2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
「会社員なのに万引きで逮捕されてしまった。会社を解雇されて仕事を失うのではないか」——そんな不安を抱えている方は少なくありません。
結論として、万引きで逮捕されたからといって、必ずしも会社を解雇されるわけではありません。懲戒処分は各企業の就業規則に基づいて判断され、早期に弁護士へ相談して示談や不起訴処分を獲得できれば、解雇を回避できる可能性が高まります。
この記事では、会社員の方やそのご家族に向けて、万引きで逮捕された場合に解雇されるのか、逮捕後の流れ、仕事を失わないために取るべき具体的な対処法を分かりやすく解説します。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
会社員が万引きで逮捕されたら解雇される?
会社員として働いている方が万引きで逮捕された場合、「すぐに解雇されるのでは」と心配される方が多いでしょう。
しかし、逮捕されたからといって直ちに解雇されるとは限りません。ここでは、解雇の可能性について詳しく解説します。
懲戒処分の判断基準は就業規則
会社員が万引きなどの違法行為を理由に逮捕された場合、懲戒解雇となるかどうかは、勤めている会社の就業規則によって判断されます。
懲戒解雇や降格などの懲戒処分に関するルールは、法律そのものに特別な規定があるわけではありません。そのため、懲戒処分は原則として各企業の就業規則に基づいて実施されます。
就業規則には、一般的に勤務中や職場内外での社員の行動について、懲戒の対象となる行為や処分の種類などが明記されています。各企業はこの規則に従い、従業員の処分を下します。
たとえば就業規則に「有罪判決を受けた場合に懲戒解雇とする」と定められている場合は、逮捕の段階で直ちに解雇されることは原則ありません。あくまで有罪判決が確定した場合に限り、解雇の対象となります。
「逮捕=解雇」「逮捕=有罪」ではない
多くの方は「逮捕されたら即解雇」「逮捕されたら有罪」と考えがちですが、これは誤解です。
日本の刑事手続きにおいて、逮捕後に不起訴処分となり、有罪判決を受けないまま事件が終了するケースは少なくありません。
実際に、2024年版検察統計年報では、窃盗事件(万引きを含む)の起訴率は約44%、不起訴率は約56%となっており、半数以上の事件が不起訴で終了しています。
つまり、万引き事件で逮捕されたとしても、適切な弁護活動によって不起訴を獲得すれば、解雇を回避できる可能性があるということです。
不起訴でも懲戒解雇されることがある
不起訴となった場合は刑事裁判が開かれず、有罪判決を受けることはありません。
しかし、就業規則に「逮捕された場合には懲戒解雇とする」と記載されている場合、特に本人が容疑を認めているケースでは、逮捕の時点で懲戒解雇となる可能性があります。企業秩序への影響や信用失墜の程度なども考慮されます。
ただし、法律上は私生活上の軽微な犯罪行為のみを理由とした懲戒解雇は、不当解雇として無効とされる場合もあります。裁判例でも、業務外の行為による解雇については、犯罪行為の内容・会社の規模・本人の職位などを総合的に考慮して判断すべきとされています。
懲戒解雇を防ぐためには、勤めている企業の就業規則をきちんと確認し、早期に弁護士に相談することが不可欠です。
会社員が万引きで逮捕された後の流れ
万引きで逮捕された場合、事件が起訴されるかどうか決まるまで最大23日間の身体拘束が続く可能性があります。この間に示談を成立させられるかどうかが、仕事を守れるかの分岐点です。

逮捕〜送致(48時間以内)
逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官へ送致(送検)します。
被害金額が少額で悪質性が低い場合などは、警察の判断により微罪処分で事件が終了することもあります。初犯で被害額が低く、その場で弁償が済んでいるケースなどが該当します。
送致~勾留請求(送致後24時間)
検察官は、警察から受け取った証拠と、ご本人から直接聞いた話の内容をもとに、さらに留置場に置くこと(勾留)が必要かを判断します。勾留が必要な場合は、裁判官に勾留請求を行います。
勾留請求の期限は、逮捕後72時間かつ、送致後、検察官が被疑者を受け取った時から24時間以内です。
勾留(最大20日間)
検察官が勾留を請求し認められると、原則10日間(必要に応じ最大10日間の延長)、身柄が拘束されます。
勾留中は長期欠勤が続くため職場バレのリスクが高まります。弁護士を通じて早期釈放を目指すことが重要です。
起訴・不起訴の決定
捜査を経て、検察官が起訴・不起訴を決定します。日本の起訴後有罪率は99%を超えるため、前科を避けるには不起訴を目指すことが最も現実的な手段です。
もっとも、不起訴であっても職務外の非行として懲戒処分の対象となる可能性はあるため、処分の有無や内容は所属機関の判断によって決まります。
逮捕後の釈放タイミングについて詳しく知りたい方は『逮捕されたら?逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説』の記事をご覧ください。
会社員が万引きで仕事を失わないための対処法
会社員が万引き事件を起こすと、懲戒解雇や長期欠勤による失職のリスクがあります。ここでは、仕事を失わないために取るべき具体的な対処法を解説します。
万引き被害者との示談で不起訴を目指す

万引き事件を起こしてしまった場合、万引き被害者との示談の成立が最も重要です。
事件が検察官によって起訴されてしまうと、日本の刑事裁判では99%以上の確率で有罪となり、前科がつきます。しかし、検察官が不起訴処分の判断を下した場合は、裁判を受けること自体がなくなるため、有罪判決を受けることはありません。
有罪判決・前科を回避するためには、不起訴処分を目指すことが最も現実的な手段です。
万引きのような被害者のいる犯罪では、早期に被害者対応を行うことが重要です。示談を締結することで、検察官が再犯の可能性や加害者の家庭への影響など様々な情状を考慮し、最終的に「起訴するほどではない」と判断する「起訴猶予」で不起訴となる可能性が高まります。
コンビニ・スーパーなどチェーン店は示談に応じない場合も
コンビニやスーパーなどのチェーン店は、会社方針として示談に一切応じないところも多くあります。
その場合は、被害品の弁償を行い、謝罪を尽くすなど、示談とは別の形で反省の意を示すことで、不起訴処分を目指します。弁償金の受取りを拒否された場合には、供託手続を行うなどの対応も可能です。
万引きで示談ができないときの対応についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
示談交渉には弁護士のサポートが不可欠
被害者との間に示談を締結するためには、弁護士によるサポートが欠かせません。
逮捕されてから起訴されるまでの身体拘束期間は、最大で23日間です。起訴が決定された後で示談が成立しても、原則後から不起訴とすることはできないため、示談交渉はこの限られた期間内に行う必要があります。
また、逮捕されている場合、加害者本人は示談交渉ができません。逮捕されていない場合であっても、加害者と被害者が直接示談交渉を行うことはトラブルの原因となりやすく、困難です。
刑事事件の示談交渉経験が豊富な弁護士であれば、適切なタイミングと金額で示談交渉に臨むことができます。

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早期釈放を目指して身体拘束を短くする
万引きによる逮捕後、仕事への影響を最小限にするためには、できるだけ早く身体拘束を解く(釈放される)ことが重要です。
身体拘束が長引けば、長期間の無断欠勤となり、会社に事件が知られるリスクが高まるだけでなく、就業規則に基づく解雇の理由にもなりかねません。
弁護士は、以下のような方法で早期釈放に向けた活動を行います。
- 検察官に対し勾留請求しないよう申し入れる
- 裁判所に対し勾留決定の取消し(準抗告)を求める
- 被害者との示談を早期に成立させ、釈放につなげる
弁護士に依頼することで、逮捕から数日以内に釈放されるケースも少なくありません。

会社への対応を適切に行う
逮捕された場合、会社にどのように連絡するかも重要なポイントです。
逮捕後は携帯電話を使用できないため、ご家族が代わりに会社へ連絡する必要があります。弁護士を通じて会社への連絡方法についてアドバイスを受けることで、事件を知られずに済むケースもあります。
弁護士が代理人として会社に対応すれば、会社としてもいきなり解雇などの極端な処分を取りにくくなることが期待できます。
万引きがやめられない窃盗症(クレプトマニア)は治療を行う
万引きを繰り返してしまう場合、窃盗症(クレプトマニア)という精神障害が原因となっている可能性があります。
窃盗症には以下のような特徴があります。
- 必要のないものなのに衝動的に万引きをしてしまう
- 万引きが成功したことに満足感を覚える
- 自分の意思だけではやめることが難しい
窃盗症が認められたからといって無罪となることは基本的にはありませんが、専門医療機関での治療を受けていることが、検察官の不起訴判断や裁判での量刑に有利に働くことがあります。
万引きを繰り返してしまう場合は、再犯防止のためにも専門の医療機関を受診することが重要です。
万引きの刑罰は?初犯と再犯で罪の重さはどう変わる?
万引きで逮捕された場合、どのような刑罰を受ける可能性があるのでしょうか。初犯と再犯の場合の違いについても解説します。
万引きは窃盗罪に問われる
「万引き」という罪名は存在せず、刑法235条の窃盗罪が適用されます。 万引きは一見軽い犯罪のように思われることもありますが、決して軽視すべきものではありません。
窃盗罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」であり、事件の態様によっては非常に厳しい処罰が科される可能性があります。数百円の商品を1点だけ万引きした場合であっても、窃盗罪として扱われることに変わりはありません。
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万引きの初犯の刑罰の相場
初犯の場合、刑罰は被害金額や犯行態様によって異なります。
初犯で被害金額が少額の場合、弁償や示談が成立していれば、微罪処分や不起訴処分になる可能性が高まります。
仮に起訴されたとしても、略式起訴による最大30万円程度の罰金刑となる場合が多いとされています。
初犯の万引きで最も重要なのは、適切な対応をすれば前科をつけずに事件を終わらせられる可能性があるということです。
万引きの再犯の刑罰の相場と加重リスク
再犯(2回目以降)の場合は、処分が段階的に重くなります。
再犯(2回目) の場合でも罰金刑にとどまる可能性はありますが、被害金額が高額な場合は正式裁判(公判請求)になることもあります。
執行猶予期間中の再犯の場合は、拘禁刑の実刑判決が科される可能性が高まります。ただし、クレプトマニアの治療を行っているなどの事情があれば、「再度の執行猶予」が認められる可能性もゼロではありません。
さらに、服役後に万引きを繰り返した場合は、「盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律」3条により、常習累犯窃盗罪として3年以上の拘禁刑に処せられます。
会社員の万引きに関するよくある質問
Q.万引きで逮捕されたら会社にバレますか?
万引きで逮捕されても、通常は警察から会社に連絡されることはありません。
ただし、逮捕後の長期欠勤や実名報道によって会社に知られてしまうリスクはあります。会社にバレるリスクを減らすには、弁護士に依頼して早期釈放を目指すことが重要です。
Q.万引きで逮捕されて長期間会社を欠勤したらどうなりますか?
万引き事件で逮捕され長期間会社を欠勤すると、会社の就業規則に基づき解雇される可能性があります。
逮捕後は自身で会社に連絡することはできなくなるため、長期間の無断欠勤扱いとなれば懲戒解雇の対象となるケースもあります。身体拘束が長引くほど会社に事件を知られるリスクも高まるため、弁護士を通じて早期釈放を目指すことが不可欠です。
Q.万引きを会社に知られずに解決するにはどうすればよいですか?
万引きを会社に知られずに解決するには、早期に弁護士に相談し、万引き被害者との示談を成立させることが重要です。
示談が成立すれば不起訴処分となる可能性が高まり、会社への連絡リスクも低減できます。また、弁護士を通じて早期釈放を実現することで、長期欠勤を防ぐこともできます。
Q.万引きの初犯で懲戒解雇されることはありますか?
万引きの初犯で懲戒解雇される可能性は、就業規則の内容によって異なります。一般的には、初犯かつ被害額が少額の万引きのみを理由に直ちに懲戒解雇されるケースは稀とされています。
ただし、就業規則に「逮捕された場合は懲戒解雇」と定められている場合や、事件が報道された場合には、初犯であっても解雇のリスクがあるため、弁護士への早期相談が重要です。
Q.万引きの示談金の相場はいくらくらいですか?
万引きの示談金の相場は、「被害金額と同程度」~「被害金額+20~50万円」とされる場合が多いです。
示談金の具体的な金額は事案の内容によって異なるため、弁護士に相談して適切な金額を判断することをおすすめします。
アトムの解決事例
会社員が万引きで現行犯逮捕された事例
アトムの解決事例(不起訴処分)
仕事や家庭のストレスを抱えた20代会社員男性が、移動中に立ち寄った中古品販売店で43万円超のバッグを突発的に万引きした事案。逃走後に自ら店へ戻り、警察官に現行犯逮捕された。
弁護活動の成果
弁護士が勾留請求却下のための意見書を提出し、逮捕からわずか3日で釈放を実現。その後、被害弁償金に加えて示談金70万円を支払う形で宥恕付き示談を成立させ、最終的に不起訴処分となり前科を回避した。
会社員が勤務先の書店で万引きした事例
アトムの解決事例(不起訴処分)
勤務先ビルの書店で書籍2冊を万引きした窃盗の事案。過去にも同店舗で3回ほど万引きを繰り返しており、今回は店を出たところで声をかけられ警察署へ任意同行となった。
弁護活動の成果
被害店舗との示談交渉は不成立に終わったが、弁護士が検察官に不起訴処分の相当性を主張し、最終的に不起訴処分を獲得。依頼者の息子は前科がつくことなく事件を終えることができた。
まとめ
会社員が万引きで逮捕された場合でも、適切な対応を取ることで解雇を回避できる可能性は十分にあります。
懲戒解雇されるかどうかは各企業の就業規則によって判断されるため、逮捕されたというだけで直ちに職を失うわけではありません。
ただし、逮捕後は起訴されるかどうか決まるまで最大23日間の身体拘束が続く可能性があり、長期欠勤によって会社に事件を知られてしまうリスクが高まります。そのため、弁護士を通じて早期釈放を実現し、身体拘束の期間をできる限り短くすることが、仕事を守るうえでも極めて重要です。
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