お酒に酔って、喧嘩を売られて、カッとなってつい手が出てしまった。
そういった場合、「暴行罪」が成立して逮捕されてしまう可能性があります。
この記事では、以下について解説します。
- 暴行罪は初犯でも逮捕されてしまうのか
- 起訴されて前科がついてしまうのか
- 暴行罪にはどういった刑が科されるのか
- どういった行為が暴行罪にあたるのか
- 暴行罪での逮捕や起訴を防ぐ方法はあるのか
暴行罪の初犯でお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
暴行罪初犯の場合は逮捕される?
逮捕には2つのパターンがある
逮捕といっても、その形はひとつではありません。暴行罪の場合、以下の2つのパターンがあります。
①現行犯逮捕
今まさに犯行中であったり、犯行直後である人の身柄をその場で確保するのが現行犯逮捕です。警察官だけでなく、私人(警察官ではない一般人)でも現行犯逮捕をすることが可能で、その場合は速やかに警察に身柄を引き渡すことになります。
②通常逮捕
警察官や検察官からの求めに応じて裁判官が発行した逮捕状をもとに身柄を拘束するのが通常逮捕です。これは事件の翌日にやって来ることもありますし、1年以上後になる可能性もあります。したがって、事件現場で現行犯逮捕されることがなかったとしても、後日自宅や職場に警察が来て逮捕されてしまう事態もあり得るということです。
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暴行罪は初犯でも逮捕される?
暴行罪は初犯でも逮捕されることがあります。
現行犯であれば、初犯であるかどうかは逮捕されるか否かに関係ないと言えます。犯罪歴の有無は事件の起きたその場では分からないからです。
一方、通常逮捕の場合は、初犯であるという事実は逮捕されるか否かに影響すると考えられます。通常逮捕には現行犯逮捕よりも厳しい基準が設けられており、「逮捕の理由」と「逮捕の必要性」がなければ裁判官は逮捕を認めません。逮捕の理由とは、「その人が罪を犯したと疑うのに相当な理由があること」です。逮捕の必要性はさらに「逃亡のおそれ」と「罪証隠滅のおそれ」に分かれています。初犯である場合、逮捕されたとしても軽い処分で済むことが多いため、逃亡のおそれも少なくなると考えられます。したがって、暴行罪の初犯の場合は、初犯でない場合に比べて逮捕される可能性は低くなります。
暴行罪初犯で逮捕されたらどうなる?
暴行罪の疑いをかけられて逮捕された場合、まずは警察署に連行されて警察官の取調べを受けます。逮捕後48時間以内に事件は検察官に送致(引き継ぐこと)され、その後で検察官により起訴するかどうかの判断が行われます。被疑者は逮捕から起訴までの間、最大で23日間留置場や拘置所に拘束されることになります。
起訴された場合は裁判を受けることになり、その中で有罪・無罪か、有罪の場合どういった罰が科されるかが決定されます。
暴行罪初犯で起訴される?前科はつく?
暴行罪は初犯でも起訴される?
暴行罪で逮捕された場合、多くは不起訴処分になります。初犯であれば、不起訴となる可能性はさらに大きくなります。
しかし、以下の場合は起訴される可能性が高くなります。
- 事件内容が悪質
- 犯行を否認している
- 示談や謝罪がなく、被害者の処罰感情が強い
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起訴された後の流れ
被疑者の身柄が拘束されている状態のまま起訴されると、被告人勾留として引き続き拘置所に勾留されることになります。最初の勾留期限は2か月ですが、その後も1か月ずつ更新されていきます。公判は起訴から概ね1か月前後で始まります。
裁判の期間は、被告人自身が罪を認めている場合は起訴からおおよそ2〜3か月で済みますが、否認している場合はさらに時間がかかってしまいます。
判決が下された後、不服があれば14日以内に上級裁判所に控訴をすることができます。これをしなければ、14日で判決が確定します。
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起訴された時の影響
保釈が認められなければ、裁判が終わるまでの間拘束が続き、その間仕事や学校に行くこともできません。
暴行罪の場合は、略式起訴という形が取られることも多くあります。略式起訴とは、100万円以下の罰金又は科料に相当する事件について、法廷での裁判ではなく書類によって審査が行われる裁判の形式を言います。略式起訴をされるとスムーズに釈放されるというメリットがありますが、被告人が無罪を主張することができないため必ず有罪となってしまう点には注意が必要です。
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暴行罪初犯で起訴されたら前科はつく?
逮捕・起訴されただけでは前科はつかず、裁判で有罪判決を受けて初めて前科がつくことになります。しかし、日本の裁判の有罪率は非常に高く、令和3年度に裁判で判決が確定した人のうち約99.9%が有罪となっています(令和4年度犯罪白書より)。つまり、起訴されるとほぼ確実に有罪判決となり、前科がついてしまうことになります。そして前科は一度ついてしまえば一生消えることはなく、進学や就職に影響が出てしまうおそれがあります。
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暴行罪とは?
こんな些細なことでも暴行罪?
暴行罪とは、人に対して故意に暴行を行い、結果として相手に怪我がなかった場合に成立する犯罪です。では、どういった行為が「暴行」にあたるのでしょうか。具体的に、殴る蹴るといった行為は暴行の例として分かりやすいですが、髪を引っ張ったり、軽く叩いたりしただけでも暴行罪が成立します。
実は、暴行にあたる行為というのはとても幅広く、以下のように直接相手の身体に触れない行為に対しても裁判所が暴行罪を認めたケースがあります。
- 胸ぐらをつかむ
- 相手に当たらないように物を投げつける
- 狭い室内で刃物を振り回す
- 大きな音や光、熱、冷気などを用いて刺激を与える
- 食塩を振りかける
- 水をかける
*¹暴行罪とは、刑法208条に規定される犯罪。①「暴行」を加えた者が②「人を傷害するに至らなかった」ことが暴行罪の客観的構成要件となる。ここでいう「暴行」とは、他人の身体に対する不法な有形力の行使を意味する。
このように、些細に思える行為であっても暴行罪が成立してしまうおそれがあります。
暴行罪は罰金刑?懲役刑?
暴行罪の法定刑は「2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料」です。初犯の場合はそうでない場合に比べて刑が軽くなることがほとんどで、正式起訴となったら、懲役を言い渡されたとしても執行猶予が付くことが多いです。
暴行罪の初犯は罰金になる?
あくまで個別の事案によるため、暴行罪の初犯であれば必ず不起訴になる、罰金〇〇万円になるというような断言はできません。
ただし暴行罪の初犯の場合、事案が軽微なときや、示談が成立したときなどは不起訴になる可能性はあるでしょう。
示談成立に至らなかった場合であっても、初犯の暴行罪であれば(いきなり刑務所に入る刑罰が言い渡されるのではなく、)罰金刑や科料が選択されることが予想されます。
暴行罪の初犯の罰金刑は、通常、30万円以下の範囲内の金額になります。(科料であれば、1000円以上1万円未満。)初犯の暴行罪では、いきなり罰金刑の上限である30万円まで科されるケースは少ないのではないでしょうか。
個別の暴行事件の内容にもよるため、事件の見通しを知りたい場合は、アトム法律事務所の弁護士相談を活用してください。
傷害罪との違い
暴行を行い相手を怪我させてしまった場合は傷害罪となり、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科されます。
暴行罪初犯の逮捕・起訴は防げる?
逮捕を防ぐには示談が重要
暴行罪初犯での逮捕を防ぐためには、示談が有効な手段になります。被害者が被害届を出す前に示談を成立させることができれば、被害届は出されないため逮捕されるおそれはなくなります。
暴行の場合、示談金の相場は10〜30万円程度です。暴行事件における示談金や慰謝料がどのように決まるのかは『暴行罪の加害者になった場合の慰謝料・示談金の相場。金額はどう決まる?』の記事が参考になります。あわせてご確認ください。
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釈放できるタイミング・方法
もし逮捕されてしまったら、前述の通り最大で23日間も留置・勾留されてしまいます。起訴された場合はさらに長い間勾留されてしまうことになります。拘束が長くなるほど社会生活への影響も大きくなりますので、一刻も早い釈放を目指しましょう。
被疑者を釈放できるタイミングは4つあります。
①送検前の釈放
微罪処分といって、初犯であり犯した罪が軽微である等の事情があるときに、例外的に送検せず警察で刑事手続きを終えることがあります。微罪処分での釈放を目指すためには、取調べで反省の意を示すことや、被害者との間に示談を成立させるなどして被害者の処罰感情を取り払うことが必要になってきます。
②勾留阻止での釈放
身柄が送検された後、検察官は引き続き勾留する必要があると判断すれば24時間以内に裁判官に勾留を請求し、裁判官がそれを認めるかの判断を行います。検察官が勾留は必要ないと判断したり裁判官が勾留請求を却下すれば、被疑者は釈放されます。
この段階では、弁護士が検察官に勾留請求をしないように働きかけたり、裁判官に勾留請求を却下するように働きかけることができます。勾留が決定した後も、勾留決定に関する準抗告、勾留取消請求などの手段で身柄の釈放を目指していくことが可能です。
③不起訴処分での釈放
送検後、不起訴処分となった場合も身柄が釈放されます。不起訴処分となれば、事件はそこで終了し、前科がつくことはありません。
④略式起訴による釈放
略式起訴となった場合、罰金を支払うことでその日のうちに釈放されますが、前述の通りこの手続きを行うことによって有罪が確定してしまう点には注意が必要です。
暴行罪初犯での起訴を防ぐ方法
起訴を防ぐためには示談が有効な要素になります。示談という形で当事者同士の問題が解決しているのであれば、あえて刑罰を科す必要はないと判断されることが多く、不起訴となる可能性が高くなります。
その他にも、弁護士からの働きかけによって不起訴の可能性を高めていくことができます。
暴行事件で弁護士に依頼するメリット
被害者と示談をして逮捕や起訴の回避を目指そうとしても、怖い思いをした被害者が加害者本人との示談交渉に応じてくれるケースは少ないでしょうし、そもそも連絡先を知らないという事もあります。捜査機関に聞いても連絡先は通常教えてもらえません。しかし、弁護士であれば捜査機関から被害者の連絡先を入手し、直接示談交渉を行うことができます。
また、検察官や裁判官への働きかけは弁護士にしかできませんし、取調べの対応についても弁護士から適切なアドバイスがもらえるでしょう。
暴行事件で逮捕されるのを防ぎたい、なるべく早く釈放したい、前科がつくのを回避したいといった場合は弁護士に相談することをお勧めします。
暴行罪の初犯のお悩みは弁護士相談
暴行罪の初犯は現行犯逮捕されたり、被害届を提出される・目撃者の証言が証拠になるなどして後日逮捕されたりする可能性がある犯罪です。
しかし被害者の方との示談を成立させることで、逮捕の回避、身柄拘束からの早期釈放、不起訴処分の獲得などの可能性をあげることができます。
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