2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
刑事事件を起こして逮捕されても、「初犯だから実刑にならないはず」と考えている方も多いのではないでしょうか。
初犯でも、法定刑の下限が3年を超える犯罪や悪質な犯罪の場合は、一発で実刑判決になることがあります。
とはいえ、適切な弁護活動を行えば、執行猶予などを獲得し、実刑判決を回避できる可能性もあります。この記事では、初犯で執行猶予がつかずに一発実刑になるのはどのようなケースなのか、実刑を回避し、執行猶予を獲得するためにできることを分かりやすく解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
初犯でも執行猶予がつかずに一発実刑になる可能性はある
「初犯だから大丈夫だろう」とお考えの方は多いですが、「初犯だから絶対に刑務所には行かない(執行猶予がつく)」というルールは法律には存在しません。
初犯の場合は、再犯者に比べて執行猶予がつきやすい傾向にあるのは事実です。しかし、事件の悪質性や重大性によっては、初めての犯罪であっても、裁判官が「刑務所での更生が必要」と判断し、実刑判決を下すことがあります。
「実刑」とは?
「実刑」とは、罰金刑や拘禁刑などの刑罰が実際に科されることをいい、正確には身体拘束以外の刑も含まれています。ただし、一般的に実刑判決といえば刑務所に入ることを指す場合が多いため、この記事では「拘禁刑の実刑判決」の意味で使用します。
初犯で「一発実刑」になりやすい4つのケース
では、具体的にどのようなケースで「一発実刑」のリスクが高まるのでしょうか。裁判所が重視する主な判断基準は以下の通りです。
(1)重大な犯罪である(法定刑の下限が3年を超える犯罪)
人の命や身体に関わる犯罪や、社会への影響が大きい犯罪は、初犯でも厳しく処罰されます。法定刑の下限が3年を超える犯罪で有罪となれば、たとえ初犯でも執行猶予がつかず一発実刑となります。
法定刑とは、犯罪に対して法律で定められた刑罰のことです。
刑法25条に基づき、執行猶予が認められるのは「言い渡す刑が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の場合に限られています。
したがって、法定刑の下限が3年を超える犯罪は、刑が3年以下に減軽されない限りは執行猶予がつかず、必ず実刑判決になります。
法定刑の下限が3年を超える犯罪(一例)
- 強盗罪
5年以上の有期拘禁刑 - 不同意性交等罪
5年以上の有期拘禁刑 - 殺人罪
死刑、無期もしくは5年以上の有期拘禁刑
(2)被害結果が大きい・悪質性が高い
罪名が同じでも、結果の重大さで実刑となるかどうかの判断が変わります。被害結果が大きい・悪質性が高いケースでは、初犯でも実刑判決となる可能性が高まります。
悪質性が高いと判断されるケース
- 被害額:窃盗や詐欺で、被害額が数百万〜数千万円と高額な場合。
- 計画性:突発的な犯行ではなく、綿密に計画された組織的な犯行(振り込め詐欺の受け子・出し子などを含む)。
- 危険性:凶器を使用している、執拗な暴行を加えているなど。
(3)被害弁償・示談ができていない
被害者がいる犯罪において、「被害者に謝罪し、許されているかどうか(示談の成立)」は、実刑か執行猶予かを分ける最大の分かれ道となります。
被害弁償が全くされておらず、被害者の処罰感情(犯人を厳しく罰してほしいという気持ち)が強い場合は、実刑のリスクが高まります。
(4)反省の色が見られない
取り調べで嘘をつく、証拠を隠滅しようとする、責任を転嫁するなど、「反省していない」と判断されると、社会内での更生は難しい(=刑務所に入れるべき)と判断されやすくなります。
実刑になるかどうかの傾向
| 実刑になりやすい傾向 | 執行猶予になりやすい傾向 | |
|---|---|---|
| 犯罪の種類 | 強盗、放火、殺人未遂など | 窃盗、痴漢、単純な暴力など |
| 被害額 | 高額(弁償困難なレベル) | 少額、または全額弁償済み |
| 犯行態様 | 計画的、組織的、悪質 | 突発的、魔が差した |
| 示談の有無 | 不成立(被害者の怒りが強い) | 成立(被害者が許している) |
初犯で実刑判決を回避するためにできること
初犯であっても、事件の内容によっては実刑判決を受けてしまう可能性があります。しかし、日本の刑事裁判では、適切な対応を講じることで実刑を避けられる可能性が十分にあります。
実刑を避けるための道筋としては、大きく以下の3つに分けられます。
(1)不起訴処分を獲得する
不起訴処分とは、検察官が裁判所に事件を起訴せず、裁判を行わないと判断することです。起訴されなければ裁判で実刑判決を受けることもないため、刑務所に入る可能性はなくなります。
不起訴を目指すには、反省文の作成、再発防止策の実践、家族や職場のサポート体制の整備など、本人が再犯しないための努力を検察に示すことがポイントです。被害者がいる犯罪の場合は、被害者との示談が最も重要となります。
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(2)罰金刑を獲得する
罰金刑とは、刑務所に入らず、一定額の金銭を納付することで刑罰を終えるものです。
罰金刑も前科となりますが、身体拘束を伴わないため、社会生活への影響が最小限に抑えられるという大きな利点があります。
(3)執行猶予つき判決を獲得する
執行猶予とは、裁判で言い渡された刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯さなければ刑の執行を免れる制度のことです。執行猶予がつけば直ちに刑務所に行くことは回避できます。
執行猶予の期間は1年〜5年の範囲で、判決時に裁判所が定めます。執行猶予期間中に再犯をしなければ、その刑の執行は免除されますが、期間中に再犯すれば、猶予が取り消されて刑が執行される可能性があります。
執行猶予の制度について詳しく知りたい方は『執行猶予とは?懲役実刑との違いは?執行猶予中の逮捕で取り消し?』の記事をご覧ください。
初犯だからと甘く考えるのはNG!弁護士への相談が解決の糸口
逮捕者が弁護士に相談する5つのメリット
刑事事件は専門的な知識や経験が必要です。弁護士に相談することで、以下のメリットがあります。
弁護士に相談するメリット
- 刑事事件の概要を的確な把握してもらい、適切なアドバイスが受けられる。
- 被害者との示談交渉をスムーズに進めることができる。
- 検察官や裁判官に対して、適切な主張・反論をしてもらえる。
- 裁判で有利な証拠を集めてもらい、実刑を回避する弁護活動が受けられる。
- 再犯防止の手助け・対策の助言をしてくれる。
初犯であっても、一発実刑判決になる可能性はゼロではありません。不安な方は、弁護士に相談して、悩みを聞いてもらい、適切な対応をとるようにしましょう。
警察から呼び出しが来ている捜査段階や、逮捕直後など弁護士相談のタイミングは早ければ早いにこしたことはありません。
無料相談を実施している弁護士事務所も沢山あるので、お悩みの早期解決のために一歩踏み出しましょう。
実刑回避には被害者との示談が重要
被害を弁償し、被害者と示談を成立させることは、実刑判決を回避するうえで重要です。
示談とは、刑事事件の加害者と被害者が、和解の合意をすることです。

検察官や裁判官は、処分を決めるにあたり、被害者の受けた被害が回復されていることや、被害者に対して謝罪がなされていること、本人が深く反省していることなどを考慮します。
被害者との示談が成立していることは、起訴・不起訴の判断や裁判において有利な情状となるのです。
示談のほかにも、再犯防止のための取り組みをしていたり、再犯しないよう監督する身元引受人がいるといった事情があれば、実刑を回避しやすくなります。
関連記事
・刑事事件で示談をすべき5つの理由│示談金の相場も紹介
・示談の決裂を避ける方法|弁護士が解説する「被害者対応」のポイント
初犯で逮捕されたあとの流れは?
初犯で逮捕された場合、その後の刑事手続きの流れがよく分からず、大きな不安をかかえてしまう方も多いものです。
やみくもに一発実刑の不安をかかえるよりも、刑事手続きの流れや事件の見通しについては、刑事事件の解決のプロに聞いてしまったほうが良いでしょう。
ここでは簡単に刑事手続きの流れを紹介しておきます。もっと詳しく知りたい方は、アトム法律事務所の弁護士相談で聞いてみてください。
【捜査】逮捕後の流れ

まず警察に逮捕された後は、警察の取り調べを受けることになります。
そして48時間以内に、警察から検察官に事件が送致(身柄送致)されます。「送致」というのは、事件が引き継がれるということです。
その後24時間以内(逮捕から数えると72時間以内)に、検察官は勾留の要否を検討します。「勾留」は、逮捕に引き続き身柄拘束を受ける手続きのことです。住居が定まっていなかったり、証拠隠滅や逃亡のおそれがある場合などは、検察官によって勾留請求されてしまいます。
勾留が決定されれば、原則として10日間身体拘束が続きます。
勾留延長になった場合は、さらに10日間の範囲内で身体拘束が続きます。つまり勾留延長までされると、最大20日間勾留され続けることになります。
そして最終的に勾留期間が満期をむかえるまでに、起訴されるかが決まります。
不起訴になれば、刑事裁判は開かれず、事件終了です。
起訴された場合は、刑事裁判が開かれ、裁判官の判断をあおぐことになります。
関連記事
・勾留とは何か。勾留手続きや拘留との違いは?早期釈放を実現する方法
初犯で起訴されてから実刑判決を受けるまでの流れ

刑事裁判の審理期間は簡単な事件であれば公判期日2回(約1~2ヵ月程度)です。
共犯者がいたり、事実関係が複雑だったり、犯罪事実に争いがあったりする案件では、たくさんの証拠調べが必要になるので何度も公判期日が開かれ、年単位での審理になることもあります。
こうして刑事裁判での審理を終えたら、裁判官によって有罪か無罪か、量刑などが検討され、判決がくだされます。
初犯逮捕の場合、被害結果や犯行態様によっては、示談成立などの事情によって一発実刑を回避できる可能性もあります。
早いうちに弁護士に事件の見通しを確認することが重要です。
アトムの解決事例|執行猶予を獲得して実刑判決を回避
過去にアトム法律事務所が弁護活動を行った事例の中から、初犯で執行猶予を獲得して実刑を回避したケースを2つご紹介します。
死亡事故
死亡事故で起訴されたが、執行猶予が付いた事例
車を運転中、信号のある交差点を右折しようとした際、対向からきたバイクと衝突。被害者は肝損傷などのケガを負い、死亡した。過失運転致死の事案。
弁護活動の成果
裁判の場で情状弁護を尽くし、執行猶予付き判決となった。
最終処分
禁錮1年4か月,執行猶予3年
強姦未遂
準強制わいせつと強要未遂で起訴されたが、執行猶予が付いた事例
泥酔した女性をホテルに連れこみ、陰部を触るなどし、その後も会わなければわいせつ画像を公開する旨のメールをした。被害者が警察に被害届を出し、後日逮捕。準強制わいせつ、強要未遂の事案。
弁護活動の成果
保釈が認容され、早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。情状弁護を尽くし、執行猶予付きの判決となった。
示談の有無
あり
最終処分
懲役3年,執行猶予4年
初犯と実刑判決に関するよくある質問
Q.初犯であっても、一発実刑になるケースはある?
初犯であっても、法定刑の下限が3年を超える犯罪や、悪質な犯罪の場合は、一発実刑になる可能性があります。
拘禁刑の実刑判決が出されるとすぐに刑務所に収容されることになります。
刑務所を回避するには、そもそも刑事裁判を提起されないこと(不起訴処分を獲得すること)や、執行猶予つき判決を獲得することが必要です。
Q.初犯は執行猶予が認められやすい?
原則として「初犯」は執行猶予がつきやすい傾向にありますが、犯罪の内容や法定刑によっては認められません。
執行猶予は、前科の有無・反省の度合い・被害者との示談の成立など、複数の要素を考慮して判断されます。その中でも「初犯である」という点は、執行猶予を得やすい有利な事情のひとつです。
ただし、「裁判で言い渡される刑が3年以下(または罰金50万円以下)」でなければ、執行猶予そのものが法律上つかないことには注意が必要です。(刑法25条)。初犯だからといって油断せずに、被害者対応などを適切に行うことが大切です。
Q.被害者との示談が成立しない場合、執行猶予はもらえない?
被害者との示談が成立していなくても、反省と謝罪、被害弁償、再犯防止の努力などといった、他の執行猶予をもらうための要件を満たすことができれば、執行猶予をもらえる可能性は高まります。
関連記事
・被害者が示談に応じないとどうなる|刑事処分への影響と対応策
Q.刑事事件を弁護士に相談するメリットは?
刑事事件を弁護士に相談するメリットは、主に以下の4つが挙げられます。
- 事件の概要を正確に把握し、適切なアドバイスを受けることができる。
- 被害者との示談交渉を進めることができる。
- 裁判で有利な証拠を集め、適切な主張をおこなうことができる。
- 再犯防止についてのアドバイスや手助けを受けられる。
Q.逮捕は前科になる?実刑は?
逮捕されただけでは、ただちに前科はつきません。初犯で逮捕された場合に前科になるのは、その後、検察官によって起訴され、刑事裁判で有罪が確定したときです。
反対に、初犯で逮捕され、起訴されて刑事裁判をうけた結果、一発実刑が確定した場合は、前科になるでしょう。
初犯で逮捕された人が前科を回避するには、検察官に不起訴処分を出してもらうか、裁判官の無罪判決をうけることが必要です。
もっとも、日本では起訴された事件の99%以上が有罪判決となっています。そのため、起訴されてから無罪判決を目指すよりも、不起訴処分を目標にする方が現実的です。
刑事事件をおこしたことが事実であっても、不起訴を目指すことは可能です。この場合は「起訴猶予」という種類の不起訴処分を目指すことになります。
関連記事
・前科について解説│前歴との違いや前科の影響とは
・起訴猶予とは?起訴猶予になりやすい人や事案の傾向、不起訴との違いを解説
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敷居が高い印象でしたが、話がしやすく親身になってくれました。

(抜粋)この度は、ご縁がありまして刑事事件の処分に関して先生や事務の方に精力的に動いて下さり、何とか満足できた解決方向で、大変感謝しております。当初、無料相談に伺う前は、弁護士事務所と云えば、何だか敷居が高く、気難しい先生なのかと思っていましたが、全くそんな事は感じられず、お話がしやすく、親身になって相談に乗って下さり、先生のお人柄が優しさに満ちあふれておりました。今は事件解決し、感謝の気持ちで一杯です。今迄お付き合い下さりありがとうございました。今後のご活躍をお祈り致します。
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