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振り込め詐欺・オレオレ詐欺で弁護士をつけるメリットを解説

振り込め詐欺

振り込め詐欺やオレオレ詐欺等の特殊詐欺は、実刑になる可能性が高い犯罪です。たしかに特殊詐欺だと知らずに受け子になってしまう方も少なくないでしょう。しかし、単に「詐欺だと知らなかった」「だますつもりはなかった」と主張するだけで処分が軽くなることは、まずありません。

大切なのはポイントを押さえた法的主張をすることです。その上で示談を成立させることが非常に重要です。適切な法的主張と早期の示談成立のためには、弁護士への依頼が最善策といえます。
この記事では、特殊詐欺事案で弁護士をつけるメリットをわかりやすく解説します。

なお、当記事で記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、民法上の成人(民法第4条)とは異なるものです。

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特殊詐欺(振り込め詐欺・オレオレ詐欺)とは?

特殊詐欺とは?

特殊詐欺とは、電話等を利用して対面することなく相手をだまし、指定した銀行口座への振込み等の方法により、不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪です。

典型例は振り込め詐欺です。振り込め詐欺には、オレオレ詐欺や還付金詐欺など様々な手口があります。

特殊詐欺は複数で共謀して実行されます。実際に逮捕されるのは受け子など末端者であることが多いです。 

通報を受けた警察が被害者宅や金融機関に張り込み、現行犯逮捕される事例もあります。

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特殊詐欺は初犯でも実刑のおそれがある

詐欺罪の法定刑は、10年以下の懲役です(刑法246条)。罰金刑はないので、有罪になれば執行猶予か実刑のどちらかしかありません。

特殊詐欺は、たとえ初犯でも厳しい刑罰が科されます。受け子など詐欺グループの末端であっても、1年半~2年程度の実刑になることが多いです。

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振り込め詐欺・オレオレ詐欺で弁護士をつける重要性

振り込め詐欺での執行猶予の可能性を上げる

振り込め詐欺やオレオレ詐欺で執行猶予を獲得するためには、裁判官に対して被告人の反省態度や更生意欲などを効果的に主張する必要があります

国選弁護人や既に選任した弁護士が刑事事件に強くない場合には、執行猶予の可能性が低くなる恐れがあるため、刑事事件に強い弁護士を探すべきでしょう。

特殊詐欺は、計画的・組織的犯罪であり、親族を心配する気持ちにつけこむ悪質な犯罪です。そのため、従前は特殊詐欺に関わった以上、原則実刑とされてきました。

しかし、最近では受け子として特殊詐欺に関与した事案で執行猶予とする判決も出てきました。執行猶予になるポイントは以下のとおりです。

特殊詐欺で執行猶予になるポイント

①犯行への関与の程度が低い

関与期間が短い

③特殊詐欺の全容を認識していなかった

示談が成立している

被害者が加害者を許している(宥恕している)

⑥真摯に反省している

監督者がいる

裁判官は、量刑を考える際、まず①~③の事情を重視します。処分を軽くしたくて真っ先に示談を思い浮かべる方も多いと思います。しかし、まずは犯罪行為そのものに関わる事情(犯情)を主張することが大切です。

量刑を考える上で次に重要なのが④~⑦の事情(情状)です。その中でも最も重要なのが示談です。

示談を拒否された場合、被害弁償を申し出ます。被害弁償は、お金の弁償のみ行います。示談のように被害者から許しを得るといった交渉は行いません。

量刑上、被害弁償より示談の方が有利に考慮されます。したがって、罪を認める場合、示談の成立を第一に目指すことが重要です。

振り込め詐欺の示談をスムーズに進める

特殊詐欺の被害者は高齢者が多いのが特徴です。被害者は、大切なお金を奪われたことに加え、親族を思う気持ちを踏みにじられたことで大きなショックを受けています。

そのため、示談を受けつけない方も少なくありません。詐欺グループからの報復をおそれて示談を拒否する被害者もおられます。

しかし、弁護士が関与することで、示談交渉に応じてもらえる可能性は高くなります。弁護士は、被害者の心情に十分配慮しつつ適切な条件で示談が成立するよう交渉します。

被害者多数で全額弁済が難しい場合、弁護士は支払いが困難な事情や分割弁済の方法を丁寧に説明します。

また、共犯者の弁護人と連絡をとり、負担割合を話し合うこともあります。

示談が難しい場合も、被害弁償を申し出たり、謝罪文だけでも受け取っていただけるよう努めるなど粘り強く弁護活動を続けます。

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振り込め詐欺に関わった未成年を手厚くサポート

振り込め詐欺やオレオレ詐欺には、未成年が関わることが多いです。未成年の役割は、受け子が圧倒的に多いです。受け子を紹介して紹介料を得るリクルーターになる未成年もいます。

未成年でも犯罪に関わった以上、逮捕される可能性があります。逮捕後は、最寄りの警察署に連行されます。

未成年の刑事事件は「少年事件」と呼ばれ通常の刑事手続きとは異なる流れで進みます。振り込め詐欺やオレオレ詐欺の場合、家庭裁判所で少年審判を受けることになるでしょう。

少年事件では、基本的に要保護性(再非行可能性)が重視され処遇が決まります。関与の程度等を考慮して、再非行に至るおそれがどれだけあるかという観点から処遇が決められるのです。被害金額が多額だからといってただちに少年院送致されるわけではないということです。

具体的には、次のような事情を考慮して処遇が決められます。

未成年の特殊詐欺事案で考慮される要素

・関与期間

・関与が能動的か受動的か

・犯行の全容を知っていたか

・報酬の有無・程度

・非行歴

・交友関係

・保護者による監護環境

・反省

例えば、特殊詐欺だとわかっていたのに長期にわたり積極的に関与していた場合は、少年院送致の可能性が高いでしょう。逆に、被害額は多額でも、関与期間が数日で犯行には従属的に関与していたに過ぎず非行歴もないといった事案では、少年院送致にならない可能性があります。

未成年の特殊詐欺も弁護士に依頼することをおすすめします。弁護士は、関与の程度が低いなど法的に重要な事情を的確に主張します。もちろん示談交渉も行い被害者から許し(宥恕)を得られるよう活動します。交友関係や家庭環境の改善もサポートします。

これらの弁護活動を通じ、再非行のおそれがないことを説得的に裁判官に説明します。再非行のおそれがないと認められれば、少年院送致を回避できる可能性が高まります。

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振り込め詐欺・オレオレ詐欺の弁護活動

(1)不起訴の獲得

振り込め詐欺やオレオレ詐欺で逮捕された場合、取調べでどう答えるかが起訴・不起訴に大きく影響します。

例えば、詐欺の故意を否定する説明をしたつもりでも、「何らかの違法な行為に関与する認識」があったと認める発言になっていることも少なくありません。

状況によっては「何らかの違法な行為に関与する認識」があれば、詐欺の未必的故意ありと判断され、起訴されるおそれが高くなります(福岡高判平成28年12月20日参照)。

このような事態を回避するには、早期に弁護士に相談して取調べのアドバイスを受けることが必須です。弁護士のアドバイスを受け、取調べに適切な対応をすれば、証拠不十分により不起訴となる可能性が高くなります。

場合によっては、黙秘権を行使することも選択肢の1つです。ただし、黙秘によって身体拘束期間が長くなるなどデメリットもあります。黙秘するかどうかは、弁護士とよく相談して決めるのがベストです。

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(2)早期釈放の実現

早期釈放のためにも示談が重要です。弁護士は、示談で被害者から許し(宥恕)を得られるよう努めます。示談書に加え、家族による身柄引受書等の書類も検察庁や裁判所に提出します。

(3)接見禁止への対応

振り込め詐欺やオレオレ詐欺では、逃亡・罪証隠滅の防止のため接見禁止がつくケースが多いです。接見禁止がつくと弁護人以外との面会は禁止され、手紙や写真のやりとりもできなくなります。

接見禁止は勾留決定と同時につくことが一般的です。終期はケースバイケースですが、起訴後何か月も接見禁止がついたままの事案もあります。接見禁止がついてしまうと、家族との繋がりを絶たれるのでご本人にとって非常に辛い状況になります。また、家族に頼みたい連絡もできなくなり不利益は大きいです。

接見禁止に対しては、弁護士に依頼の上、「抗告・準抗告」または「一部解除の申立て」を行うことが有効です。

1回目の刑事裁判が開かれるまでは準抗告、その後は抗告を裁判所に申立てます。接見禁止処分がすべて取り消されれば一番ですが、認められるのは難しいのが現状です。そこで、予備的に配偶者や両親など近親者に限って接見禁止を取り消すよう求めます。

一部解除の申立ては裁判官の職権発動を促すものです。近親者など特定の者と特定の日時に面会することを求めるといった申立ては認められることが多いです。

(4)保釈の実現

振り込め詐欺やオレオレ詐欺で保釈が認められるポイントは、罪証隠滅のおそれがないと説得的に主張することです。

具体的には、示談の成立が重要です。また、自白したり共犯者について知っている情報を素直に供述すると保釈が認められやすくなります。共犯者との口裏合わせによる罪証隠滅のおそれがないと判断されるからです。

保釈を実現するためには保釈保証金を用意することも必要です。

保釈保証金の相場は基本的に150万円と言われています。しかし、特殊詐欺の場合、実刑になる可能性が高いので保釈保証金は高くなります。場合によっては、500万円前後となることもあるでしょう。

保釈保証金が用意できなくても諦めないでください。まずは弁護士に相談してみましょう。弁護士は、同居家族等の身元引受人がいるので逃亡のおそれがないといった事情を裁判官に説明し、保釈保証金額を下げてもらうよう交渉します。

どうしても用意できない場合は、保釈保証金の立替制度等があります。詳しくは関連記事をご覧ください。

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(5)執行猶予の獲得

振り込め詐欺やオレオレ詐欺の受け子をした場合、執行猶予になるには、犯行への関与の度合が小さいことを具体的に主張することが重要です。

ただ「詐欺とは思わなかった」と主張するだけでは足りません。検察官は犯罪を立証するプロです。あなたや共犯者の言動を細かく分析し、あなたが受け子として重要な役割を果たしたと主張立証してきます。

これに対抗するためには、刑事弁護の実績豊富な弁護士を立てることが必須です。

弁護士は接見で「どのような指示があったか」「犯行に関わったのはいつからか」「報酬の有無・内容は」など執行猶予のポイントになる事情を丁寧に聴き取ります。同時に示談交渉も積極的に進めます。

執行猶予を獲得するため早期に弁護方針を立てご本人やご家族に説明します。

(6)無罪の獲得

実務上、振り込め詐欺やオレオレ詐欺で無罪になるのは詐欺の故意が問題になるケースが多いです。

詐欺の故意を否定するには、以下のような事情を具体的に主張することが重要です。

  • 仕事内容が具体的に説明されなかった
  • 報酬の約束がなかった
  • 現金受取りの際、被害者との間で詐欺をうかがわせるやりとりがなかった
  • 服装や偽名の使用について一定の説明があり、正当な業務に基づくものだと信用していた

無罪獲得を目指す場合、取り調べ対応がより一層重要です。できる限り早く弁護士に依頼して、アドバイスを得るようにしてください。弁護士は、黙秘権の行使をはじめ、あなたを守る手段についてわかりやすくご説明します。

(7)控訴審での執行猶予獲得

第一審で懲役刑の実刑判決を受けた場合でも、適切な弁護活動により控訴審で執行猶予となる可能性があります。

第一審で懲役刑の実刑になるのは、詐欺の故意を否認したため示談が成立していないケースが多いです。

このようなケースで控訴審で執行猶予になるためには、示談の成立が欠かせません。弁護士に依頼の上、被害者全員と示談し宥恕を得ることが重要です。

まとめ

振り込め詐欺やオレオレ詐欺の受け子をした場合、実刑のおそれが高いです。しかし、ポイントを押さえた法的主張と早期の示談成立により執行猶予になる可能性があります。特殊詐欺に関わったご本人やそのご家族は、できる限り早く弁護士に相談することをおすすめします。

アトム法律事務所の弁護士は刑事弁護の実績豊富です。特殊詐欺で弁護士をお探しならアトム法律事務所の弁護士にぜひご相談ください。迅速丁寧な弁護でご本人の利益を守ります。

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岡野武志弁護士

監修者情報

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

第二東京弁護士会所属。ご相談者のお悩みとお困りごとを解決するために、私たちは、全国体制の弁護士法人を構築し、年中無休24時間体制で活動を続けています。