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逮捕されたら会社にバレる?解雇される?弁護士が教える対応法

逮捕と解雇の関係

逮捕されてしまった場合に、まず心配となるのは、会社にバレてしまうのではないか、会社にバレてしまったら解雇されてしまうのではないか、という方は多いかと思われます。刑事事件で逮捕されてしまった場合には、必ず解雇されるというわけではありませんが、解雇される可能性はもちろん存在します。

そこで、どのような場合に逮捕がバレてしまうのか、バレてしまったとしてどのような場合に解雇されてしまう可能性があるのか、そして、そのような解雇を避けるためにはどうすればいいのか。以下、弁護士がそのすべてについてお答えいたします。

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目次

逮捕されたことが会社にバレたら解雇される?

解雇は労働者の生活の基盤を失わせる行為ですから、法で厳しく制限されており、特に「懲戒解雇」についてはよほどのことがない限り認められることはありません。

それは労働者が刑事事件を起こした場合でも同様です。必ず解雇されるとは限りませんので、以下の3つのポイントについて押さえておきましょう。

逮捕と解雇のポイント

  • 最終的な刑事処分が決まっていないのに、逮捕されただけですぐに解雇をされたら不当解雇の可能性がある
  • たとえ有罪判決を受けても、会社に影響がない私生活上の行為であれば解雇されるとは限らない
  • 逮捕後に勾留されてしまうと、長期の無断欠勤で解雇になるリスクが高まる

解雇の規制|従業員が逮捕されたら会社は懲戒解雇できる?

解雇は客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性がなければできません(労働契約法16条)。懲戒解雇についてはさらに厳しく、以下のような規定があります。

労働契約法15条(懲戒)

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

使用者が労働者を懲戒することができる場合」とは、就業規則等に具体的な懲戒規定があることを指します。規定がなければ懲戒解雇はできませんが、「会社の規定がある=解雇ができる」ではないので注意してください。

逮捕されたことでの解雇が「客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当である」かどうかは、事件の性質、態様、結果、情状などから総合的に判断されることになります。行為に対して解雇が不当に重い処分であれば認められません。

逮捕されただけですぐに解雇をされたら不当解雇?

逮捕が発覚した後の会社の対応は様々です。逮捕されたことで懲戒解雇を検討する場合、刑事処分が決定するまで処分を保留にする場合、刑事処分がなされてもそのまま雇い続けて協力してくれる場合と、様々な場合があります。

しかし、 逮捕されたことだけを理由として解雇された場合には、不当解雇として争える可能性があります。

逮捕された段階では推定無罪の状態にあり、実際に犯罪行為をしたかどうかは明らかになっていません。冤罪や不起訴もありえます。そのため、会社の規約上、犯罪行為が懲戒事由とされていることはよくありますが、本人の認否や最終的な刑事処分の内容を踏まえてから判断をするという場合が通常でしょう。

たとえ逮捕をされたとしても起訴されて有罪とならない限りは解雇とならないことは多いです。

私生活上の犯罪行為であれば逮捕され有罪となっても解雇されるとは限らない

会社に関連する犯罪私生活上の犯罪
具体例横領、背任など痴漢、事故など
会社の処分解雇されやすい解雇されにくい

業務上の地位を利用した横領や背任などの犯罪は、会社に対する深刻な背信行為のため、金額に関わらず懲戒解雇になる可能性が高いです。また、職場内での窃盗や盗撮、暴行などの犯罪行為も直接会社の秩序を乱す行為ですので解雇が認められる可能性は高いでしょう。

一方で、犯罪行為が職場以外の私生活の範囲での行為である場合は、直ちに解雇が認められるとは限りません。

私生活上の犯罪で解雇が認められやすいのは、企業秩序に直接関連する犯罪、または会社の名誉や信頼を著しく失わせる犯罪です。犯罪行為の重大性、会社への影響、従業員の職務・地位などの事情を考慮して懲戒解雇の有効性が判断されることとなります。

たとえば、製品やサービスのイメージダウンになる犯罪は懲戒解雇となり得ます。プライベートで酒酔い運転で逮捕されたような場合であっても、 バスの運転を業務とする者であれば懲戒解雇が有効となる可能性は高いでしょう。

逮捕時に報道があったか、報道があったとして実名か、職業も報じられたか、実際に会社業務への支障が生じたか、という点もポイントです。

また、業務には関係ないとしても、殺人、強盗、強姦などの重大な犯罪行為は、それだけで会社の名誉を著しく害する犯罪行為といえ、懲戒解雇が認められるといえます。

私生活上の犯罪行為と解雇の裁判例

裁判例地位私生活上の犯罪懲戒解雇
最判S45.7.28工員住居侵入・2500円の罰金刑無効
東京地判H19.8.27セールスドライバー酒気帯び運転で検挙有効
福岡高判H18.11.9中学教員2回の酒気帯び運転無効
高松高判H23.5.10現業公務員酒酔い運転・物損事故有効
東京高判H15.12.11電鉄社員痴漢・執行猶予判決(同種前科有)有効
東京地決H26.8.12駅係員電車内での痴漢・罰金刑無効(諭旨解雇)

上記のうち東京地決H26.8.12(東京メトロ事件)では、駅係員による電車内での痴漢行為を理由とする諭旨解雇が無効と判断されています。その理由としては、①痴漢の中では悪質性の低い行為だったこと、②マスコミ報道や、社外から会社への苦情もなく、企業秩序に対して与えた具体的な悪影響が大きくなかったこと、が挙げられています。

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長期の無断欠勤で解雇|逮捕されたら何日拘束される?

逮捕されてしまった場合、すぐに釈放されることもありますが2~3日の欠勤は覚悟しなければなりません。逮捕後は72時間以内に勾留請求されるかどうかが決まります。この間は外部と連絡できず面会も弁護士しかできません。勾留を回避できれば2~3日で釈放されそれ以上拘束はされません。

勾留をされると身柄拘束が継続します。勾留期間は原則10日間で延長されると最大20日間です。勾留中は一般の人の面会もできるようになります。

1~2日程度の無断欠勤で解雇が認められるようなことはありませんが、逮捕・勾留によって最大23日も無断欠勤が続いてしまえばそれだけで解雇されてしまうリスクがあります

無断欠勤を避けるためには弁護士や家族を通じて会社への連絡などを頼む必要があります。 とはいえ、長期の欠勤は説明も難しくなりますので、解雇を避けるためには勾留されないことが極めて重要です。

逮捕の流れ

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解雇を回避するには会社に知られないことがベスト

もし、解雇に納得がいかない場合には、労働問題を扱っている弁護士などに相談をすることをおすすめします。

もっとも、逮捕されたことや犯罪行為をしたことで必ずしも解雇が有効となるわけではないとはいえ、事実上解雇されてしまえば勤務の継続は困難です。解雇紛争は、雇用側に働かせるつもりがない以上、復職で決着するケースはさほど多くなく大半は金銭解決になります。

不当解雇として争うにしても、労力やコストもかかってしまいますし、明確に不当解雇と言いにくいケースも多く、相談をしても積極的に取り扱ってもらえないことも考えられます。

そのため、解雇されることなくこれまで通りの生活を続けるためには、会社にバレることなく穏便に刑事事件を解決することがベストになります。そのためには、弁護士へできるだけ早い段階で相談することと、逮捕された場合には早期釈放を実現することが極めて重要です

逮捕されたら会社にバレる?刑事事件が発覚する理由

逮捕されたら会社に連絡はいく?

逮捕されたとしても、会社が事件に関係なければ基本的に連絡がいくことはありません

ただし、本人が希望した場合や、会社に関する犯罪の場合、逮捕後釈放の際に本人が家族への連絡を拒んだ場合には、捜査の関係や身元引受人の関係で警察から会社に連絡することがあります。

逮捕されたことが会社にバレるのはどんな場合?

逮捕が会社にバレるケース

  • 無断欠勤が長引いている
  • 実名報道されてしまった
  • 会社に関係する事件で、警察から連絡が入った

逮捕されたことが会社にバレるのは、無断欠勤をした場合や報道がされた場合、会社に関する事件で警察から連絡を受ける場合などが考えられます。そのため、逮捕されたことが会社にバレないようにするためには、会社を無断欠勤しないよう家族に伝えてもらったり報道を避けるための活動をしたりする必要があります。

特に多いのが無断欠勤をした場合です。無断欠勤をした場合、会社は家族に問い合わせをしたり、直接同僚が自宅まで様子を見に行ったりすることがあります。そこで家族や大家さんが逮捕されたことをそのまま伝えてしまうパターンや、逮捕されたことを誰も知らないために捜索願を出すなど警察に問い合わせた場合に発覚するパターンなどがあります。

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被害届を出されたら会社にバレる?

被害届が出されても、会社が事件に関係なければ基本的に警察から会社に連絡が行くことはありません

被害届が受理されれば捜査が始まり、警察から呼び出しを受ける可能性があります。警察の事情聴取で勤務先を答えても問題ありません。むしろ、定職についているといった身元情報をしっかりと答えることは逮捕のリスクを下げることにつながります。警察から呼び出しを受けた場合の対応法については『警察からの呼び出し!取り調べの流れや逮捕の可能性、対応方法』の記事をご覧ください。

事件によっては、被害届の提出のほか、被害者みずから勤務先への連絡をちらつかせてくることもあります。多いケースとしては風俗での盗撮や本番行為でのトラブルです。

もし、被害届が出された・出されそうという状況であれば、すぐに弁護士に依頼し早期に示談をまとめることで刑事事件化前に解決できればベストでしょう。合意内容に今回の事件に関して口外しないこと(秘密保持条項)を盛り込むことで、勤務先へ連絡をされる不安はなくなります。

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在宅事件・在宅起訴になったら会社にバレる?

犯罪行為が刑事事件化したとしても、罪証隠滅や逃亡のおそれがなければ、逮捕・勾留はされずに在宅事件となります。在宅事件では、日常生活を続けながら手続きが進みますので、自ら申告しない限り会社にバレずに勤務を続けることができます。最終的に起訴され有罪になって刑罰を受けたとしても特に会社に連絡が行くことはありません。

ただし、捜査機関の呼び出しには応じる必要があります。日程の配慮を求めるくらいは構いませんが、基本的には平日であっても応じる必要がありむやみに拒否すれば逮捕・勾留に切り替わる可能性があります。そのため、会社への説明の仕方や有休の使い方などは考えておくべきでしょう。

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起訴されて裁判になったら会社にバレる?

起訴されて裁判になった場合に、会社に裁判の情報が通知されるような制度はありません。

※なお、犯罪の被害であれば起訴・不起訴の結果、裁判期日、裁判の結果などを通知してもらうことができます。

しかし、裁判になれば結局バレてしまうんじゃないかと不安になる方もいるでしょう。

通常の起訴をされると、誰でも自由に傍聴できる公開の裁判が開かれます。傍聴をする人は、その日どのような裁判が開かれているのかを、裁判所に備え付けられている予定表(開廷表)で確認してどの裁判を見るかを決めることになります。たまたま会社の人が傍聴に来ていて、たまたま自分の裁判を見つけてしまうということがない限り、公開裁判が開かれることで会社にバレるリスクはないといえるでしょう。

刑事事件の裁判記録については、検察庁に申請をして許可が出れば閲覧に行くことが可能です(刑事訴訟法53条)。しかし、実務上事件関係者以外に閲覧許可が出されるケースはあまりありません。なお、裁判にならず不起訴になった場合の記録については原則非公開です。

そのため、起訴されて裁判になったとしても、罰金刑や執行猶予付き判決などで刑務所に収監されることがなければ、周囲に知られることなく日常生活に戻ることができます。

前科がついたら会社にバレる? 略式起訴で罰金刑、執行猶予

前科とは刑事裁判で有罪判決を受けたことをいいます。前科は略式起訴で罰金刑となった場合や執行猶予付き判決になった場合もつきます。

もっとも、裁判で有罪になっても会社に連絡をされることはありませんし、会社が前科を調べる方法もありません

前科情報は検察庁内のデータベースと市区町村の犯罪人名簿に記録されます。検察庁内の記録は刑事事件の参考情報として、犯罪人名簿は国家資格の制限などの調査に利用されます。一般人が見る方法はありません。

なお、前科がつくと一部の国家資格は制限されることがあるため、間接的に発覚するケースは考えられます。たとえば、医師の場合「罰金以上の刑罰」に処せられると資格が制限され一定期間の医業の停止や免許の取消しになる可能性があります。そうすると、医師資格に基づいて行っていた仕事は継続できなくなるため、結果的に職場にバレてしまうということがありえます。

逮捕歴や前科は履歴書に書かなければいけない?

逮捕されたことを履歴書に書く必要はありません。賞罰欄への記載も不要です。万が一聞かれたとしても、答えなくて一切問題はありません。

一方、前科については賞罰欄のある履歴書には書く必要があります。偽った場合、経歴詐称に該当し判明すれば解雇事由になります。もっとも、近年は賞罰欄のない履歴書が増えてきていますので、指定の履歴書に賞罰欄がない限りは問題ないでしょう。

逮捕されたら会社に正直に言うべき?

逮捕されたことを会社に正直に報告する必要はありません。逮捕されたとしても、勾留がなされなければ2~3日で釈放され、通常通り仕事に復帰し気づかれない可能性があります。そのため、解雇されるリスクを負ってまで逮捕されたことを伝える必要はないでしょう。

もちろん、逮捕により無断欠勤となればバレてしまうリスクがあります。そのため、家族などに体調不良等の欠勤連絡を入れてもらうと良いでしょう。逮捕直後は弁護士面会を通じてそういった伝言をすることができます。

ただし、勾留をされ最大23日間の身体拘束ともなれば、本当の事情をお伝えしなければ現実的に説明がつかなくなることも多いです。

逮捕で解雇されないためのポイント

逮捕されたら・逮捕が不安ならまず弁護士に相談をする

逮捕されてしまった場合や逮捕される不安があるという場合、まず弁護士に相談をしましょう。弁護士は逮捕された場合の解雇のリスクを想定した上で、解雇を防ぐための助言を行うことができます。

逮捕されてしまったという場合には、まず弁護士が本人のもとに接見に向かって必要事項を聴取した上で、今後の解雇の可能性を伝え、できるだけ解雇を避けるための活動を行います。逮捕が不安な場合には、弁護士は逮捕されないようにする方策や逮捕されてしまった場合に解雇を避けるための準備を行います。

弁護士の種類や、弁護士の呼び方について詳しく知りたい方は『逮捕されたらどんな弁護士を呼ぶべき?弁護士費用と連絡方法』をご覧ください。

解雇されない方法①逮捕を回避する

そもそもの逮捕を回避することで、事件を会社に知られず解雇をされないようにすることができます。たとえば、刑事事件が発生したとしても示談をして警察に被害が届けられないようにしたり、自ら警察に出頭し逮捕の必要性がないことを示したりすることで逮捕を回避し解雇されない可能性を高めることができます。

刑事事件が発生し被害届が出されれば、突然逮捕される可能性もあります。そのため、弁護士を通して被害者と示談をして被害届を出さない又は取り下げてもらう方法や自ら出頭し逃亡のおそれ等がないことを示す方法を取ることによって逮捕を回避し、解雇されないようにする方法があります。

解雇されない方法②逮捕後の勾留を回避する

逮捕されてしまった場合、長期間の勾留を回避することが解雇されないためには最も重要と言っても過言ではありません。逮捕期間は長くても2~3日のため、勾留されずに釈放されれば会社に気づかれない可能性がありますが、勾留されれば起訴されるまでに最大23日間拘束されることになるため、会社に気づかれないようにするのは困難です。

勾留を回避するために、弁護士は勾留の必要性がないことを検察官や裁判官に主張することとなります。勾留が決まった後であったとしても、勾留から早期釈放されるための活動を行います。また、逮捕中に会社に逮捕の事実が知られないよう、家族から会社へ伝える休暇理由の調整や報道されないような働きかけを行います。

実際に、弁護活動を尽くした結果、早期釈放を実現し会社に知られずに勤務が継続できたというケースは数多くあります

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解雇されない方法③不起訴になり前科を回避する

会社は事件の存在を知ったとしても、刑事処分の内容を踏まえてから処分を決めることが多く、 不起訴になり前科が付かなければ解雇されないことが多いです。

弁護士は必要に応じて、検察官から不起訴処分告知書を取得して、それを会社に提出し説明することで解雇をしないという判断がされるように会社に働きかけます。

会社は、社員が会社の信用を落とすことをしたか、会社内秩序を乱したといえるかといった観点で解雇の合理的な理由があるかを判断します。不起訴になったとすれば、そもそも犯罪事実が証明できないか、裁判で刑罰を科す必要まではないと検察官に判断されたということですので、解雇の必要や合理的理由はないと会社が判断する可能性があるということです。

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解雇されない方法④示談をし早期解決を目指す

示談をして早期解決を目指すことにより、解雇されないようにする方法もあります。示談がされれば被害者と当事者間の解決がされたということで、被害届提出前であればそもそも逮捕もされず、捜査後には身体拘束からの解放や不起訴処分など軽い処分が行われ、早期に解雇のリスクを下げることができます。

被害届提出前に被害者との示談がされれば、早期に逮捕による解雇リスクがなくなります。また、捜査開始後でも、被害者との関係が清算されている場合にまで身体拘束や重い処罰の必要はないとして釈放や不起訴等軽い処分がなされる可能性があります。そのため、示談による早期解決により解雇されないこととになります。

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解雇されない方法⑤略式起訴・執行猶予で実刑を回避する

起訴されるとしても、罰金刑を前提とする略式起訴や執行猶予処分を受けて実刑を回避することによって、解雇されないようにする方法もあります。実刑になるとその罪の重さや事実上勤務が難しいことから解雇される可能性が極めて高くなります。そのため、解雇されないために実刑を避けることが必要です。

実刑は一番重い刑罰であり、そのまま刑務所に行くことになるため、事実上会社に行くことができなくなり、会社としても解雇せざるを得ない状況となります。解雇されないためには、罰金刑や執行猶予付きの判決という、より軽い処分を得るために示談などの活動を行っていきます。

横領・背任は必ず解雇・告訴されるのか

横領・背任は懲戒解雇・刑事告訴がありうる

業務上の横領や背任によって会社に直接的な損害を加えた場合、重大な背信行為であるとして懲戒解雇を宣告されることがあります。また、会社から刑事告訴をされた際は、その後起訴されて有罪判決が出れば前科がつくことになります。

横領・背任行為を理由とする懲戒解雇は金額に関わらず有効な解雇と認められる可能性が高いです。もっとも、どんなケースであっても絶対に認められるというわけではありませんし、対応によっては懲戒解雇が撤回される可能性もあります。

刑事告訴を検討されている・既に刑事告訴された場合でも、全額返金するなどして損害を賠償すれば告訴されずに済んだり告訴を取り消されることが多く、仮に告訴が取り消されなかったとしても、損害を賠償しているのであれば会社側の被害回復がなされているとして不起訴処分になる可能性が高まります。

横領・背任の刑罰の違い

横領背任
刑罰10年以下の懲役5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
解雇可能性大可能性大

※ 特別背任罪の刑罰は「10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金」

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横領と背任の違い|業務上横領とは

業務上横領罪と背任罪はどちらも会社に損害を与える行為ですが、構成要件や刑罰の重さに違いがあります。
それぞれの違いを解説していきます。

業務上横領罪は刑法253条で規定されていて、「業務上自己の占有する他人の物」を横領したときに成立する犯罪です。たとえば、経理を任されている経理担当者が会社の口座から自分の口座へお金を移し、そのまま自分のものにした場合は横領罪に抵触します。

業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。

刑法253条

横領と背任の違い|背任とは

背任罪は刑法247条に規定されていて、構成要件は以下の4つです。
①「他人のために事務を処理する者」が、②「自分・第三者の利益を図る図利目的」または「本人に損害を加える加害目的」を持った上で、③「任務に背く行為」をして、④「財産上の損害」を加えた場合に成立する犯罪です。
④「財産上の損害」には実際の損害額だけではなく、将来的に得られたであろう利益を得ることができなくなった場合も含まれます。

たとえば、ほぼ確実に回収できないことが事前にわかっているのに貸付を行ったり、会社に損害を与えるために意図的に仕事をしなかったという場合は背任となりえます。
ただ、仕事でミスをしてしまって会社に損害を与えたとしても、過失による損害なら図利目的または加害目的は備わっていないため背任には当たりません。

他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

刑法247条

加えて、会社の役員等が背任行為を行った場合は会社法960条で規定されている「特別背任罪」が適用されます。その場合、通常の背任罪よりも重い「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金、又はこれらの併科」という刑に処されます。

次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

会社法960条

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了