
「みだらな行為」とは、一般的に社会通念上不適切とされる性交や性交類似行為を指します。報道などで耳にすることはあるかもしれませんが、具体的にどういった行為を指すか曖昧な方も多いかもしれません。
しかし、この言葉は各自治体の条例などに登場し、刑事処罰の対象となることもあるため、正しい理解が非常に重要です。
特に、相手が未成年である場合は、みだらな行為によって同意があっても処罰されるケースがあります。
この記事では、みだらな行為が具体的にどういった行為を指すのか、同意があれば大丈夫なのかといった疑問に対して、わかりやすく解説します。

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目次
みだらな行為とは?わいせつ行為・いかがわしい行為との違いは?
みだらな行為とは何か?
「みだらな行為」とは、一般的に社会通念上不適切とされる性交や性交類似行為を指します。社会常識に反した性交や性交に近い行為などが該当します。
法律では明確に「みだらな行為」が定義されているわけではありませんが、報道などでは、次のような行為が「みだらな行為」として扱われることが多いです。
みだらな行為の具体例
- 性交
- 肛門性交(アナルセックス)
- 口腔性交(オーラルセックス)
- 膣や肛門に身体の一部または物を挿入する行為
また、地方自治体の青少年保護育成条例では、「淫行(いんこう)」という言葉が用いられることがあり、これは「みだらな(淫らな)行為」とほぼ同じ意味で扱われます。
「淫行」について最高裁判所は以下のように判断しています。
「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいう。
最判昭和60年10月23日
つまり、「みだらな行為」とは、社会通念上不適切とされる性交や性交類似行為を指し、相手が青少年である場合には、地方自治体の条例によって「淫行」として明確に禁止され、処罰の対象となるということです。
みだらな行為とわいせつ行為の違い
「みだらな行為」と似た言葉に「わいせつ行為」がありますが、両者は(1)法律上の明確な定義の有無、(2)行為の内容が主に違います。
(1)法律上の明確な定義の有無
「みだらな行為」には、法律上の明確な定義がありません。一方、「わいせつ行為」には、最高裁判所の判例により、法律上の定義が示されています。
具体的にわいせつ行為とは、「いたずらに性欲を刺激興奮させ、かつ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道徳観念に反するような行為」と解釈されています(昭和26年5月10日判決)。
(2)行為の内容
みだらな行為とわいせつ行為は、行為の内容が違います。
わいせつ行為の具体例は、以下のような行為が挙げられます。
わいせつ行為の具体例
- 身体を触る
- キスをする
- 衣服を脱がせる
- 自己の性器を触らせる
つまり、「みだらな行為」は、「わいせつな行為」よりも性的な接触度の高い行為として、社会的に認識されているといえるでしょう。
みだらな行為とわいせつ行為の違い
項目 | みだらな行為 | わいせつ行為 |
---|---|---|
法律上の定義 | なし | あり(判例で示されている) |
主な内容 | 性交、肛門性交、口腔性交、未成年者との性交・性交類似行為 | キス、身体を触る、衣服を脱がせるなどの行為 |
みだらな行為といかがわしい行為の違い
みだらな行為同様、「いかがわしい行為」には、法律上の明確な定義は存在しません。法律に基づく言葉というよりも、主観的な判断に委ねられる表現です。
いかがわしい行為は、一般的には、性的なニュアンスを含む行為を指すことが多いものの、必ずしも法的責任や処罰の対象となるとは限りません。
みだらな行為といかがわしい行為の違い
項目 | みだらな行為 | いかがわしい行為 |
---|---|---|
法律上の定義 | なし | なし |
主な内容 | 性交、肛門性交、口腔性交未成年者との性交・性交類似行為 | 性的なニュアンスを含む行為 |
処罰の対象 | 青少年保護育成条例違反 | なし |
「同意があれば問題ない」は通用しない?
性的な関係には「お互いの同意があれば問題ない」と思われがちですが、実際には同意があっても違法となるケースがあります。特に未成年者(18歳未満)との性的行為には注意が必要です。
相手が18歳未満の場合
日本では、多くの法律や各自治体の青少年保護条例により、18歳未満の者は保護の対象とされています。
そのため、相手が18歳未満の場合は、たとえ同意があっても処罰される可能性があります。
たとえば、17歳の高校生と性行為をした場合には、青少年保護育成条例違反や児童買春の罪で処罰される可能性があります。
支配的な立場にある場合
教師と生徒、上司と部下など、相手が逆らいにくい立場にある場合は、「自由な意思での同意」とみなされないことがあります。
このような関係では、たとえ本人が「同意していた」と主張しても、その同意が心理的な圧力のもとでなされたと判断されれば、性加害として処罰されることがあります。
みだらな行為で問われる罪
青少年保護育成条例違反(淫行)
18歳未満の青少年と性行為をすると、各自治体の定める青少年保護育成条例違反になる可能性が高いです。
婚姻を前提としているような真摯な交際関係にある者同士の性行為は処罰対象から省かれます。しかし、互いに行為を抱いている、交際しているというだけでは、淫行に該当するリスクがあるでしょう。
淫行の刑罰は各都道府県によって異なり、東京都の条例では「2年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科せられます。
なお、16歳未満の者と性行為を行うと、たとえ同意のうえの行為だとしても、不同意性交等罪が成立する場合もあります。
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ホテル内において、SNSで知り合った被害児童に現金数万円を支払って、被害児童と性器等を触りあったとされるケース。自宅に警察が訪問し逮捕された。児童買春・児童ポルノ禁止法違反の事案。
弁護活動の成果
検察官に意見書を提出し勾留請求を回避。早期釈放を実現した。被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。不起訴処分となった。
児童買春
18歳未満の未成年を買春すると、児童買春・児童ポルノ禁止法に違反します。児童買春の刑罰は「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」です。
買春とは性行為の対価としてお金を渡すことが典型例ですが、食事をごちそうしたり、プレゼントを渡したりした場合にも成立する可能性があります。
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ホテル内において、被害者児童と合意の上で性行為をしたとされるケース。犯行から数か月経過した後、警察に逮捕された。青少年保護育成条例違反の事案。
弁護活動の成果
裁判官に意見書を提出したところ勾留請求が却下され、早期釈放が叶った。被害者に謝罪と賠償を尽くして示談を締結し不起訴処分となった。
不同意わいせつ罪
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)は、「相手が同意できないような状況でわいせつ行為をした場合」に成立する犯罪です。たとえば、暴行や脅迫を用いて抵抗できなくしたり、上司と部下の地位を用いたりしてわいせつ行為をした場合などが挙げられます。
わいせつ行為の典型例は、身体を触る、キスをする行為です。
不同意わいせつ罪の刑罰は「6か月以上10年以下の拘禁刑」となっています。
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不同意性交等罪
不同意性交罪(旧強制性交罪)は、不同意わいせつと同様の場合に、性交等を行う犯罪です。性交等には、肛門性交や口腔性交、膣内や肛門に指などを挿入する行為が含まれます。
不同意性交等罪の刑罰は「5年以上の有期拘禁刑」です。
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みだらな行為に関するよくある質問
Q.未成年の相手から性行為を誘われた場合でも罪になりますか?
A. たとえ相手から誘われたり、相手との同意があったりしても、18歳未満の者とみだらな行為を行った場合は、青少年保護育成条例違反や児童買春などの罪に問われる可能性があります。相手の年齢が18歳未満であるかどうかが重要な判断基準となります。
近年は警察官がSNSや出会い系サイトなどを巡回する「サイバーパトロール」によって事件が露見するケースも増えてきています。
「SNSで出会った相手が未成年だったかもしれない」「性行為をした相手が幼く感じた」など、少しでもリスクを感じたら弁護士に相談することをおすすめします。
Q.みだらな行為で加害者にならないために知っておくべきことは?
知らず知らずのうちに違法行為に関わってしまうリスクを防ぐには、以下の点に注意しましょう。
- 相手の年齢を正確に確認する(「自己申告」は信用しない)
- SNSや出会い系アプリで知り合った相手との行為は特に慎重に
- 職場や学校などの関係性においては、同意があってもリスクが高いことを認識する
- 万が一トラブルになったときのため、やりとりの記録を残しておく
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