公務員が交通事故を起こした場合、欠格事由に該当する可能性があります。欠格事由に該当すると、通常の懲戒処分だけでなく次のような処分を受ける場合があります。
- 公務員資格の喪失
- 欠格事由に該当し失職
公務員の場合は交通事故でも厳しい処分を受けることがありえます。
この記事では、公務員が交通事故を起こした場合の処分と公務員資格について解説します。
目次
公務員の交通事故に対する処分
公務員が交通事故を起こした場合、事故の悪質性や被害の度合いによっては、刑罰が科される可能性があります。また、刑事処分の程度によっては、公務員資格の喪失や欠格事由となる可能性もあります。
公務員が交通事故を起こしてしまった場合には、速やかに弁護士に相談し、適切な対応をとることが重要になります。
公務員資格の喪失・欠格事由
公務員が交通事故を起こした場合、刑事処分の程度によっては欠格事由に該当する可能性があります。欠格事由に該当すると、公務員資格を喪失したり公務員資格を新たに取得できなくなったりします。
刑事処分を受けた場合の欠格事由は国家公務員法38条、地方公務員法16条に規定されています。
国家公務員法38条
次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
国家公務員法38条1項1号
地方公務員法16条
次の各号のいずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験若しくは選考を受けることができない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
地方公務員法16条1項1号
交通事故を起こして禁錮以上の刑に処せられると、公務員資格の取得に制限がかかります。さらに、国家公務員や地方公務員は欠格事由に該当すると多くの場合で失職します。
公務員が交通事故を起こしてしまった場合は、速やかに弁護士に相談してください。
刑事事件に強い弁護士であれば、警察の捜査への最適なアドバイスが可能です。取り調べで不利な供述をしないためにも、弁護士の助言は重要です。
また、弁護士は被害者と示談交渉を行い、不起訴処分の可能性を高めます。不起訴になれば欠格事由に該当することはないため、公務員資格の喪失を回避することができます。
交通事故を起こした公務員がすべきこと
公務員が交通事故を起こしてしまった場合にすべきことは、次の3つです。
- 速やかに警察に事故を報告する
- 被害者への謝罪と賠償を行う
- 弁護士に相談する
警察への事故の報告は、道路交通法で定められています(道路交通法72条1項)。また、被害者に対する謝罪と賠償は、事故加害者であれば当然必要となります。
しかし、交通事故は運転手が任意保険に加入していることが多く、当事者間の損害賠償は保険会社を通じて行われる場合がほとんどです。
とはいえ、治療期間が長く刑事処分までに保険会社の示談が終わらない場合などは、別途示談を成立させる必要があります。
当事者同士での交渉はまとまらないことも多いため、被害者対応が対応な場合は、弁護士に代行してもらいましょう。
弁護士に相談するメリット
公務員が交通事故を起こしてしまった場合に、弁護士に相談するメリットは次のとおりです。
- 警察の捜査や裁判に対応できる
- 被害者との示談交渉を行う
刑事事件に強い弁護士であれば、警察の捜査への対応方法をアドバイスできます。取り調べでの想定質問などを予め伝え、不利になる供述はしないよう黙秘や署名拒否などの方針を示すことも可能です。
また弁護士であれば、被害者との示談交渉をスムーズに行うことができます。
交通事故の状況次第では、事故の被害者や遺族は、加害者と直接連絡をとったり面会したりすることを嫌がる場合もあります。
被害者から接触を拒否されている場合でも、弁護士であれば粘り強く連絡を継続し、示談成立の可能性を高めることができます。
公務員が交通事故を起こした場合のよくある質問
警察に事故を報告する義務はある?
交通事故を起こした場合、警察に事故を報告する義務があると道路交通法で定められています(道路交通法72条1項)。
刑事罰を受ける可能性はある?
交通事故を起こした場合、刑事罰を受ける可能性があります。例えば、死亡事故や重傷事故の場合は懲役刑や禁錮刑、軽傷事故の場合は罰金刑となることが多いです。
公務員資格を喪失する可能性はある?
公務員が交通事故を起こし、禁錮以上の刑に処せられた場合、公務員資格を喪失する可能性があります(国家公務員法第38条・76条、地方公務員法第16条・28条4項)。
弁護士に相談するメリットは何?
公務員が交通事故を起こした場合、弁護士に相談するメリットは「警察の捜査へのアドバイス」「軽い処罰に向けた裁判弁護」「被害者との示談代行」の3点です。
弁護士に相談することで、被害者との示談を迅速に成立させて不起訴を獲得する可能性が高まります。不起訴になれば欠格事由に該当しないため、公務員資格を失うことなく仕事を続けられるでしょう。