盗撮動画の販売は、販売による利益が大きかったり、特定可能な被害者が何人もいたりすると、逮捕の可能性が高くなります。
盗撮動画の販売はインターネットを使えば簡単にできてしまいますが、証拠が残るため警察に発覚しやすいというリスクがあるのです。
- 「駅や電車での盗撮動画を販売してしまった」
- 「性交中の隠し撮り動画を販売してしまった」
- 「ネットでダウンロードした盗撮動画を販売してしまった」
上記のように、盗撮動画を販売してしまった方は、この記事を最後までお読みください。
盗撮動画の販売で問われる罪や、逮捕された場合の対応などについて解説していきます。
すでに逮捕されている場合
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逮捕されると身柄拘束されながら厳しい取り調べが待っています。早い段階で取り調べに対するアドバイスを弁護士から受けることで、適切な対応がとれるようになれます。
なぜ逮捕されてしまったのか聞いてほしい、逮捕後の様子を見てきてほしい、家族からのメッセージを伝えてほしいなど、要望に沿った対応が可能です。
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盗撮動画を販売すると何罪になるのか?
盗撮動画の販売は提供罪
撮影罪を犯して作成された盗撮動画を販売すると、性的姿態撮影等処罰法3条で定める「提供罪」に問われる可能性があります。
提供罪とは、撮影罪を犯して撮影した動画や画像(性的映像記録)を第三者に提供する犯罪です。なお、撮影罪については後述します。
1.性的影像記録(略)を提供した者は、三年以下の拘禁刑又は三百万円以下の罰金に処する。
2.性的影像記録を不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
性的姿態撮影等処罰法3条1項,2項
撮影罪を犯して作成した盗撮動画を販売すると、「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科せられます。
また、不特定多数の者に盗撮動画を販売したり、販売の態様が「公然と陳列している」とみなされたりすると「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科」となります。
販売目的の有無に関わらず盗撮は撮影罪
販売目的の有無にかかわらず、盗撮行為そのものは性的姿態撮影等処罰法2条で定める「撮影罪」に問われる可能性があります。
撮影罪は人の性的姿態等を同意なく撮影する犯罪であり、駅や電車などでのスカート内の盗撮が代表例です。その他にも、性交等の様子を隠し撮りする場合も撮影罪に該当します。
撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。
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・撮影罪(性的姿態等撮影罪)とは?犯罪となる撮影行為や条例との違いについて解説
提供目的での保管は保管罪
撮影罪を犯して作成された盗撮動画を第三者に提供するために保管すると、性的姿態撮影等処罰法4条で定める「保管罪」に問われる可能性があります。
実際に販売に至っていなかったり、インターネットにアップしていなかったりしても、提供する目的で盗撮動画を保管していれば保管罪に該当します。
保管罪の法定刑は「2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金」です。
なお、提供する目的で保管していなくても、盗撮動画の被写体が18歳未満の者であった場合、後述する児童ポルノ禁止法違反に該当することになるでしょう。
児童が写っていれば児童ポルノ禁止法違反
18歳未満の者を盗撮した動画を販売すると、提供罪だけではなく児童ポルノ禁止法7条にも違反します。
児童ポルノに該当するのは、主に18歳未満の者の裸の画像や動画などです。
そのため、駅や電車の中での下着の盗撮が児童ポルノとされるケースは多くはありませんが、盗撮の態様によっては児童ポルノと判断される可能性もあるでしょう。
児童ポルノを販売すると、「3年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科せられます。
また、不特定多数の者に児童ポルノを販売したり、販売の態様が「公然と陳列している」とみなされたりすると「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金又は併科」となります。
盗撮動画の販売は児童ポルノに該当する場合に厳しく処罰されていました。しかし、性的姿態撮影等処罰法の施行により、18歳以上の盗撮動画に関する販売行為が児童ポルノと同程度に厳罰化されています。
販売相手 | 18歳未満の盗撮動画 | 18歳以上の盗撮動画 |
---|---|---|
知人 | 児童ポルノ提供罪 ・3年以上の懲役 ・300万円以下の罰金 | 提供罪 ・3年以上の拘禁刑 ・300万円以下の罰金 |
不特定多数 | 児童ポルノ提供罪(公然陳列) ・5年以上の懲役 ・500万円以下の罰金 ・上記の併科 | 提供罪(公然陳列) ・5年以上の拘禁刑 ・500万円以下の罰金 ・上記の併科 |
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入手した盗撮動画の販売はわいせつ物頒布等罪
児童ポルノに該当しない盗撮動画をネット等で入手して販売すると、刑法175条の「わいせつ物頒布等罪」に問われる可能性があります。
わいせつ物頒布等罪の典型例は、購入・ダウンロードした盗撮動画などを第三者に販売するケースです。
「わいせつ物頒布等罪」は、わいせつ物をネットに上げるなどして不特定多数の人が認識できる状態にすると成立します。
わいせつ物頒布等罪の刑罰
- 2年以下の懲役
- 250万円以下の罰金
- 科料
- 懲役及び罰金の併科
なお、商品として販売されている動画を勝手に販売すると、著作権法違反に該当するケースもあるので注意が必要です。
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・わいせつ物頒布等罪を解説!わいせつ物の定義や電磁的記録媒体の頒布とは?
盗撮動画を販売して逮捕されるケース
盗撮動画の販売は逮捕されやすい
盗撮動画の販売は、購入に比べると逮捕される可能性が高いです。
特に、盗撮動画の販売で大きな利益をあげていたり、被害者が多数存在したりすると、逮捕につながりやすいでしょう。
下着だけを撮影したつもりでも、動画に被害者の顔が映っていると被害届が出されて逮捕されるおそれがあります。動画の購入者が他の犯罪などで捜査を受けて、購入元を供述することで逮捕されることもありえます。
盗撮動画の販売で逮捕されるきっかけ
盗撮動画を多数販売して大きな利益を得ていたり、盗撮動画の被害者が多く特定されていたりすると、逮捕されやすいケースとなります。
盗撮動画を販売して逮捕されるきっかけとしては、動画の購入者が別の犯罪などで警察に捜査され、動画の入手元を教えてしまう場合が考えられます。
ネット販売で1000万円ほど売り上げていた人物が、販売する目的で盗撮動画を保管していたとして逮捕されたというニュースも話題になりました。
逮捕のきっかけ
- 盗撮動画の購入者が別件で捜査され、スマホに保存していた盗撮動画の存在が明るみに出た。購入者が警察に販売元を教えたことをきっかけに逮捕された。
- 盗撮動画のネット販売で多額の利益を売り上げており、サイバー捜査によって身元が特定されたことをきっかけに逮捕された。
- 盗撮動画に写っていた被害者が盗撮被害に気付き、警察に被害届を出したことをきっかけに捜査がはじまり逮捕された。
他にも、ネットで公開された画像や動画を被害者が見つけ、警察に被害届が出される可能性もあるでしょう。
盗撮動画の販売で逮捕された後の流れ
盗撮動画の販売で逮捕された後は、警察の取り調べを受けることになります。
警察の取り調べは最長で48時間続き、その後に釈放されるか、検察に身柄が送致されることになります。
検察に送致された場合には24時間以内に検察官の取り調べが行われ、勾留請求されるか釈放されるかが決まります。
勾留された場合には10日間の身柄拘束が継続し、捜査の必要があればさらに10日間の延長が行われます。
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逮捕されたら取り調べの対応が重要
盗撮動画の販売で逮捕されたら、取り調べで供述する内容に注意してください。警察は取り調べの中で加害者を圧迫し、不必要な内容や真実ではない内容を供述させようとしてくることがあります。
一度作成された供述調書は、後になって覆すことが困難です。
盗撮の動画を販売してしまった場合には、逮捕される前に弁護士に相談してください。
逮捕されてからでは時間を確保して弁護士にアドバイスを聞くことは難しくなります。警察から連絡が来たらすぐに、刑事事件に強い法律事務所を探しましょう。
家族が逮捕された場合には、弁護士を警察などの留置施設に派遣する「初回接見」が有効です。
盗撮動画の販売に関するよくある質問
Q.駅や電車での盗撮動画の販売は何罪?
駅や電車などで盗撮した動画を販売すると、性的姿態撮影等処罰法で定める「提供罪」に問われる可能性が高いです。
「提供罪」で有罪になると「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」が科せられます。
不特定多数の者に販売した場合には「5年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金又は併科」となります。
Q.性交中の隠し撮り動画の販売は何罪?
相手の同意を得ることなく性交等を盗撮して動画を販売した場合も、性的姿態撮影等処罰法で定める「提供罪」に問われる可能性が高いです。
たとえ、撮影の同意が相手からとれていたとしても、無断で動画をばらまいたり、ばらまく目的で第三者に提供したりした場合は、リベンジポルノ防止法に該当する可能性があります。リベンジポルノについては『リベンジポルノの逮捕事例と逮捕後の流れ』の記事が参考になりますので、あわせてご確認ください。
Q.ネットでダウンロードした盗撮動画の販売は何罪?
ネットでダウンロードした盗撮動画を販売すると、刑法175条の「わいせつ物頒布等罪」に問われる可能性が高いです。
被害者が18歳未満の場合には、児童ポルノ禁止法で定める「児童ポルノ提供罪」が成立するでしょう。
Q.盗撮動画の販売はどうやって特定される?
盗撮動画の販売を匿名で行ったとしても、警察は動画販売サイトに登録した販売者の銀行口座を照会して、口座開設者の身元情報を割り出してくる可能性があるでしょう。
その他、警察はあらゆる角度から捜査を進めています。違法な盗撮動画を販売すれば、身元は特定されてしまうでしょう。
盗撮動画の販売事件の弁護活動
警察への取り調べ対策
盗撮動画の販売が捜査機関に発覚した場合には、なるべく早い段階で弁護士に相談して取り調べの対策をしてください。
盗撮動画の販売は、長期間にわたって大人数に販売していたり、被害者が多数存在したりするケースでは、逮捕の可能性が高くなります。
予め弁護士と相談しておけば、逮捕されたとしても、供述するべき内容や注意点を踏まえて取り調べを受けることができるでしょう。
被害者との示談交渉
盗撮動画の販売が発覚した場合には、被害者との示談を成立させることで、刑事事件化を防いだり処分を軽減したりする効果が期待できます。
刑事事件における示談とは、加害者から被害者に対して謝罪を申し入れ、当事者同士で和解することです。被害者に対して慰謝料を含んだ示談金を支払い、賠償問題を解決するケースが一般的です。
盗撮動画の販売が被害者だけに発覚している場合には、早い段階で示談を成立させることで、警察の介入を防げるかもしれません。
警察や検察に盗撮動画の販売が発覚している場合でも、事件が進んでしまう前に示談が成立すれば、不起訴処分で終了となる可能性もあります。
いずれの場合も、示談交渉を行う際には、弁護士に依頼することをおすすめします。
加害者自身が事件の解決のために必要な慰謝料や示談金などの条件を交渉すると、相手の被害感情が強くなり、示談が適切に成立しないおそれがあるからです。
逮捕の回避や身柄拘束の解除に向けた活動
盗撮の被害者と示談ができなかった場合でも、弁護士であれば検察に対して不起訴処分が相当である旨の意見書を提出するなど、刑事処分の軽減に向けて活動することが可能です。
また事件によっては、検察に対して勾留請求しないように訴えかける場合もあります。勾留されてしまった場合には、裁判官に対して準抗告を行い、勾留決定を取り消すよう弁護活動を行っていきます。
自分の罪がそこまで重くないことを加害者自身で主張しても、検察に聞き入れてもらえることはほとんどありません。
盗撮動画の販売で逮捕・勾留に進んでしまいそうな場合には、刑事事件に強い弁護士をつけて対応していきましょう。
盗撮動画の販売事件で不起訴処分を得る活動
盗撮動画を販売して警察に捜査・送検された事件でも、不起訴になる可能性はあります。盗撮動画の販売事件で不起訴になるためには、被害者との示談が重要です。
盗撮動画の販売は、被害者が多数存在するケースが多く、誰と示談すべきなのか自身では判断がつかないかもしれません。
弁護士であれば、捜査機関と連携を取りながら、示談を進めるべき被害者の情報を効率的に収集します。
また示談ができない場合でも、贖罪寄付などの代替手段を可能な限り使って不起訴処分を目指します。
初犯であることや深く反省していること、更生意欲が強いことなどを検察に直接訴え、不起訴を目指すこともあります。
盗撮動画の販売で逮捕が不安ならアトムの弁護士に相談
盗撮動画の販売で逮捕された場合、適切に対応しなければ身体拘束の期間が長引き、社会復帰に影響を来します。ご家族が逮捕された連絡を受けたら、すみやかに弁護士に相談してください。早期釈放の可能性が高まるでしょう。
弁護士の相談をご希望の場合は、アトム法律事務所の弁護士による法律相談をぜひご活用ください。逮捕されたり、取り調べを受けたりしているなど、警察が介入しているケースであれば、無料相談が受けられます。
無料相談は完全予約制となっていますので、下記窓口よりお問い合わせください。予約の受付自体は、24時間365日いつでも対応中なのでいつでもお問い合わせいただけます。