2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
「同意があったはずなのに、なぜ起訴されたのか」 「裁判になれば、自分の言い分をきっと理解してもらえるはずだ」
もしあなたが今、そう考えているとしたら、その認識は非常に危険です。 不同意性交等罪で起訴されたということは、検察側が「裁判で有罪にできる」という自信を持って裁判に踏み切ったことを意味します。
日本の刑事裁判では、起訴された事件の有罪率は99%を超えるという厳しい現実があります。2023年の法改正によって「不同意」の判断基準がより実態に即して明確化・拡大されました。過去の常識や「無理やりではなかった」という主観的な主張だけで無罪を勝ち取ることは、極めて困難と言わざるを得ません。
裁判では、当事者の認識よりも、客観的証拠や当時の状況から「同意が成立していたといえるか」が厳格に判断されるからです。
しかし、起訴されたからといって諦める必要はありません。
- 「同意があった」ことを裏付ける客観的な証拠はあるか
- 相手が「同意していない」と気づけない正当な理由があったか
- 実刑を回避し、執行猶予を獲得するために今すべきことは何か
本記事では、不同意性交等罪の裁判における最新の判断基準から、実刑回避のための具体的な対策方法までを、詳しく解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
不同意性交等罪とは?裁判の流れと期間
本格的な裁判の対策を検討する前に、まずはどのような罪に問われて、どのようなスケジュールで裁判が進むのかを確認しておきましょう。
そもそも不同意性交等罪とは?
2023年の刑法改正により、従来の「強制性交等罪」「準強制性交等罪」が統合され「不同意性交等罪」が新設されました。
最大の変更点は、暴行や脅迫の有無だけでなく、裁判において「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」であったかどうかが厳格に判断されるようになった点です。
罰金刑はなく、有罪となれば5年以上の拘禁刑が科せられます。初犯であっても、犯行内容次第では執行猶予なしの実刑判決があり得る非常に重い犯罪です。
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・不同意性交等罪とは?構成要件・旧強制性交等罪との違い、刑罰をわかりやすく解説
起訴される前なら不起訴を目指せる
警察の捜査を受けているものの、まだ起訴はされていないという状況であれば、前科を回避できる可能性は残っています。
日本の刑事裁判では、起訴されてしまうと、有罪率が99%を超えるという厳しい現実があります。そのため、前科を回避するためには、検察官が起訴すると判断する前に不起訴処分を獲得することが重要です。
被害者との示談交渉や客観的証拠の提出、再犯防止策の整備などは、検察官の判断を左右する事情となる場合があります。
起訴されてから「あのとき相談していれば…」と後悔する前に、起訴前の段階で一刻も早く弁護士に相談し、不起訴獲得に向けた活動を開始しましょう。
不同意性交等罪の裁判の流れ
不同意性交等罪で起訴された場合、一般的には以下の流れで裁判が進みます。

不同意性交等罪の裁判期間は、争い方によって異なります。
被告人が自白をしていたり、示談が成立している事件であれば数か月程度で終わることが多いです。
否認事件では、被害者の証人尋問や供述の信用性が争点となるため、複数回の公判が開かれるのが一般的です。そのため、裁判期間は半年~1年以上に及ぶこともあります。
逮捕の流れや、より詳しい裁判の流れについて知りたい方は『刑事事件の裁判|逮捕から判決まで刑事事件の流れを解説』の記事もご覧ください。
不同意性交における性的同意の新基準
現在の裁判では、「暴行や脅迫がなければ無罪」という主張は通用しません。裁判官は、行為当時の状況から、相手が本当に自由な意思で同意できる状態にあったかを厳格に判断します。
現在の裁判では以下の8つの類型をもとに、相手が「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」にあったかどうかが総合的に判断されます。
8つの類型と具体的なケース
| 類型 | 具体的なケース |
|---|---|
| 暴行・脅迫 | 腕を掴む、押し倒す、言葉での脅し |
| 心身の障害 | 精神障害や知的障害の利用 |
| アルコール・薬物 | お酒に酔って判断力が低下している |
| 睡眠・意識不明瞭 | 寝ている間、意識を失っている |
| 拒絶する暇がない | 突然、不意打ちで行われる行為 |
| 恐怖・驚愕 | 恐怖で体がすくみ、フリーズした状態 |
| 虐待 | 日頃から暴力を奮われている |
| 立場による影響力 | 親子、上司部下、教員と生徒などの関係 |
検察側の主張
検察はこれら8つの類型を単体で捉えるのではなく、複数の事情を組み合わせて「同意しない意思を形成・表明・全うすることが困難な状態」であったと主張してきます。
例)上司という立場を利用し、深夜まで飲酒をさせたうえ、密室で突然行為に及んだ。被害者は驚愕して拒絶することができなかった。
弁護側の主張
これに対して弁護側は、以下の二段階の視点から主張を組み立てていく必要があります。
- 各類型が、本当に同意を奪うほどだったのかを1つずつ検証
- 行為前後のやり取りを含めて、総合的に「同意がないとは言えない状況」であったことを立証
実際の裁判では「無理やりではなかった」という感覚的な主張だけでは足りません。各証拠に基づいて対策を練る必要があります。
不同意性交等罪の裁判での争点
裁判で「同意があった」と主張する場合、相手の主張に対して、当時の客観的な事実を積み上げて、自らの正当性を主張していくことになります。主な争点は2点です。
(1)本当に「不同意」だったのか(客観的な事実に基づく主張)
明確に拒絶していなかっただけでは、同意があったとみなされません。検察側は「恐怖でフリーズしていた」などと主張します。弁護側は「拒絶できない状態ではなかった」ことを立証します。
事実関係を確認する際の主なポイント
| 場面 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 行為前の経緯 | 2人の関係性、デートの約束、親密なLINEのやり取り |
| 当日の状況 | 飲食店での飲酒量、移動中の防犯カメラ映像での様子(手を繋いでいる等) |
| 行為中の言動 | 相手からの積極的な働きかけや、拒絶の素振りの有無 |
| 行為後の態度 | 笑顔での帰宅、その後の日常的なメッセージのやり取り |
特に、被害者供述が二転三転している点や、LINE・防犯カメラなどの客観的証拠を争点として争います。
(2)不同意だと認識していたのか(故意の有無)
不同意性交等罪が成立するには、本人が「相手が同意していないこと」を認識している(故意がある)必要があります。
たとえ相手が心の中で拒絶していたとしても、本人から「同意していると信じるに足りる相当な理由」があれば、故意が否定される可能性があります。
故意が否定される可能性のある例
- 相手から積極的に誘ってきた事実
- 明確なYESの言葉があった
弁護側は、「当時の状況に照らして、同意がないと疑うべき場面ではなかった」ことを主張します。
不同意性交等罪の裁判で主張すること
不同意性交等罪の裁判において最も重要なのはどのような目的をもって裁判を進めるかの選択です。この決断は、判決結果だけでなく、その後の人生を大きく左右します。
無罪を主張する
同意があったとして、全面的に無罪を主張します。
起訴後であれば、前科を免れる唯一の手段である一方で、日本の刑事裁判の有罪率は99%以上といわれています。否認して有罪となった場合は、反省していないと判断され、実刑になる可能性が高くなる傾向があります。
執行猶予を目指す
罪を認めて、被害者への謝罪と賠償を通じて刑の減軽を求めます。
被害者との示談が成立すれば、執行猶予がつく可能性が高まります。ただし、加害者としての前科がついてしまう点には注意しましょう。
また、示談が成立しているからといって、必ず執行猶予がつくわけではありません。以下の事情によっては、実刑判決が下されることもあります。
- 前科がある
- 行為が執拗、または暴力的で悪質
- 被害者の精神的苦痛が著しく重い
- 不合理な否認を続け、反省の姿勢が認められない
示談のタイミング
示談の評価は、そのタイミングによって異なります。
起訴前の示談は、不起訴処分を目指すための重要な要素です。一方、起訴後の示談はあくまでも量刑を軽くするための1つとして考慮されるに留まるケースが多いのが実情です。
納得がいかないから争う、という感情は自然なものですが、刑事裁判は「証拠と論理」で結論が決まります。手持ちの証拠でどこまで争えるのか、弁護士とシミュレーションして現実的な着地点を見極めることが重要です。
取り返しのつかない結果を招く前に、まずは弁護士にご相談ください。
関連記事
・不同意(強制)性交の示談方法とメリット|強姦事件の示談金相場と解決までの流れ
アトムの解決事例
アトム法律事務所では、不同意性交等罪(旧強制性交等罪)を数多く扱った実績があります。実際の解決事例をご紹介します。
住居侵入を伴う不同意性交
女性宅にわいせつ目的で侵入した。住居侵入および強姦未遂として起訴された事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、示談を締結。また、裁判では強姦の故意について争い、執行猶予付き判決となった。
示談の有無
あり
最終処分
懲役1年6か月執行猶予3年
脅迫による不同意性交
風俗店に勤務する被害者の個人情報を取得し、自身との性交渉を迫ってホテルで性交等をしたとされたケース。旧刑法の強姦の事案。
弁護活動の成果
保釈が認容され早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。裁判で情状弁護を尽くし執行猶予付き判決を獲得。
示談の有無
あり
最終処分
懲役3年執行猶予5年
余罪ありの不同意性交
被害者を車に誘い、車内で性交したとして強姦容疑で逮捕された。余罪ありの事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結したり、被害弁償などの活動を行った結果、求刑の約半分となる刑期で確定した。
示談の有無
あり
最終処分
懲役4年6か月
もっと多くの解決事例を知りたい方は『不同意性交データベース』もご覧ください。
不同意性交等罪の裁判例
不同意性交等罪の判決は、行為の態様、被害者との関係、飲酒の状況、示談の成否などが総合的に考慮されます。
性的同意の有無が実際にどう判断されたのか、実際の裁判例をご紹介します。
金沢地判令和7年7月4日
就寝中の不意打ちによる拒絶困難を認めた裁判例
金沢地判令7・7・4(令和7年(わ)95号)
深夜の駐車場に停めた車内で就寝中だったボランティア仲間の女性に対し、被告人がいきなり覆い被さり、予期せぬ事態への驚愕と恐怖で抵抗できない状態にさせて性交に及んだ事例。
裁判所の判断
「性的行為が行われるという予想と異なる事態に直面させて……驚愕・恐怖させたことにより、同意しない意思を全うすることが困難な状態にさせ、同人と性交した」
金沢地判令7・7・4(令和7年(わ)95号)
- 深夜の人気のない駐車場、かつ逃げ場のない狭い車内という閉鎖的な環境を悪用した。
- 就寝中という無防備な状態を狙った「不意打ち」が、被害者の心理的拒絶を困難にさせたと認定。
- 被害者の精神的苦痛は甚大であり、不眠など深刻な影響が出ている点から、処罰感情も峻烈である。
判決内容
懲役5年
那覇地判令和7年3月17日
施術中の不意打ちと被害証言の信用性が認められた裁判例
那覇地判令7・3・17(令和6年(わ)250号)
整骨院の施術中、不意を突かれた被害者が「恐怖・驚愕」で拒絶困難な状態に陥り、手指を挿入された事例。
裁判所の判断
「膣内への手指挿入は特有の感覚であり、目視せずとも体感で容易に判別可能……(被害証言には)高度の信用性が認められる」
那覇地判令7・3・17(令和6年(わ)250号)
- 被害直後から一貫して「指を入れられた」と供述している点を高く評価。
- 被告人由来のDNAが未検出でも、手指挿入の性質上、証言の信用性を損なわない。
- 施術師という立場を悪用し、逃げ出せない状況を利用した卑劣な犯行と指摘。
判決内容
懲役4年6か月
大津地判令和7年11月28日
被害供述の翻意と「合理的な疑い」により無罪となった裁判例
大津地判令7・11・28(令和6年(わ)451号)
義理の娘(当時13歳)への不同意性交等の罪に問われた被告人に対し、被害者が公判で「性交の事実はなく、リアルな夢を現実だと思い込んでいた」と証言を翻した事例。
裁判所の判断
「(被害者の)捜査供述に依拠して有罪認定をすることには躊躇を覚える……被告人が性交をしていなかったとする合理的な疑いは払しょくできず、事実に足りる高い信用性は備えていない」
大津地判令7・11・28(令和6年(わ)451号)
- 被害者が「リアルな夢を現実と思い込んでいた」と証言を一転させた。
- 精液の検出も付着時期が不明であり、被告人の自慰による可能性を排除できない。
- 被告人の自白は特異性がなく、客観的証拠による補強も不十分とされた。
判決内容
無罪(求刑懲役7年)
不同意性交等罪の裁判を有利に進めるために今すぐすべきこと
起訴後の裁判、あるいは起訴が迫っている状況で今すぐ取るべき行動は、単なる「感情に基づいた主張」ではなく、「客観的な事実の積み上げ」です。
不同意性交等罪の裁判では、一見何気ないやり取りが大きな証拠となります。裁判を有利に進めるためのポイントをご紹介します。
あらゆるデータの保存
LINEのトーク履歴、電話の通話録音、当日のレシートなど、データはすべて保存しておきましょう。有利・不利にかかわらず、当時の状況を示すすべてのデータを保存しておくことが重要です。
たとえば、被害者が「当時は意識がなかった」と主張していても、行為前後のやり取りや移動記録、周辺の状況から「自発的に行動していた」ことが証明できれば、供述の信用性を揺るがす証拠になります。
被害者への直接接触を避ける
「誤解を解きたい」「直接謝罪したい」という思いで被害者に連絡を取ることは絶対に避けましょう。善意であったとしても、検察官や裁判官から、証拠隠滅や口裏合わせを疑われるリスクがあります。
保釈が認められなくなるだけでなく、裁判においても不利になる可能性があります。
直接の接触は二次被害を引き起こす可能性もあり、誠実な謝罪や示談交渉はすべて弁護士を通じて行いましょう。
弁護士に相談・依頼をする
法的トラブルに直面した時は、悩まずに弁護士への依頼を検討しましょう。弁護士は依頼人の味方となって、最善の解決策を一緒に探してくれる心強いパートナーです。
事実関係や証拠を整理したうえで、否認・罪を認める・量刑軽減など最適な方針を一緒に検討できます。
早い段階でアドバイスを受けることで、将来的なリスクを減らし、精神的な負担を軽くすることにもつながります。まずは最初の一歩を踏み出してみましょう。
やってはいけないこと
自己判断で証拠を削除・改変することは絶対にやめましょう。不都合な事実を隠そうとした形跡が見つかれば、「証拠隠滅の意図」があると判断され、裁判官の心証を悪化させる可能性もあります。
すべての証拠を弁護士に開示したうえで、どのように裁判を進めていくかを検討しましょう。
不同意性交等罪の裁判についてよくある質問
Q.不同意性交等罪で否認すると、必ず実刑になりますか?
必ず実刑になるとは限りませんが、量刑が重くなるリスクは高くなります。
否認して有罪になった場合、「罪を認めておらず、反省の情がない」と厳しく判断されるためです。
Q.初犯でも実刑になりますか?
初犯であっても実刑になる可能性はあります。
不同意性交等罪は法定刑が5年以上の拘禁刑と、非常に重い罪です。執行猶予をつけるためには、判決を3年以下まで軽減させる必要があります。
そのため、初犯であっても、犯行様態や被害結果によっては実刑判決が避けられないケースがあります。
Q.示談金の相場はいくらですか?
事案の内容や被害者の意向によって大きく異なりますが、100~300万円程度といわれています。
過去にアトム法律事務所で取り扱った不同意性交事件では、示談金の相場は約100万円前後でした。
Q.示談を断られた場合、もう打つ手はありませんか?
弁護士を通じて謝罪文を渡したり、贖罪寄付を行ったりすることで反省の態度を示すことは可能です。
また、相手が受け取りを拒否している場合には、示談金相当額を供託することで賠償の意思があることを裁判所に伝えることも1つの対応として検討できます。
Q.不同意性交等罪での保釈は認められますか?
認められる可能性はありますが、否認している場合はハードルが高くなります。
保釈が認められるためには、被害者と接触できない環境を整え、弁護士が裁判所に対して「罪証隠滅のおそれがないこと」を示す必要があります。
まとめ|裁判に向けて今すぐ弁護士に相談しよう
不同意性交等罪の裁判は、一般的な感覚で臨むと、取り返しのつかないミスを招きかねません。
「無理やりではなかった」「相手も同意しているように見えた」という主観的な感覚と、裁判官が客観的な証拠から導き出す評価は必ずしも一致しないのが現実です。
不同意性交等罪の裁判は、人生を左右する分岐点です。「時間が解決してくれる」「誠実に話せばわかってもらえる」と楽観視せず、まずは弁護士に相談しましょう。
アトム法律事務所では、24時間365日いつでも相談予約を受け付けています。夜間や早朝でも専属スタッフが待機しています。
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