2023年7月13日以降の事件は「撮影罪」に問われます。
「盗撮がバレたら現行犯逮捕される?」
「盗撮で後日逮捕される可能性は?」
「盗撮で逮捕されたらどうなる?」
盗撮事件は、被害者や目撃者に見つかって現行犯逮捕されるケースが多いですが、現行犯逮捕されなくても防犯カメラの映像などから後日逮捕されるケースや、逮捕されずに在宅のままで捜査が進められて起訴されるケースもあります。
盗撮事件は、初犯であれば不起訴処分や罰金刑で終わることも見込まれますが、示談などの適切な対応をとらなければ、逮捕・勾留されたり、正式起訴されて有罪判決を受ける可能性もあります。
そこで、この記事では、盗撮がバレたときの対応方法と、盗撮で逮捕されたときの流れを解説します。
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目次
盗撮がバレたときのNG対応3つ
まずはじめに、盗撮がバレたときに行ってしまいがちですが、行うべきでないNG対応3つをお伝えします。
①データを消去すること
1つ目は、盗撮した動画や画像のデータを消去することです。
盗撮がバレたとき、とっさに「証拠がなければシラを切り通せるのではないか」といった考えがよぎり、データを消去しようと思うこともあるかもしれません。しかし、スマホなどのデータは消去しても警察で復元することが可能ですし、データを消去したことが判明すれば、罪証隠滅のおそれがあるとして逮捕・勾留されるリスクが高まりますので、行うべきではありません。
盗撮がバレたときには、証拠を隠したりしようとするのではなく、被害者への謝罪や被害弁償(示談)を優先するべきです。被害者対応を優先することによって、結果的に、身柄拘束の期間が短くなったり処分が軽くなることを期待することができます。
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②犯行現場から逃げること
2つ目は、犯行現場から逃げることです。
たとえ一旦はその場から逃げることができても、防犯カメラの映像などから犯人が特定される可能性がありますし、逃亡のおそれがあるとして逮捕・勾留されるリスクが高まりますので、犯行現場から逃げることも行うべきではありません。
盗撮がバレたときには、逃げようとするのではなく、身柄を拘束する法的な根拠がないこと(氏名や連絡先を明らかにしていること、定職に就いていること、家族関係が安定していることなど)を説明し、犯行現場での現行犯逮捕を阻止することを優先すべきです。
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③虚偽の否認を続けること
3つ目として、防犯カメラに犯行の記録が残されていたり目撃者がいるような場合、虚偽の否認を続けることも行うべきではありません。
客観的な証拠から盗撮をしたことが明らかであるにもかかわらず否認を続けていると、反省していないと捉えられたり、示談の機会を失ってしまったり、起訴されてしまうリスクが高まります。
自分の犯行に間違いがないのであれば、素直に罪を認めて反省の意思を伝え、被害者への謝罪・被害弁償・示談を行うことに注力すべきです。
盗撮で逮捕された場合の流れ
逮捕段階では弁護士以外と面会できない
逮捕されると、多くの場合は警察署の中の留置場に身柄を拘束されます。その間、面会できる外部の人は弁護士だけとなり、弁護士以外の家族・友人などとの面会や連絡は一切禁止されます。
逮捕の期間は最長72時間(3日間)ですが、約94%の事案で検察官が勾留を請求しますので(令和3年版犯罪白書)、3日間という限られた時間の中で、勾留を阻止するために、被害者との示談交渉を行う必要があります。
勾留されれば最長で20日間身柄を拘束される
逮捕から勾留に移行した場合、起訴・不起訴の判断が下るまでさらに最大で20日間身柄を拘束される可能性があります。
勾留段階に移れば弁護士以外とも面会ができるようになることが多いですが、弁護士以外との面会には、平日の日中のみ・1日1回(1回当たり最大3人)まで・1回15分程度まで・警察官の同席ありなど、さまざまな制限があります。なお、共犯者とともに計画的に盗撮を行っていたような場合には、勾留段階でも弁護士以外との面会が引き続き禁止されることがあり得ます。
勾留されてしまうと、長期間の身柄拘束が続き、会社や学校などの日常生活にも大きな支障が出てしまいますので、速やかに示談を成立させ、裁判所に対して早期釈放を求めていかなければなりません。
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起訴されれば99.9%前科が付く
日本の裁判の有罪率は99.9%ですから、起訴されてしまうと、ほぼ間違いなく前科が付くこととなります。また、勾留されたまま起訴されてしまうと、保釈されない限り、裁判が終了するまで(短くても約1か月前後・長ければ1年以上)身柄拘束が続く可能性があります。
盗撮事件は、初犯であれば、略式起訴されて罰金刑で終わる可能性も十分に見込まれますが、罰金刑であっても前科が付くことに変わりはありません。
同種の前科がある場合などには、正式起訴される可能性もあり得ます。執行猶予付きの判決であればひとまずは刑務所に入らなくても済みますが、執行猶予付きの判決も、有罪判決である以上、前科が付くことに変わりはありません。
起訴された後は保釈を請求でき、保釈が認められれば、通常の日常生活を送ったまま裁判を受けることができます。しかし、保釈のためには保釈保証金が必要で、保釈保証金の相場は150万円~200万円といわれており、金銭的な負担がかかります。また、保釈が認められても、裁判は平日の日中に行われますので、裁判を受けるために仕事や学校を休む必要があります。
このように、起訴されると、大きな負担を負うこととなります。盗撮がバレたときには、釈放だけでなく、不起訴を獲得することまでを見据えて対応する必要があります。
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盗撮がバレたらすべきこと3つ
①弁護士に依頼して被害者との示談を行う
謝罪や被害弁償(示談)といった被害者への対応は、何よりも優先しなければならないものです。
示談が成立すれば、逮捕・勾留を阻止できる可能性が高くなるだけでなく、不起訴処分を獲得できる可能性も高まり、不起訴となれば前科が付くのを回避することができます。
示談交渉を進めるには被害者の連絡先を知る必要がありますが、被害者の連絡先を知るためには、弁護士から検察官に示談を行いたい旨を連絡し、検察官から被害者の意向を確認してもらったうえで被害者の連絡先を教えてもらうという手順を通常経なければならず、弁護士の介入が不可欠です。
また、盗撮事件には、電車の中や駅のエスカレーターで盗撮したケース、いわゆるデリヘルなどの風俗店を利用した際に盗撮したケース、トイレの中にカメラを設置して盗撮したケースなど様々なものがありますので、示談に当たっては個別の事案の相場に応じた適切な示談金額を見極めなければなりません。
さらに、不起訴処分の可能性を高めるためには、示談金を支払って示談書を作成するだけでは足りず、被害者が提出済みの被害届を取り下げてもらうために「被害届取下げ願い」という書面を作成する必要もあります。
これらの対応は、逮捕・勾留されて身柄を拘束されている場合は当然ですが、在宅で捜査を受けている場合でも自身で行うことは困難ですので、盗撮がバレたら速やかに弁護士に依頼することをお勧めします。
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②逮捕・勾留を阻止する
盗撮の犯行現場に警察官が駆け付けた場合には、身柄を拘束する法的な根拠がないこと(氏名や連絡先を明らかにしていること、定職に就いていること、家族関係が安定していることなど)を説明し、現行犯逮捕を阻止する必要があります。
盗撮しようと思ってスマホを差し向けたけれども撮影に失敗したというようなケースでは、その場では現行犯逮捕されないこともあり得ます。しかし、防犯カメラの映像などから犯行が明らかとなったり、警察からの出頭要請を無視していたりして後日逮捕されるという可能性がありますので、その間に示談を進めるなど、後日逮捕を阻止するための対応を進めることとなります。
すでに身柄を拘束されている場合には、逮捕段階か勾留段階かで必要な対応が少し異なります。
逮捕段階のケースでは、盗撮を認めていること、盗撮に使用したスマホなどはすべて警察に提出していること、家族などが身元引受人になること、勾留されれば会社や学校をやめなければならないことなどを主張し、勾留を阻止する対応を優先する必要があります。
勾留段階のケースでは、速やかに示談を成立させて被害届を取り下げてもらい、もはやこれ以上身柄を拘束する必要がないことを主張し、早期釈放を目指すこととなります。
③不起訴処分を獲得する
無事に示談が成立して逮捕・勾留を阻止(釈放が実現)できても、それで捜査が終わるわけではなく、検察官が起訴・不起訴を決めるために捜査が続けられます。また、在宅事件は後回しにされがちですので、いつまでも自分への処分がどうなるのかを心配したまま生活を送らなければならないことになります。
そこで、検察官に対し、速やかに捜査を終えることを申し入れるとともに、示談が成立し再犯のおそれもないから不起訴処分とすべきであることを求める「意見書」を作成し提出することが必要です。
盗撮がバレたことに対する刑事手続は、不起訴処分を獲得してはじめて終了することとなります。
盗撮がバレたら弁護士への速やかな相談を
以上のように、盗撮がバレてから不起訴処分を獲得するまでには、限られた時間の中で、示談、逮捕・勾留への対応、被害届取下げ願い・意見書の作成など、多くの対応を行うことが必要です。
いずれの対応についても専門的な知識・手続が求められますので、盗撮がバレたときには弁護士への速やかな相談をお勧めします。
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