ることができます。
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不起訴処分
不起訴処分とは、検察官が刑事裁判を開廷しないと決める処分のことです。不起訴処分になれば、犯罪の捜査は終了し、刑事裁判にかけられないため、前科をつけずに事件を終了させることができます。
窃盗事件では、盗んだお金や物がわずかで、過去に同様の前科・前歴がないような場合は、示談を締結することで、不起訴処分を獲得できるケースが多いです。
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窃盗の初犯で実刑はありえる?
窃盗の初犯で実刑になる可能性はある
窃盗の初犯であっても、状況によっては実刑判決を受ける可能性はあります。「初犯は処分が軽くなるから実刑判決を受けない」というのは誤解です。
実刑判決を受けると、ただちに刑務所に収容されます。刑務所での長期間の拘束を余儀なくされると、そのぶん社会復帰も難しくなります。
窃盗の初犯で実刑になるケース
窃盗の初犯で実刑判決が下されるかどうかは、具体的な状況や事情によります。
一般的に、初犯であれば懲役刑が科されても執行猶予が付くことが多いですが、以下のような要素が複合的に関係している場合には実刑となる可能性が高くなります。
- 被害額が数千万円を超える
- 組織的な犯行で計画性が高い
- 凶器を使用した
- 反省の態度がない
- 被害弁済が行われていない
たとえば、「組織的に計画を立て、宝石店で数千万円の商品を盗んだが被害弁償できていない」といったケースでは実刑となる可能性が高くなるでしょう。
窃盗罪の要件と刑罰
窃盗罪が成立する要件
窃盗罪は、「他人の財物」を「窃取」した場合に成立する犯罪です(刑法235条)。「窃取」とは、他人の占有している財産や物品を、その意思に反して自分または第三者のものとしようとする行為のことを指します。
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法235条
窃盗罪には未遂罪も規定されているため、窃盗を行おうとして失敗に終わった場合も処罰される場合があります。
窃盗罪の刑罰
窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。
窃盗罪の初犯であっても、再犯であっても、適用される範囲は同じです。つまり、法律上は、窃盗罪の初犯でも最大10年の懲役刑が科されることもあるといえます。
万引きも窃盗罪になる
スーパーやコンビニなどの店で陳列された商品を盗む、いわゆる万引きも窃盗罪にあたります。
万引きは軽い犯罪という印象があるかもしれません。しかし、店の占有している商品を自分のものとしようとする行為であり、窃盗罪に当てはまると認識しておく必要があります。
万引きの被害額が数十円、数百円と小さくても、商品であるものを盗めば窃盗罪に該当し、犯罪となります。
窃盗罪の初犯で逮捕された後の流れ
ここでは窃盗事件の逮捕の種類と逮捕後の流れをみていきましょう。
主な逮捕は2種類
窃盗では犯行現場で現行犯逮捕されるケースと、後から身柄を特定されて後日逮捕されるケースがあります。
現行犯逮捕とは、今まさに犯行をしている人、犯行直後の人を逮捕状無しで逮捕することです。
スーパーやコンビニなどで万引き行為を行い、店員などに発覚したあと、警察を呼ばれて身柄をわたされるケースは現行犯逮捕の典型例といえるでしょう。
後日逮捕とは、裁判所の逮捕状発付に基づく逮捕のことをいいます。通常逮捕とも呼ばれます。
防犯カメラなどから身柄を特定されて、多くは被疑者在宅の可能性が高い早朝に警察官がやってきて、逮捕状が示されてそのまま警察署に連行されます。
窃盗事件の場合、通常逮捕は防犯カメラの映像などから犯行が発覚するケース、現行犯逮捕は目撃者や店員などにその場で犯行現場を押さえられるケースが多いです。
逮捕後は最長23日間身体拘束される
次に、逮捕された後の流れをみてみましょう。逮捕後は検察官が事件を起訴するかどうか決めるまで、最長で23日間の身体拘束が続く可能性があります。
逮捕されても、警察は微罪処分として釈放する場合がありますが、それ以外の場合、事件を検察官に引き継ぐ検察官送致(送検)が48時間以内に行われます。
検察官が身体拘束を継続して捜査の必要性があると判断した場合には24時間以内に勾留請求が行われ、勾留質問などのあと、原則として10日間身柄が拘束されます。必要に応じ、さらに最長で10日間の勾留延長が行われます。
捜査の結果、検察官は起訴するかどうかを判断します。不起訴・処分保留となった場合は釈放されますが、起訴されると略式起訴もしくは正式裁判に移行します。
窃盗の初犯で不起訴処分を獲得するためには
示談で不起訴の可能性を高める
窃盗のような被害者のいる犯罪の場合、早期に被害者対応を行うことが重要です。
示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や加害者家族への影響などといった様々な情状を考慮し、最終的に「起訴するほどではない」と判断し、不起訴処分となる可能性が高まります。
被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。
逮捕されてから起訴される前の身柄拘束が続く期間は最大で23日間ですが、起訴が決定された後で示談が成立しても、後から不起訴とすることはできません。そのため、できる限り早い段階で弁護士に相談し、検察官が起訴するかどうか判断するまでに、示談を締結する必要があるのです。
逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉はできず、また逮捕されていない場合であっても加害者と被害者が直接示談交渉を行うことは困難です。そのため、示談交渉の際は弁護士を間に立てることが必要となります。
弁護士 | 本人 | |
---|---|---|
示談交渉 | 交渉しやすい | 難しい |
示談成立 | 早期成立 | 時間がかかる |
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示談できない場合も弁護士と対策を練る
被害感情が強い場合など、被害者との示談が締結できないケースもあります。
また、万引きをした場合、示談には一切応じない方針を取っている店舗もあります。特に大手スーパー、コンビニなどのチェーン店は「被害弁償には応じるが、示談には応じない」といった対応を取っていることも多いです。
その場合は弁護士と相談の上、示談とは別の形で反省の意を示すことで、不起訴処分の可能性を高めていくことになります。
示談ができない場合の対処法として、以下が挙げられます。
示談できないときの対処法
- 被害弁償:万引きをした商品の返品や、使用していた場合にはその金額相当額の返金などを含めた、被害全額の弁償
- 供託:被害者が被害弁償額をいつでも受け取れるよう、国の機関である供託所に金銭を預ける賠償方法
- 贖罪寄付:都道府県の弁護士会や法テラスなどの団体に対して寄付を行うことで反省の意思を示すことができる制度
示談できない場合の対処法について詳しく知りたい方は、『万引きで示談ができないときはどうする?前科を回避する対策を解説』をご覧ください。
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