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公務員の盗撮で懲戒免職を回避する方法|示談の依頼は弁護士へ

公務員が盗撮した

2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。

公務員が盗撮事件を起こした場合、最も不安な点は懲戒免職されるかどうかではないでしょうか。

公務員は高い公益性が求められる職業であるため、懲戒処分の内容は厳しくなると予想されます。もっとも、適切な対応をとれば懲戒免職を回避できる可能性は高いです。

この記事では、懲戒免職を回避するための方法、とりわけ示談について詳しく解説します。

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公務員は盗撮で懲戒免職される?

公務員と会社員の懲戒処分の違い

会社員が盗撮した場合

会社員が盗撮した場合、懲戒解雇されるかどうかは就業規則で決まります。

就業規則の中に、懲戒事由として犯罪行為をした場合が規定されていれば、盗撮により懲戒解雇される可能性があります。懲戒解雇が有効とされるには、懲戒処分が社会通念上相当であることも必要です。

例えば、会社内のトイレに小型カメラを仕掛けて盗撮した場合、企業秩序を乱す程度が著しいといえます。この場合、懲戒解雇を選択する相当性があると判断されやすいでしょう。

一方、会社員が私生活上で盗撮した場合、企業秩序をただちに害するとはいえません。したがって、私生活上の盗撮行為を理由に会社員が懲戒解雇される可能性は低いでしょう。

公務員が盗撮した場合

公務員は、憲法に「全体の奉仕者」と規定されており高い公益性が求められます。したがって、公務員が盗撮した場合、会社員よりも懲戒免職されるおそれは高いです。

公務員の場合、業務中の盗撮だけでなく、私生活上の盗撮でも悪質であれば懲戒免職の可能性があります。

盗撮で国家公務員が懲戒免職される基準は?

国家公務員が盗撮した場合、国家公務員法82条1項1号、3号を根拠に懲戒処分になる可能性があります。

具体的な懲戒処分の内容は、人事院が作成する「懲戒処分の指針について」という基準に従って決定されます。

この指針によると、懲戒処分は以下の事情を総合考慮して判断されます。

懲戒処分を決定する際の考慮事情

①非違行為の動機、態様及び結果の内容

②故意・過失の程度

③職員の職責内容、その職責と非違行為との関係

④他の職員及び社会に与える影響

⑤過去の非違行為の有無

※この他に、適宜、日頃の勤務態度や非違行為後の対応等も含め総合的に判断するとされています。

同指針の標準例において、盗撮行為をした職員は、停職又は減給とすると規定されています。なお、痴漢行為をした職員も基本的に停職又は減給されます。

2021年には国会議事堂内の女性用トイレで盗撮事件が起きてニュースになりました。この事件を起こした経産省職員には停職9カ月の懲戒処分が下されました。

もっとも、必ずしも停職や減給にとどまるとは限りません。以下の事情があると、より重い懲戒免職となる可能性があります。

懲戒処分を重くする事情

①動機・態様が極めて悪質、結果が極めて重大

②職員が管理・監督の地位にあるなどその職責が特に高い

③公務内外への影響が特に大きい

④過去に類似の非違行為を理由とする懲戒処分歴がある

⑤処分対象となる複数の非違行為を行っている

参考条文

国家公務員法82条(懲戒の場合)

第八十二条 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。
一 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第五条第三項の規定に基づく訓令及び同条第四項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

盗撮で地方公務員が懲戒免職になる基準は?

地方公務員が盗撮した場合、地方公務員法29条1項1号、3号を根拠に懲戒処分になる可能性があります。

具体的な懲戒処分の内容は、条例や地方公共団体が定める懲戒処分の指針に基づいて決定されます。

例えば、東京都は教職員の懲戒処分について「教職員の主な非行に対する標準的な処分量定」という基準を設けています。

この基準でも、国家公務員の場合と同様、非違行為の態様や職員の職責、日常の勤務態度、非違行為後の対応等を総合考慮して判断するとされています。

この基準の標準例において、盗撮行為をした職員は免職すると規定されています。なお、痴漢行為をした職員も基本的に免職されます。

過去には、駅構外のエスカレーターにおいて、動画撮影状態にしたスマートフォンを女性のスカートの中に差し向け、動画撮影した教職員が懲戒免職とされた事例があります。

参考条文

地方公務員法29条(懲戒)

第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

公務員が盗撮で有罪になると懲戒免職される?

公務員が盗撮行為等を理由に禁錮以上の刑に処せられると、当然に失職します(国家公務員法38条1号・76条、地方公務員法16条1号・28条4項)。罰金刑は「禁錮以上の刑」に含まれません。

盗撮に対しては原則、撮影罪が適用されます。撮影罪の法定刑は「3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金」です。

拘禁刑」は2025年に導入予定の新たな刑罰です。
刑法改正までは、条文中の「拘禁刑」は「懲役」とみなされます。

懲役刑になれば「禁錮以上の刑」に該当するため、当然に失職します。一方、罰金刑になれば失職しません。

ただし、罰金刑も前科に変わりありません。前科がつけば懲戒処分は重くなる可能性があります。再就職する際、履歴書に賞罰欄があれば前科を申告する義務があるので再就職しづらくなる問題が生じます。

盗撮をした場合の不利益を最小限にとどめるには「前科の回避=不起訴処分の獲得」が重要です。不起訴処分になれば懲戒免職になる可能性が低下するからです。再就職する場合、不起訴処分の事実は申告義務がないというメリットもあります。

次の項では、不起訴処分の獲得方法を詳しく解説します。

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公務員が盗撮した場合、懲戒免職を回避するには不起訴処分の獲得が重要です。実務上、盗撮事件は、常習性や同種前科がない限り、示談成立によって不起訴処分となる可能性が高いです。

したがって、懲戒免職回避のためには、刑事事件の経験豊富な弁護士に早期に示談交渉を依頼する必要があります。

示談成立には次の4つのメリットがあります。それぞれ懲戒免職のリスクを下げる効果が期待できます。

示談のメリット①盗撮での逮捕回避の可能性が上がる

懲戒免職を回避するため最も効果的なのが逮捕の回避です。盗撮の容疑で逮捕されると報道をきっかけに職場に知られてしまうおそれがあります。公務員の場合、逮捕による実名報道のリスクが高いので職場へ発覚するおそれも会社員より高いといえます。

弁護士を通じ、誠実に謝罪をした上で交渉すれば、示談成立によって逮捕を回避できる可能性が高まります。

すでに被害届が提出されているケースでは、被害届を取り下げてもらうよう尽力します。示談成立と被害届の取り下げによって、逮捕回避の可能性はさらに高まります。

【コラム】逮捕回避のために自首も重要?

自首を検討するのも逮捕を回避する一つの方法です。

盗撮直後に逃走して現行犯逮捕されなければ逮捕されないと考えている方がいるかもしれませんが、それは間違いです。たしかに、盗撮は犯人を特定しづらい面はあります。しかし、だからといって逃走後に後日逮捕される可能性はゼロではないのです。

自首でお悩みの公務員の方は、ぜひ弁護士にご相談ください。

弁護士は警察署まで同行した上で、警察に対し、ご依頼者様が逃亡するおそれがないことや示談を進める意向であること等を説明します。

こうした弁護活動により逮捕のリスクは下がります。ご依頼者様を精神的にもしっかりサポートします。

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示談のメリット②盗撮での実名報道のリスクが下がる

公務員が盗撮した場合、実名報道されるリスクが高いです。特に被疑者が国家公務員の場合、逮捕された時点で実名報道されるケースもあります。

実名報道されると懲戒処分が重くなる可能性があります。職場に居づらくなって退職を余儀なくされる可能性も考えられます。

実名報道のリスクを下げるためにも、示談成立が非常に重要な意味をもちます。

盗撮のような性犯罪は、被害者の処分感情が刑事処分を決定する際に重視されます。そのため、示談が成立すれば、逮捕や実名報道を回避できる可能性は高まるのです。被害者の許し(宥恕)を得た示談であれば、より一層有利に考慮されます。

示談のメリット③盗撮での早期釈放の可能性が上がる

盗撮の疑いで逮捕・勾留されると、起訴・不起訴が決まるまで最長23日間拘束されるおそれがあります。拘束期間が長引けば、その分職場に盗撮行為が発覚するリスクが高まります。懲戒免職のリスクも高まる可能性があります。

弁護士に依頼すれば、示談成立によって早期釈放の可能性が高まります。

弁護士は、示談成立によって証拠隠滅のおそれがなくなったことを検察官や裁判官に主張します。家族の身元引受書も提出します。

早期釈放によって、もとの生活に戻ることができ懲戒免職のリスクも下がります。

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示談のメリット④盗撮で不起訴処分の可能性が上がる

繰り返しになりますが、実務では盗撮事件は示談成立により不起訴となる可能性が高いです。

不起訴処分となれば、公務員の立場を維持できる可能性が高いです。懲戒処分自体は避けられない可能性が高いですが、処分内容は軽減されるでしょう。

双方が納得する形で示談を締結するためには、事案に即した工夫をする必要があります。

例えば、通勤途中での盗撮なら、ご依頼者様の通勤経路を変更する条項を盛り込む方法が考えられます。再犯防止の具体策を盛り込むことで、被害者から許し(宥恕)を得られる可能性は高まるでしょう。宥恕付き示談は不起訴処分の可能性を高める効果が期待できます。

一口に「示談」と言っても、依頼する弁護士により進め方は様々です。「懲戒免職は回避したい」「懲戒処分をできるだけ軽くしたい」とご希望の方は、ぜひ刑事事件の実績豊富な弁護士にご相談ください。

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