
弁護士に自首同行をしてもらうと、刑事事件での逮捕を回避できるのでしょうか。
自首とは、刑事事件の被疑者が、捜査機関に犯罪が発覚する前に、自主的に出頭することです。
自首をした後は、警察から犯罪の捜査を受けることになりますが、自首をすると刑罰が減軽されるメリットもあるともいわれています。
この記事では、弁護士の自首同行のメリット、弁護士費用、被害者との示談について、実務の弁護活動の視点から分かりやすく解説しています。
刑事事件をおこしてしまって自首を検討中の方は、ぜひ最後までお読みください。

※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は有料となります。
目次
自首同行とは?
自首同行とは?そもそも自首とは?
自首とは、犯罪事実や犯人が発覚する前に、犯人が自ら進んで、捜査機関(検察官・司法警察員)に対して、犯罪事実の申告をして処分をゆだねることです。
自首の4つの成立要件
- 捜査機関に発覚する前である
- 自己の犯罪事実を告げること
- 捜査機関の措置に委ねること
- 自発的に犯罪事実を告げること
自首をする際、弁護士に同行してもらうことも可能です(弁護士の自首同行)。
弁護士と一緒に警察署に出頭することで、一人で出頭するよりも、刑事事件に向き合おうとする姿勢を示し、警察をけん制する効果があります。
弁護士が自首同行をすることで、不当・違法な捜査がなされた場合、いつでも弁護士が抗議してくるということが分かるので、警察としても慎重な捜査にならざるを得ないでしょう。
自首のデメリットはある?
自首をした場合、自分が犯人であることが、捜査機関に発覚することになります。
自首をしなければ、捜査されなかったのに、あえて自首をしたために事件が発覚し、犯罪事実の捜査が開始されるケースもあるでしょう。
犯罪捜査が始まる前に、被害者の方との示談で解決できるケースもあります。自首をする方法がよいのか、示談を先行させる方法がよいのかなど、よく見極める必要性があるでしょう。
自首のメリットは?
法律上の減軽
自首をした場合、刑法では、その刑を減軽できると規定されています。
罪を犯した者が捜査機関に発覚する前に自首したときは、その刑を減軽することができる。
刑法42条
刑事裁判をうけることになった場合、裁判官の判断しだいで、刑罰が軽くなる可能性がでてくるのです。自首をした場合、犯情がわるくなければ、裁判官を説得でき、刑罰の軽減を獲得できる可能性があがるでしょう。
精神的負担の軽減
いつ逮捕されるかという不安な気持ちをかかえたまま生活することに耐えられないという理由で、自首をする人もいます。
また、本当に反省しており、自首をしたいと考える人もいるでしょう。
逮捕・実名報道のリスク回避
加えて、自首をすることで逮捕や、逮捕による実名報道のリスクを回避したいと思う方も多いでしょう。たしかに、自首をした場合、逮捕・実名報道のリスクを回避できる可能性は高まるでしょう。
なお、逮捕をされるかどうかは逮捕の要件があるかどうかによります。
逮捕の要件は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることなどです。犯罪事実を申告して処分をゆだねるのが自首なので、自首をすれば逃亡や証拠隠滅のおそれが無いものと判断されやすくなり、逮捕を回避できる可能性が高くなるでしょう。
仮に逮捕されてしまった場合は、その後、勾留という身柄拘束手続きも想定され、最長で23日間身体拘束されることもあり得ます。弁護士に自首同行をしてもらうことで、このようなリスクを回避できる可能性が高まります。
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自首同行のメリットは?
逮捕の可能性をさらに下げる
すべての事件でそうとは限りませんが、弁護士がついていることで、捜査機関から「あえて弁護士をつけているのだから、逃亡のおそれはない」などと判断されやすくなり、これもまた逮捕の可能性を下げる要因となるでしょう。
必要があれば、弁護士は上申書・意見書も作成します。上申書のなかでは、逃亡や証拠隠滅のおそれがないことについて、説得的に書いてくれたり、あなたの反省の気持ちを代弁してくれたりします。
事前に取調べ対応のアドバイスがもらえる
自首をした後は、自首調書をとられます。どのような内容を話したかが、その後の不起訴処分、処罰の内容(罰金、執行猶予、実刑)に大きく影響します。
弁護士に自首同行を依頼すれば、事前準備として、取調べ対応のアドバイスをもらえるので安心です。
弁護士は、あなたの行為を把握して、どのように警察に説明すれば伝わるのかをアドバイスしてくれます。
たしかに、自首をする場合は、自ら警察に対して、犯行内容について正直に話す必要はありますが、供述内容に誤解が生じる、やっていないことも自白させられるといった注意点もあります。そのため、事前の弁護士相談の必要性は高いものです。
被害者へ早期に連絡ができる
弁護士が自首同行をした時点で、警察官に被害届が提出されていれば、警察段階から被害者にアプローチできる可能性があります。
刑事事件の加害者として特定されているか否かにかかわらず、被害者との示談は、刑事事件の早期解決にとって非常に重要です。
具体的な流れとしては、まずは自首同行をしたその場で、弁護士から警察官に対して、被害者の連絡先を教えてほしいとお願いします。
その後、捜査機関から被害者に確認をとり、被害者から連絡先を教えてもよいという了解が得られた場合、被害者に連絡がとれるようになります。こうして示談交渉の土台をととのえることができるのです。
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自首同行にかかる弁護士費用は?
さて、自首同行にかかる弁護士費用はどの程度なのでしょうか。
刑事事件の弁護士費用の内訳は、相談料、着手金、成功報酬、出張日当、実費などです。
自首同行は、弁護士の出張にあたるので、出張日当がかかります。
弁護士費用は弁護士事務所ごとに異なります。出張日当も弁護士事務所ごとに異なるので、自首同行の費用がいくらになるのかについては、ご自身が依頼しようと思っている弁護士事務所に確認する必要があります。
また、自首同行を依頼する前提として、刑事弁護を依頼する契約締結が必要になることが多いでしょう。
契約の際には、着手金(弁護活動に着手する対価となる費用)も必要ですし、成功報酬(弁護活動の成果に対する費用)も準備しておく必要性があります。
アトム法律事務所の弁護士費用(目安)
弁護士費用の内訳 | 金額(税込) |
---|---|
法律相談料 | 無料0円(警察介入事件。初回30分) |
着手金 | 44万円~ |
起訴による追加着手金 | 無料0円 |
成功報酬 | 11万円~(成果がなければ0円) |
出張日当 | 所要時間に応じて2.2万円~ |
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自首同行の流れは?自首の方法は?
①弁護士に相談する
刑事事件に強い弁護士に、自首同行の相談をします。
まずは、あなたの刑事事件の内容を、弁護士に伝えます。
そして、自首を優先すべき事案か、まずは被害者の方との示談を進めるべき事案かといった今後の流れや、刑事事件の見通しなどについて、相談をおこないます。
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②警察署に行く
弁護士相談の結果、自首をすべき事案であるとの結論がでたら、弁護士に自首同行をしてもらい、警察署に行きます。
警察署では、担当の警察官に対して、警察署にきた目的が自首であることを伝えます。
この時、弁護士がついていてくれれば、自首の経緯、逮捕を回避したいこと、家宅捜索を回避したいこと、弁護士を身元引受人としたいことなどを警察に伝えてくれるなど、必要な範囲でサポートしてくれます。
③刑事事件の捜査をうける
自首が成立した後は、自首調書の作成や捜査が開始されます。自首調書には、自首した本人の身上、自首した事件の概要、自首した理由などが書かれます。
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自首同行でよくある質問
Q1.自首をすれば罪が軽くなりますか?
自首をした場合、捜査が容易になることから、「刑を減軽することができる」(刑法42条)というルールがあります。これは、あくまで「刑罰を軽くできる」という規定であって、自首をすれば「必ず刑罰が軽くなる」わけではありません。
ある裁判では、銃砲刀剣類所持等取締法違反罪で使用した拳銃について、虚偽の事実を述べた事案について、自首の成立は認められたものの、自首を理由とする刑罰の減軽は認めないという結論でした(最三決平成13年2月9日刑集55‐1‐76)。
またある裁判では、本当は単なる殺人罪を犯したのに、(嘱託をうけたかのように偽装したうえで、)警察署に嘱託殺人をしたと虚偽の犯罪事実を申告した事案について、自首の成立自体を認めないという結論でした(最一決令和2年12月7日刑集74-9-757)。
判例の傾向からすれば、虚偽の事実を述べて自首をした場合、罪が軽くなる可能性は限りなく低くなると言えるでしょう。
Q2.自首と出頭の違いは?
自首とは、犯人であると発覚する前に、自ら捜査機関に名乗り出ることです。
一方、出頭とは、警察署や検察庁、裁判所などに、自らおもむくことをいいます。たとえば、家で生活しながら捜査を受ける場合(すなわち在宅捜査の場合)、取り調べのために出頭要請が来た時など、出頭する必要があるでしょう。
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Q3.証拠がなくても、自首できますか?
証拠があることは自首の要件ではありませんので、証拠が無い場合でも、自首は可能です。
ただし、証拠がなければ、後日、ガサ入れされる可能性もあるので、弁護士に相談して証拠を持参してもよいでしょう。
基本的には、自首は受理しなければならないとされていますが、きちんと受理してもらえるように、弁護士の自首同行があると安心です。
なお、捜査機関においても、ご自身においても、犯罪の証拠が無い場合は、自首をしても証拠不十分で不起訴になる可能性もあるでしょう。
Q4.自首同行の際、弁護士に身元引受人をお願いできますか?
弁護士が身元引受人になることも可能です。
自首をしたことで、逮捕を回避できた場合でも、ただちに捜査されなくなるわけではありません。その後、在宅捜査が続きます。
在宅捜査では、警察から呼び出しがあった際、出頭して取り調べを受けることになります。その出頭を確保する役目を負うのが身元引受人ですが、通常はご家族が身元引受人になることが多いでしょう。
しかし、盗撮、痴漢、児童ポルノなど、ご家族に知られたくない場合もあるでしょう。この場合、弁護士が身元引受人になることも可能です。
弁護士が身元引受人になれば、基本的には、警察からの電話や書面については弁護士あてとなります。ただし、弁護士が身元引受人になった場合でも、職場における刑事事件であれば職場の方への事情聴取が実施される可能性は高いですし、自宅のガサ入れが実施される可能性もあります。
Q5.自首同行があれば、無罪になりますか?
自首は犯罪事実を認めるものなので、基本的には無罪判決を目指すのではなく、起訴猶予あるいは刑罰の軽減を目指すことになるでしょう。すなわち、弁護士に自首同行をしてもらっても、無罪になるわけではありません。
刑事事件について証拠不十分の場合、不起訴になることもあります。
ですが、罪を犯したことが証拠上明らかである場合は、起訴される可能性が残ります。この場合、起訴猶予を目指すか、刑事裁判で量刑を争う流れになります。
起訴猶予(≒不起訴)になった場合は、刑事裁判にかけられることはなく、事件終了となります。この場合、刑罰をうけたり、前科がついたりすることはありません。
一方、自首をした後に捜査が進められ、最終的に起訴された場合、本当に刑事事件をおこしたのであれば、裁判官によって有罪判決が言い渡される可能性は高くなります。ただし自首による法律上の減軽や、示談成立などを理由に、通常よりも刑罰が軽減されることはあります。
そのため、ご自身に有利な事情を上手く主張して、裁判官を説得する必要性があるでしょう。
起訴猶予や刑罰の軽減の可能性を高めるには、自首のほかにも、よい情状を可能な限り多くそろえることが重要です。
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自首同行のお悩みは弁護士に無料相談?
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自首をお考えの方へ。
アトム法律事務所では、刑事事件の解決において必要であると思われる場合、弁護士による自首同行を実施しています。
刑事事件をおこしてしまい、逮捕が怖い、家族にバレたくないなどお悩みの方は、まずは弁護士相談にご来所ください。
あなたの事件解決にとって、自首を優先すべきか、示談交渉を優先すべきか、今後の見通しを踏まえた対策をたてて、迅速に実行するノウハウがアトム法律事務所にはあります。
自首や示談交渉をスムーズに進めていくためには、経験豊富な弁護士事務所に相談するのが一番の近道です。
アトム法律事務所は、設立当初から刑事事件に力をいれてきました。解決実績豊富な事務所で、自首同行の実績もあります。
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防犯カメラ・被害届の提出・目撃者の証言などによって、あなたが犯人であると捜査機関に発覚した後では、自首は成立しません。
犯行当日に逮捕されなかったとしても、逮捕状がとられて後日逮捕される可能性はあります。
もっと早く行動していればと後悔しないうちに、お電話ください。
アトム法律事務所は、依頼者の方のお悩み解決の一助となるべく、全力を尽くします。