温泉盗撮で逮捕された場合、撮影罪(正式名称「性的姿態等撮影罪」)や迷惑防止条例違反、児童ポルノ規制法違反、建造物侵入罪などで処罰される可能性があります。
温泉盗撮といえば、望遠レンズ付きのカメラで山中から露天風呂を盗撮する、小型カメラで女湯の脱衣所を盗撮する、父親と温泉入浴中の女児をスマホで撮影するなど、手口は様々です。
2022年頃には露天風呂などの組織的盗撮事件(盗撮のカリスマ率いる愛好家集団による盗撮)について、相次ぐ逮捕が世間をにぎわせました。
この記事では、温泉盗撮で逮捕の不安がある方などを対象に、温泉盗撮の逮捕の流れ、盗撮の処罰規定、弁護士相談のメリットなどを解説しています。
ぜひ最後までご覧ください。
すでに温泉盗撮で逮捕されている場合
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温泉の盗撮は逮捕される?
温泉の盗撮は現行犯逮捕が多い
温泉の盗撮は、盗撮されていることに気づいた被害者や旅館の職員によって、現行犯逮捕されるケースが考えられます。その場で逮捕されると、警察が来て警察署へ連れていかれて身柄拘束されることになるでしょう。
温泉盗撮での現行逮捕の一例
- 温泉ホテルの女性脱衣所に仕掛けたカメラを回収しに行ったところで見つかり、現行犯逮捕された
- 男湯に入浴中の男性の裸体を撮影していたところ見つかって、現行犯逮捕された
- 温泉旅館の男女混浴の浴室に、女性の裸体を撮影する目的でタオルに小型カメラを隠して侵入したところ、発覚して現行犯逮捕された
盗撮は、撮影データや撮影機器といった証拠が残っていることがほとんどであるため、言い逃れはむずかしいです。
もっとも、盗撮の内容や程度によっては、その日のうちに釈放されて在宅事件に切り替わり、警察や検察から都度、呼び出しを受けて捜査を受ける流れになることもあるでしょう。しかし、呼び出しに応じなかったり、無視し続けたりすると、逮捕されてしまう可能性もあるので注意してください。
温泉の盗撮は後日逮捕の可能性もある
盗撮被害に気付かれないことも多いので、盗撮事件は現行犯逮捕が多いといわれています。とはいえ、温泉の盗撮について、まったく後日逮捕の可能性が無いわけではありません。
「その場でバレなかったので、あとから逮捕されることもないだろう」と安心するのは早計です。その場で現行犯逮捕されなくても、捜査を進めて盗撮の証拠を固めた警察がある日突然、家にやって来て後日逮捕するケースもあるでしょう。
温泉盗撮での後日逮捕の一例
- 温泉の脱衣所に仕掛けたカメラに残った指紋が採取され、過去にも同様の前科があったため指紋データから特定されて後日逮捕された
- 露天風呂を外から盗撮する目的で盗撮機器を設置している瞬間が防犯カメラに写っており、特定されて後日逮捕された
- 別件の盗撮事件で捜査されている際、余罪として温泉での盗撮データが見つかり後日逮捕された
日本各地の露天風呂などを盗撮する組織的盗撮事件では、職務質問を皮切りに、多数の関係者が後日逮捕された事件も記憶に新しいところです。
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温泉盗撮の逮捕の可能性はいつまで続く?
後日逮捕の可能性は、起訴されなくなるまで続きます。
起訴の期限のことを公訴時効と呼びますが、公訴時効は成立する犯罪(の刑罰の重さ)に応じて、期間が異なります。
盗撮事件の公訴時効は、罪名にもよりますが1年から3年です。
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盗撮の逮捕率は?
犯罪白書では、温泉盗撮のみの逮捕率については発表されていませんが、参考までに刑事事件全体についてみてみると、令和4年度の身柄率は約34.3%となっています。
刑事事件の身柄率*²
- 総数*²:261,614人
- 逮捕されなかった人:165,655人
- 警察等で逮捕後、釈放された人:6,314人
- 警察等で逮捕後、身柄送致された人:89,480人
- 検察庁で逮捕:165人
- 身柄率:34.3%
*¹ 「令和5年版 犯罪白書 第2編/第2章/第3節」の資料2-2-3-2表より数値を抜粋
*² 過失運転致死傷等および道交法違反を除く
なお、過去にアトム法律事務所があつかった盗撮事件の逮捕率は約31%、勾留率は約13%でした(2023.11.1現在)。
盗撮事件は、逮捕や勾留を回避しやすい刑事事件であるといえそうです。
逮捕された後の流れは?
温泉の盗撮で警察に逮捕された場合、48時間以内に検察官に事件が引き継がれます(送致)。その後、引き続き身体拘束が必要であると検察官によって判断された場合、24時間以内に勾留請求されます。
裁判官によって勾留が決定された場合は、その後も身体拘束が続きます。基本的に、勾留期間は10日間です。勾留延長された場合はさらに10日間以内の範囲で、勾留が延長されます。
逮捕・勾留の期間は、警察や検察から厳しい取り調べが行われるでしょう。取り調べ時の対応方法については『警察の事情聴取(取調べ)をどう乗り切る?不利にならない対応と今後の流れ』の記事が参考になりますので、あわせてご覧ください。
なお、勾留満期までに、検察官によって「起訴」、「不起訴での釈放」、「処分保留での釈放」のいずれかの判断がされる流れとなります。
起訴されれば、刑事裁判を受けることになり、裁判官から言い渡された有罪判決が確定した場合、盗撮事件の前科がつくことになるのです。
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温泉盗撮は何罪で逮捕される?
撮影罪(2023年7月13日以後の盗撮)
2023年7月13日以後の盗撮事件では、撮影罪で逮捕される可能性があります。
撮影罪では、正当な理由がないのに、ひそかに、「性的姿態等」(性的な部位、身に着けている下着、わいせつな行為・性交等がされている間における人の姿)を撮影する行為が処罰対象となります。
温泉の脱衣所で着替え中の姿を盗撮したり、露天風呂の湯舟につかる姿を盗撮する行為は、まさにこちらの撮影罪に問われうるものです。
撮影罪の法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金です。
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迷惑防止条例違反(2023年7月12日以前の盗撮)
2023年7月12日以前の盗撮事件では、撮影罪は適用されず、迷惑防止条例違反の罪が適用されます。
迷惑防止条例とは、盗撮をはじめとする迷惑行為について処罰対象とする条例です。
迷惑防止条例の規定内容は、都道府県ごとに異なります。
しかし、たいていの場合、迷惑防止条例違反の盗撮の法定刑の規定内容は、6月以下の懲役または50万円以下の罰金(あるいは1年以下の懲役または100万円以下の罰金)といったところになるでしょう。
都道府県 | 刑罰 |
---|---|
北海道 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金*¹ |
神奈川県 | 1年以下の罰金または100万円以下の罰金*² |
東京都 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金*³ |
兵庫県 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金*⁴ |
静岡県 | 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金*⁵ |
*¹ 常習の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
*² 常習の場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金
*³ 常習の場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金
*⁴ 常習の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
*⁵ 常習の場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金
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児童ポルノ規制法違反(製造・提供など)
盗撮の被写体が18歳未満の児童である場合、撮影罪や迷惑防止条例違反の他に児童ポルノ規制法違反(正式名称:児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律)で逮捕される可能性があります。
父親と一緒に温泉に入るために男湯にいる女児を盗撮した場合、児童ポルノ禁止法違反で逮捕される可能性があります。
児童ポルノ禁止法違反の内容 | 刑罰 |
---|---|
単純所持 | 1年以下の懲役又は100万円以下の罰金 |
特定又は少数の者への提供 上記目的での製造・所持・運搬・輸出入 | 3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 |
不特定若しくは多数の者への提供、陳列 上記目的での製造・所持・運搬・輸出入 | 5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金 又は両方とも併科 |
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建造物侵入罪
温泉での盗撮事件は、建造物侵入罪で逮捕される可能性もあります。
盗撮目的で男性が女湯に侵入した場合など、建造物侵入罪で逮捕される可能性があります。
建造物侵入罪の法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。
温泉盗撮で逮捕されても不起訴になる?
温泉盗撮でも不起訴の可能性はあり
実際に盗撮をおこなった場合でも、不起訴処分を獲得できる可能性が大いにあります。
特に、被害者の方との示談を成立させていることや、常習性が認められないこと、再犯防止のための対策をたてていることなどの事情がある場合は、不起訴で事件が終結する可能性があるでしょう。
盗撮事件で不起訴処分を得るためにすべき具体的な内容については、『盗撮事件で不起訴処分を得るには?早期に弁護士に相談を』の記事をあわせてご覧ください。
なお、温泉盗撮の場合は、略式起訴で事件が終結する可能性もあります。略式起訴とは、公開の法廷で刑事裁判を起こさず、書類審査のみで罰金刑となる簡易な手続きのことです。略式起訴について詳しくは『略式起訴の要件と罰金相場|前科はつく?起訴・不起訴との違いは?』の記事をご覧ください。
略式起訴であっても、有罪判決が確定すれば前科が付くことになります。前科を回避したいなら、不起訴処分を目指す必要があるでしょう。
盗撮事件の不起訴率は?
過去に、アトム法律事務所であつかった盗撮事件の不起訴率は約77%です(2023.11.1現在)。
なお、法務省が発表する犯罪白書では、温泉盗撮の逮捕事件のみの不起訴率は掲載されていませんが、参考までに刑事事件全体についてみてみると、令和4年度に起訴された人は227,597人、不起訴になった人は479,092人でした。
令和4年度の刑事事件全体の不起訴率は約67.8%程度といえそうです。
刑事事件の起訴・不起訴*¹
- 起訴:227,597人
うち公判請求*²:69,066人
略式命令請求*³:158,531人 - 不起訴:479,092人
うち起訴猶予*⁴:419,846人
起訴猶予以外の不起訴*⁵:59,246人
*¹ 「令和5年版 犯罪白書 第2編/第2章/第4節」の資料2-2より数値を抜粋。家庭裁判所送致の人数(38,377人)も発表されているが、ここでは起訴、不起訴の人数のみ掲載。
*² 公判請求とは、公開の法廷で審理される裁判を求めて、検察官が刑事裁判を提起(通常起訴)すること。
*³ 略式命令請求とは、簡易裁判所の書面審理を求めて、検察官が刑事裁判を提起(略式起訴)すること。被疑者の同意を得る必要がある。略式裁判手続きでは、一定金額以下の罰金刑や科料の言渡しのみできる。
*⁴ 起訴猶予とは、不起訴の一類型で、犯罪の嫌疑はあるが、検察官が起訴しないという不起訴処分のこと。
*⁵ 起訴猶予以外の不起訴には、訴訟条件を欠く、罪とならず、嫌疑なし、嫌疑不十分などの理由がある。
不起訴になった解決事例
アトム法律事務所は設立当初から刑事事件をあつかい、盗撮事件についても解決実績豊富な弁護士事務所です。
過去にアトム法律事務所であつかった温泉盗撮に関する事件については、以下のような解決事例があります。
温泉盗撮 逮捕事件(不起訴処分)
温泉旅館で、家族風呂を盗撮したため、迷惑防止条例違反の容疑で現行犯逮捕された事案。
弁護活動の成果
謝罪を尽くし被害者家族4名と示談が成立。
検察官に不起訴意見書を提出。
最終処分
不起訴
温泉盗撮 在宅事件(逮捕なし・不起訴処分)
温泉で女児が胸部などを露出しているところを撮影した盗撮動画の編集を依頼され、動画編集をおこなった後、依頼者に編集データを提供した行為によって、児童ポルノ法違反(提供)の在宅捜査をうけた事案(逮捕なし)。
弁護活動の成果
謝罪を尽くし被害者側と示談が成立。
検察官に不起訴相当であると主張。
最終処分
不起訴
温泉盗撮の逮捕でよくある質問
Q.温泉盗撮は何がきっかけで逮捕されることが多い?
温泉の浴室や脱衣所などに設置した盗撮機器が見つかって、逮捕されるケースが多いでしょう。
もっとも、実際にどのように盗撮がバレて逮捕されるかは、盗撮のタイミングや盗撮の手法に応じてケースバイケースです。不自然にカメラをタオルで隠して盗撮していたり、盗撮機器を設置しようと不法侵入したりしたタイミングでバレて逮捕されることもあります。
Q.温泉盗撮の映像を見ただけでも逮捕される?
温泉盗撮の映像や画像を見ただけなら、ただちに犯罪にはならないでしょう。
たとえば、第三者がネット上にアップロードした盗撮映像を偶然にしろ、興味本位にしろ、視聴しただけでは犯罪にはなりません。たとえ、その盗撮映像が無修正であったとしてもです。
ただし、その無修正の盗撮映像をダウンロードして別のサイトにアップロードしなおしたり、児童が写っていた盗撮映像をダウンロードして所持したりすれば犯罪となります。
Q.相場の示談金を払えば逮捕されることはない?
相場の示談金を支払ったからといって、盗撮事件で必ず逮捕されないとは限りません。逮捕は、逃亡や証拠隠滅のおそれがある場合に行われる可能性があるものだからです。
ただし、弁護士を通じて適切な示談交渉が進められ、被害者に示談金を支払って謝罪の意を示している点は、逮捕をはじめ、起訴するかどうかの刑事処分に一定程度の影響を与えるでしょう。
盗撮の示談金に一定の決まりはありませんが、10万円~50万円など数十万円程度が相場といわれています。
もっとも、不特定多数の人が出入りしている温泉での盗撮の場合、被害者一人ひとりを特定して連絡すること自体がむずかしく、そもそも示談できない可能性があるでしょう。被害者を特定できない場合、盗撮行為による風評被害などで多大な迷惑をかけた温泉施設に対して示談交渉することも有効な可能性があります。
温泉盗撮でどういった示談の方向性ですすめていくかは、弁護士に相談しながら決めていくのがおすすめです。
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Q.温泉盗撮の逮捕で生じる社会的リスクは?
温泉での盗撮が発覚すると、さまざまな社会的リスクにさらされます。
- 家族や会社・学校に盗撮事件を知られる
- 会社をクビになる、学校を退学になる
- 全国ニュースで実名報道される
たとえば、盗撮で逮捕されると家族は当然、会社・学校に知られてしまいかねません。事件がバレると、会社をクビになったり、学校を退学になったりといった処分を受けることもあるでしょう。
また、全国ニュースで実名報道され、ネットニュースが残り続けたり、ニュースがSNSで拡散されたりするかもしれません。
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温泉盗撮の逮捕のお悩みは弁護士に相談
温泉盗撮の逮捕事件を弁護士相談するメリット
弁護士相談のメリット(一例)
- 盗撮事件の取り調べ対応のアドバイス
- 逮捕や起訴を回避するため弁護活動
- 早期釈放のための弁護活動
- 実名報道を回避するための弁護活動
- 被害者との示談交渉をおこなう
など
温泉盗撮の逮捕のお悩みがある方へ。
盗撮事件に強い弁護士は、取り調べ対応のアドバイス、逮捕を回避するための対策、逮捕後の早期釈放、実名報道の回避、不起訴処分の獲得など、あらゆる弁護活動を効果的に迅速に実行してくれます。
また、盗撮事件の解決にとっては、被害者の方との示談も非常に重要です。
盗撮事件は被害者との示談成立により、逮捕や起訴を回避できる可能性がある刑事事件です。アトム法律事務所の弁護士は、被害者の方への誠意のある対応をこころがけ、示談交渉に取り組んでいます。
なお公務員、教職員、医師などの職業に就いている場合、逮捕されれば、実名報道される可能性が高いものです。警察に対して、報道機関に実名をリークしないよう要望する意見書を差し入れることなど、早期に実名報道を回避するための対策をとることが重要になります。
まずは弁護士相談をうけてみて、自分の盗撮事件についてどのような解決方法があるのかを確かめてみましょう。
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