スマホを一瞬だけ見ようとした脇見運転や速度超過などは、誰もがしてしまいがちな運転ですが、実際に事故を起こすと、どのような処罰があるのでしょうか。
- 前方不注意や巻き込み確認不足で人身事故を起こしてしまった・・・
- 初めての事故だけど、前科がついてしまうのが怖い・・・
この記事では、交通事故の加害者となってしまった場合に、過失運転致死傷の初犯で言い渡される刑罰や判決について解説していきます。
過失運転で交通事故を起こしてしまい、どのような判決を受ける可能性があるのか不安な方は、本記事をご参考にしてください。
※ 無料相談の対象は警察が介入した事件の加害者側です。警察未介入のご相談は原則有料となります。
目次
過失運転で事故を起こしてしまったら?
自動車を運転中に注意不足で事故を起こし、被害者が負傷した場合や、不幸にも被害者が亡くなってしまった場合には、過失運転致死傷罪が適用されます(自動車運転処罰法5条、正式名称略)。
刑罰としては、「7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
自動車運転処罰法5条
過失運転とは
自動車の運転に必要な注意義務を怠った運転が過失運転とみなされます。
前方不注意、巻き込み確認不足、スマホを見ながらの運転などは、すべて過失とみなされます。
これらの過失により交通事故を起こし、被害者が負傷したり亡くなったりしたのであれば、過失運転致死傷罪に問われる可能性があります。
過失運転致死傷で起訴され、前科がつく可能性は低い?
令和3年度の犯罪白書によると、過失運転致死傷の起訴率は13.5%となっており、8割以上の事故加害者は起訴されていないことが分かります。
つまり、8割以上の事故加害者については刑事手続きにかけられることがないため、前科がつく心配もありません。
ですが、被害者が大きな怪我を負うような事故や重大な過失のある事故を起こしてしまった場合には、起訴されてしまうケースも考えられます。
起訴後、裁判で有罪が確定してしまうと、懲役刑・禁錮刑・罰金刑のいずれかが科されます。
懲役と禁錮の違いについては、『刑罰の種類とは?禁錮と懲役の差って何?』の記事もご覧ください。
過失運転致死傷の罰金相場は?
過失運転致死傷で有罪が確定し、罰金刑が科された場合の相場は30~50万円程となります。
事案や事故状況により、罰金額は増減しますのであくまでも目安としてお考えください。
アトム法律事務所の過失運転致死傷の解決実績の中から算出すると、46万8,125円が罰金の平均額となります。
また令和3年度の犯罪白書をもとに算出してみても、45万円前後が罰金の平均額となっております。
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・罰金とは|前科と前歴の違いや略式起訴について弁護士が解説します
過失運転致死傷の懲役・禁錮の量刑相場は?
過失運転致死傷罪の場合、実務上、懲役刑ではなく禁錮刑が科されます。
一方、単なる過失による事故以上の責任があるような場合は、懲役刑となることもあります。
例えば、ひき逃げをしてしまった場合や、飲酒運転、無免許運転で事故を起こしてしまったような場合です。
過失運転致死傷で実刑判決を受けた場合の刑罰について、犯罪白書をもとに算出した量刑相場をご紹介します。
実刑判決の量刑相場
- 過失運転致傷:禁錮6か月~1年
- 過失運転致死:禁錮2年~2年6か月
(参照元:令和3年度犯罪白書)
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過失運転致死傷の初犯判決
過失運転致死傷で有罪となる場合には、一般的に罰金刑か禁錮刑が科されることになります。
中でも初犯の判決となると、罰金刑か執行猶予つきの禁錮刑を言い渡されることが大半です。
ただ、過失運転致死傷の初犯だとしても、被害者の人数や怪我の程度、過失の重さによっては、実刑判決になる可能性もありますので油断はできません。
実例としては、十名以上の死傷者が発生してしまった事故や、スマホを見ながらの運転で引き起こした死亡事故などで、実刑判決が実際に出ています。
ここでは、過失運転致死傷の初犯の刑罰や執行猶予について解説していきます。
過失運転致傷の初犯判決
過失運転により被害者を負傷させ、起訴されてしまうと、初犯の場合にはほとんどが罰金刑となるでしょう。
ですが、被害者の怪我の治療に長い時間がかかる場合や、完全に治療できず後遺症が残るほど重い症状の場合には、罰金ではなく実刑もしくは執行猶予付き判決となる可能性もあるので、注意が必要です。
被害者がどの程度の怪我をすると、加害者が実刑を受けるのかについては、明確な基準はありません。刑事処分について少しでも不安がある方は、事故加害者をはじめとした刑事弁護の実績が豊富なアトム法律事務所の弁護士までご相談ください。
アトムの解決事例
過失運転致傷(罰金刑)
路上で車に衝突し、複数名を負傷させ、うち1名は後遺障害の認定を受けた過失運転致傷の事案。
弁護活動の成果
自動車保険金とは別に慰謝料を追加で支払い、被害者から嘆願書を入手。略式起訴となった。
最終処分
罰金100万円
過失運転致死の初犯判決
過失運転により被害者が亡くなり、起訴されてしまうと、初犯の場合には罰金刑もしくは執行猶予つき禁錮刑の判決となるでしょう。
しかし、運転手に重い過失がある場合には、たとえ初犯でも実刑判決を受けてしまう可能性が出てきます。
過失運転致傷 | 過失運転致死 | |
---|---|---|
軽い過失 | 罰金 | 罰金か執行猶予つき禁錮 |
重い過失 | 罰金か執行猶予つき禁錮 | 執行猶予つき禁錮か実刑 |
もちろん加害者の過失が重くない場合には、罰金刑か執行猶予つきの禁錮刑となる可能性が高いでしょう。
アトムの解決事例
過失運転致死(執行猶予つき禁錮刑)
自動車死亡事故事案。依頼者は大型貨物車を運転中、交差点を周囲を注視せずに左折して、自動車に衝突。衝突した自動車に乗車していた被害者は病院に搬送され、その後死亡した。過失運転致死の事案。
弁護活動の成果
裁判の場で情状弁護を尽くし、執行猶予付き判決を獲得した。
最終処分
禁錮2年(執行猶予4年)
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初犯なら必ず執行猶予がつくのか?
交通事故の初犯で懲役・禁錮刑が言い渡される場合には、執行猶予がつく可能性が高いです。
ですが罰金刑ではなく懲役・禁錮刑の場合は、悪質性の高い事故とみなされている可能性が高いため、油断は禁物です。
事故後の対応や、誠意ある反省の態度などが判決に考慮される場合もありますので、加害者となってしまった場合には、早期の弁護士相談をおすすめします。
執行猶予付きの判決を獲得できる条件や実刑との違いは、関連記事を参考にしてください。
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・執行猶予にしてほしい。懲役実刑との違いは?執行猶予中の逮捕で取り消し?
初犯ではない場合はどうなる?
過去にも交通事故を起こしたことがある方は、初犯と比べて責任を厳しく追及されやすくなってしまいます。
過去に違反をしていながら、再度事故を起こしているため、「交通規則を守る意思がない者」とみなされてしまうのです。
この場合には執行猶予がつかず、実刑判決を受ける可能性が高くなります。
弁護士に相談するタイミングとメリットは?
交通事故の初犯だとしても、被害者の怪我の程度や被害人数によっては刑罰が重くなる可能性があります。示談や謝罪が全くできていない状況も同様です。
そのため、「初犯だから大丈夫」と油断はしないようにしましょう。
最後に、弁護士へ相談すべきタイミングとメリットを解説します。
事故直後に弁護士相談|事故後の正しい対応を把握!
初めて交通事故を起こしてしまうと、気が動転してしまい、適切な対処法が分からなくなってしまう方が多いです。
事故直後から弁護士へ相談することで、今後の処分の見通しや、警察の取り調べへの対処法を早い段階で知ることができます。
また事故発生直後から弁護士が事情を把握することができますので、刑の減軽に向けた弁護活動をスムーズに行うことができるのも大きなメリットです。
示談の際に弁護士相談|被害者と正しく示談を結ぶ!
交通事故の示談は、多くの方が保険会社に任せているでしょう。
ですが、保険会社の示談は「賠償金の支払い」を行うものであり、相手を許すという内容が盛り込まれていない場合もあります。
そのため、保険会社による示談とは別に、被害者に事件を許してもらわなければなりません。「刑事処罰を求めない」という嘆願書を被害者からもらうことが理想です。
弁護士を使うことで、被害者との示談交渉をスムーズに進められ、検察官に対して示談の存在をアピールし、不起訴を検討してもらうよう交渉することが可能です。
加害者として謝罪をする場合、その進め方についても弁護士がサポートしてくれます。
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・交通事故加害者が謝罪する正しいマナー、トラブル防止方法を弁護士が解説
判決確定前に弁護士相談|裁判の準備を!
過失運転致死傷で在宅のまま捜査が進み、事件が検察官に起訴されてしまうと、自宅に起訴状が届けられます。
こうなってしまうと、もはや公開の裁判は避けられませんから早急に裁判の準備をしなければなりません。裁判をするためには弁護士が必要です。
起訴状と一緒に「弁護士の選任をするように書かれた通知書」が送られてきます。私選弁護人を依頼するか国選弁護人を希望するか決めることになります。
どうすれば良いのか判断がつかなければ、一度弁護士の無料相談を受けてみることをおすすめします。
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・「弁護人選任に関する回答書」の書き方(パターン別)、国選弁護人と私選弁護人の違いを解説!
交通事故のお悩みはアトムにお任せください!
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- 示談による早期解決
弁護士への相談が早いほど交通事故事件がスピーディーに解決し、平穏な生活に戻れるのも早くなります。
アトム法律事務所は刑事事件に注力する事務所としてこれまでに数多くの交通事故事件を解決してきた経験と実績があります。