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痴漢で捕まったらどうなる?|その後の流れと刑罰の重さ

痴漢で逮捕された場合、行為の態様によって成立する犯罪が条例違反か強制わいせつ罪か決まります。また、それにより科される刑罰も大きく変わります。

痴漢で捕まったらその後の流れはどうなるのか、どのタイミングで釈放されるのかといった刑事手続き、不起訴処分になる可能性や、有罪になった場合の刑罰の重さなどの量刑の目安、痴漢事件における示談交渉の重要性や弁護士を依頼すべき理由、痴漢冤罪に巻き込まれた場合の対処方法などについてご説明します。

痴漢で捕まったらどうなる?|逮捕後の手続きの流れ

①痴漢による逮捕・勾留

痴漢による逮捕は、現行犯逮捕と後日逮捕の2つがあります。現行犯逮捕では、被害者や目撃者に捕まり駅員室等に連行され、警察を呼ばれて最寄りの警察署に連行されます。通常逮捕では、被害届等から捜査が進み、防犯カメラ画像等から犯人が特定されると、裁判官が発付する令状に基づいて逮捕されます。

逮捕されると警察の留置場に入れられ取調べを受けます。逮捕から48時間以内に警察から検察官に事件が送られ(送検)、検察官が24時間以内に勾留すべきか決めます。勾留すべきと考えると裁判官に勾留請求し、裁判官も認めると10日間の勾留が決定し、更に最大10日間延長されることがあります。

痴漢で逮捕後の早期釈放に弁護士が必要な理由を詳しく知りたい方は「痴漢の解決事例を弁護士が解説|釈放・不起訴で前科を回避!」をご覧ください。

②痴漢行為の起訴・不起訴の決定

起訴とは事件を刑事裁判にかけること、不起訴とは裁判せずに事件を終えることをいいます。起訴するかどうか決める権利は、検察官だけが持っています。検察官は、勾留期間が満了するまでに、今回の事件を起訴するか不起訴にするかを決定します。不起訴になれば釈放され、前科もつきません。

日本では、起訴後の有罪率は99.9%に上ります。そのため、痴漢事件で前科がつくことを回避するには不起訴処分の獲得を目指すことが重要です。不起訴を獲得するには、検察官が判断するまでに、痴漢の被害者と示談をして事件を許してもらい、その結果を検察官に伝えることが大きな意味を持ちます。

③起訴の場合|痴漢行為に刑事処分が下される

起訴には、略式起訴と通常の起訴の2種類があります。痴漢事件の場合、服の上から触ったような条例違反の痴漢の場合は略式起訴される場合があります。略式起訴は、公判を開かず罰金刑で終了する手続きのことです。罰金を払えば釈放される反面、言い分を主張できないので、本人の同意が必要です。

一方、下着の中に手を入れて直接触ったような強制わいせつに当たる痴漢の場合は、そもそも罰金刑がなく、懲役刑しかありません(刑法176条)。そのため、必ず通常の起訴がされ、正式裁判が開かれます。この場合、執行猶予付きの判決か、刑務所に入る懲役の実刑が下されることになります。

痴漢で捕まっても帰宅できたら事件終了?

痴漢で捕まっても、初犯で犯行態様が悪質でなく、身元が確かな場合は当日中に釈放されることがあります。帰宅できたら事件終了と安心する人がいますが、それは間違いです。また、ちょっと触っただけなので微罪処分で事件終了と考える人もいますが、痴漢事件で微罪処分になるケースはほぼありません。

痴漢で釈放されても、事件の捜査は続いています。これを在宅事件といいます。在宅事件では、証拠が警察から検察官に引き継がれます(書類送検)。検察官はこれをもとに起訴か不起訴かを決めますが、帰宅できて安心していると、ある日検察庁に呼び出されて起訴が告げられるケースも少なくありません。

痴漢で捕まった被疑者が釈放されるタイミングはいつ?

痴漢で捕まった被疑者が釈放される最初のタイミングは、警察が犯罪の容疑なしと判断したか、逮捕の必要性なしと判断した場合です。身元が明らかで事実を認めている場合は後者の理由で釈放されることも最近は増えています。しかし、捜査は続いているので、釈放されたらすぐに弁護士に相談してください。

次に釈放されるタイミングは、逮捕されても検察官が勾留請求せず釈放される場合です。警察は、逮捕後48時間以内に事件を検察庁に送り、事件を受けた検察官は被疑者を取調べて、24時間以内に勾留請求するかを判断します。検察官が裁判官に勾留請求をしない場合は、最長72時間で釈放されます。

痴漢で捕まることのリスクとは?

痴漢で逮捕されたことで会社を解雇される恐れがある

痴漢で逮捕されると、会社を解雇されるリスクがあります。具体的には、会社の就業規則に、逮捕されたことが解雇事由として規定されている場合です。就業規則で「有罪判決を受けた場合」が解雇事由とされている場合は、痴漢で逮捕されてもすぐに解雇されるとは限りません。

ただし、過失による交通事故等と異なり、痴漢は故意犯の性犯罪であることから、懲戒解雇になりうる「会社の名誉を著しく害する重大な犯罪行為」と判断されることもあります。また、逮捕後10日間勾留されると、仕事への影響が避けられないことから、解雇や自主退職を促される場合も少なくありません。

痴漢による前科・前歴がつく可能性がある

前科とは有罪判決を受けた事実をいい、前歴とは警察等の捜査機関に被疑者として捜査対象となった事実をいいます。前歴は逮捕されればつくため、気にする必要はなく、社会生活への影響はありません。しかし前科がつくと、国家資格の欠格事由になる場合や、仕事の就業の制限を受ける場合があります。

痴漢すると前科がつく場合があります。具体的には、罰金になった場合、執行猶予付き判決を受けた場合、懲役刑の実刑判決を受けた場合です。公判が開かれない略式罰金では、前科がつかないと思っている人がいますが間違いです。痴漢で前科を防ぐには、示談等によって不起訴にしてもらうことが重要です。

実名報道で社会復帰が難しくなる恐れがある

痴漢すると、実名報道されることがあります。明確な決まりはありませんが、公務員、教員、医師や弁護士などの資格者、有名企業に勤める会社員の場合が多いようです。実名報道されると、昨今はネットで情報が拡散されやすいこともあり、刑事事件の結果に関わらず社会復帰が難しくなる恐れがあります。

実名報道を防ぐには、弁護士を通じて早いタイミングで警察に依頼することで、加害者の職業や犯行態様から社会的影響がさほど大きくない場合は、記者クラブなど報道機関への情報提供を考慮してもらえるる可能性があります。100%確実ではありませんが、依頼してみて損はありません。

痴漢で民事事件でも起訴される可能性がある

痴漢事件を起こすと、刑事事件とは別に被害者から民事事件で起訴され、損害賠償を請求される可能性があります。刑事事件は、加害者と国の関係で、国が犯罪について処罰を求め裁判で刑罰が決められるもので、痴漢で被害者に負わせた精神的苦痛という民事上の損害を賠償するものではないからです。

痴漢して被害者に精神的苦痛を負わせた以上、損害賠償の責は免れません。しかし、刑事事件の示談の中で損害賠償の問題を解決することで、民事事件で起訴されることを防ぐことができます。示談で盛り込むべき内容や文言はケースによって異なるので、まずは弁護士にご相談ください。

痴漢で捕まったらまずどうすればいい?

痴漢で捕まったらまず弁護士を呼ぶべき

痴漢で捕まったら、できるだけ早く弁護士を呼ぶべきです。当日中に釈放された場合は、1日も早く法律相談に行くなどして弁護士に相談しましょう。また逮捕された場合は、警察署に弁護士に来てもらう初回接見制度を利用して、少しでも早く弁護士から取調べのアドバイスを受けることが重要です。

痴漢に強い弁護士の選び方や、痴漢に強い弁護士を頼まないとどのようなリスクがあるのかをより具体的に知りたい方は「痴漢に強い弁護士の選び方|痴漢で逮捕されたときの流れ」をご覧ください。

痴漢事件では、弁護士を呼ぶタイミングが早ければ早いほど、弁護士が対応できる選択肢が広がります。早期釈放を目指す、被害者と示談をしてもらう、会社対応を依頼する、実名報道を防ぐ、不起訴を獲得して前科を防ぐなど取るべき対応は数多くあります。痴漢で捕まったらすぐに弁護士を呼んでください。

痴漢被疑者に接見し、逮捕・勾留の長期化を防ぐ

痴漢で逮捕されたら、弁護士を警察署に派遣する初回接見制度を利用して、できるだけ早く取調べのアドバイスを受けるようにしてください。黙秘権の適切な使い方や、不合理な供述調書には署名押印しないことなどを事前に聞いておくことで、今後の捜査や結果に繋がる正しい対応をとることができます。

また、接見で弁護士が被疑者本人と話をすることで、逮捕されても勾留を防ぎ早期釈放に繋がる可能性があります。本人から依頼を受けてすぐに示談交渉を開始したり、被疑者と家族のパイプ役になって監督体制を整えることで、検察官や裁判官に勾留の必要性がないことを理解してもらいやすくなるからです。

弁護士に依頼して痴漢被害者との示談・不起訴処分を目指すべき

痴漢事件では、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談をしてもらうことで、不起訴処分の獲得に繋がる可能性が高まります。被害届や告訴の取り下げなど被害者から事件を許してもらえれば、今回の事件で重い罪を科さなくてもよいと、検察官に考えてもらいやすくなるからです。

痴漢の示談は、必ず弁護士を介して行いましょう。加害者とは話したくないという被害者でも、弁護士との交渉には応じてくれる方も少なくありませんし、そもそも加害者が直接被害者に連絡すると、証拠隠滅と捉えられる恐れもあります。示談して不起訴処分を目指す場合は、早く弁護士に相談してください。

痴漢で示談が重要な理由や、痴漢の示談金相場について詳しく知りたい方は「痴漢で示談をする方法とメリット|示談金相場を弁護士が解説」をご覧ください。

弁護士に依頼して罰金刑・執行猶予を目指すべき

痴漢事件で起訴された場合でも、弁護士に依頼して罰金刑や執行猶予判決をめざし、実刑判決で刑務所に入ることを回避するよう弁護活動を依頼しましょう。そのためには、被害者との示談を諦めずに目指すこと、法廷弁護活動を尽くして反省の情と再発防止に向けた取り組みを伝えることが必要です。

略式罰金になれば公判が開かれず罰金を払えば終了しますし、執行猶予がつけば自宅に戻り今までと同じ生活が送れるので、執行猶予期間を問題なく過ごせば刑務所に入らずにすみます。国選弁護人は自分で選べないので、より充実した弁護活動を希望する場合は、経験豊富な私選弁護人を検討すると安心です。

痴漢で捕まった時のために知っておきたい知識5選

痴漢で逮捕された場合どのような罪に問われる?

痴漢で逮捕された場合、痴漢の程度によって2つの罪のいずれかに問われる可能性があります。一つは各都道府県が定める「迷惑行為防止条例違反」にあたる場合です。服の上から胸や臀部を触った場合や、触った程度が少しだけの場合は、条例違反の痴漢に該当することが多いです。

次に、刑法176条の「強制わいせつ罪」にあたる場合です。同罪は、13歳以上の者に暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をすることが要件です。具体的には、下着の中に手を入れて触るなど抵抗を抑圧した場合です。なお、被害者が13歳未満の場合は、暴行脅迫がなくても強制わいせつ罪になります。

痴漢で有罪になったらどんな刑罰が科される?

痴漢は、条例違反か強制わいせつかで刑罰の重さが大きく変わります。条例違反の痴漢の場合、都道府県によって多少の差はありますが、東京都の場合は6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。痴漢の多くは条例違反ですが、公判が開かれず略式罰金で終了するケースが多いです。

一方、強制わいせつの痴漢の場合、法定刑は6か月以上10年以下の懲役と、非常に重い刑罰が定められています。そもそも罰金刑がないので、必ず公判が開かれます。示談が成立し、処罰感情が大きくない場合は執行猶予が付くこともありますが、初犯でも実刑判決を受ける可能性もゼロではありません。

駅員室に行ったら現行犯逮捕になる?

電車や駅の構内で痴漢をしてしまい、被害者に捕まった後、駅員室に行ったら現行犯逮捕されてしまうと考えている方は少なくありません。しかし、実際は駅員室に行った段階ではなく、被害者や目撃者等によって犯行時や犯行直後に捕まった段階で現行犯逮捕されているというのが実情です。

とはいえ、実際に電車や駅での痴漢を疑われた場合は、駅員室に連れていかれ、駅員からの連絡で駆けつけた警察官が、最寄りの警察署に連行して取調べるという流れになるのが通常です。ケースによっては、そのまま留置場にとどめ置かれ、10日間勾留されることもありえます。

痴漢で現行犯逮捕されなくても後日逮捕される?

痴漢は、被害者や周囲の人に気付かれ、現行犯逮捕されるケースが多い犯罪類型です(刑事訴訟法212条1項、213条)。しかし、現行犯逮捕されなければ逃げおおせたわけではありません。被害者が被害届を提出して捜査が進み、防犯カメラの記録等から犯人が特定され後日逮捕されることもあるのです。

犯人が特定できた段階で任意出頭を求められ、そのまま逮捕されることもありますが、自宅に警察が来て裁判官が発行した令状に基づいて逮捕されることもあります(憲法33条、刑事訴訟法199条1項)。会社員の場合は、出勤前の時間に警察が来るケースが多いようです。

痴漢冤罪で逮捕されそうなときどうしたらいい?

数年前、痴漢の容疑で逮捕された大学教授の事件が、美人局の冤罪だったニュースが話題になりました。痴漢冤罪で逮捕されそうな場合は、駅員室に連行される前に、冤罪を証言してくれる目撃者を探しましょう。駅員室に連行された場合も、痴漢をしていないことをしっかり主張することが大切です。

その場で疑いが晴らせない場合は、冷静にその場を離れ弁護士に相談できればベストです。しかし実際は動けないことも多いです。その場合、家族に連絡して警察署に連行された場合の身元引受に備えること、警察署に弁護士を派遣してもらい、掌紋鑑定(掌の繊維鑑定)等で冤罪の証明を頼むことが有効です。

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