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詐欺罪は逮捕されたら初犯でも実刑?懲役の平均・執行猶予の割合もわかる

詐欺の初犯は実刑?

近年「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺が社会問題化しています。特殊詐欺は初犯でも実刑になる可能性が高い犯罪です。 しかし、軽い気持ちで詐欺の受け子になったり、特殊詐欺に加担してしまう方も少なくありません。

詐欺罪は重大犯罪ですので重たい刑事処分が見込まれます。この記事では、詐欺罪における初犯の場合の刑罰の見込みや刑罰(法定刑)、執行猶予が付く可能性などについて解説します。

詐欺事件でできる限り重たい刑事処分を回避し、スムーズに社会復帰をするためには、迅速かつ適切な弁護活動が不可欠です。詐欺を起こしてしまったご本人や、息子さんなど大切なご家族が逮捕されてしまったという方はできるだけ早い段階で刑事事件の経験が豊富な弁護士までご相談ください。

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詐欺罪は初犯でも実刑になる?

詐欺罪は場合によって初犯でも一発実刑になる

詐欺の中でも、より悪質とされる「特殊詐欺」や「保険金詐欺」は、初犯でも一発実刑になる可能性が高い犯罪です。たとえば、受け子のような詐欺グループの末端者でも、実刑になれば懲役1年6月~2年程度の刑期となることが多いといわれています。

特殊詐欺とは、犯人が電話やハガキ(封書)等で親族や公共機関の職員等を名乗って被害者を信じ込ませ、現金やキャッシュカードをだまし取ったり、医療費の還付金が受け取れるなどと言ってATMを操作させ、犯人の口座に送金させる犯罪(現金等を脅し取る恐喝や隙を見てキャッシュカード等をすり替えて盗み取る詐欺盗(窃盗)を含む。)のことです。

警視庁HP「特殊詐欺とは」より引用

特殊詐欺は「オレオレ詐欺」が代表的ですが、「架空請求詐欺」「預貯金詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」「還付金詐欺」など様々な手口があります。

初犯でも一発実刑になり得える詐欺罪ですが、言い換えれば軽微な詐欺事件なら弁護活動を尽くすことで不起訴になったり、実刑を回避して執行猶予を獲得できたりする可能性もあるでしょう。

いずれにせよ、お困りの事件では実刑となってしまうのか、不起訴や執行猶予の可能性があるのかなどの疑問は弁護士に相談して聞いてみましょう。

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詐欺罪の量刑で重視される事情は?

詐欺罪の量刑を決める際、裁判官が最も重視するのは「行為態様の悪質性」と「結果の重大性」です。

たとえば、特殊詐欺のような組織的犯罪であったり、手口が卑劣かつ巧妙で悪質性が高かったりすると、行為態様の悪質性が高いと判断され、厳しい刑罰が予想されます。また、被害額が多額であればあるほど、結果の重大性が高いと判断され、量刑が重くなるのです。

さらに、特殊詐欺の場合は、犯人を厳しく処罰することで社会一般の人が犯罪を行わないようにするという一般予防の観点も重視されます。したがって、特殊詐欺はたとえ初犯であっても実刑になることが珍しくないのです。

詐欺罪は懲役?罰金?詐欺罪の刑罰

詐欺罪の刑罰(法定刑)

詐欺罪の刑罰(法定刑)は「10年以下の懲役刑」と規定されています(刑法246条)。詐欺罪に罰金刑はありません。

したがって、詐欺罪で起訴されれば、無罪にならない限り、実刑判決か執行猶予付き判決のいずれかが下されます。執行猶予が付けば、ただちに刑務所に行くことはありません。ただし、執行猶予が付いても有罪である以上、前科になります。

詐欺が未遂で終わった場合や自首した場合

詐欺罪は未遂でも処罰される犯罪で、未遂の場合も基本的に法定刑は「10年以下の懲役刑」です。もっとも、既遂に比べて未遂は刑が軽くなる可能性があります。

未遂でも、自らの意思で犯行をやめた場合(中止犯といいます)には、必ず刑罰が減軽または免除されます(刑法43条)。また、自分の意思でやめたわけではないが結果として未遂に終わった場合には、裁判所の判断で刑を減軽してもらえることもあるでしょう(同条)。詐欺未遂についてより詳しくは『詐欺未遂罪とは?刑罰は懲役?逮捕の流れや弁護活動は?』の記事をご確認ください。

未遂のほか、犯人が特定される前に自首した場合も刑は減軽されます(刑法42条)。

減軽とは?

法律上懲役刑が減軽される場合は、その下限と上限が2分の1されます。懲役刑は1月が下限ですので、詐欺罪が減軽されると「15日以上5年以下」の範囲で懲役刑が言い渡されることになります。

なお、未遂の場合は重大な結果を生じさせてはいませんので、法律上の減軽は認められなかったとしても、実際に言い渡される量刑は既遂の場合よりも軽くなる可能性は高いといえましょう。

詐欺罪の刑期は懲役何年が平均?

令和5年版の犯罪白書によれば、2022年に詐欺罪の裁判(通常第一審)で有期懲役となった3,239人のうち、最も割合が多いのは1,705人の2年以上3年以下の懲役、次に多いのが1,063人の1年以上2年未満の懲役です。これらは、詐欺罪で有期懲役となった全体の8割超を占めています。

したがって、詐欺罪の刑期は、懲役1年以上3年以下が平均といっていいでしょう。

一方、全体の1割ほどにあたる398人は3年を超える年数の実刑判決を受けており、そのうち7年超の長期実刑になっている者は6人います。

詐欺罪で有期懲役となった人数と刑期

刑期人数
7年超10年以下6
5年超7年以下52
3年超5年以下340
2年以上3年以下1,705
1年以上2年未満1,063
6月以上1年未満71
6月未満2

※「令和5年版 犯罪白書 第2編/第3章/第3節/2」2-3-3-3表 通常第一審における有期刑(懲役・禁錮)科刑状況 より参照
※執行猶予付きも含めた人数

詐欺罪における実刑と執行猶予の割合

2022年における詐欺罪の実刑率は約40%、執行猶予率は約60%です(令和5年版の犯罪白書より算出)。

詐欺罪の裁判(通常第一審)で有期懲役となった3,239人のうち、実刑判決を受けた人数は1,312人で、全部執行猶予がついた人数は1,927人となっています。つまり、詐欺罪で起訴され有罪になると、約5分の2の割合で実刑判決を受けることになります。

ちなみに、アトム法律事務所で実際に取り扱った事例の統計では、実刑率は28%でした。

刑事罰を受けることになる詐欺罪の成立要件

刑事罰を受けることになる詐欺罪は、客観的に「相手方をだます行為(欺罔行為)」によって、「相手方を錯誤に陥らせ」、「それに基づく処分行為により」、「財物・財産上の利益を行為者または第三者に移転させたとき」に要件が成立します。

また、主観的には詐欺の故意があることも必要です。故意とは、成立要件のすべての事実を認識・認容していることです。ただし、詐欺罪に当たるとの認識までは必要なく「詐欺かもしれないしその他の犯罪かもしれない」という概括的な認識があれば足りるとされています(東京高判平成30年3月7日)。

詐欺罪で逮捕される可能性は高い?逮捕後の流れは?

詐欺罪で逮捕される割合(身柄率)

令和5年版の犯罪白書によれば、2022年に詐欺容疑で逮捕された人の割合(身柄率)は47.7%です(令和5年版 犯罪白書「被疑者の逮捕と勾留」より参照)。

一方、刑法犯と特別法犯(過失運転致死傷等及び道交違反除く)を合わせた全体の身柄率は34.3%であることから、詐欺容疑で逮捕されて身柄が拘束される確率は比較的高いことが分かります。

詐欺で逮捕される確率が高い理由は、逃亡と罪証隠滅のおそれが高いと考えられるからです。詐欺罪の法定刑は重く、しかも実刑判決になる可能性が高いため逃亡の動機を抱きやすい犯罪といえます。また、組織的詐欺の場合、仲間と口裏合わせをして証拠隠滅するおそれが高いとも考えられています。

詐欺で逮捕されるのは、受け子等が現行犯逮捕されるケースや、防犯カメラ等の証拠をもとに後日逮捕されるケースが一般的です。

詐欺罪で逮捕された後の流れはどうなる?

詐欺罪で逮捕された後は、警察署に連行され取調べを受けます。取調べを受けたら署内の留置場で生活することになります。

逮捕の流れ

警察は、逮捕後48時間以内に事件を検察官に引き継ぎしなければなりません(検察官送致)。

検察官は引き続き身柄拘束の必要があると考える場合、送致から24時間以内に裁判官に勾留請求します。裁判官は、裁判所で被疑者と面会し勾留するかどうか決めます。

令和5年版の犯罪白書によれば、2022年における詐欺罪の勾留請求率は99.4%で、そのうち約99%以上が認容されています(令和5年版 犯罪白書「被疑者の逮捕と勾留」より参照)。勾留後は原則10日間、さらに延長されれば追加で10日間以内も、留置場で生活しなければなりません。

逮捕・勾留から最長23日後に検察官が起訴・不起訴の決定を行います。詐欺事件で逮捕された場合の手続きの流れについては、関連記事『詐欺事件で逮捕されたら弁護士に相談を|前科をつけないために』でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

重要

起訴されれば刑事裁判が開かれ、無罪にならない限り前科がついてしまいます。

詐欺罪で逮捕されたら長期にわたり身動きできないことを念頭においてください。何もしないままではあっという間に時間が過ぎて前科がつくことになりかねません。

おすすめは私選弁護士に依頼することです。逮捕後72時間は家族も面会できませんが、弁護士であればすぐに接見できます。国選弁護士と違って、私選弁護士は刑事事件に強い弁護士を選べる点もメリットです。刑事弁護の実績豊富な私選弁護士に依頼して、迅速に示談交渉を開始してください。

未成年が詐欺罪を犯した場合

未成年が詐欺をした場合や詐欺に加担した場合も、成人と同様に逮捕されます。しかし、逮捕・勾留後の流れは成人の場合と異なり、家庭裁判所での調査や観護措置(4週間程度の鑑別所への収容など)を経た後、少年審判を受けることになります。

少年審判では、更生という観点から処分が下されるため、少年審判で刑罰を科せられることはなく前科もつきません。ただし、少年審判の開始時に成人している場合には、たとえ詐欺をしたのが未成年の頃であったとしても成人と同様に通常の裁判にかけられることになります。

※なお、本文記載の未成年(少年)とは20歳未満の少年のことであり、成人とは20歳以上の者を指しています。民法上の成人(民法第4条)とは異なります。

関連記事

未成年が詐欺罪で逮捕された後の流れは?捜査や少年審判の対応方法

詐欺罪で実刑を回避して執行猶予をつけるには

詐欺罪で執行猶予の可能性を高める事情とは?

詐欺罪の場合、次のような事情があると執行猶予付き判決の可能性が高まるでしょう。

  • 示談が成立している
  • 真摯に反省している
  • 犯行への関与度合いが低い
  • 詐欺未遂罪にとどまる
  • 詐欺グループについて知っていることを全て素直に供述している
  • 被害者が加害者側を宥恕(許すという意味)している
  • 同居家族や雇用主など監督者がいる

この中でも特に重要性が高いのは示談の成立です。詐欺罪のような財産犯では、示談によって被害が回復したと同視でき、処罰の必要性が低下するからです。

次に詐欺事件の示談交渉をどのように進めれば良いのか見ていきましょう。

執行猶予の獲得に影響する示談の方法

詐欺事件の示談交渉を進めるために、最も基本的で最も大切なことをお伝えします。それは、必ず弁護士に示談交渉を依頼していただきたいということです。

示談交渉では、示談金の支払だけでなく、被害届の取り下げや宥恕をお願いする必要があります。このような交渉は、当事者同士では難しく、弁護士という専門的な第三者を介した方がスムーズに進みます。

示談金額の交渉に際しても、弁護士を介すことで、適正金額の範囲内で交渉がまとまることが期待できます。詐欺の示談金に明確な相場はありません。被害額に慰謝料も合わせた金額とすることで量刑上有利に考慮されやすくなるでしょう。

被害者の連絡先が分からないケースでも、弁護士であれば検察官等に問い合わせることが可能です。

なお、受け子など詐欺グループの末端者は報酬が数万円のケースが多いですが、報酬分さえ弁償すればいいわけではありません。被害額が数百万円に上り全額弁償が困難な場合でも、できる限り示談金を用意したり、分割弁済を申し出るなど謝罪の意を具体的に示すことが必要です。

もし、示談が成立しない場合、被害弁償を行うことも一つの方法です。示談は被害者の許しを得ることに重きを置きますが、被害弁償は金員の支払いより損害を回復することを目的とします。被害弁償を行った場合も、不起訴や執行猶予の可能性が高まります。

詐欺事件の弁護を弁護士に依頼するメリットとは?

詐欺事件を解決するには、早めの段階で弁護士が介入するのがポイントです。早期に示談が成立すれば、得られるメリットもそれだけ大きくなります。

関連記事『詐欺加害者の弁護士|詐欺に強い弁護士とは?弁護士費用や選び方がわかる』では詐欺事件で弁護士に相談すべき理由や弁護士の選び方を解説していますが、ここからは詐欺事件の弁護を弁護士に依頼する具体的なメリットを紹介していきます。

刑事事件化の防止が期待できる

逮捕される前に弁護士に依頼すれば、示談交渉をいち早く開始できます。迅速な示談によって、刑事事件化を防げる可能性があります。また、刑事事件化を防げば逮捕も回避でき、会社や周りに詐欺事件のことを知られるおそれもなくなるでしょう。

アトム法律事務所は、早期の示談成立により刑事事件化を防いだ実績があります。アトム法律事務所が実際に取り扱った事例の統計では示談率が80%でした。

早期釈放が期待できる

詐欺事件は長期の身体拘束をされる可能性が高い犯罪です。しかし、弁護士に依頼すれば早期釈放が期待できます。

具体的には、示談書や監督誓約書などを提出し、逃亡・罪証隠滅のおそれがないため勾留しないよう主張します。勾留された場合、準抗告を申し立てます。さらに、起訴後は保釈の申立てを行います。

このように、弁護士は刑事手続きの各段階で身体拘束からの解放を粘り強く求めます。

不起訴が期待できる

初犯で被害額が小さい、詐欺未遂にとどまるなどの事情があれば示談成立によって不起訴になる可能性が高まります。

また、特殊詐欺事の受け子になってしまったケースで、本当に詐欺に加担するとは知らなかった場合もあるでしょう。そのような場合、弁護士から取り調べに関するアドバイスを受けることで、不起訴処分を獲得できる事例もあります。

執行猶予や刑の減軽が期待できる

示談が成立すれば、執行猶予の判断にあたり被告人に有利に考慮されます。執行猶予期間満了後は刑の言い渡しが効力を失い、刑務所に行く可能性もなくなるので、安心して社会復帰を果たすことができるでしょう。

また、執行猶予が難しい場合でも、示談成立によって刑の減軽が期待できます。

アトム法律事務所では特殊詐欺の事案で、被害金還付などの弁護活動を尽くし、実刑判決を回避して懲役3年執行猶予5年の判決を獲得した解決事例があります。

実刑になるのが不安な方やそのご家族は、まずは一度弁護士に相談することをおすすめします。

詐欺罪で実刑回避・執行猶予獲得を目指すなら弁護士相談

詐欺事件で逮捕されそう、実刑をなんとか回避したいなどのお悩みがある方は、アトム法律事務所の弁護士相談をご利用ください。詐欺事件で逮捕されたご家族の方でもご利用いただけます。

アトム法律事務所では、警察が介入した事件で初回30分の無料相談を実施中です。

無料相談をご希望の場合は、受付窓口から相談予約をお取りください。受付窓口は24時間365日いつでもつながります。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了