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刑事事件の流れ【弁護士監修】逮捕後23日以内にすべき対応

刑事事件の流れ

刑事事件は一般的に、「捜査」→「起訴」→「裁判」の流れで進んでいきます。

刑事事件の流れ

刑事事件の流れの中でも、捜査は逮捕されないケースと逮捕されるケースに分かれるのが大きな特徴です。特に、逮捕されるケースにおいては限られた時間の中で手続きが進められていくため、刑事事件は時間との勝負です。

できるだけ早く、適切なタイミングで適切な対応を取り、最良の結果につなげるためには、刑事事件の流れを知っておくことが重要です。

ご家族やご友人など大切な方が刑事事件の加害者となったり、逮捕されたりすると、今後の流れが分からず、大きな不安を感じるでしょう。何をすべきか分からない、混乱して動けないという方も少なくありません。

この記事では、逮捕・勾留はどう進むのか、示談はいつすべきか、刑事裁判になるかはいつ決まるのかなど、刑事事件の流れについてご説明します。

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(1)刑事事件発生から捜査されるまでの流れ

①捜査の端緒をきっかけに捜査が開始される

刑事事件の捜査が行われるためには、捜査機関が刑事事件が発生したことを認識する必要があります。

捜査が開始されるきっかけとなるものを、捜査の端緒といいます。具体的には、現行犯逮捕や通報、被害届の提出などです。

捜査の端緒から捜査が必要であると判断されれば、捜査が開始されます。

②被疑者の任意同行・任意取調べが行われる

捜査機関は事件を捜査するために、被疑者の任意同行・任意取調べを求めます。

任意同行・任意取調べとは、警察などの捜査機関が、犯罪の容疑がかかった逮捕前の人(被疑者)を警察署に出頭させ取調べをすることをいいます(刑事訴訟法198条1項)。あくまで任意で行うものなので、出頭を拒否することもできますし、任意取調べに応じた後でも、いつでも退去して構いません。

任意同行に応じなくても、直ちに逮捕されることはありません。ただし、一定の軽微な事件では正当な理由のない出頭拒否に限り逮捕が許されていること(同法199条1項ただし書き)、出頭拒否を続けていると逃亡等の恐れが疑われることから、ある程度捜査に協力するか弁護士に相談しましょう。

③逮捕ありは「身柄事件」/逮捕なしは「在宅事件」

警察が逮捕の必要性があると判断した場合には、被疑者の身柄を拘束した「身柄事件」として捜査が進められます。逮捕される理由については、『逮捕の理由とは?逮捕後の手続や逮捕の回避方法も解説』の記事が参考になりますのであわせてご確認ください。

もっとも、刑事事件が発覚しても、必ず逮捕されるとは限りません。事情聴取だけで釈放されるようなケースを「在宅事件」といいます。

在宅事件では、釈放され日常生活を送ることができますが、無罪になったわけではありません。度々警察に呼び出されることもありますが、連絡がなく安心していると突然検察庁に呼び出され、罰金刑が確実になっていることもあります。在宅事件でも安心せず、弁護士に早く相談することが大切です。

(2)刑事事件の捜査から起訴までの流れ

①-1 身柄事件の流れ

逮捕されると、警察署の留置場に入れられます。逮捕後にすぐ刑務所に入るわけではありません。

逮捕の流れ

留置場は、逃亡や証拠隠滅の恐れ、住所不定などの場合に身柄を拘束する施設で、全国の警察署にあります。留置場では、起床、食事時間、就寝など決まったスケジュールに従って生活し、取調べや実況見分で呼ばれれば出向いてまた部屋に戻ります。

逮捕後48時間以内の送検と24時間以内の勾留請求の計72時間以内に勾留されるか決まります。検察官の勾留請求を裁判官が認めると、10日の勾留が始まり、勾留はさらに10日以内で延長されることがあります。つまり、1つの事件で起訴されるまでに最長23日間、身柄の拘束が続く場合があります。

逮捕の流れをさらに詳しく知りたい方は『逮捕されたら|逮捕の種類と手続の流れ、釈放のタイミングを解説』の記事をご覧ください。

①-2 在宅事件の流れ

逮捕されない事件や一度逮捕・勾留された後に釈放されたケースは、在宅事件として進みます。在宅事件になると、被疑者は警察から何度か呼び出されて取調べを受けます。

在宅事件の流れ

警察での十分な捜査が終わると、検察へ捜査書類と事件が引き継がれる流れとなります(いわゆる「書類送検」)。

事件が引き継がれた後は、事件を引き継いだ検察官から取調べを受けるなど、追加の捜査等が行われたうえで処分が決まります。

身柄事件は逮捕・勾留されると起訴・不起訴の判断がでるまで最大23日間拘束される可能性がある一方で、在宅事件に時間制限はありません。在宅事件と逮捕事件では、厳格な時間制限の有無が大きな違いといえるでしょう。

在宅事件の流れを詳しく知りたい方は『在宅事件の流れを解説|起訴率は低い?逮捕される刑事事件との違い』の記事もあわせてご覧ください。

起訴・不起訴処分の決定

原則として、検察官に送致された事件の全てはその後、検察官によって起訴・不起訴の判断が下されることになります。

起訴・不起訴の判断は、逮捕後勾留が認められた場合には原則として23日以内に、在宅事件の場合には必要な捜査が終了した後に行われます。

起訴とは、刑事裁判を起こすことをいいます。起訴された後の有罪率は99.9%に上ります。日本においては、刑事裁判で無罪を獲得できる確率は0.1%と非常に低いのが実情です。

一方、不起訴処分とは、刑事裁判を起こさずに事件を終了させることをいいます。不起訴には、理由に応じて「嫌疑なし」「嫌疑不十分」「起訴猶予」の3つの種類があります。不起訴になれば前科はつきません。そのため前科を防ぐには、不起訴処分獲得までに必要な弁護活動を尽くすことが非常に重要です。

刑事事件で不起訴を目指すためのポイントは、『逮捕されても不起訴になる?前科をつけない4つのポイント』の記事で詳しく解説しています。

逮捕と起訴の違い

逮捕と起訴は、刑事手続きにおいて全く異なる段階で行われる手続きです。

逮捕とは、犯罪の嫌疑がある者を、逃亡や証拠隠滅を防ぐために、身柄を拘束する手続きです。逮捕には、現行犯逮捕、通常逮捕、緊急逮捕の3種類があります。

一方、起訴とは、ある刑事事件について、検察官が刑事裁判を開くように裁判所に求める手続きのことです。 起訴は、被疑者について十分な証拠が収集され、有罪とすることができる見込みがあると判断された場合に行われます。 検察官がおこなう起訴には、公判請求(通常起訴)と、略式命令請求(略式起訴)があります。

逮捕と起訴の違い

逮捕起訴
目的逃亡や証拠隠滅を防ぐ裁判所に対して公訴を提起する
その後の手続き勾留、在宅捜査裁判

刑事事件の略式命令請求とは?

略式命令とは、裁判所が罰金刑を下す命令のことをいいます。検察官が起訴する際に公判請求でなく略式裁判にすることを決めると、裁判官に略式命令請求を行います。略式命令では、簡易裁判所の管轄に属する事件で、100万円以下の罰金刑や科料のみを下すことができます。

略式裁判は、公開の法廷が開かれず出廷しなくていいので、生活に支障がないメリットがある反面、裁判で言い分を主張できません。そのため、略式命令をする際は本人の同意が必要です。不服があれば14日以内に正式裁判の請求もできますが、略式命令に同意するかは弁護士に相談することをおすすめします。

関連記事

略式起訴の要件と罰金相場|前科はつく?起訴・不起訴との違いは?

(3)刑事事件の裁判の流れ

①開廷前手続き~判決

第1回公判は、起訴から概ね1か月後に開かれます。公判では、まず「冒頭手続き」として、裁判長が氏名や生年月日を尋ね、本人かを確認する人定質問を行います。検察官が起訴状を読み上げると裁判長から黙秘権が告知され、事件についての意見陳述が求められます(罪状認否)。

続いて「証拠調べ手続」が行われ、検察官と弁護人が交互に証拠を示したり証人を呼んで意見を述べたり、被告人に事件関係や謝罪の意思について質問します。最後に検察官が論告求刑、弁護人が意見陳述を行い結審します。通常は結審から2週間後に、複雑な事件では概ね1か月後に判決が言い渡されます。

刑事事件の裁判の流れや、裁判における弁護士の活動について詳しく知りたい方は『刑事事件の裁判の実態は?裁判の流れ・弁護士は何をしてくれる?』の記事をご覧ください。

刑事裁判の判決は、有罪判決無罪判決に分けることができます。

無罪判決を受けた場合には刑罰が科せられません。身柄を拘束されていたケースでは、ただちに釈放されます。

有罪判決を受けた場合には、各犯罪に定められた法定刑に基づき、刑法9条が定める6種類の刑罰(死刑・懲役・禁錮・罰金・拘留・科料)のいずれかが科されます。

なお、有罪判決の中でも、執行猶予判決や実刑判決となることもあります。

  • 執行猶予付判決:懲役や禁錮刑に執行猶予が付く判決
  • 実刑判決:懲役や禁錮で刑務所に入る判決

刑事事件で捜査・逮捕されるなどして、刑務所に入ることを心配している方も多いと思いますが、刑務所に入るのは、実刑判決を受けたときです。

執行猶予が付けば刑務所に入らずに済む

懲役刑・禁錮刑となった場合でも執行猶予が付けば、ただちに刑務所に入ることを避けることができます。

また、執行猶予期間中に、あらたに刑事事件をおこすことなく(再犯におよばずに)過ごすことができれば、刑が執行される可能性は完全になくなります。

執行猶予付判決を獲得するには、被害者がいる事件であれば被害者との示談や、再犯防止策を講じて反省・更生への意欲を見せることなどが重要となります。

執行猶予が付くための条件や執行猶予獲得に向けた必要な対応を詳しく知りたい方は、『執行猶予とは?懲役実刑との違いは?執行猶予中の逮捕で取り消し?』の記事をご覧ください。

判決に納得がいかないとき|控訴、上告の申し立て

判決に納得がいかない場合は、判決言い渡しの翌日から14日以内に不服を申し立てることができます。これを「上訴」といいます。上訴には、第一審の判決を不服として高等裁判所に再度審理を申し立てる「控訴」と、高等裁判所の判決を不服として最高裁判所に再度の心理を申し立てる「上告」があります。

控訴には、法令違反、事実誤認、法令適用の誤り、量刑不当などの理由が必要です。上告は、憲法違反や判例違反がないとできません。審理の結果、元の裁判が正しいと判断されると請求棄却され、誤りがあった場合は原判決を破棄して自ら判決を下すか(破棄自判)、原裁判所に差し戻して再度審理させます。

刑事事件でお困り方は弁護士に相談ください

刑事事件の流れのどの段階で弁護士に依頼すべき?

刑事事件を起こしてしまったら、すぐに弁護士に相談・依頼すべきです。逮捕される前でも、被害届を出される前でも構いません。刑事事件から時間がたち、既に逮捕・勾留されたり、起訴されることが決まった場合でも、あきらめずにその段階ですぐに弁護士に相談・依頼してください。

刑事事件の流れの中で、依頼する段階が早ければ早いほど、弁護士が対応できる範囲が広がります。タイミングによっては、弁護士が間に入ることで、逮捕を阻止する、早期釈放を実現する、起訴を避けて前科を防ぐ、刑事裁判で実刑を回避する等の対応ができる可能性が高まります。

依頼する場合の弁護士費用については『弁護士費用の相場|逮捕されている場合・逮捕されてない場合は?』の記事をご覧ください。

刑事事件は示談が重要?

被害者がいる事件の場合は、示談が重要です。示談することによって不起訴の可能性を高めることができます。

刑事事件の示談は、できるだけ早くすべきです。「今回の刑事事件を許した」「事件に関してお互いに解決した」という示談の内容を、刑事事件の手続きの早い段階で示すことができれば、検察官の処分を判断するうえで有利な事情となります。

ただし、刑事事件の示談は当事者だけですることはおすすめしません。無理に被害者に示談をしてもらおうとすると、脅迫・強要などの別の犯罪が疑われる可能性があります。

また、示談で合意すべき内容は刑事事件のタイミングによって異なります。示談するときは、弁護士を間に入れて行うことをおすすめします。

刑事事件で示談すべき理由や、刑事事件の示談金の相場について詳しく知りたい方は『刑事事件で示談をすべき5つの理由|示談金の相場も紹介』の記事をご覧ください。

刑事事件に強い弁護士の相談窓口は?

刑事事件の流れや刑事事件の今後の対策を立てたい方は、アトム法律事務所に相談してください。

アトム法律事務所は、設立当初から刑事事件をあつかっており、刑事事件の解決実績が非常に豊富な弁護士事務所です。

アトム法律事務所は、警察から呼び出しを受けた、警察に逮捕されたといった警察介入事件については、初回30分の弁護士相談を無料で実施しています。

また、大切な家族が逮捕されたという方は、ショックを受けるのは当然です。ただ、家族にしかできない重要なサポートがあります。まずは、今後の対応を知るためにも相談を活用し、何をすべきか弁護士と一緒に整理しましょう

まずは、お電話にてお問い合わせください。

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岡野武志弁護士

監修者

アトム法律事務所
代表弁護士 岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了