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器物損壊の公訴時効は3年!時効にならない場合も?起訴前に弁護士へ

器物損壊の時効

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

器物損壊罪の公訴時効は3年です(刑法261条、刑事訴訟法250条2項6号)。ただし、器物損壊事件において考慮すべき期限は、実は公訴時効だけではありません。

器物損壊罪は、被害者の告訴がなければ起訴できない親告罪です。そのため、被害者が犯人を知った日から6か月以内に告訴しなければ、原則として起訴されることはありません。

また、刑事罰とは別に、被害者から損害賠償を求められる「民事上の損害賠償請求」にも独自の時効があります。

本記事では、器物損壊に関する公訴時効・告訴期間・民事時効の3つの期限を整理し、前科や訴訟のリスクを回避する解決策について解説します。

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器物損壊罪の時効は2種類

公訴時効と告訴期間の違い

公訴時効とは、犯罪行為が終わった時から一定の期間が経過すると起訴する権利が消滅する制度です。公訴時効となる期間は、各罪が定めている刑の重さによって異なります。

公訴時効が完成した事件は、起訴することができないため、起訴のための準備である捜査も継続できなくなります。

公訴時効とは別に、親告罪では被害者が犯人を知った日から6か月の告訴期間を経過すると、告訴をする権利がなくなります(刑事訴訟法235条)。

告訴とは、被害者が警察官や検察官に対して犯罪の事実を申告して、加害者を処罰してほしいという意思表示をすることいい、親告罪とは、告訴がない限り起訴することのできない犯罪のことです。

公訴時効の完成前に起訴できなかった事件や、親告罪で告訴期間を経過する前に告訴のなかった事件は、どちらもそれ以降起訴される心配はなくなります。

  • 公訴時効:検察官が起訴することができる期間
  • 告訴期間:被害者等が告訴することができる期間

器物損壊罪の公訴時効は3年

器物損壊罪の公訴時効は、犯罪行為が終わったときから3年です

物を壊してしまったときから、捜査を受けることなく3年が経過した場合、もしくは捜査を受けたものの起訴されずに3年が経過した場合には、その後に処罰されることはありません。

器物損壊罪の量刑は、3年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金もしくは科料(刑法261条)ですが、公訴時効の完成後は、拘禁刑や罰金などの刑を受ける心配はなくなります。 

Q 「器物損壊の時効」の関連条文を見る

時効は、人を死亡させた罪であつて拘禁刑以上の刑に当たるもの以外の罪については、次に掲げる期間を経過することによつて完成する。
一(略)
六 長期五年未満の拘禁刑又は罰金に当たる罪については三年

刑事訴訟法250条2項6号

(器物損壊等)第二百六十一条
前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

刑法261条

器物損壊罪の告訴期間は6か月

告訴期間は「犯人を知った日」から6か月です。被害者が犯人を知った日から6か月を経過した場合には、告訴をすることができなくなります。

そして、器物損壊罪は告訴がなければ起訴をすることができない親告罪ですから、たとえ加害者側が警察署へ出向いて自首をしたとしても被害者の告訴がなければ、器物損壊罪に問われることはないわけです。

また、被害者と加害者が面識のある場合には、被害回復や弁償さえしてもらえればよいという被害者もいますので、まずは告訴される前に誠意ある対応を尽くすことは非常に重要です。

さらに、告訴後であったとしても、告訴は取り消すことができますので、示談とあわせて告訴が取り消された場合には起訴される心配もありません

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器物損壊罪の時効はいつから進行する?

刑事事件で「期間」を計算する時は「初日を算入しない」ことになっているため、告訴期間の場合は、犯人を知った日の「翌日」から計算することになります。

そして、公訴時効は、原則「犯罪が終わった時点」から進行しますが、共犯がいる場合には最終の犯罪が終わった時点を時効進行の起算点として共犯全員にその時効の起算点が及ぶことになります。 

刑事事件の「時効」の場合には「初日を算入する」(刑事訴訟法55条)と明記されていますので、公訴時効については犯罪が終わった時点の「当日」を含んで時効が進行することになります

器物損壊罪の時効が成立するとどうなる?

告訴期間を過ぎると被害者は告訴することができなくなります。器物損壊罪で検察官が起訴しようとする場合には、必ず被害者の告訴が必要となりますので、告訴がなければ起訴することもできません。

そして、被害者の告訴があったとしても、公訴時効が成立すると検察官は起訴することができなくなります。

告訴の期間を過ぎたり、公訴時効が成立すると、器物損壊罪で起訴されることはありません。時効が成立した事件では、その後に捜査を受けることもないですし、逮捕される心配をする必要もなくなります。そして、起訴をされないということは前科がつくこともないということになります

器物損壊罪の時効と告訴期間

公訴時効告訴期間
期間3年6か月
起算点犯罪が終わった日犯人を知った日の翌日
成立後起訴されなくなる告訴されなくなる

器物損壊罪の時効は3年で成立するとは限らない

器物損壊罪の時効が停止する場合

器物損壊罪の時効は、停止することはありますが、中断することはありません

  • 時効の停止:時効の進行が一時的にストップすること
  • 時効の中断:時効がリセットされ、一からスタートすること

器物損壊罪で公訴時効が停止するのは、検察官が起訴をした時です。告訴や逮捕されただけでは時効は停止せずに進行します。

その他、犯人が国外にいる場合犯人が逃げ隠れていることで起訴状の謄本の送達もしくは略式命令の告知ができなかった場合にも、その期間は時効が停止します(刑事訴訟法255条)。

また、共犯がいる場合には、共犯の一人に対して起訴をすることで、他の共犯の時効も停止します(刑事訴訟法254条2項)。

器物損壊罪以外の罪で逮捕されることがある?

損壊した対象物によっては、器物損壊罪よりも重い罪に問われることもあります。建造物および船舶については、器物損壊罪よりも重い量刑である建造物等損壊罪が適用されます(刑法260条)。

建物の壁や窓など、建造物の一部を壊した場合に適用される建造物等損壊罪は、公訴時効が3年ではなく5年になります。「単なる物の破壊」だと思っていても、対象が建物の一部とみなされれば、時効が伸びる点には注意が必要です。

その他にも、酔って店の看板を壊すなどして暴れていたら警察に通報されて、駆けつけた警察官を殴って公務執行妨害で逮捕されたなど、器物損壊罪に加えて他の犯罪行為をすれば、器物損壊罪以外で逮捕されることはあります。

公訴時効の期間は、定められた法定刑の重さで決まるので、問われる罪名が変われば時効の期間も変わる可能性があります。また、親告罪でない場合は、6か月の告訴期間の制限もありません。

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民事で器物損壊の損害賠償請求されることがある?

刑事上で責任を問われるのとは別に、民事上で損害賠償請求を受けることは当然あります。刑事上での責任は「刑事罰を受ける」ということですが、民事上の責任は「被害者が被った損害を賠償する」ということであり、刑事罰を受けたからといって、民事上の責任を免れるわけではありません。

刑法では「罪を犯す意思がない行為は罰しない」とされていて、「故意」があった場合にのみ器物損壊罪が成立します

「故意」とは「わざと」ということですが、「過失」つまり「不注意」によって他人のものを壊した場合には、刑事上の責任を問われることはありません。しかし、民事上においてはたとえ過失だったとしても、損害賠償を受けることになります

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民事の損害賠償請求権の時効成立はいつ?

民法での損害賠償は「債務不履行による損賠賠償」と「不法行為による損害賠償」の2つに大きく分けられ、損害賠償の請求権が消滅する時期が異なります。

民法上での不法行為とは、他人の「権利」や「法律上保護される利益」を侵害する行為のことで、「故意」だけでなく「過失」の場合も含まれます。

器物損壊は不法行為による損害賠償に該当しますので、故意・過失に関係なく「損害および加害者を知った時から3年」もしくは「不法行為の時から20年」のどちらかが経過すると時効が成立することになります。

器物損壊罪の2つの時効

民事事件の時効刑事事件の時効
期間損害及び加害者を知った時から3年
不法行為の時から20年
犯罪終了日から3年
効果損害賠償請求されない起訴されない

器物損壊の時効で悩む前に示談を!まずは弁護士に相談

刑事・民事の訴訟リスクを減らす示談とは?

刑事訴訟のリスクの観点からは、被害者との間で取り交わされた示談の内容や時期が非常に重要です。器物損壊は親告罪である以上、告訴前に示談ができれば起訴される心配はなくなります

たとえ告訴された場合でも、示談が成立していて、初犯ならば不起訴になる可能性が高いですし、示談の成立とともに告訴も取り消された場合には、起訴される心配もなくなります。

器物損壊の場合、民事で損賠賠償請求を受ける可能性も十分にありますので、事件後できる限り早い段階で示談をすることは、刑事・民事を問わず最も重要なことです。

ただ、自分で示談を試みたところ関係が悪化したり、話がうまくまとまらないというケースも少なくありません。

確実な早期解決を期待するのであれば、示談交渉は弁護士にお任せする方が間違いがありません。特に、すでに警察が介入しているような事件では、刑事事件としてのリスクも高まっていますので、弁護士に依頼することが賢明といえます。

弁護士が示談交渉を行うメリット

弁護士本人
示談交渉交渉しやすい難しい
示談成立早期成立時間がかかる
示談金相場が分かる相場が分からない

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器物損壊で起訴されたら示談は無意味?

起訴後であっても、示談をすることは決して無意味ではありません裁判のなかで示談が成立したことを立証できれば、判決が軽くなるケースが多いです

そして、民事のほうで損賠賠償請求を受ける可能性を考えると、たとえ起訴後であったとしても、民事で訴えられる前に示談をすることは有効です。

検察官から略式裁判(=書面のみによる裁判)にする旨が告げられ、「略式請書」にサインをした後であっても、起訴の手続きには一定の期間を要します。

サイン直後であれば弁護士に依頼をして、弁護士を通じて検察官に示談交渉を試みたい旨の連絡を入れることで、示談の結果が出るまで起訴の手続きを待ってくれる検察官もいます。

器物損壊の示談で慰謝料を請求されたら?

器物損壊の示談で慰謝料を請求されるケースは少なくありません。謝罪や賠償はしたいものの、請求された額が本当に妥当なのかは自分ではなかなか判断できないものです

そういった場合には、まず弁護士に相談をして、弁護士に示談交渉を進めてもらいましょう。

壊した物の他に、壊した物の修理期間などに発生した損害額や被害者が受けた精神的苦痛に対する額を含めて請求されることはよくあります。

弁護士であれば、請求された金額の妥当性についてしっかりと検討したうえで示談交渉にあたります。弁護士をつけて示談しておけば、その後、事件を蒸し返されて再びトラブルが生じる心配もありません。

アトム弁護士の解決事例(器物損壊)

こちらでは、過去にアトム法律事務所で取り扱った器物損壊事件について、プライバシーに配慮した形で一部ご紹介します。

コンビニでの器物損壊(不起訴)

器物損壊で警察から呼び出されたが、示談が成立し不起訴処分となった事例

コンビニエンスストア内で店員とトラブルになり、レジ前カウンターを蹴って破損させたとされたケース。器物損壊の事案。


弁護活動の成果

当事者同士の話し合いが難しく、弁護士が代理人として活動した結果、被害者と宥恕条項(加害者を許すという条項)付き示談を締結。不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴処分

駐車場での器物損壊(不起訴)

車のミラーを壊した器物損壊で、示談が成立し不起訴になった事例

酒に酔って、コンビニエンスストア駐車場内で、被害者の所有する車のドアミラーを拳で殴って壊したとされた器物損壊の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴処分

器物損壊・わいせつ(不起訴)

服に体液をかけた器物損壊罪で、示談が成立し不起訴となった事例

学校の自習室で、掛けてあったコートに体液をかけて汚損したとされるケース。防犯カメラの映像から身元が特定され逮捕された器物損壊の事案。


弁護活動の成果

裁判官に意見書を提出した結果、勾留請求が却下され早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結し不起訴処分を獲得。

示談の有無

あり

最終処分

不起訴処分

器物損壊の示談は弁護士に相談を

まとめ

器物損壊罪の法定刑は3年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金、もしくは科料です(刑法261条)。

器物損壊罪は「長期5年未満の拘禁刑」にあたる罪なので、公訴時効は3年になります(刑事訴訟法250条2項6号)。

器物損壊のことで不安があれば弁護士に相談してください。過失であれば器物損壊罪にはならないから大丈夫だろうと安易に考えていると、突然逮捕されるということもあるかもしれません

故意か過失かの判断は難しいケースも多く、自分では過失だと思っていても、捜査機関が被害者から話を聞いたうえで捜査を進めたところ、器物損壊罪にあたるという場合もあります。

他人の物を壊したが大丈夫だろうかと心配な場合や、壊したものに対する弁償の請求を受けているが刑事事件化はしていないという場合であっても、まずは弁護士に依頼をして示談交渉を進めていくことが大切です。

事件化する前に示談が成立すれば、告訴を避けられる可能性が高くなります。また、告訴された後でも、起訴前に示談をして告訴が取り消されれば、法律上、起訴されることはなく前科もつきません。

弁護士の口コミ・アトムを選んだお客様の声

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このたびは、無事不起訴になり、ありがとうございました。成瀬先生と被疑者との相性も良く、何かと多忙な私からの無理なお願いも受けて頂き、感謝しております。今回は、ご尽力ありがとうございました。

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ご依頼者様からのお手紙(事件を反省して酒を断ち会社や趣味で充実した日々になりました。)

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了