万引きで被害届が出されると、その後の展開には様々な危険が考えられます。警察に後日逮捕されることも視野に入れ、早めに弁護士にご相談されることをおすすめします。また、刑事処分で不起訴を獲得するには、被害者との示談は必須です。適切な被害者対応を行うためにも、示談経験の豊富な弁護士にサポートを求め、スピーディに動いてもらうことが重要です。
万引きで被害届が出されないためにも、早めに弁護士に動いてもらうようにしましょう。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
万引きで被害届が出されたら警察に逮捕されることがある
警察は「窃盗罪」として捜査を開始する
万引きで被害届が出されたら、警察による捜査が開始されます。万引きは、一般的には刑法に定められた窃盗罪という罪にあたり、窃盗事件として扱われます。警察は被害者(被害店舗)から被害届が出されることで、犯罪事実を認識し、被疑者の検挙に向けて動き出すのです。
万引き事件は現行犯逮捕され、後に警察に引き継がれることで捜査が開始されることもあります。被害届が提出されたことで、はじめて警察が事件を知るという流れも少なくありません。捜査のきっかけは様々で、このような現行犯逮捕や被害届の提出は捜査の端緒と呼ばれます。被害届は被害者が被害を受けたことを捜査機関に申告することをいい、被害申告に加えて犯人への処罰感情を含むのが告訴といいます。
万引きの被害者と犯人は警察から事実確認を受ける
万引きの被害届が出されると、警察は事実を確認するために、まずは被害者(被害店舗)から詳しく事情を聞きます。被害者が事実を誤認している可能性もあるので、万引き事件の当時の様子をできる限り詳しくヒアリングし、事実関係を整理するのです。万引き事件では、被害物品の確認や被害金額の確定が行われます。
警察は、被害者の話を一方的に聞くだけでは万引き事件の全体像が見えないため、犯人からも話を聞くことが必要です。被疑者という扱いになっていれば、取調べをして犯人の言い分を聞きます。被疑者という立場では、すでに一定の疑いがかけられているため、不合理な否認をしたり闇雲に黙秘をすると警察の心証が悪くなり、取調べが激化することも否定できません。
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万引きで逮捕される可能性|逮捕されないこともある
被害届あり | 被害届なし | |
---|---|---|
警察 | 捜査を開始 | 捜査しない |
身柄 | 逮捕の可能性あり | 逮捕の可能性なし |
万引きで被害届が出されると、後日逮捕される可能性があります。特に、万引き事件が発生したとき、犯人が店員の制止を振り切って逃亡しているような場合では、身体拘束の必要性が高いとして後日逮捕されるかもしれません。逃亡時に警備員を押し倒し怪我をさせたような場合だと、単なる窃盗事件ではなくなるため、逮捕される可能性は飛躍的に高まるでしょう。
一方で、万引き事件のあと、すぐに店舗に謝罪をしていたり、警察に自首したようなケースでは、逮捕の必要性はないとして在宅捜査になる可能性があります。在宅捜査になれば、基本的には警察に呼び出しを受けたときに出頭する以外は、通常の日常生活を維持することが可能です。逮捕された場合に比べると、仕事や学校への影響は極めて小さいといえます。
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万引き事件で被害届が出されたとき、防犯カメラに犯行が映っており犯人特定につながることがあります。事件が起こってから犯人が名乗り出ないとなれば、そのまま逃げたと考えられるため、後日逮捕して取り調べを行う必要が高まります。在宅捜査では犯人の取調べが難しかったり、捜査が進まないと判断されれば、警察は逮捕令状を請求し、身体拘束に踏み切るでしょう。
防犯カメラは客観的な事実を証明するための重要な証拠です。ここで犯人特定の手掛かりが映し出されていれば、捜査は大きく進展します。しかし、顔が不鮮明であったり万引きの瞬間が明らかでない場合は、映像が証拠として使えないこともあります。とはいえ、防犯カメラが決め手になって後日逮捕につながるケースもあり、万引き事件が発生したときは、通常、警察は早い段階で防犯カメラの映像を解析するのです。
万引き事件をはじめとした窃盗の証拠については『窃盗の証拠がなければ警察は動かない?窃盗の犯人を認定する5つの証拠とは?』の記事で詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
万引きで後日逮捕された時の流れは
万引きで後日逮捕されると、まずは警察で取調べを受けます。そして、48時間以内に事件は検察官に引き継がれ、今度は検察官による取調べを受けることになります。検察官は、24時間以内に勾留請求をすべきか検討し、勾留して捜査を進めるべきと考えると裁判官に勾留請求するという流れです。
勾留請求されると、被疑者は裁判官と面談をします。これは勾留質問と呼ばれ、大阪地裁(大阪簡裁)のように勾留請求の日に行われる場合もあれば、東京地裁(東京簡裁)のように勾留請求の翌日に行われることもあります。勾留質問を踏まえて、裁判官は勾留の判断をしますが、ここで「勾留しない」という結論になれば、すぐに被疑者は釈放され自宅に帰ることが可能です。
被害者の被害申告(被害届)は重視される
被害届が提出され、捜査が開始されると、警察や検察官は被害者(被害店舗)から当時の状況を詳しく聞きます。捜査では被疑者からも事情が聞かれますが、被害者の発言は特に重視されます。検察官は被害金額などから、客観的に被害がどの程度深刻であるかを把握し、被害者の感情を酌んだ上で刑事処分を検討しなければなりません。
一度、被疑者という立場に立たされると、「まだ犯人と確定したわけではない」とはいえ、一定のバイアスがかかって犯人扱いされる傾向にあります。特に、警察は被害者からの申告を直接受けるため、捜査には被害者から受ける印象が影響します。この状況下で、被疑者が自分の言い分を主張するには、より説得的な証拠が必要です。自分一人で対応するより、法律専門家である弁護士のサポートを頼るべきといえるでしょう。
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被害者との示談は逮捕回避に有効?
万引き事件の解決で重要なことは、被害者(被害店舗)との示談です。謝罪と被害弁償の支払いを行い、示談をすることで逮捕回避を目指すことができます。被害届が提出される展開になったとしても、万引きの後で逃亡したり証拠を隠滅する行動をしなければ、逮捕の危険は大幅に減ります。
出来る限り早い段階で示談による解決を図りましょう。そして、捜査が開始されたときには、すみやかに示談が済んでいることを捜査機関に示すことが大切です。示談は逮捕回避だけでなく、不起訴処分獲得にも影響します。適切な被害者対応をして、被害者がすでに許してくれているという事情は、起訴回避にもつながるのです。
万引きの示談は刑事事件に詳しい弁護士に相談を
万引き事件の示談は、被害者が謝罪を受け入れてくれ、被害弁償をすることが最低限必要です。そして、被害者の宥恕(「許す」という意味)を取得するには、被害者の納得を得なければなりません。単に「お金を支払うので許してほしい」という主張をするのではなく、自ら店舗への立ち入りを自粛する約束をすることや、事件をきっかけに防犯カメラの設置をしたのであれば、その費用を負担するなどの配慮が必要になります。
万引き事件の示談をするときには、刑事事件に詳しい弁護士に相談し、どのような段取りで被害者にアプローチをするか慎重に検討することが重要です。万引き事件を数多く扱ってきた弁護士であれば、適切な示談のタイミングと示談交渉の方法を心得ているので安心です。
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万引きは被害届が出される前に示談を始める
万引き事件の解決でもっとも好ましいのは、被害届が提出される前に示談を進めることです。被害届が出されなければ、捜査も行われず刑事事件にもなりません。警察が介入する前に当事者で話し合って事件を解決しておくことは逮捕のリスクはもちろん、刑事処分を受けるリスクも回避することができます。
ただし、示談は極めて繊細な交渉事です。もし示談が決裂してしまうと、被害届が出される可能性は高まり、逮捕の危険も浮上します。そして、再度示談の話を持ちかけることも難しくなりますので、最初の示談交渉を成功させることは極めて大切です。少しでも示談を成功させるためには、最初から弁護士に示談を依頼することが望ましいといえます。
まとめ
万引きで被害届が出されると、逮捕される可能性がでてきます。もちろん、在宅捜査を受けることもありますが、後日逮捕の危険はゼロにはなりません。早急に示談をして逮捕回避、起訴回避を目指すことが大切です。そのためには、万引き事件の直後に弁護士に相談されることをおすすめします。
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