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わいせつ教員は逮捕で懲戒免職?性犯罪の罰則は?示談は弁護士に相談!

教員がわいせつ

こちらの記事では、教員がわいせつに関する罪を犯した場合、どのような処分が下されるのか、教員免許を剥奪される可能性について、また性犯罪の類型ごとの刑罰についても解説します。

わいせつ行為で逮捕された教員は懲戒免職?

性犯罪に限らず、教員が何らかの犯罪を犯して前科がついてしまった場合、教員免許を剝奪されたり、新たに取得できなくなることがあります。

教員による児童に対するわいせつ行為は、近年特に悪質として問題視されるようになっており、厳しい処分が下されることが考えられます。

前科(禁錮以上)で教員免許は剥奪!

教員免許を保有している者が「禁錮以上の刑に処せられた」場合、その教員免許の効力は失われ、免許剥奪となります(教育職員免許法10条1項、同5条1項3号)。

(失効)
第十条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う
一 第五条第一項第三号(略)に該当するに至つたとき。

教育職員免許法10条1項1号

第五条 (略)授与しない。
一 (略)
三 禁錮以上の刑に処せられた者

教育職員免許法5条1項3号

教員のわいせつ事件でよくある、不同意わいせつ、盗撮などは、拘禁刑(懲役刑)に問われ得る犯罪です。

そして、拘禁刑は「禁錮以上の刑」にあたります。

そのため、教員の在職期間中、これらの罪で起訴され、裁判で「禁錮以上の刑」が確定すれば、教員免許は剥奪されてしまいます。

免許剥奪をまぬかれるためには、(1)事件化の回避、(2)不起訴を獲得、(3)罰金判決を獲得、(4)無罪判決の獲得などの方法が考えられます。

ただし、罰金以下の刑や不起訴になっても、特に本人が罪を認めている場合などは懲戒免職になるおそれがあり、結果として、教員免許が失効になる可能性があります。

(失効)
第十条 免許状を有する者が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その免許状はその効力を失う
一 (略)
二 公立学校の教員であつて懲戒免職の処分を受けたとき。

教育職員免許法10条1項2号

逮捕されたら懲戒免職?

教員が逮捕された場合の懲戒処分は、公立学校の場合は各都道府県の教育委員会が、私立学校の場合は各学校法人が就業規則にしたがって下します。

一例として、東京都教育委員会がホームページ上で公開している「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」をみてみましょう。

処分量定のうち「性的行為、セクシュアル・ハラスメント等」をみると、学校外での各種の性犯罪のほか、職務上のものは「児童・生徒に対する性的行為等」「保護者に対する性的行為等」「職場におけるセクシュアル・ハラスメント等」「一般の者に対する性的行為等」に分けられ、それぞれ処罰対象となる行為と免職から戒告までの処分が細かく決められているのがわかります。

ここでは、簡単に処分量定の一部を紹介します。

処分量定の内容(一部)

  1. 不同意わいせつ、面会要求、公然わいせつ、児童福祉法違反、撮影罪などの既遂・未遂
    →免職
  2. 同意の有無にかかわらず性交または性交類似行為(未遂)
    →免職

東京都教育委員会HP「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」より、抜粋のうえ編集しました。
こちらは、2024年8月8日現在の情報です。
最新の情報については、ご自身でご確認ください。

わいせつ教員の再就職は困難!

わいせつ教員対策新法による制限

教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(以下、「わいせつ教員対策新法」といいます。)は、2021年6月4日に公布され、2022年4月1日から施行されている法律です。

わいせつ教員対策新法では、わいせつ行為を犯した者に対して、厳正な対処が規定されています。すなわち、原則として教員免許の再交付が行われないので、免許の再取得が極めて困難になります。

子ども性暴力防止法(日本版DBS法)の制限

令和6年6月26日、「こども性暴力防止法」(正式名称「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律」)が公布されました(※公布の日から起算して2年6ヶ月を超えない範囲で施行予定)。

この「こども性暴力防止法」は、「日本版DBS法」とも呼ばれます。

「日本版DBS」というのは、英国のDBSをモデルにした制度で、子どもに接する職業に就く際、性犯罪歴がないかを確認されるというものです。

学校や認可保育所などの事業者は、就労希望者がいる場合、こども家庭庁に申請して、その者の性犯罪歴を確認しなければなりません(こども性暴力防止法4条1項)。

性犯罪歴の確認が義務化されるもの

  1. 許認可保育所の保育士
  2. 教員・職員
    (例) 校長、教諭、養護教諭など

性犯罪歴がない場合、そのまま「犯罪事実確認書」が事業者に交付されます。

一方、性犯罪歴がある場合、就労希望者本人に事前通知をおこない、その後2週間以内に内定辞退・退職すれば、「犯罪事実確認書」は事業者に交付されません。

内定辞退・退職をしない場合、「犯罪事実確認書」は事業者に交付されます。
この場合、事業者は、諸般の事情を踏まえ、児童対象性暴力等のおそれがあると認めるときは、不採用や配置転換などの安全措置を講じなければなりません(同6条)。

照会の対象となる期間

  1. 拘禁刑の場合
    刑終了から20年
  2. 罰金刑の場合
    刑終了から10年
  3. 施行猶予の場合
    判決確定から10年

照会される犯罪歴の例

  1. 刑法
    不同意わいせつ、不同意性交等、監護者わいせつ・監護者性交等、面会要求等など
  2. 児童福祉法違反
    児童淫行罪
  3. 児童ポルノ法違反
    児童買春など
  4. 性的姿態等撮影罪
  5. 条例違反の痴漢、盗撮

教員が性犯罪で逮捕されたら

教員がわいせつ等の性犯罪で逮捕後の流れ

現行犯逮捕と後日逮捕の違い

逮捕にはいくつかの種類があります。ここでは代表的な2つの逮捕の形式における、逮捕された場合の流れをみてみましょう。

後日逮捕(通常逮捕)

まずは後日逮捕(通常逮捕)があります。これは、刑事訴訟法に基づき、一定階級以上の警察官や検察官などが逮捕状を請求し、裁判官が逮捕の理由と必要性を認めた場合のみ逮捕令状を発行し、それによって逮捕が行われます。

現行犯逮捕

次に現行犯逮捕があります。犯行中や犯行直後の犯人を逮捕することをいい、犯人を間違える可能性は低いため、逮捕状なく一般人でもできる(私人逮捕)ことが特徴ですが、逮捕後はすぐに警察官などに犯人を引き渡す必要があります。その後は最寄りの警察署に連行され、取り調べを受けることになります。

補足

平成31年の警視庁の統計によれば、同年の都内の刑法犯のうち、通常逮捕と現行犯逮捕の割合はおよそ1:1となっています。

教員が逮捕された場合の流れ、弁護士を依頼するメリットなど、『教員が逮捕されたら?免許を失わないためにすべきこと』の記事で解説しているので、あわせてご覧ください。

わいせつ教員の実名報道

実名報道に関する基準は、明確に法律に規定されているわけではありません。

しかし、教員の性犯罪・わいせつ事件は、教育にたずさわる者としての資質が問われ、社会的に関心の高い事件に分類されるため、逮捕で実名報道される可能性は高いものでしょう。

実名報道の基準については『刑事事件が報道される基準|実名報道を避けるには?』の記事も、あわせてお読みください。

不同意わいせつ・盗撮・児童買春・痴漢・不同意性交の刑罰は?

わいせつに関連する性犯罪にはいくつかの種類があり、その刑罰も異なります。それぞれを見てみましょう。

不同意わいせつ罪の刑罰(体を触る・キス等)

不同意わいせつ(旧強制わいせつ)の定義・内容

不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)とは、相手の性的同意なく、わいせつな行為をする性犯罪です(刑法176条)。

教員の不同意わいせつ事件でよくある例は、次のようなものです。

教員の不同意わいせつ事件の例

  1. 児童の下着の中に、手を入れた
  2. 指導と称して、教え子の胸を触った
  3. 特別支援学校に通う児童に、教員がキス
  4. 同僚にセクハラ(お尻を触る・抱き着く等)
  5. アプリで知り合った初対面の相手に、無理やり、わいせつ行為をした

なお、「社会関係上の地位」による不利益を憂慮して、相手がわいせつ行為を断れない場合も、不同意わいせつ罪の処罰対象になりますが(刑法167条1項8号)、教員と生徒は、この条文で処罰される典型例です。

したがって、たとえ、教え子がわいせつ行為に抵抗しなかったとしても、不同意わいせつ罪が成立する可能性は非常に高いと考えておくべきでしょう。

不同意わいせつの処罰

不同意わいせつ罪の刑罰は、6年以上10年以下拘禁刑です。

不同意わいせつ罪は、初犯の場合など、被害者と示談が成立すれば、不起訴になることも多いです。

ただし、未成年者へのわいせつ行為は、厳罰化の傾向にあります。

本来、児童を守るべき立場になる教員が、児童に対するわいせつ事件を起こせば、その後、逮捕・起訴され、有罪判決をうける可能性は高くなるでしょう。

不同意わいせつ罪の条文

次に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、わいせつな行為をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、六月以上十年以下の拘禁刑に処する。

一 (略)
八 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力によって受ける不利益を憂慮させること又はそれを憂慮していること。

刑法176条1条

2023年7月12日以前のわいせつ事件

なお、不同意わいせつ罪は、2023年7月13日以後のわいせつ事件に適用される性犯罪です。

教員のわいせつ事件が発生したのが2023年7月12日以前の場合、強制わいせつ罪が適用されます。

不同意わいせつ罪、強制わいせつ罪について、くわしくは『不同意わいせつ罪とは?逮捕されたらどうなる?強制わいせつ罪との違いを解説』の記事をご覧ください。

不同意性交等罪の刑罰(強姦、口淫など)

不同意性交等罪とは、性的同意なくして性交等をした場合に成立する性犯罪です。

ただ、不同意わいせつ罪と同様に、教師・生徒という社会的関係性から、教え子の明確な拒否が無い場合でも、不同意性交等罪に問われるケースは多いものでしょう。

教員の不同意性交等の例

  1. 内申点をほのめかして、教え子と性交渉
  2. 明確な抵抗をしない教え子に、肛門性交した
  3. 教え子を脅して、口腔性交(口淫)させた
  4. 泥酔で動けない同僚女性の膣に、指を挿入
  5. SNSで知り合った相手の同意を得ずに、強姦

不同意性交等罪の刑罰は、5年以上20年以下拘禁刑です。

執行猶予つき判決がだされるのは、刑が3年以下の場合になるため、不同意性交等罪は原則、懲役の実刑判決となります。

懲役の実刑判決を回避したい場合、(1)刑事事件化を回避、(2)不起訴を獲得、(3)情状酌量を主張し執行猶予付き判決を獲得、(4)事実を争い無罪判決を獲得といった方法が考えられます。

前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(略)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。

刑法177条1項柱書

なお、刑法177条に定められた不同意性交罪は、以前は強制性交等罪という名称でしたが、2023年に法改正が行われて現在の名称となりました。

すなわち、2023年7月12日以前の強姦事件については、旧法である強制性交等罪が適用されます。

不同意性交等罪、強制性交等罪ともに、被害者の告訴を必要としない非親告罪です。

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盗撮の刑罰

盗撮行為については、基本的に撮影罪が適用されます。

盗撮を取り締まる法律は元々存在せず、各都道府県の迷惑防止条例が適用されてきましたが、2023年7月13日から、全国一律の処罰規定である「撮影罪」が導入されました。

教員の盗撮の例

  • 学校の女子トイレで盗撮した
  • 女性のスカート内に、スマホを差し向けた
  • 更衣室に盗撮用カメラを設置した

    盗撮罪の刑罰は、3年以下の拘禁または300万円以下の罰金です。

    次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。

    一 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(略)を撮影する行為

    イ 人の性的な部位(性器若しくは肛門若しくはこれらの周辺部、臀部又は胸部をいう。(略))又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

    ロ イに掲げるもののほか、わいせつな行為又は性交等(略)がされている間における人の姿態

    性的姿態撮影処罰法(略称)2条

    2023年7月12日以前の盗撮事件の刑罰

    撮影罪が導入される前の事件については、これまで通り、基本的には各都道府県の迷惑防止条例が適用されます。

    迷惑防止条例は各都道府県が制定している粗暴行為などを取り締まるための法律です。

    東京都の迷惑防止条例では、以下の通り定められています。

    (2) 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

    イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

    ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

    東京都「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」5条

    上記に違反した場合は1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることになります。

    迷惑防止条例はこのように「人が通常衣服を身につけないような場所」「公共の場所」などの盗撮行為を禁じています。

    ただ都道府県によっては、公共の場所のみの盗撮を禁じ、住居等の盗撮について規制の対象外としているケースもあります。

    そのような都道府県における住居等の公共の場所以外での盗撮は、住居侵入罪や軽犯罪違反として処罰されることになります。

    童買春の刑罰

    児童買春の刑罰は、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律」4条で、5年以下の懲役または300万円以下の罰金と定められています。

    児童買春をした者は、五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

    児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条

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    痴漢の刑罰

    学校とは関係のないところでの痴漢で逮捕され、懲戒処分を受ける教員も多いです。

    教員の痴漢の例

    1. 電車内で、女性のお尻や胸を触る痴漢をした
    2. 路上で、いきなり抱き着いた
    3. いきなり陰部を露出し、他人に押し付けた

    痴漢行為に対しても、痴漢罪という刑罰はなく、基本的には各都道府県の定める迷惑防止条例が適用されます。東京都の「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」では、痴漢行為については6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金としています。

    また、痴漢であっても行為の悪質性によっては不同意わいせつ罪が適用されることもあります。この場合は6ヶ月以上10年以下の拘禁刑となります。

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    教員のわいせつ等の性犯罪による処分の軽減を目指すには弁護士へ早期相談

    教員がわいせつ等の性犯罪を犯した場合、最終的な処分の軽減を図るためには、早期に弁護士に相談することが重要です。

    被害者と示談を締結し釈放と不起訴を目指す

    処分の軽減のためには、裁判を行わないという判断である不起訴を得ることが重要です。厳罰化の流れもあり、不起訴になったからといって教員免許の取り消しを避けることが必ずできるというわけではありませんが、不起訴は懲戒処分においても重要な意味を持ちます。

    不起訴処分を得るためには、弁護士による適切なサポートを受けた上で、示談の締結を目指します。また、示談以外にも、弁護士がついていれば早期釈放や刑事処分を軽くするための活動が期待できるでしょう。

    性犯罪事件でどういった弁護士を選ぶべきか知りたい方は『性犯罪に強い弁護士|アトム法律事務所』をご覧ください。

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