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不同意性交等罪の「言ったもん勝ち」は誤解?悪法だといわれる理由

不同意性交罪行ったもん勝ち?

刑法改正により新設された不同意性交等罪により、性犯罪の処罰範囲が拡大されました。それに伴い、不同意性交等罪は「言ったもん勝ち」であるという誤解も広がっているようです。

相手方の供述だけで有罪になることはなく、供述を裏付ける客観的な証拠から性交等に対する同意があったのかなかったのかが判断されることになります。

不同意性交等罪で逮捕・起訴されたりしたら、弁護士に今後の対応を相談してください。

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不同意性交等罪の「言ったもん勝ち」は誤解

被害者の供述だけで有罪にはならない

被害者から「同意がなかった」と後から言われたら、言ったもん勝ちではないかと思ってしまうのは自然なことでしょう。

たしかに、不同意性交等罪は一対一の密室で行われる場面が多いので、被害者の供述が重要な証拠となることは事実です。しかし、加害者が否認しているような場合、被害者の供述だけで有罪になるものではありません。

加害者の刑事責任を追及するにあたっては、被害者の供述を裏付ける「客観的な証拠」が必要です。客観的な証拠がなければ、起訴されたり、有罪判決を受けたりすることは基本的にないでしょう。証拠によって犯罪があったことを合理的な疑いがない程度まで証明できなければ、裁かれないことが刑事司法のルールだからです。

とはいえ、被害者の「同意がなかった」という供述しかないからといって、被害届が出されないわけではありません。被害届を警察が受理すれば、被害者の供述を裏付ける「客観的な証拠」を集める捜査がはじめられるでしょう。

警察は被害者の供述を裏付ける客観的証拠を集める

被害者の供述を裏付ける客観的な証拠とは、加害者と被害者の様子が映った防犯カメラの映像や、飲食した店の伝票内容といった「物的証拠」、第三者による「目撃証言」などです。

不同意性交等罪は内容の性質上、加害者と被害者の一対一の密室で行われやすく、犯行の瞬間をとらえたカメラも目撃者もないことがほとんどでしょう。そのため、不同意性交等罪があったとされる犯行前後の加害者と被害者の行動・やり取りの内容から、同意があったのかなかったのかが総合的に判断されることになります。

たとえば、同意しない意思を形成することが困難な状態であることがわかるほど被害者が酩酊していれば、飲食店や繁華街、ホテル前などに設置された防犯カメラの映像が客観的な証拠となるでしょう。歩けないほど酩酊している被害者を加害者が引きずって歩いている様子を店の従業員や通行人といった第三者が目撃していることもあります。

  • 物的証拠
    防犯カメラ映像、DNA鑑定結果、暴行の痕跡など、事件に関与したことを裏付ける証拠の有無が確認される
  • 目撃者の証言
    事件現場にいた第三者の証言があれば、その内容と被害者供述の整合性が検証される
  • 被害者の供述の信用性
    供述内容に矛盾や不自然な点がないか、客観的な事実と一致しているかなどが検証される
  • 加害者の供述の信用性
    加害者が犯行を否認している場合、その供述内容の信ぴょう性やアリバイなどが捜査される

こういった客観的な証拠と被害者の供述内容に整合性があるのか総合的に検証したうえで、不同意性交等罪という犯罪が行われたかどうかが判断されるのです。

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【コラム】なぜ不同意性交等罪は悪法だと言われるのか?

不同意性交等罪が悪法だと思われがちなのは、不同意性交等罪で処罰範囲が拡大されたことで、不同意という要件がさらに不明確だと思われるようになり、被害者の供述のみで判断されてしまうという誤った認識が広まったためでしょう。

不同意性交等罪が導入される前の強制性交等罪では、性交等の際に暴行・脅迫がないと犯罪が成立しない点が問題視されていました。

たとえば、上司という立場を利用して、部下との性的関係を強いるケースです。部下が自分の立場が危うくなることを恐れて性交等を断れなかったケースでは、上司は暴行や脅迫を用いていないので、強制性交等罪に該当しませんでした。このようなケースをカバーするために、不同意性交等罪が改正刑法として新設されることになったのです。

本来なら処罰されるべきであった行為が、不同意性交等罪の導入によってより的確に処罰されるようになったにすぎません。こういった背景を知らないと、「不同意性交等罪は被害者の言ったもん勝ちになるからおかしい、やばくて怖い法律だ」という気持ちになるかもしれませんが、法改正の真意を理解しましょう。

また、国民一人ひとりに、性行為に対する意識改革や行動変容が求められている時代なのです。

そもそも不同意性交等罪とは?

不同意性交等罪の概要

不同意性交等罪は、性交等に「同意しない意思を形成、表明、全う」することがむずかしい状態で性交等を行う犯罪で、刑法第177条1項に規定されています。不同意とは以下の8つの状態のうち、いずれかに乗じて性交等を行うことをいいます。

  1. 暴行・脅迫
  2. 心身の障害
  3. アルコール・薬物の影響
  4. 睡眠その他の意識不明瞭
  5. 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまがない
  6. 予想と異なる事態に直面させて恐怖・驚愕させる
  7. 虐待に起因する心理的反応
  8. 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮

また、行為がわいせつなものではないと誤信させたり、行為をする人を別人だと勘違いさせたりして、性交等を行った場合にも不同意性交等罪は成立します(刑法第177条2項)。

不同意性交等罪の性交等とは、具体的には性交・肛門性交・口腔性交のことを指しますが、膣や肛門に陰茎以外のものを挿入する行為も処罰対象です。

不同意性交等罪の刑罰は、5年以上の有期拘禁刑です。なお、拘禁刑は2025年に施行される見込みなので、施行前は懲役刑とみなされます。

性犯罪に関する改正刑法が施行されたことにより、2023年7月13日以降の事件においては不同意性交等罪が適用されることになりますが、2023年7月12日以前の事件においては強制性交等罪が適用されることになります。

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相手が16歳未満だと同意ありでも処罰される

相手が16歳未満(13歳以上16歳未満の場合は行為者が5歳以上年長)の場合、同意の有無に関わらず不同意性交等罪の処罰対象となります。性交等に関する同意年齢は16歳なので、たとえ性交等の同意があったとしても、相手が16歳未満であれば不同意性交等罪に該当するのです。

また、相手が16歳以上でも18歳未満の児童の場合、児童買春禁止法や都道府県の淫行条例違反に該当することになります。

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不同意性交等罪で逮捕・起訴された場合の対処法

相手の同意があったことを証明する

相手の同意があったかどうかは、本記事内「不同意性交等罪の概要」で示した8つの状態に該当しなかったことを証明していく必要がありますが、性行為が行われた当時の状況や行為前後における相手方とのやり取りの内容や行動などから総合的に判断されることになるでしょう。

たとえば、知り合いやカップルの場合、性交後にお互いにやり取りしていたメッセージで、性行為が嫌だったと伝えることもなく、普段通りの会話をしていたのであれば、性交に対して同意があったことがうかがえます。

一方、性交後のメッセージで、「無理やりされて嫌だった」「いいと言っていないのになぜ無理強いしたのか」といった会話がされていたのであれば、性交に同意がなかったと判断される可能性が高いでしょう。

もっとも、このようなメッセージがあったからといって、必ず相手の同意があったのか、なかったのか判断できるものではありません。個別の事情に応じて同意があったのかなかったのか判断されることになります。

相手方と示談を行う

不同意性交等罪を認める場合や、証拠などから否定できない場合、罪をきちんと認めたうえで相手方に対して謝罪と賠償を尽くすための示談を行いましょう。

相手方との示談が成立していれば、検察官による起訴・不起訴の判断や、裁判官による量刑の判断の際に、有利な影響を与えます。

性犯罪事件においては、被害者感情が極めて熾烈なので、加害者本人による示談交渉は困難でしょう。示談を検討している場合は、刑事事件を取り扱った経験が豊富な弁護士に相談しましょう。

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不同意性交罪でよくある質問

Q.「同意がなかった」の届け出だけですぐ逮捕される?

被害者の「同意がなかった」の届け出だけで、すぐ逮捕されるものではありません。逮捕は、罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合にのみ行われるものだからです。

逮捕されるとするならば、まず警察は、不同意性交等罪を行った日時や場所の裏取り捜査、被害者の供述を裏付ける防犯カメラ映像や目撃証言といった証拠を固めます。そして、加害者が逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断した場合、逮捕状を裁判所に請求し、逮捕状が発行されてから逮捕しにやってくる流れとなるでしょう。

仮に逮捕された場合は、警察による取り調べが逮捕から48時間つづきます。その後は身柄と事件が検察に送致され、送致から24時間以内に勾留請求されるか釈放されるかなどが決まるでしょう。

逮捕の流れ

勾留されることになれば身柄拘束は10日間つづき、必要に応じてさらに10日間以内の勾留が延長されることもあります。勾留延長となれば、逮捕から数えると最大23日間ものあいだ自由を奪われることになるのです。

逮捕後の流れについてより詳しい解説は『逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミング』の記事が参考になりますので、あわせてご確認ください。

初回接見のご案内

家族が不同意性交等罪で逮捕されたら、弁護士による初回接見の依頼をご検討ください。

逮捕されてから勾留が決定するまでの期間は、家族でも面会できません。なぜ逮捕されてしまったのか、どのような様子で過ごしているのか確認したい場合は、弁護士に初回接見を依頼しましょう。弁護士なら逮捕後すぐでも面会が可能です。

Q.性交等の「同意」はどうやってとるべき?

性交等の「同意」は、本記事内「不同意性交等罪の概要」で示した8つの状態に当てはまらないことを前提条件として踏まえ、行為について相手から「いいよ」という明示的な同意を得ることが大切です。

以下のような場合、明示的な同意が得られたとはいえません。

  • 「嫌と言われなかったからいいと思った」
  • 「なんとなくいい雰囲気だった」
  • 「交際しているから、夫婦だから性行為をするのは当然だ」
  • 「家に上がったのだから性行為にも同意していると思った」

酔った勢いで性的関係をもったり、マッチングアプリで知り合ったばかりの人とワンナイトしたりしたようなケースでは、明示的な同意なく性交等を行ってしまい、トラブルに発展するケースも多くみられます。合意の上だと思っていたワンナイトでの対応方法については『合意の上のワンナイトで訴えられた!示談に向けた対応を解説』の記事も参考になりますので、あわせてご覧ください。

相手方が冷静な状態で判断できる状況は当然として、「性行為していいよ」とはっきり意思表示してもらうことが必要でしょう。

もっとも、改正法の不同意性交等罪が施行されて日も浅いため、現時点では具体的に「こういう場合なら明示的な意思表示である」と示した判例がないのが実情です。

Q.不同意性交罪の立証責任は誰にある?

刑事裁判において、犯罪事実の立証責任は検察官にあります。

もっとも、不同意性交等罪においては、検察官から「被害者の同意を得なかった」という主張が行われるため、加害者側としては「どのように同意を確認したか」という点を丁寧に説明していく必要があるでしょう。

Q.不同意性交等罪を悪用する犯罪もある?

改正刑法で導入された不同意性交等罪の施行に伴い、この改正刑法を悪用した虚偽申告や美人局といった犯罪が懸念されていることも事実です。

  • 復讐目的での虚偽告訴
    男女トラブルや金銭トラブルから、相手への復讐目的で不同意性交等罪の告訴を行うケース
  • 金銭目的での美人局
    性行為の事実を周囲に暴露するなどと言って、相手から金銭を騙し取るケース

悪用されるリスクもある不同意性交等罪ですが、相手方の一方的な供述のみで罪が問われるわけではありません。防犯カメラ映像や目撃証言といった客観的な証拠を踏まえた慎重な捜査が行われます。

また、たとえ美人局をされたとしても、相手方が16歳未満や18歳未満だと、そもそも不同意性交等罪や児童買春禁止法・淫行条例違反などに該当する場合もあります。美人局をされていい理由にはなりませんが、自身が行った犯罪についても省みるようにしてください。

不同意性交等罪が不安な場合は弁護士に相談

被害届を出されたらどうする?

不同意性交等罪で被害届が出され、警察から呼び出しを受けたり、取り調べを受けたりしたら、弁護士に相談してください。また、家族が不同意性交等罪で逮捕されてしまった場合も、すみやかに弁護士に相談しましょう。

どのような弁護士に相談すればいいかは、以下のような点を参考にお選びください。

  • 刑事弁護の経験や解決実績が豊富な弁護士
  • 対応が早く、フットワークの軽い弁護士
  • 示談交渉の経験が豊富な弁護士

無料相談を行っている弁護士もいるので、今後どのような対応を取っていくことが最適なのか弁護士に相談しましょう。

アトムの弁護士にご相談ください

アトム法律事務所は、これまで性犯罪事件をはじめ、さまざまな刑事事件に注力してきました。弁護士をお探しの場合は、アトム法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。

アトム法律事務所では、警察が介入している事件に関して弁護士による無料相談を実施しています。警察が介入前の段階でも、有料にて相談を受け付けております。

警察から呼び出しを受けた、取り調べをすでに受けておりいつ逮捕されるかわからない、といった不安がある場合は、すぐに相談予約をお取りください。

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