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【弁護士監修】刑事事件の流れ|逮捕後23日以内にすべき対応

刑事事件の流れ

ご家族やご友人など大切な方が逮捕され、今後の流れが分からず不安に苛まれる方は多いと思います。
何をすべきか分からない、混乱して動けないという方も少なくありません。
しかし、刑事事件は時間との勝負です。
できるだけ早く、適切なタイミングでなすべき対応を取り最良の結果につなげるためには、刑事事件の流れを知っておくことが重要です。
逮捕・勾留はどう進むのか、示談はいつすべきか、刑事裁判になるかはいつ決まるのかなど、ここでは、刑事事件の流れについてご説明します。

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刑事事件発生~解決までの流れ

刑事事件の基本的な流れの図解

逮捕の流れ

刑事事件の流れのどの段階で弁護士に依頼すべき?

刑事事件を起こしてしまったら、すぐに弁護士に相談・依頼すべきです。逮捕される前でも、被害届を出される前でも構いません。刑事事件から時間がたち、既に逮捕・勾留されたり、起訴されることが決まった場合でも、あきらめずにその段階ですぐに弁護士に相談・依頼してください。

刑事事件の流れの中で、依頼する段階が早ければ早いほど、弁護士が対応できる範囲が広がります。タイミングによっては、弁護士が間に入ることで、逮捕を阻止する、早期釈放を実現する、起訴を避けて前科を防ぐ、刑事裁判で実刑を回避する等の対応ができる可能性が高まります。

刑事事件の示談はどのタイミングでするべき?

刑事事件の示談は、できるだけ早くすべきです。そもそも示談とは、当事者間の合意を言います。「今回の刑事事件を許した」「事件に関してお互いに解決した」という示談の内容を、刑事事件の手続きの早い段階で示すことで、有利な事情として考慮される場面が増えるからです。

ただし、刑事事件の示談は当事者だけですることはお勧めしません。無理に被害者に示談をしてもらおうとすると、脅迫・強要などの別の犯罪が疑われる可能性があります。また、示談で合意すべき内容は刑事事件のタイミングによって異なります。示談するときは、弁護士を間に入れて行うことをお勧めします。

刑事事件で示談すべき理由や、刑事事件の示談金の相場について詳しく知りたい方は『刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介』の記事をご覧ください。

逮捕・勾留されない【在宅事件】とは?

刑事事件が発覚しても、必ず逮捕・勾留されるとは限りません。特に身元が明らかな会社員などで初犯のケースでは、事情聴取だけで釈放されることもあります。しかしこの場合でも、警察は事件の捜査を進めており、呼び出しがあれば取調べを受けます。このような類型を【在宅事件】といいます。

在宅事件では、釈放され日常生活を送ることができますが、無罪になったわけではありません。度々警察に呼び出されることもありますが、連絡がなく安心していると突然検察庁に呼び出され、罰金刑が確実になっていることもあります。在宅事件でも安心せず、弁護士に早く相談することが大切です。

①刑事事件発生~逮捕までの流れ

(1)事件発生その場での現行犯逮捕

現行犯逮捕は、今まさに犯罪をしたり、犯行直後の犯人を逮捕することを言います。現行犯逮捕は、逮捕状なく一般人もすることができます(刑事訴訟法212条1項、213条)。具体的には、痴漢で被害者や周囲の第三者に捕まるケース、万引きをして店員に捕まるケースなどが多いです。

現行犯逮捕は、すぐに犯人を警察官等に引き渡す決まりなので(同法214条)、駆けつけた警察官によって最寄りの警察署に連行されるのが通常です。現行犯逮捕されても当日中に釈放されることもありますが、そのまま警察署の留置場にとどめ置かれて取り調べを受けることもあります。

(2)事件発生後の後日逮捕(普通逮捕)

普通逮捕は、事前に裁判官が発行した逮捕令状に基づく逮捕のことを言います(憲法33条、刑事訴訟法199条1項)。逮捕令状は、一定階級以上の警察官や検察官等が裁判官に請求し、裁判官が逮捕の理由(犯罪をしたと疑う相当の理由)と必要性(逃亡や証拠隠滅の恐れ)があると認めた場合に発行します。

具体的には、被害届の提出等で事件を知った警察が捜査を行い、犯人を知った場合に逮捕状を請求して逮捕するケースが典型です。被疑者が会社員の場合、逮捕令状を持った警察官が出勤前に自宅に来て逮捕することもあります。普通逮捕されると、通常は留置場にとどめ置かれて取り調べを受けます。

(2-1)警察の捜査が開始される

捜査とは、公訴(刑事裁判)の提起と遂行のため、犯人や証拠を発見・収集・保全する手続きのことを言います(刑事訴訟法197条)。捜査には、相手の同意を前提とする「任意捜査」と、強制的に直接力を加えたり法的義務を負わせる「強制捜査」の二種類があります。

任意捜査の例として取調べや調書の作成、鑑定、実況見分等が、強制捜査の例として身体検査や家宅捜索などがあります。任意捜査の場合でも、長時間に及ぶ執拗な取調べで、事実と異なる調書への同意を精神的に強制される恐れも否定できません。任意捜査でも弁護士に相談して対応することが重要です。

(2-2)被疑者の任意同行・任意取調べ

任意同行・任意取調べとは、警察などの捜査機関が、犯罪の容疑がかかった逮捕前の人(被疑者)を警察署に出頭させ取調べをすることを言います(刑事訴訟法198条1項)。あくまで任意で行うものなので、出頭を拒否することもできますし、任意取調べに応じた後でも、いつでも退去して構いません。

任意同行に応じなくても、直ちに逮捕されることはありません。ただし、一定の軽微な事件では正当な理由のない出頭拒否に限り逮捕が許されていること(同法199条1項ただし書き)、出頭拒否を続けていると逃亡等の恐れが疑われることから、ある程度捜査に協力するか弁護士に相談しましょう。

(3)警察による刑事事件被疑者の逮捕

警察による逮捕には、上記でご説明した現行犯逮捕、普通逮捕に加え、緊急逮捕の3種類があります。緊急逮捕とは、一定の重大犯罪について、罪を犯したと疑う十分な理由があり急を要する場合に、令状なく被疑者を逮捕することをいい、逮捕後はすぐ裁判所に逮捕令状を請求します(刑事訴訟法210条)。

警察が被疑者を逮捕すると、最長72時間の逮捕期間が始まります。逮捕の翌日か翌々日に検察庁に送られ、さらに10日間勾留されるか決められます。逮捕期間中は家族も面会できません。この間面会ができるのは弁護士だけです。逮捕後はできるだけ早く弁護士と面会しアドバイスを受けることが大切です。

②【逮捕後48時間】刑事事件の逮捕~検察官への送致までの流れ

警察による刑事事件被疑者への取り調べ

取調べとは、捜査機関が被疑者等に質問をして、返答(供述)の内容を記録する手続きを言います。被疑者は逮捕・勾留されている場合以外は、警察署への出頭を拒んだり、出頭後もいつでも退去できます(刑事訴訟法198条1項)。逆に、逮捕・勾留された被疑者は取調べに応じなければいけません。

取調べでは、疑われている犯罪事実に加え、事件の経緯や動機など様々なことが聞かれます。取調べの時間は、深夜や長時間行うことは原則控えるべきとされていますが、弁護士も立ち会えないのでブラックボックスに近いです。それだけに、事前に弁護士のアドバイスを受けておくことは非常に有効です。

(1)逮捕後に釈放された場合

逮捕後釈放されるケースの一つが、警察が釈放する場合です。警察が釈放するのは、犯罪の容疑がないと判断したか、犯罪が極めて軽い微罪の場合です。なお、逮捕せず釈放して捜査を進める在宅事件の場合は、事件書類や証拠だけを検察官に引き継ぐ「書類送検」が行われます。

逮捕後釈放される2つ目のケースが、検察官が勾留請求せず釈放される場合です。逮捕後48時間以内に事件が検察庁に送られ、事件を受けた検察官は被疑者と面談を行い、24時間以内に勾留請求するかを判断します。検察官が裁判官に勾留請求をしない場合は、72時間の逮捕期間で釈放されることになります。

(2)逮捕後に身柄拘束が続く場合

逮捕されると、警察署の留置場に入れられます。留置場は、逃亡や証拠隠滅の恐れ、住所不定などの場合に身柄を拘束する施設で、全国の警察署にあります。留置場では、起床、食事時間、就寝など決まったスケジュールに従って生活し、取調べや実況見分で呼ばれれば出向いてまた部屋に戻ります。

逮捕後48時間以内の送検と24時間以内の勾留請求の計72時間以内に勾留されるか決まります。検察官の勾留請求を裁判官が認めると、10日の勾留が始まり、勾留はさらに10日以内で延長されることがあります。つまり、1つの事件で起訴されるまでに最長23日間、身柄の拘束が続く場合があります。

(2-1)検察官への送致(送検)の決定

逮捕後48時間以内に、警察は検察官に被疑者や証拠を引き継がなければなりません。これを「検察官送致{送検)」といいます。検察官送致には、被疑者の身柄を引き継ぐ身柄送検と、書類や証拠だけを引き継ぐ書類送検があります。書類送検が行われるのは逮捕後釈放されたり逮捕しなかった場合です。

警察は、逮捕しても犯罪の嫌疑がなかった場合か、極めて微罪の場合を除いて、事件を検察官に送ります。黙秘しても無実を訴え続けても送致されます。送致されない具体例としては、被害回復がされた軽微なケースや、被害者との示談が成立したり刑罰を望まないケース、悪質でない初犯のケースなどです。

③【逮捕後72時間】送検~勾留請求までの流れ

検察官による24時間以内の勾留請求

事件を送致されて引き継いだ検察官は、24時間以内に被疑者を勾留請求するかどうか判断します(逮捕から通算で72時間以内)。判断に際しては、検察官は警察から送られた証拠や書類と、実際に取調べをして判断の材料にします。検察官の取調べで聞かれる内容は、警察の取調べと同様ですが、直接の印象は勾留の判断に大きく影響します。

検察官は、勾留請求か釈放かだけでなく、事件を起訴するか不起訴にするかを決める権限を持っています。それだけに、送致後の検察官の取調べでは、警察のとき以上に慎重な対応が求められます。取調べをした検察官が勾留すべきと判断すると、裁判官に勾留請求を行います。

裁判官による勾留の決定

検察官から勾留請求を受け取ると、裁判所は被疑者の言い分も聞くために裁判所に被疑者を呼び、裁判官が直接質問をします。これを「勾留質問」と言います。勾留質問では、裁判官の自己紹介や黙秘権の説明の後、犯罪の内容の説明をして被疑者の言い分や事実を認めるかどうか尋ねるのが流れです。

裁判官は被疑者の言い分に意見することはありませんが、一部否認や全部否認の場合はほぼ確実に勾留請求が認められます多くの場合勾留決定されるのが実情ですが、事案の内容や弁護人が勾留は不要という意見書を出したようなケースなどでは勾留請求が認められず釈放される場合もあります。

④【逮捕後23日】勾留~起訴までの流れ

(1)勾留されなかった場合

逮捕後、勾留されなかった場合は、自宅で通常通りの生活を送ることができます。勾留されると、勾留期間中に検察官が起訴するかどうかを決めますが、勾留されなかった場合は期間の制限がありません。そのため、捜査が開始してから起訴・不起訴の決定がされるまで数か月かかることもあります。

 また、勾留されなければ必ず不起訴になるとは限らず、在宅のまま起訴されることもあります(在宅起訴)。在宅起訴の場合は、自宅で、弁護士と随時相談できるメリットがある反面、弁護士に依頼するタイミングを逸しがちです。起訴を防いだり、罪を軽くするためにも早く弁護士に相談しましょう。

(2)勾留された場合|最大10日間

勾留が決まると、勾留請求の日から原則10日間留置場に止め置かれます。この間も捜査が行われ、警察や検察官の取調べ等を受けることになります。検察官は、この勾留期間中に事件を起訴するか不起訴にするかを決定します。不起訴になれば釈放されますが、起訴されると通常は引き続き勾留されます。

勾留中は、接見禁止の処分がつかなければ、家族や友人等とも面会ができるようになりますが、1日一組3人までで、平日昼間の15分程度と制約が多いです。また、この間も弁護士をつけることができますし、お金がない場合は国選弁護人を依頼できます(被疑者国選)。

(2-1)検察官からの勾留延長請求|さらに10日間延長

勾留期間は原則10日ですが、複雑な事件で証拠収集が困難なケースなどやむを得ない場合は、検察官は最長10日間勾留の延長を請求できます。延長は3日や6日のこともあります。裁判官がこれを認めると、最長20日の勾留、逮捕時から23日間の身柄拘束が続く可能性があります。

勾留延長された場合は、検察官は勾留延長期間が満了するまでに起訴するかどうかの判断を行います。なお、勾留中は保釈が認められないので、釈放してもらうためには勾留決定をした裁判官の判断を不服として準抗告を行います。準抗告は難しい手続きですがまずは弁護士に相談してください。

起訴・不起訴処分の決定

日本の刑事司法では、検察官だけが事件を起訴するかどうかを決める権利を持っています。起訴とは、刑事裁判を起こすことをいいます。起訴された後の有罪率は99.9%に上ります。日本においては、刑事裁判で無罪を獲得できる確率は0.1%と非常に低いのが実情です。

一方、不起訴処分とは、事件を起訴せずに終了させることをいいます。不起訴には、理由に応じて「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つの種類があります。不起訴になれば前科はつきません。そのため前科を防ぐには、不起訴処分獲得までに必要な弁護活動を尽くすことが非常に重要です。

刑事事件の略式命令請求とは?

略式命令とは、裁判所が罰金刑を下す命令のことをいいます。検察官が起訴する際に正式裁判でなく略式裁判にすることを決めると、裁判官に略式命令請求を行います。略式命令では、簡易裁判所の管轄に属する事件で、100万円以下の罰金刑や科料のみを下すことができます。

略式裁判は、公開の法廷が開かれず出廷しなくていいので、生活に支障がないメリットがある反面、裁判で言い分を主張できません。そのため、略式命令をする際は本人の同意が必要です。不服があれば14日以内に正式裁判の請求もできますが、略式命令に同意するかは弁護士に相談することをお勧めします。

起訴後も勾留されることがある?

起訴されると、被疑者から被告人と呼び名が変わります。起訴後でも、逃亡や証拠隠滅を防いで公判に出廷させるため、勾留されることがあります。これを被告人勾留と言います。被疑者勾留では最長20日の制限がありますが、被告人勾留には制限がありません。最初の裁判まで1か月以上勾留が続くこともあります。

起訴されると、「保釈」により釈放を請求することができます(刑事訴訟法88条1項)。保釈は保釈金を裁判所(国)に預け、逃亡等せずに裁判が終了すれば返金してもらえる制度です。保釈は起訴後初めて利用できる釈放のための制度です。保釈の手続きについては『保釈申請の流れ。保釈条件と必要な保釈金は?起訴後の勾留から解放』の記事で詳しく解説しています。

なお、起訴後も勾留され釈放を目指す場合は、弁護士にご相談ください。保釈を弁護士に依頼したいとお考えの場合は、『保釈を弁護士に依頼する|刑事事件に強いアトム法律事務所』の記事も参考になります。あわせてご覧ください。

⑤刑事事件の裁判の流れ

刑事事件公判の流れ

第1回公判は、起訴から概ね1か月後に開かれます。公判では、まず「冒頭手続き」として、裁判長が氏名や生年月日を尋ね、本人かを確認する人定質問を行います。検察官が起訴状を読み上げると裁判長から黙秘権が告知され、事件についての意見陳述が求められます(罪状認否)。

続いて「証拠調べ手続」が行われ、検察官と弁護人が交互に証拠を示したり証人を呼んで意見を述べたり、被告人に事件関係や謝罪の意思について質問します。最後に検察官が論告求刑、弁護人が意見陳述を行い結審します。通常は結審から2週間後に、複雑な事件では概ね1か月後に判決が言い渡されます。

判決に納得がいかないとき|控訴、上告の申し立て

判決に納得がいかない場合は、判決言い渡しの翌日から14日以内に不服を申し立てることができます。これを「上訴」といいます。上訴には、第一審の判決を不服として高等裁判所に再度審理を申し立てる「控訴」と、高等裁判所の判決を不服として最高裁判所に再度の心理を申し立てる「上告」があります。

控訴には、法令違反、事実誤認、法令適用の誤り、量刑不当などの理由が必要です。上告は、憲法違反や判例違反がないとできません。審理の結果、元の裁判が正しいと判断されると請求棄却され、誤りがあった場合は原判決を破棄して自ら判決を下すか(破棄自判)、原裁判所に差し戻して再度審理させます。

刑事事件の裁判の流れや、裁判における弁護士の活動について詳しく知りたい方は『刑事事件の裁判の実態は?裁判の流れ・弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了