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公務員が大麻で逮捕されたら免職?前科・資格剥奪のリスクと対処法を弁護士が解説

公務員が大麻・薬物

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

公務員が大麻・薬物事件を起こして逮捕された場合、拘禁刑以上の前科がつくと国家公務員法・地方公務員法により原則として免職(失職)となります。

令和6年中の大麻事犯検挙人員は6,078人(警察庁「令和6年における組織犯罪の情勢」)と依然として高い水準にあり、社会的地位のある方が検挙されるケースも少なくありません。

この記事では、公務員が大麻・薬物の罪を犯してしまった場合に資格を剥奪される可能性、逮捕後の流れ、そして免職・前科を回避するための対処法を弁護士が解説します。

公務員としての地位・資格を守るためには、一刻も早く弁護士に相談することが最も重要です。

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目次

公務員が大麻で逮捕されたら免職・資格剥奪になるのか?

「公務員が逮捕された=即クビ」というイメージを持つ方は多いですが、これは正確ではありません。

逮捕はあくまで「犯罪の容疑がかけられている」状態であり、有罪が確定したわけではありません。日本の刑事手続きでは無罪推定の原則が適用されるため、逮捕という事実だけで免職処分が自動的に下されることはないのです。

ただし、薬物事件で逮捕されてしまうと職場に発覚し、その後の捜査・起訴・判決の過程で職を失うリスクは高くなります。

公務員の処分には2種類ある

公務員が薬物事件を起こした場合、職を失う経路は大きく分けて2つあります。

(1)当然失職(欠格条項への該当)

国家公務員法・地方公務員法では、一定の刑罰を受けた場合に自動的に公務員の資格を失うことが定められています(欠格条項)。

具体的には、拘禁刑以上の刑(死刑・拘禁刑)に処せられた場合、当然失職となります(国家公務員法38条1号・76条、地方公務員法16条・28条4項)。

欠格条項の判断基準

  • 拘禁刑の実刑判決:判決が確定した時点で当然失職
  • 執行猶予付き判決:判決が確定した時点で当然失職
  • 罰金刑:欠格条項に該当せず、当然失職とはならない

「逮捕」「起訴」「勾留」の段階では当然失職にはなりません。確定判決が出て初めて失職となります。

(2)懲戒免職(任命権者による処分)

欠格条項に該当しない場合でも、任命権者の判断によって懲戒処分が行われることがあります(国家公務員法第82条、地方公務員法第29条)。

主な懲戒処分には、軽い順に以下の4種類があります。

懲戒処分の種類

処分の種類内容
戒告文書または口頭による厳重注意
減給一定期間、基本給の一部を減額
停職1日以上1年以下の職務停止。給与なし
免職公務員の身分を剥奪。最も重い処分

懲戒処分の事由は以下の3つです。

懲戒処分の事由

  • 国家公務員法・地方公務員法などに違反した場合
  • 職務上の義務に違反し、または職務を怠った場合
  • 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行があった場合

この3番目の規定により、飲酒運転、痴漢、盗撮など、たとえ職務外での犯罪であっても、罰金刑にとどまる場合でも、懲戒処分の対象となりえます

国家公務員・地方公務員の処分の違い

国家公務員と地方公務員の処分の違いは、以下の通りです。

国家公務員と地方公務員の違い

状況国家公務員地方公務員
逮捕のみ失職しない失職しない
起訴起訴休職起訴休職
拘禁刑確定(執行猶予含む)当然失職(例外なし)原則失職(条例で例外あり)
罰金刑当然失職なし(懲戒処分の可能性あり)当然失職なし(懲戒処分の可能性あり)
不起訴・無罪失職しない(懲戒の可能性あり)失職しない(懲戒の可能性あり)

国家公務員の場合

当然失職の例外なし

国家公務員については、拘禁刑以上の確定判決が下された場合、例外なく当然失職となります。執行猶予がついていても同様です。

懲戒処分の決定者

国家公務員の懲戒処分は、各省庁の長などの任命権者が行います(国家公務員法82条)。

起訴された場合、任命権者の判断で起訴休職となることがあります。休職中の給与は条例や規程により一定割合が支給されることが一般的です。なお、略式起訴(書類審理のみ)の場合は起訴休職は行われません。

地方公務員の場合

国家公務員との大きな違い:自治体条例による例外

地方公務員の場合、各都道府県・市区町村の条例によって「当然失職の例外」が定められていることがあります。

例:東京都の場合

過失による犯罪で、かつ執行猶予付き判決であれば、失職を免れる可能性があります。たとえば、過失運転致傷罪などで執行猶予付き判決を得た場合、東京都の職員は失職しないケースがあります。

このように、同じ犯罪・同じ判決でも、勤務する自治体によって処分の結果が異なる場合があります。

懲戒処分の決定者

地方公務員に対する懲戒処分は、地方公務員法第6条に規定された任命権者(自治体の長など)が行います。

地方公務員が刑事事件で起訴された場合も、国家公務員同様に休職処分が取られることがあります(地方公務員法28条2項2号)。

【共通】実名報道によって仕事を失うリスク

公務員が大麻で逮捕された場合、マスコミによる実名報道がなされるかどうかも大きな懸念点です。実名報道された場合、職場や周囲に知られることで重大な不利益が生じます。

実名報道に関する明確な法的基準はなく、各報道機関の自主判断に委ねられています。一般的に、事件の重大性や社会的注目度が高い場合、あるいは被疑者が社会的地位を持つ場合に実名報道がなされる傾向があります。

警察官・教員・自衛官・国家機関に勤める国家公務員など、公共性の特に高い職種では実名が公表されるケースが多い傾向があります。

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刑事事件が報道される基準|実名報道を避けるには?

公務員が大麻・薬物事件で逮捕された後の流れ

逮捕の流れ

逮捕〜送致(48時間以内)

逮捕後、警察は48時間以内に事件を検察官へ送致(送検)します。

送致~勾留請求(送致後24時間)

検察官は、警察から受け取った証拠と、ご本人から直接聞いた話の内容をもとに、さらに留置場に置くこと(勾留)が必要かを判断します。勾留が必要な場合は、裁判官に勾留請求を行います。

勾留請求の期限は、逮捕後72時間かつ、送致後、検察官が被疑者を受け取った時から24時間以内です。

勾留(最大20日間)

検察官が勾留を請求し認められると、原則10日間(必要に応じ最大10日間の延長)、身柄が拘束されます。

勾留中は長期欠勤が続くため職場バレのリスクが高まります。弁護士を通じて早期釈放を目指すことが重要です。

起訴・不起訴の決定

捜査を経て、検察官が起訴・不起訴を決定します。日本の起訴後有罪率は99%を超えるため、前科を避けるには不起訴を目指すことが最も現実的な手段です。

もっとも、不起訴であっても職務外の非行として懲戒処分の対象となる可能性はあるため、処分の有無や内容は所属機関の判断によって決まります。

逮捕後の釈放タイミングについて詳しく知りたい方は『逮捕されたら?逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説』の記事をご覧ください。

大麻の刑罰は?初犯より再犯の方が罪は重くなるのか?

大麻の刑罰(営利目的なし)

大麻の刑罰(営業目的なし)

使用・所持・譲渡・譲受の刑罰

免許等なく個人で大麻を不正に使用・所持した場合や、譲渡・譲受した場合の刑罰は、7年以下の拘禁刑です(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第1項、同66条1項)。

所持は、自分の支配下に大麻がある状態のことをいい、カバンや衣服のポケットに携帯する場合に加え、車や家で保管する場合も含みます。所持量が微量(0.5グラム以下)の場合は、大麻草なら不起訴になる場合もありますが、濃度が高い樹脂だと通常起訴されます。

譲渡・譲受は、有償無償を問わず違法行為です。友人・知人などに大麻を無償で渡した場合でも、犯罪となります。

栽培・輸出・輸入の刑罰

免許等なく個人使用目的で大麻を栽培・輸出入した場合の刑罰は、1年以上10年以下の拘禁刑です(大麻草の栽培の規制に関する法律24条1項、麻薬及び向精神薬取締法65条1項)。

大麻の刑罰(営利目的あり)

大麻の刑罰(営業目的あり)

使用・所持・譲渡・譲受の刑罰

営利目的で大麻を所持・譲渡・譲受した場合の刑罰は、1年以上10年以下の拘禁刑です。情状によっては300万円以下の罰金が併科される場合があります(麻薬及び向精神薬取締法66条の2第2項、同66条2項)。

栽培・輸出・輸入の刑罰

営利目的で大麻を栽培・輸出入した場合の刑罰は、1年以上20年以下の拘禁刑です。情状により500万円以下の罰金が併科される場合があります(大麻草の栽培の規制に関する法律24条2項、麻薬及び向精神薬取締法65条2項)。

初犯より再犯の方が罪は重くなるのか?

大麻の刑罰は、基本的に拘禁刑です。ただし、拘禁刑の判決を受けても、初犯であり悪質性も低いとみなされた場合は執行猶予がつくことも多いです。

しかし、再犯となった場合は実刑となる可能性が高くなり、特に執行猶予判決を受けてから5年以内の再犯の場合はほぼ確実に実刑となります。

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公務員が大麻・薬物で免職を避けるためには

公務員が大麻・薬物に関する罪を犯したことにより前科がついた場合、免職などの処分が下る可能性があります。前科により職を失わないためには、早期に弁護士に相談することが重要となります。

逮捕を回避するために弁護士に相談する

大麻・薬物は微罪として終えることは困難であり、勾留率も高い犯罪です。そのため、まずは勾留を避け、早期に釈放されることを目指すことになります。

早期釈放のためには、家族の協力なども得ながら、逃亡や証拠隠滅の恐れがないことを弁護士を通じて示すことが重要です。

また、同居人や恋人などが大麻・薬物で逮捕され、自分にも嫌疑がかかっているという場合があります。そのような時は逃亡や証拠隠滅の恐れがないことや所持の事実がないことを弁護士を通じて主張し、逮捕の回避を目指します。

大麻所持などの事実関係を争い不起訴を目指す

大麻・薬物事件において不起訴を目指すためには、犯行が悪質でないことや十分に反省して再犯の恐れがないことなどをしっかりと検察官に示すことが必要です。

起訴された場合、保釈による釈放を目指して活動を行います。弁護人により保釈請求を行い、逃亡や証拠隠滅の恐れのないことが認められると保釈決定が下り、保釈金を納付することで釈放されます。

裁判では執行猶予つき判決を得て実刑を回避することを目指します。初犯で個人使用目的であれば執行猶予がつくことが多いですが、営利目的や常習性が認められた場合は実刑になるケースが多くなります。

大麻・薬物依存を治療して再犯を防ぐ

薬物は再犯率の高い犯罪であることから、罪を少しでも軽くするためには再犯防止のための取り組みをしっかりと行い、それを検察官や裁判官に示すことが必要となります。

具体的には以下の取り組みが有効です。

再犯を防ぐ取り組みの例

  • 医療機関で薬物依存の治療を受ける
  • 「薬物のダルク」などの回復支援施設に入所する
  • 弁護士・家族と協力して診断書やサポート体制を整え証拠として提出する

公務員の大麻に関するよくある質問

Q.公務員が大麻で逮捕されたら必ず免職になりますか?

公務員が大麻で逮捕されたからといって、直ちに免職になるわけではありません。

ただし、拘禁刑以上の刑に処せられて前科がついた場合は、国家公務員法・地方公務員法の規定により原則として失職となります。

不起訴処分を得ることができれば免職を回避できる可能性があるため、早期に弁護士へ相談することが重要です。

Q.公務員が大麻事件で逮捕されると、逮捕された事実が職場に知られますか?

捜査機関から職場への通知義務は原則としてありませんが、勾留が続いて長期間欠勤が生じた場合や、報道された場合などに職場に発覚するケースがあります

また、起訴されると休職処分の対象となり、職場に知られることになります。弁護士が早期釈放・不起訴を目指すことで、職場への発覚リスクを抑えることができる場合があります。

Q.大麻事件で弁護士に相談することで、公務員の地位を守るためにどのようなことができますか?

大麻事件で弁護士に相談することで、不起訴処分の獲得や執行猶予付き判決の取得に向けた弁護活動を受けることができます。

具体的には、早期釈放のための勾留回避活動、職場・家族からの陳情書の収集、薬物依存治療機関との連携サポートなどを通じて、前科・免職を回避するための包括的な対応が可能です。

公務員としての地位を守るためにも、逮捕直後から弁護士に相談することをお勧めします。

アトムの解決事例(公務員の大麻事件)

公務員の大麻事件

アトムの解決事例①(不起訴処分)

知人が大麻譲渡で逮捕されたことをきっかけに家宅捜索を受け、段ボール箱の中から20年以上前のものとみられる微量の大麻葉片が発見・逮捕された事案。依頼者は30代の公務員で、何としても不起訴処分を獲得したいと強く希望していた。


弁護活動の成果

弁護士が「20年以上前の大麻と知らなかった」との供述をもとに勾留不要の意見書を裁判官に提出し、勾留請求が却下されて早期釈放を実現。その後、不起訴処分が確定し、前科を回避することができた。

公務員の大麻事件

アトムの解決事例②(実刑回避)

市役所勤務の30代男性の自宅に家宅捜索が入り、乾燥大麻約1.36グラムが発見されて現行犯逮捕された事案。当初は所持量から営利目的の疑いもかけられ、接見等禁止の決定がなされた。


弁護活動の成果

弁護士が接見等禁止の一部解除・保釈・自己使用目的の主張などを行い、単純所持罪での起訴にとどめた。公判では反省と家族による監督を訴え、懲役1年・執行猶予3年の判決を獲得し、実刑を回避した。

公務員の大麻に関するお悩みは弁護士に相談

公務員が大麻・薬物事件で逮捕された場合、拘禁刑以上の前科がつくと国家公務員法・地方公務員法の規定により原則として失職となります。 令和6年の大麻事犯検挙人員は6,078人と依然として高い水準が続いており、公務員も例外ではありません。

公務員としての地位・資格を守るためには、以下の3点が特に重要です。

重要

  • 早期に弁護士に相談し、不起訴処分の獲得を目指すこと
  • 職場・家族と連携して再犯防止の体制を整えること
  • 薬物依存の治療に取り組み、反省の姿勢を検察官・裁判官に示すこと

日本の刑事裁判では起訴後の有罪率が約99.9%に上るため、「不起訴」を勝ち取ることが前科回避の最大のカギです。

初動が遅れるほど弁護活動の選択肢は狭まりますので、逮捕直後・逮捕前の段階から、刑事事件に強い弁護士への相談してください。

アトム法律事務所では、24時間365日、土日夜間も電話予約を受け付けています。警察が介入した事件について初回30分無料の対面相談を実施しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了